【広告】楽天市場からお買い物マラソン1月16日まで開催中

+++ オリジナル小説 BBS +++

ホームページへ戻る

名前
メールアドレス
タイトル
本文
URL
削除キー 項目の保存


こちらの関連記事へ返信する場合は上のフォームに書いてください。

[275] 黒衝動
マロン - 2006年08月20日 (日) 09時23分

1 余波


帰りの時刻を知らせるチャイムが鳴った。
と、とたんに授業中の静けさは消え去り、学校中が人間の声で溢れかえった。
教師の声が轟いた。それが結構恐れられている教師だったため
か、そうでないかは定かではないが教室に静寂が舞い戻った。
日常、何の変哲もない話を聞き流し、帰路についた。
5:30。家への方向が西の方角だったため、夕日が目に染みた。
四方八方に散らばるクラスメイトを一瞥し、自転車を走らせた。
ふと、橋の下に目をやった。そこには灰色とも黒とも茶ともつかぬ色の服を着た、それと同色の肌を持った人間が地面にビニールシートを敷いて寝ていた。クラスメイト ーいや、恐らくこの近隣の住民全てが、その人種に対して嫌悪感を抱いている。
そして、軽侮の眼差しを向けていた。
毎日毎日、すでに見飽きている景色を網膜全体で受け止めながら自転車をこいだ。


「ただいま」
僕が主題をしていた時、父が帰ってきた。手には大きなスーツケースらしいものがあった。
「おかえり」
僕は常識ともいえる返事を返した。
父は某運送会社に勤めている。結構な地位に席を置いているようだが、僕は興味がなかった。
「母さんが死んで、もうすぐ2年か…」
父が仏壇の前で手を合わせながら呟いた。ここはアパートなのだが、仏壇だけは持っていきたいという父の強い願いがそうさせた。
父は仏壇に向かって今日の出来事を話していた。
もう2年もたつのか。僕は時の流れの速さに改めて気づかされた。
父は紙袋の中から饅頭を二つ取り出すと、仏壇の前に置いた。
もう一度手を合わせ、そこを離れた。
僕は父を、僕が見ていることを悟られないように見た。
顔色がよい。どこかしら元気もあるような顔つきだ。会社で何かあったのか。
それとも女が別にできたのか。
僕は思考を停止した。そんなことより、目の前の宿題を片付ける方が先だ。
「修、ケーキ食べるか?」
父が唐突に聞いてきた。僕は動揺を隠し、食べる、と返事を返した。
「問5:因数分解」を終わらせ、居間へ向かった。

[276] 黒衝動
マロン - 2006年08月20日 (日) 09時43分

2 発生


教師の目下の中、テストが行われた。
数学というものが僕は好きになれなかった。しかし、点数をある
程度キープするため公式はほとんど頭に入っている。
用は考えようなのだ、と思う。固定された視点から見るから問題
は難しく見える。
しかし360度回転させてみると、どこかに必ず「ほころび」があるはずだった。
最後の問になにやら複雑な円の面積求めがあったが、残りの時間
を全て使ってその問題に取り組んだ。

テスト、ということで学校は午前中で終了した。
恐らく10割の生徒が喜んでいることだろう。
まだ昼前ということもあり、街は雑踏で満ちていた。
僕が雑踏を自転車で駆け抜けた。家へ向かう道は太陽によって暑さを増していた。
真上に浮かぶ太陽は直視できないほどに力強く輝いている。
ふと橋を見ると、そこにはパトカーが4台止まっている。
すでにその辺りには人だかりができている。
濃い青色の制服を着た警察官が7人、立っているのが見えた。
青いビニールシートがひかれていたのも確認できた。
周囲の人々の話し声から察すると、殺人事件のようだ。
手、足、胴、首と、バラバラにされた挙句頭がないという。更に
手足は石か何かで潰したらしく、ぐしゃぐしゃになっていたのだ
という。
普段は暗く、道からはかなり見えづらい橋の下に「異物」あった。
発見されたのは午後9時37分。死亡推定時刻は午前2時〜5時。
そこまでつかんだのは夕方のニュースからだった。
普段の生活でそういうニュースを聞いても気にも留めていなかっ
たが、やはり近所の殺人となると気になってしまうのは人間の習
性だろう。
外国のテロ事件よりも、近所の放火のほうが気になるものだ。
凶器も指紋も見つからなかった。が、下がぬかるんでいたため靴跡だけが唯一の手がかりだそうだ。
被害者は明らかに裸足だった。
その事件は猟奇的な殺人、ということで地域を震え上がらせた。



Number
Pass

ThinkPadを買おう!
レンタカーの回送ドライバー
【広告】楽天市場からお買い物マラソン1月16日まで開催中
無料で掲示板を作ろう   情報の外部送信について
このページを通報する 管理人へ連絡
SYSTEM BY せっかく掲示板