「団長。フジです」

報告を上げる下部艦橋の少女。

―　「操艦系オペレーター」エリス・クシェシスカヤ　―


「いま映しまーす」

陽気に声を上げる、その隣の少女。

―　「情報系オペレーター」エリシア・マルコーア　―



メインスクリーンに映し出される、巨大な威容。

巨大なサクラダイト鉱山を背景に、多くの高層建築物が立ち並び、大型の港湾には様々な艦船が入っている。

超合集国連合。最高中央評議会所在地。フジ。



「凄い。以前来た時よりも大きくなってませんか？」

思わず感嘆の声を上げる女性。

―　「戦術系オペレーター」マリーカ・シュタイナー　―


「あれもニャ〜」

茶化しげに顔をしかめるソキア。


分割されたメインスクリーンのあちこちに映し出される、周辺の映像。

そこには敷地の境界線の外や、海上の船などが映し出される。

それらの中から様々に翻ってる旗やプラカード。


＜くたばれグリンダ＞

＜殲滅皇女の裏切犬＞

＜ブリ鬼・ゴー・トゥー・ヘル＞

＜富士も我らの物＞

＜賠償は永遠に＞

等々。



「以前もそれなりでしたが、ますます内容が過激化してますね」

「このあいだの『海賊騒動』の影響もありそうだね」

肩を竦め合う両副団長。


「これがフジ、ですか？」

傍らを振り仰ぐ筆頭騎士。


それに対し無言のままの団長。

「…」



やがて多くの罵声と歓声を浴びながら、専用の着艦場に到着のグランベリー。


正装のマントを改めて着用し、艦に直結されたパイプから出口まで移動通路で運ばれていく一同。


やがて正面ゲートが開き、その向こうから見えてくる一人の女性。

「皇議長の名代でお迎えに参りました。桐原沙耶と申します」