啓助が牢に入れられて数日が経った 啓助の前にあの兵士が現れ、牢のドアを開ける 兵士「王がお前に話があるそうだ。ついてきてもらおうか」 兵士に導かれるまま牢から出る 啓助「さーて、果たして処刑か放免か……」 ティル「そいつは運次第だな」
そしてあれやこれやで王の前に連れて来られた 王は啓助を見るなり前に歩み出し、そして啓助に土下座する 王「この度は失礼なことを!申し訳ありませんでした!!」 啓助「はい!?」 この前と打って変わったような王の態度に驚く啓助をよそに王は話を続ける 王「実は……あなたを牢に入れた後、一服の為にある本を読んでいたのです。すると……」 王は懐から古びた本を出すと、ぱらぱらとページをめくってあるページで啓助に見せる 王「これをご覧ください」 啓助「は……はぁ」 釈然としないまま本を受け取り、そのページを見る そこにはこう書いてあった ********* 今は昔 マーメイ島に悪の魔導士がいた 彼は世界を滅亡させるべく、その魔法の全てを結集して魔物を作った しかしあまりに凶暴な魔物達は魔導士の言う事を聞かなかった そのため彼は絶対的な力を持つ魔物−ドラゴンを創り、その体から5つの球を創る事で凶暴な魔物達を支配下に置いた ********* 啓助「5つの球!?」 啓助の頭には、あのドラゴンが変化した5つの球が思い浮かんだ ティル「それで?」 ティルが急かすので、急いで続きを読む ********** 魔導士の計画は順調に進み、ついにその計画を発動させる時が来た 恐怖におののく人々 しかしそんな人々の前に希望の光が舞い降りた! 緑の服に身を包んだ勇者が現れた 彼はその勇気を友に魔導士と群がる魔物に立ち向かった 激闘の末に勇者は魔導士を倒し、魔物を封印によって封じ込めたのだった 戦いを終えて去る勇者 しかし彼は去り際にこう言った 「この封印は1000年しかもたない。1000年経てばやがて再び魔物は世に解き放たれるだろう……だが案ずるな。1000年後、私の子孫が運命に導かれて再びこの地に現れるだろう」 そして世は平和になった ********** マーメイ島伝説と題されたこの話はここで終わっている 啓助が本をパタンと閉じるのを見ると、王がまた話し掛ける 王「お分かりいただけただろうか。……あなたこそ、その1000年前の勇者のご子息に違いありません!!」 啓助「ふ〜ん……そ、そっすか」 全然実感の無い啓助 そこでふと大事な事を思い出す 啓助「待てよ、さっきの伝説によると1000年経ったら魔物がまた現れるんだよな!?じゃあさ……」 王「……ご察しの通り。現在この島では陸には陸の、空には空の、水には水のモンスターがウヨウヨといます。」 啓助「うっわ〜……やっぱりね」 面倒臭せー、て顔で啓助が言う 王「それとあなたが現れた日、5つの球がこの空で散らばるのを見ました」 ティル「(やっぱり……ここへ)」 王「これはまさしくこの国に何か悪い事が起こる前兆に違いありません!」 そこで王はバッと顔を上げ、啓助の顔を見る 王「あなたを勇者様と見込んでお願いがあります!この国を……世界を護ってください!!」 啓助「やd」 バシッ 断ろうとする啓助を後ろからティルがシバく 啓助「………いいぜ!」 改めて言い直し、承諾する 王「あ……ありがとうございます!!」 啓助「それと」 喜ぶ王の前でまた続ける 啓助「……その敬語やめてくれねぇかな?そんな改められると緊張しちまわぁ」 王「あぁ。わかった」 それを聞いていきなり最初の偉そうな態度に変わる 啓助「いや変わり身早ぇなオイ!!」
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