タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ MEMORY−2 新グリンダ騎士団 X |
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初めて口を挟むティンク。
「なるほど。噂の『一国帝国主義』というわけですか?」
いささか礼を逸するかのような態度を気にする事無く、それを受け返す神楽耶。
「はい。そして彼の実に巧妙なところは、先代大公のような『主人』としてではなく、むしろ『安全保障』役として改めて売り込んだらしいという点です。それによって現地としてはむしろ歓迎の態度を取っているとの事。まあ中華連邦としてはあくまで強迫によるものだそうですが」
感心する副騎士団長。
「なるほど。上手いやり方ですな。彼らのやりたがらないような役を自ら引き受ける。それならば反発はしにくいしできない」
それを引き取るもう一人の副騎士団長。
「嫌なら自分でやってみせろ、ですか?」
「当然のことニャー」
茶化しげに呆れてみせる団長補佐。
そこで初めて口を挟む藤堂。
「しかし『安全保障』など、まさに国家の根幹ではないか。それを軽々しく請負に出すなど信じられん」
それを痛々しげに受ける神楽耶。
「そうです。しかし現地、特に旧ユーロピア部分は長らくそうした意識を持ち得ない環境にあったそうです。おそらく彼らとしてもそのような意識は強くないでしょう」
立ち込める沈鬱な空気。
そこで改めて質問を発する藤堂。
「しかしいかに北ユーラシア最大最強のヴェランス大公家といえど、そのまま王位ないし帝位に就けるものなのか?」
そこで引き取るオルドリン。
「はい。旧帝国内における序列からすれば、ヴェランス大公家といえど、旧大陸系大貴族の中の筆頭格に過ぎません。だからユーロ・ブリタニアにおいても『盟主』の扱いだったわけです。しかも現在の北ユーラシアにおいては、血族の多さからすれば大公家をも凌ぐアレキサンダー家に加え、旧帝室傍流であるアリューシア家も入っていると聞きます。いかにヴェランス大公家といえど、彼らの上に君臨する形は取り難いはずです。特に旧本国系貴族は反発するでしょう」
そこで初めて口を開く、もう一人の騎士団長。
「流石は同じブリタニア。遠く離れても事情には通じているというわけか」
それにチラリと目をやり、返事を返すオルドリン。
「ええ。貴女の従兄上のシュタットフェルト卿の近況も伺っておりますわ」
いささか揶揄がかった口調と表情。
その言い方に顔色を変えるカレン。
「私は紅月だ! シュタットフェルトなど知った事か!」
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JIN 2018年10月13日 (土) 21時11分(25) |
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