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[57] 親戚兄さんと大佐
名無し - 2007年06月25日 (月) 22時27分

ある昼下がり、兄さんにいきなり呼び出された。伝言を伝えにきた兵士によると兄さんは何やら思い詰めた様子で伝言を頼んでいたらしい。不安な気持ちが心を支配した。
部屋に入ると兄さんは俯きながら目だけを此方に向けながら言った。
「急に呼び出して悪かった。話があるんだ。」
「なんですか兄さん、改まって。」
ぴりぴりとした空気が肌に刺さるようで、一刻も早く出ていきたかった。

「これから僕の事を『兄さん』なんて呼ばないで欲しい。」「―――!!」
唐突な言葉に、瞬きも忘れた。
どうして、なぜ。私がなにかしただろうか。理由を訊かなければならないのに舌が貼り付いて喋ることが出来ない。


「僕の事はこれからは『お兄ちゃん』と呼ぶんだ。いいね?」
「兄さ、」
「『お兄ちゃん』。」
「ちょっと待って下さい兄さ、」
「『お兄ちゃん』。」
「待って下さいお兄ちゃん。」
「どうしたんだい、ムスカ。」

そんなことの為に呼び出したのか。その前にお兄ちゃんって。
「人がゴミのように見えることってあるんですね。」
「酷いじゃないか。僕は君の魅力を最大限に活かしてあげようと、」
「しばらく私に話しかけないで下さい。『兄さん』。」

さあ、帰って溜まった仕事を片付けよう。


END



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