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[88] 追っ手君と大佐、海辺の村での初邂逅
七梨子 - 2007年10月05日 (金) 15時31分

・崩壊後、記憶と視力を失くした大佐は漁師の兄ちゃんに拾われています
・まだ体力は回復しきっていません
・追っ手君は大佐に酷いことをします

[89] 初秋の午後のひと時
七梨子 - 2007年10月05日 (金) 15時33分

秋を迎えた海辺の村は、目を閉じていても感じられる暖かい日差しと、かすかな潮の香りを含む涼しい風が共存していた。日中の光を直接見てはならないときつく言われていたムスカは、時折葉をそよがせる裏庭の木の陰で涼みながら、この家で過ごすようになってからの日々を考えるとも無く回想していた。

時折、嘗て己を駆り立てていた何物かの存在が思い出されそうになることがある。とても大切なものの筈なのに、そのことについて考えていると、思い出すことを恐れるような気持も同時に沸き起こった。過去を無くした得体の知れない厄介者を、この家の主である人の良い男は当然の事のように受けれてくれた。何くれとなく世話を焼かれ、扱いが過保護だと感じることもしばしばであった。海岸で発見された後、昏睡状態で長期間過ごしていたという説明の通りに、体力は衰え一時は歩くのにも苦労するほどであった。その後、部屋の中にばかりいては治るものも治らないと言う男に手を引かれて近隣を散歩するようになり、拵えてもらった杖を持って出歩くうちに、僅かずつではあるが確実に体力は回復していった。

今では漁から戻る頃合を見計らって、港まで男を迎えに行くのが日課のようになっていた。散歩の折に案内された道を辿り初めて一人で歩いて行ったとき、男は先ず驚き、次に見えていないのに大丈夫なのかと心配した。歩数を数えていたからと言葉少なく答えると信じられないというようにさらに驚き感心して、持ち上げそうな勢いで抱きついてきた。そんな些細なことにまで大げさな反応を示す男に半ば呆れながらも、どこか嬉しいような、くすぐったいような思いが感じられていた。男の家で世話になるようになった当初、やたらと多い身体接触に不快な思いすら抱いていたものが、次第に気にならなくなり、今では認めるのは少々気に入らないながら心地よくすら思われていた。

光の角度が変化したのを感じ、そろそろ出掛けようと傍らに置いた杖を拾い上げて立ち上がったとき、家の中から物音が聞こえた。

「帰っていたのか。今日は随分と早かったんだな。」

返事は無く、常ならば此方から何かを言う前に話しかけ、手を取らんばかりの男が何故、と違和感を抱いた。

「どうかしたのか。」

さらに言葉を続けた時、漠然としたその違和感は明確な警戒心に変った。微かに漂う空気には太陽と潮の匂いとは似つかない硝煙と埃っぽい土の匂いが含まれており、近づいて来る足音は、これまでに紹介されたことのある村の誰とも違っていた。

[90] 侵入者
七梨子 - 2007年10月05日 (金) 15時40分

「―――誰だ。」

暫くの間沈黙が続き、相手の意図を読めない不安感がいっそう高まった。正体の知れない侵入者はゆっくりと独り言のように呟いた。

「こんなところに潜伏していたとはね、すっかり騙されたってわけだ。」

声の主は若い男のようであった。距離を詰められ、後退ったところで腕を掴まれた。

「相手の男は何処まで知っている。情報が全く此方へ入ってこないところを見ると余程上手く口止めしているんだろうけどね。」

表情を見ることは出来ないが、嘲りと怒りの混じった感情が伝わってくる。

「取り入ったのは、やっぱりあんたのお得意の方法でかな。――すっかり手懐けた様子だったじゃあないか。」

そう言いながら壁に叩きつけ、体勢を整えようとしたところで首を締め上げた。

「一体、何のことだ。」

 「……もしかして、記憶喪失ってやつ?……随分都合の良い話だね。」

男は忌々しげに吐き捨てると襟元を掴んだままムスカを床へ押し倒して押さえつけた。

「あれだけやりたい放題にやっておいて、自分だけ何も覚えていない、だって?
――冗談じゃない!
あんたには責任ってもんがあるんだよ。」

体重をかけて押さえつけられた身体は思うように動かず、首を締め上げる手を引き離そうする動きは次第に緩慢になって行った。

「ねぇ、本当に何も覚えていないの?」

耳元で囁かれたときは既に、その声が寂しげな響きを含むものである冷静に判断できる状態ではなくなっていた。
――殺される――気を失う直前には死が意識されていた。

覚醒し、おぼろげな意識のまま身じろごうとした時に、拘束されている腕に気がついた。肌に直接床の感触が伝わり、異常な事態であることは明白であった。部屋の中はカーテン越しの柔らかい日差しに照らされていた。回復しきらない視力では仄かな明るさ程度しか認識できないが、大方の時刻は把握できた。

本来ならば、木立の続く細い道を足元に注意を払いながら歩いている頃だ。『もう少し経ったら秋のベリー類が食べ頃になるから一緒に摘みに来よう。』そう話しかけられたことも同時に思い出されていた。

「使えそうな物見付けたよ。」

台所の辺りで何かを探していたらしい男は愉快そうに話しかけながら近づいてきた。

「何を……するつもりだ。」

今更何を言っているのだと、嘲笑するように言い放った男は、足元に陣取ると暫くの間黙って視線を注いでいる様子であった。そのような場所を注視される羞恥心に加え、無防備な姿をさらしていることへの恐怖感が高まっていった。

