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投稿日:2004年04月01日 (木) 13時53分
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ヤン艦隊の幕僚人事を考察したいと思います。ご存知のことが多いと思いますがご容赦ください。 まず、ムライとパトリチェフですがこの二人はヤンが少佐時代にエコニア捕虜収容所で出会っていますが(外伝四巻)その時の誠実さがヤンの信頼を得たものと考えられます。
フッシャーはアスターテ会戦時に第四艦隊の幕僚としてラインハルトに壊滅させられた艦隊の残存戦力を掌握したのを評価されたのではないでしょうか?それに第十三艦隊は第四と第六艦隊の残存戦力で編成されていますから、そのまま編入されたと考えられます。
フレデリカ、シェーンコップ、アッテンボローに説明は必要ないかと思います。 ワイマール共和国時代の参謀総長であったハンス・フォン・ゼークト将軍は組織における人間分類について次のように述べています。
『軍隊でもっとも必要な人材は「有能で勤勉」これは参謀に適する。次に「有能で怠け者」これは司令官と前線指揮官。その次は「無能で怠け者」これは下級兵士。最後に「無能で勤勉」コイツは銃殺するしかない。間違った命令を永遠に繰り返し、取り返しのつかないことになる』 以上がだいたいの趣旨です。勤勉か怠け者の区別はともかく、何が有能か無能の区別は抽象的過ぎるので小官は、『非常事態の戦場で少ない情報から状況を的確に判断できるか否か』を基準と解釈します。これを踏まえてヤン艦隊人事をみましょう。 ヤン→有能で怠け者な司令官。戦略構想はするから事務処理は幕僚に任せる フレデリカ→有能で勤勉な副官。艦隊編成、人事など細かいことについて司令官の注意を喚起する ムライとパトリチェフ→有能ではないが無能でもない勤勉な参謀。艦隊の規律維持、ヤンの戦術構想を現場で実撰、事務処理を担当 フッシャーとアッテンボロー→有能な前線指揮官。ヤンの指示で艦隊運用を担当。 以上のようにヤンは戦略構想にエネルギーを注ぐために、雑事は部下に任せています。ヤンがあと十年くらい生き長らえれてユリアンを教育すれば高等な次元を判断できる有能な副将になったかもしれませんが、ラインハルトのようにミッターマイヤー、ロイエンタール、オーベルシュタイン、キルヒアイスのような政戦略的な判断ができる副将を擁していません。アッテンとメルカッツは例外ですが大規模な別働隊を任せる戦力はヤンの指揮下にありませんでした。
ヤンはイゼルローン要塞を陥落させれば退役するつもりでしたから人材の収集に積極的ではなかったのでしょうが、ヤンが暗殺された時の幕僚数ではおそらく三個艦隊を運用するのが限界かと思われます。ヤンが帝国軍を圧倒するには同盟がアムリッツアー会戦で大損害を受けず、軍の主流派として統合参謀本部長に就任する必要がありますがそれだけでは不十分です。ヤンはラインハルトのように軍人が政治家を兼ねるやり方を嫌っていましたからヤンの構想を理解して実践できるビスマルクのような有能な政治家の存在が必要です。
ラインハルト陣営の人材についてはまた今度にしますが、一言で言えば『最高司令官から少なくとも各艦隊幕僚までまじめで有能で勤勉』です。帝国の人的資源は同盟より遥かに豊富だったのでしょう。 |
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