何故か蝶化身してしまった私・・・けど何気に嬉しい・・・だって好きな昆虫になったんだもの。 「んあ・・・なんか気持ち良いな・・・羽化するのって・・・」 とりあえず私は羽ばたいてみた。ばさばさっ! 「ん・・ん・・・飛んでいる・・・私は飛んでいる!」 私は羽ばたいたんだ・・・蝶になって。と思っていた。全裸だけど・・・誰も見ていないから大丈夫と思う・・・そしてそのまま地面に着地した。 「っと・・・はぁ・・・あ」 足元に水溜りがあった。私は水面に映った自分の顔を見た。そのままだ。可愛げのある顔、オレンジ色のショートヘアな髪、青い瞳、何もかもが生前のころのままだった。けど頭に蝶の触覚があった。 「顔も身体もそのままだけど羽と尻尾と触角が生えちゃ・・・普通じゃないな」 そんな溜息交じりの言葉を言ったとき「んっ・・・」と尻尾部分から何か液体が沢山出て来た。 「あっ・・・これは・・・老廃物か・・・」 蝶は羽化すると蛹の間に溜まった老廃物を排出するのである。でも通常出るのは羽が伸びる間であるけど・・・ 「はぁ・・・これからどうしようかしら・・・?まず服はどうしようかな・・?裸じゃちょっと・・・」 とそのとき。 「あ、いたいた」 と空から誰かの声が聞こえた。 「!?誰っ!?」 私は胸と股間部分を手で隠しつつ、声のあった方額を振り向いた。 「遅かったか・・・」 そこに黒い翼を生やした少女が浮かんでいた。見た目は私より年下な15歳くらいで、私と同じようなショートヘアでちょっと黒っぽい髪、瞳は水色であった。胸は私よりも数cm大きい感じでちょっと私には羨ましいサイズだ。服は黒いドレスみたいであり、肩には変なバインダーらしき物が装着されており、手には鋭そうな鎌を持っていた。生えている黒い羽もなにやらメカのよう感じで、某ロボットのものと同じようなものであった。 「既に蝶化身しちゃったのね・・・」 彼女がか細い声を出した。そして私は。 「あなたは・・・誰よっ・・・!?」 「私は見ての通り死神よ」 「死神ですって!?」 これが死神なのか?死神と言えば黒いマントを羽織った骸骨と言う姿が定番だが、こんな女の子が死神ですって?冗談にもほどがあるけど、鎌を持っているし、服装も黒っぽいから死神であることは間違いないようだ。 「その死神は・・・私に何のようよ・・・?」 その問いかけに彼女は言った。 「貴女を追ってきたのよ・・・貴女の魂を迎えに来たけど・・・突然棺から飛び出して、そしてこの森に入った、昆虫好きだって聞いたからちょっと嫌な予感はしたけど、まさか蝶化身しちゃうとは・・・」 と死神少女は愚痴っぽく語った。 「もう無駄だな・・・はぁ・・・」 死神少女は私を見て溜息をした。
続く
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