「ふざけるのもいい加減にしろ。」

この期に及んでも尚、取り乱した姿を見せたくはなかった。

「じゃ、そろそろ始めるかな。」

乱暴に脚を掴まれ、ぬるりとした感触が後孔に触れ、相手の意図はもう疑いようがなくなった。

「―止めろ…っ!」

身をよじるようにして抵抗したところ、強かに脚を蹴りつけられ、折れたかと思われるほどの痛みが走った。怯んだところを体重をかけて押さえつけながら、苦痛に身を竦ませたムスカに男は冷たく言い放った。

「暴れると危ないよ。」

無遠慮に差し入れられた指が内壁を探る。無理な姿勢を取らされ、押し広げられた痛みとともに身体を弄ばれることに対する屈辱感がこみ上げてきた。施される行為への嫌悪感に吐き気すら覚え始めた頃、挿入する指の数が増やされ思わず息を呑んだ。

「本当に、今の相手とは何もないの?」

「彼は……貴様などとは違う……。」

「ずっとやってないんなら、ちょっと辛いかも知れないね。」

所詮は他人事だという口調で言うと、片足をさらに持ち上げ圧し掛かるようにして、あてがった自身を慎重に挿入し始めた。慣らしきらない場所へ引き攣れる痛みを伴ってじりじりと押入って来る感覚に、呼吸が浅くなって行く。不自由な体勢のまま、それでも無意識のうちに少しでも楽に受け入れようとしていることに、男は理不尽な怒りを感じていた。

「記憶は無くても、そういうことは覚えているんだね。」

視界の近くへ迫る人影は、嘲笑を浮かべているに違いなかった。その顔を、痛みと屈辱感に涙を浮かべた、視力の戻らない金色の瞳が睨み付けた。

「見えてないんだから、好きな相手を想像してくれていいよ。――今の同居人とかさ。
あんたのその目で睨まれるとぞくぞくする。だけど、どうせならちゃんと僕の方を見て欲しいね。」

 視線を合わせるため、強引に髪を掴んで角度を変えさせる。その衝撃で閉じられた目じりから零れた涙を舐め取ると、苦痛に引き結ばれた唇に軽く舌を這わせた。

「今、噛み付いてやろうって思った?」

愉快そうに耳元で囁くと、既に挿入した自身の注挿を繰り返し始めた。

「素直にしていれば、少しくらい気持ちよくさせてあげてもいいよ。」

そんなことを誰が望むものかと毒づきたい思いを飲み込みながら、必死で抵抗するよりは手早く満足させてしまう方が得策なのだという諦めとも自身への弁明とも知れない考えが浮かんでいた。

ずるりと引き抜かれたその部分から散々に注ぎ込まれた体液が流れ出るのを感じる頃には、既に抵抗する体力は尽きていた。自尊心を徹底的に踏みにじられたムスカの精神も限界を迎えようとしていたが、力なく投げ出した身体を這い回る感触への嫌悪感に反発心が呼び起こされた。

「……気が済んだのならさっさと出て行け。」

「つれないな、名残を惜しむくらい良いじゃないか。」

このような状況下にあっても必死で虚勢を張るムスカに対し、男は軽口をたたきながら腕の拘束を解きつつ話しかけた。

 「そういえば、そろそろ帰ってくる頃だったっけ。
一人で後始末できるの?手伝ってあげようか。」

脱ぎ散らされた衣服を着せかけた男の腕は即座に払い除けられた。

「もう一度言う、今すぐ出て行け。」

「わかったよ。――でも、これっきりなんて寂しいからね。また来るよ。」

最後にそう言い残して立ち去った足音が完全に聞こえなくなるまで、ムスカは床から立ち上がれないでいた。

軋む身体を引き摺るようにして部屋の端へ辿り着き、手探りで水を汲む。必死の思いで痕跡を洗い流しながら、身体的な苦痛に加え、正体の知れない相手から陵辱を受けた屈辱感と恐怖、そして決してこれが初めての体験ではないことも強く感じられていた。嘗て抱いていたであろう焦燥感の原因を思い出しそうになったときと同じように、記憶の底が刺激されていた。

[91] 傷痕
七梨子 - 2007年10月05日 (金) 15時44分

陵辱者が立ち去った後、ムスカは自分に与えられた部屋の中に閉じこもり、普段は気にも掛けていなかった風に揺れる庭の木の枝音にすら神経を尖らせていた。程なく、帰宅を告げる声が聞こえ、聞き慣れた足音が続く。一人で何度もイメージした通りに居間へ続く扉を開け、入り口近くに見える人影に何事も無かったかのように声を掛けることすら恐怖心を必死で押し殺す努力を要した。

「お帰り。」

なるべくいつもの通りに、自然に振舞おうとしたのだが、それはあまり功を奏さなかったようだ。

「どうしたの、凄く顔色が悪いよ。具合が悪かったのかい。」

心配げに近づく気配、そっと額に触れる手にまで怯えるまいと気を張り詰める。

「暫く休んでいれば大丈夫だ。心配は要らない。」

「珍しいな。」

「――え?」

「ボタン、掛け違えてる。」

シャツに手を掛けられた時、とうとう耐え切れず、腕を振り払ってしまた。襟元を握り締め、身を固くするムスカに、男は一瞬たじろいだ。

「あ、ごめん。驚かせちゃったかな。」

「すまない、君が悪いわけではないんだ。ただ――。
今日はもう休ませてもらいたい。」

納得したわけでは無さそうだが、男は深く追求はしなかった。

ベッドの中で、ムスカは自己嫌悪に陥っていた。先ほどの不自然な態度は余計な疑念を招いたに違いない。自分がこの家の中で役に立てていないことくらいは自覚している。その上過去に穏やかでない事情まで抱えているらしいことを知ったなら、いくらあの人の良い男であっても流石に態度を変えるだろう。もう今朝までの穏やかな日々に戻ることは出来なくなる。そう思うと、言い知れない想いが押し寄せて酷く心が痛んだ。



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