放棄された屋敷
ガレーオン岬の向かいの森の中にある古びた屋敷。以前はこの辺りに住んでいた富豪のものだったらしいが、その富豪が破産し夜逃げしたため、現在に至る。 ガレーオン岬での戦いで指揮官ジャックを失い後退したジオン・グレムリー連合軍はここに布陣していた。幸い、ここには残った兵力が十分に入れるほど広い。それにここは普段誰も立ち寄らないところであり、「幽霊が出る」だとか噂もあるので滅多に人が来ることはまず無い。 この屋敷の2階の書斎らしき部屋にマリオン、スカーレットキュベレイ、ビギナサンダー、サイコギラの4名がいた。作戦会議のためだ。 マリオン「・・・とりあえず本国へ増援要請を出しておいたわ・・・あの部隊に匹敵できる数をね・・・」 現在の部隊の指揮権はマリオンに委任されている。彼女は部隊の指揮をスカーレットキュベレイに任せたかったが、当のスカーレットは「面倒だしぃ・・・」と言う始末で半ばマリオンに押し付けた。しかしマリオンは人をまとめるのは少し苦手なのでスカーレットは彼女の補佐、即ち副官に回る事にした。 スカーレットC「ふ〜ん・・・それで増援が到着次第、侵攻開始ね」 マリオン「え・・・まぁ・・・ね・・・」 ビギナサンダー「ですが、増援到着前に敵に発見されたらどうするんですか?」 マリオン「あ・・・それもありえる・・・どうしよう?」 スカーレットC「うーん、まぁここは誰も近寄らないし、そう簡単に見つかりはしないわよ♪」 サイコギラ「だといいんだが・・・」 それまで作戦会議に参加していないサイコギラが突っ込みをいれた。 マリオン「う・・・確かに・・・見張りを強化しないと・・・」 スカーレットC「ちょっとちょっと・・・余計な事言わない!」 サイコギラ「はいよ・・・」 ビギナサンダー「嫌な奴だ・・・」 マリオン「それにしてもあの戦いで貴方を襲った騎士・・・ガンダム族みたいだったけど・・・あいつは・・・」 サイコギラ「ああ・・・ちょっとしたうるさい蝿だ」 ビギナサンダー「は・・・蝿?」 スカーレットC「蝿ははえー・・・」 スカーレットがくだらないギャグを言った。 サイコギラ「おいお前・・・そのギャグつまらんぞ・・・」 部屋が少しブルーな空気になった。
ガレーオン岬のガイア軍仮設野営地
夜明け前、拘束されている騎士マークWは身動きできないので横たわっていた。 隣には見張りのリーナスとか言う女がいる。が彼女は絶賛転寝中だ マークW(こいつが寝てる隙に・・・と言いたいが・・・) マークWの後ろにはもう一人の見張り騎士Gセイバーが待機している。今拘束を解いて逃げるわけにもいかない。即捕まるか殺されるかだ。それに怨敵サイコギラの所在がわかるまでは動かないと決めている。 マークW「く・・・ん・・・?」 マークWはふとリーナスの寝顔を見た。 リーナス「ん・・・ん・・・zzz・・・」 マークW「ふん・・・コイツ・・・少し可愛いなぁ・・・そういえばティエルもこんな寝顔だったなぁ・・・」 Gセイバー「ティエル・・・ってお前、寝てる時に寝言で言ってたな、それ」 黙って見張っていたGセイバーが話しかけてきた。 Gセイバー「そのティエルってのは友達?それとも・・・」 マークW「黙れ!」 Gセイバー「なんだよ・・・暇だから会話でもしようと思ったのに・・・」 マークW「うるさい・・・」 Gセイバー「夜明けだな・・・」 朝日が昇り始めた。トレント湖に朝日が写り、水面がキラキラ輝いている。それは何気に美しい光景だ。 Gセイバー「美しいなぁ、お前もそう思わないか?」 マークW「うるさい」 マークWもまたこの朝焼けを心の中で美しいと思った。そういえば昔ティエルとともに1度だけ朝焼けの空を見た事があったなぁ・・・と過去の記憶を思い出していた。しかしその直後だ。斥候に出たコアピジョンが帰ってきた。 コアピジョン「敵を発見した!援軍も確認されている!現在合流するつもりのようです!」 デルタ「なにぃ!」 その報告にリーナスが飛び起きた。 リーナス「!?何!?敵!?」 Gセイバー「すやすや寝てたのに・・・耳良いな・・・」 マークW「ほう・・・そうか・・・見つかったか!」 Gセイバー「そのようだ」 マークW「よし・・・そろそろ行くか・・・」 Gセイバー「行くかって・・・!?」 いつの間にかマークWを縛っていた縄がちぎれた。実は彼は腕にナイフを隠し持っており、それを瞬時に出して、縄を切ったのだ。朝焼けの中マークWは立ち上がった。 マークW「今行くぞ・・・サイコギラ!!」
続く
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