タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ MEMORY−1 シベリア超特急 [ |
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「ジーベン」
ローランスの呼び掛けに、顔を向けるエミリオ。
「…」
「『あれ』とおまえの因縁は知っている。だが今は来るかどうか分からない『あれ』におまえを備えさせるだけの余裕は無い。おまえには俺やフィアーと一緒にグリンダ騎士団に当たってもらう。いいな?」
「…イエス。マイ・ロード…」
いかにもあっさりした返答。そして再び天井に向き直る。
それに怪訝な表情のイースリット。
(一体なんなのよ、この子…噂じゃ『あれ』に手篭めにされたってもいうのに…あたしだったら絶対に聞かないわよ…)
「で。なら『あれ』への備えは?」
「それは…」
アレウスに答えかかるローランス。
その時。
プシュッとする音と共に、開くドア。
「…おはよ…ございまあす…」
廊下の光を背景に、薄暗い室内に、飄々とした口調と風情で入ってくる、五人目。
まるで少女のような小柄。
テノールというよりボーイソプラノといった高い声質。
ただし制服は一番上と下のボタンが外され、ワイシャツも飛び出している。
そして髪までも無造作に撫で付けた感じ。
しかしそれが妙に似合ってるから始末が悪い。
逆に無理にキッチリさせたら、むしろ違和感が生じそうなくらいに。
それを見て。
いかにも汚らわしげなイースリット。
実に複雑そうなアレウス。
あくまで自然体なエミリオ。
そしてやれやれといった感じのローランス。
「ツヴァイ」
「は」
さっきと異なる命令口調に、初めて畏まるアレウス。
「アハトの『首輪』と『鎖』そして『鍵』はおまえに預ける。その『解き放ち』のタイミングも任せる。いいな?」
「イエス。マイ・ロード」
あくまで自然な調子で受けるアレウスから、視線を正面に移すローランス。
「アハト。おまえは今後ツヴァイの直接管理下に入る。よく言う事を聞いておけ」
「イエス…マイ・ロード…」
いまだ眠気が覚めやらぬといった調子の五人目。
それを半ば無視する感じで、全員に告げるローランス。
「もうそろそろイルクーツク基地に着く。各卿。下車の準備に入れ」
「イエス。マイ・ロード!!!」
一斉に立ち上がる四人。
畳み込まれる椅子。明るくなる照明。
そして目で促されるように、テーブルの自分の位置に就く五人目。
正面の映像に現れる、「V・W・R」を象った、新設の団旗。
それに向き直る五人。
右腕を正面真横に構えるロ−ランス。
それに続く四人。
「勝利は!」
「リングスと共に!!!!!」
「ナイトオブアイン」ローランス・ジョージ・ヴァルトシュタイン。
「ナイトオブツヴァイ」アレウス・アルフォード・アレキサンダー。
「ナイトオブフィアー」イースリット・リア・アリューシア。
「ナイトオブジーベン」エミリオ・バーンスタイン。
「ナイトオブアハト」アーデル・ベル・ロックスフォ−ド。
『…彼らこそ、後世に「アーブ十二戦神」とまで称される、初代ナイトオブリングスの初陣前メンバーである…』
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JIN 2018年09月29日 (土) 13時28分(19) |
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