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[268] Fate
月姫/Tsuki-hime - 2006年08月03日 (木) 22時22分

長編小説を書きますねー。
この作品は非常に複雑で、自分でもよく分からない部分がありますので、おかしな部分も出てくると思いますが、その辺は大目に見てあげてください(

[269] 1.きっかけ
月姫/Tsuki-hime - 2006年08月03日 (木) 22時23分

“運命”“鍵”“奇跡”
 これらが全て重なりあったとき、世界は《予言》から開放される。
                ――『予言の書』より

1.きっかけ

 少年カルロはいたって普通の少年だった。裕福でも貧乏でもない、好奇心旺盛な、ただの少年だった。
 そんな彼が運命に興味を持ち始めたのはつい昨日のことだった。彼はその日、何もすることがないので、その日の半分ほどを部屋の掃除に使った。
 彼がクローゼットを掃除していると、奥の方にあった埃まみれの本が彼の目にとまった。不思議と彼はその本から目が離せなくなった。――それが好奇心からなのか、その本の力のせいなのかはよく分からなかったが。
 彼はとうとうその本を手にとった。
『運命の書』
 表紙にはそれしか書いていなかった。彼は興奮に震える手で一ページ目をめくった。
 彼の目に飛び込んできたのはただの真っ白な紙だけだった。パラパラと他のページをめくっても、やはり彼の目には白紙しか映らなかった。
「何だよ……つまんねーの」
 彼はガックリと肩を落として呟いたあと、部屋の掃除を再開した。

 カルロは夕食のとき、彼の母、ラウラに訊ねた。
「ねえ、今日部屋の掃除をしていたら、クローゼットの奥の方にこんな本があったんだ」
 彼はそう言って、あの埃まみれの本を見せた。ラウラは一瞬驚いた表情をしてから、諦めたような表情に変わった。
「そう……」
「ねえ、これ全部白紙だよ? どうやって読むの? 何が書いてあるの?」
「お願いだからカルロ、私を質問攻めしないで。時がきたら教えてあげるから。さあ、もう寝る時間よ」
 ラウラがいらいらした口調でそう言うと、カルロは拗ねた様子で寝室へと向かった。

 その夜、カルロは眠れなかった。『運命の書』という題名からして、何か運命のことが書いてあるのだろう、と彼は察していた。
 彼は昔彼の父、ロベルトから運命は複雑なものだ、という話してもらったことを思い出していた。
 あの『運命の書』ではその複雑な“運命”のことが書いてある、と思うと興奮して眠れなかったのだ。
(明日は絶対読み方を教えてもらうぞ!)
 彼は心の中でそう決心すると、すやすやと整った寝息をたてはじめた。

 それとほぼ同時刻、リビングではラウラとロベルトが話し合っていた。
「そうか……」
「そろそろ出発するべきじゃないかしら。ピエトロやアレッシオに連絡をいれておきましょう」
「ああ、そうだな。出発は何時ぐらいがいいか……」
「そうね、あの二人が着き次第、ってところね」
「じゃあ、あの二人に連絡をいれておくから、今日はもう寝よう」
「そうね」

 ここから、全てが始まった。

[270] 2.魔法
月姫/Tsuki-hime - 2006年08月03日 (木) 22時24分

「なあ」
 私は横から聞こえてくる声を無視した。ただでさえ『あのお方』からの――迷惑極まりない――呼び出しでストレスが溜まっているのに、話しているだけでストレスが溜まる人なんかと会話するのが嫌なのは、この私だけではないだろう。
「どうしてわざわざ馬に乗ってこんな森の中を走っていかなきゃいけないんだ?転移を使えば――」
「五月蝿い人ですね。転移は魔力の消費が多すぎます。『あのお方』のところへ行ったあと、しばらくは『あのお方』の一行と一緒に北へ走ることになるんですから」
「でも――」
「体力と魔力は違います。体力は寝るだけで回復しますが、魔力の場合は、そうはいきませんよ」
 私はそう言って話を終わらせた。本当に面倒くさい人だ。

2.魔法

「ただいまー!」
 カルロの元気な声で、リビングのソファで眠っていたロベルトが起きた。
「ああ、おかえり」
 まだ眠そうな調子でロベルトが言った。
「あれ? お母さんは?」
「少し用事で出かけている。明日、明後日くらいまでは帰ってこれないんだそうだ」
「ふーん、じゃあ、今日の晩御飯はお父さんの料理?」
「ん?そうだぞ」
 それを聞いたカルロはあきらかに嫌そうな表情になって、溜め息をついた。
「頑張って」
 カルロはそれだけ言うと、部屋へと戻っていった。

「はぁ」
 部屋に戻ったカルロは机の上に置いてある本を見て、また溜め息をついた。先程の溜め息とは深刻さが違った。
 彼はこのところ毎日、この本を見る度、溜め息をついていた。
『運命の書』
 彼は、この本が普通の本とは何か違うことに――何か、不思議な力の存在に――気がついていた。
 彼は、その力が怖かった。その、世界すらも変えてしまいそうな、強大な力の存在が。

 その頃、西の森では、二人の男が馬に乗って走っていた。一人は天使を思わせる白のローブの小男、もう一人は、青銅の鎧を着た大男だった。傍から見ると、対照的で、可笑しな組み合わせだった。
 彼らがしばらく進むと、小男が一人の女性を見つけた。彼らはその女性の元へと馬を走らせた。
「お久しぶりです、≪偉大なる魔女≫、ラウラ様」
 小男と大男は彼女の前に跪いて言った。
「事情は話したとおりよ、とりあえず今は東へ進んで、私の家へ向かうわよ」
「承知しました」
 この返事を聞くと、ラウラは何か呪文を唱え始めた。すると、地面に出来た魔法陣から、馬が現れた。
「……さすが、ですね」
 その魔法の見事さから、小男は呟いた。
「まだ衰える歳じゃないわよ?」
 そう言うと、ラウラは馬に乗って走り始めた。

「なあ、カルロ。少し話があるんだが」
「何? あの本のこと?」
「いや、違う。――多少関連してはいるが」
「で、何なの?」
 カルロの目は好奇心でいっぱいだった。
「カルロ、お前は魔法を信じるか?」
「え? うーん……興味はあるよ」
「そうか。そうだな、まずは……」
 そう言ってロベルトは立ち上がり、何かを呟き始める。すると、ロベルトの人差し指から小さな炎が出た。
 カルロはロベルトの指先に完全に目を奪われていた。その目はやはり好奇心で光っている。
「……良い眼だ」
 ロベルトはぽつりと呟いた。
「どうだ?」
「教えて!」
 カルロはもう魔法の魅力にとりつかれたようで、何か欲しい物をねだるときと同じように、何度もロベルトに頼み込んだ。
「やる気はあるか?」
 ロベルトはカルロの目を覗きこんで訊いた。カルロの目に、迷いはなかった。
「うん!」
「そうか、まずは今俺がやったやつを教えよう」




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