ここはM78星雲ウルトラの星こと光の国−− ではなく死神の世界 死神界とて決して生の無い世界ではない。 死神界にも花は咲く だが死神は命を奪うことしか興味が無いので誰も見向きはしなかった
たった一人を除いては 「見ろよスーの奴、またジーッと花なんか見て」 「変わってるよなあいつ。死神のくせに他人の命には興味無いしさ……本当あれでも死神大王様の息子なんだか」 「おい放っとけお前ら。こんな腑抜けに構ったって面白くもねーぜ。そんなことよりあっちでウサギ虐殺ショーやってるぞ!」 「おーいいね!行こうぜ!」 「そーそ!血が嫌いな臆病者のスーは置いといてさ!!」 タタタタ 死神に足なんてあるのかという疑問はさておき、悪口を言っていた死神は遠くへ走っていった 「……………」 スーは一旦花から目を離し、走っていく死神達を睨んだ後また花に見入った
「おぉ、ここにおったかスーよ!!」 その時、スーの前から人影が走ってきた このもっさり髭を生やしたオッサ「あ゙ぁ!?」……ダンディが先程死神達が言っていたスーの父、死神大王である 「父さん……何か?」 スーが尋ねるとダンディオブヒゲダルマは強引にスーの手を掴んで引っ張った 「ちょ……ちょっとちょっと!?」
**死神城** 「……でなんなのさ?」 「知ってると思うが今日はお前の誕生日、よって今日からお前は11歳となった」 「へ〜そうなんだ。じゃぁあれ?ここに呼び出してハッピバースディトゥーユーとか歌うの?」 「死神がそんなことするか!!……それよりもお前は死神界の掟を知っているな?」 「…………はい」 死神界の掟 それは、総ての死神は10歳を超えれば死神としての仕事をしなければならないというものである これはスーとて例外では無かった 「ならば話は早い。早速お前に仕事をしてもらうぞ」 「え〜〜〜っ」 ものっそい嫌な顔をする 「文句を言うでない!……この仕事のターゲットはこれだ」 そういうとモッサリダンディオブヒゲダルマクソオヤジは懐から紙を取り出してスーに渡した 「なんかだんだん作者の口が悪くなってなくね?」 いいえ別に 「………わかった」 スーはその紙を受け取るとしぶしぶ鎌を持って飛び出す
***人間界:上空*** 「あーあ、やだなぁ命を奪う仕事なんて………」 ガサガサッ 先程渡された紙を見る 「……この住所だと……ここか」 その紙に書かれた住所……つまりスーの真下に降りる
「ってここ……病院?……まぁいいや。ここの203号室のホリィさん…か(どーせおばあさんだろうな)」 と確認しながら病院に入る
**203号室** 「…ホリィさんですね?」 「……誰?」 ホリィと思しき人物が聞き返す 「あ、僕は死神のスー。あなたの命いただきに……っ」 うつむいていた頭を上げた時、スーは言葉を失った 「死神?」 そこにいたのはおばあさんではなく、スーと同じくらいの年齢と思われる 少女だった 「(かっ……可愛い)」 「………もしも〜し?」 言葉を失って突っ立ったままのスーに手を振る 「あっ……すいません」 「いやいいけど………それで、何か用?」 「実は僕は死神で……それで仕事であなたの命を……」 「ふ〜んそう」 そう言うと少女ホリィは窓の方を見た 「……君は、何故ここにいるの?」 「は?」 ホリィが怪訝そうに聞き返す 「あ、いやぁ……なんとなく気になって……差し支えなければ教えて欲しいな〜……なんて」 「………心臓が悪いの」 「え?」 「生まれた時からの持病でね。こうして病院に居てないとすぐポックリ逝くわ」 見ると、ホリィの周りには機械が大量にある 「だから、生まれて11年間ずっとこの代わり映えしない白い天井と外の風景しか見ていない………ってちょっとちょっとなんでいきなり泣いてるの!?」 ホリィがふとスーを見ると、隣でスーが号泣していた 「だって可哀相で………ぐすっ」 「………あのねぇ」 呆れた仕種をすると、また窓の外を見た 「………さっきから外を見てるけど何かあるの?」 スーも窓の外を覗き込む 窓の外には花壇があり、ホリィはそれを見ている 「わぁ花だ……綺麗だなぁ」 死神界ではたまにしか咲かない花が大量にあるのを見てスーは目を輝かせる
「………花が好きなの?」 「うん。でも花だけじゃないよ。花も木も鳥も動物も魚も……人間だって好きさ」 「…じゃあ、なんで死神なんかになったの?」 「…………偶然死神として生まれてきたから。それ以外には何も無いよ」 「………あなた変わってるわね」 「よく言われるよ」
(●皿●)あとがき(●皿●) セインターがネタ切ゴホゴホッある程度進んだので今回はちょっと息抜きに違う作品を書きました 一応二話編成のつもりです 次回やさしい死神のはなし最終回(の予定)! 次回死神スーに何かが起きる
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