タイトル:コードギアス 追憶のエミリオ intermission 交差 |
SF |
後世に「ウスリー戦争」と言われる、紛争が戦われているのとほぼ同時刻。
ウクライナ自治共和国。
かつてはユーロピアの一部で、一度はユーロ・ブリタニアに制圧されるも、その後はスマイラス攻勢によって解放。
この時点では隣接のベラルーシと共に変則かつ不安定な立場であり、共に対峙する北ユーラシアの旧ユーロ・ブリタニア勢力との睨み合いも深刻さを増している。
首都キエフ。
その界隈を歩いている一つの影。
背は低く、帽子を深く被っているので、表情は見えない。
体つきからして女性のようだが、見ようによっては少年っぽく見える。
「ううっ!?」
突如として身体を抱え、その場に蹲る。
その様子に驚く周囲だが、それに対し大丈夫だと手を振り、再び立ち上がる。
(あ、「あの馬鹿」、今度は何をやらかした!? まさか冬の河にでも飛び込んだのか? うー、寒い寒い。早く帰らなくちゃ)
再び歩き始める人物。
街角で出てきた二つの影とぶつかる。
「ああ! すまん!」
「こちらこそ、すいません!」
顔を隠すように急いでその場を立ち去る人物。
それを見送りながら改めて顔を合わせる二人。
共によくある青年カップル。
だが男はいかにも屈強な体格で、女は品格に溢れている。
「どうしても帰るのか。ミンスクへ」
「ええ。両親とシュゼットの様子も見たいから」
「これからは不穏になる。心配だな」
「それはここにいても同じでしょう。でも心配しないで。アレク。すぐ戻ってくるわ」
「ああ。気を付けてくれよ。クリス」
軽いキスをかわして分かれる二人。
彼らはまだこれからの互いの過酷な運命を知らない。
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JIN 2019年11月17日 (日) 19時02分(103) |
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