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[56] 兵士達の会話 (将軍と大佐の続きっぽい?)
七梨子 - 2007年06月25日 (月) 12時03分

 これまでのあらすじ

ラピュタ探索計画に特務機関からの人員が加わったため、現場は大層やりにくくなっておりました。そんな状況に辟易していた兵士達が憩いでいるひと時のことです。

兵士A(以下A)「何かやりにくいよなぁ。」

兵士B(以下B)「確かに。命令系統は統一しておいて欲しいもんだよ。」

A「昨日もさぁ、モウロ将軍に『お前はどっちの部下なんだ』ってこっぴどく怒鳴られて…酷い目に遭ったよ。」

B「将軍、特務の連中が嫌いだからな。」

A「昔、色々あったらしいね。手柄横取りだとか何とか。」

B「ムスカ大佐もとんだとばっちりだろうな。まだ若いのに苦労してそうだ。
   ……なぁ、それはそれとしてさ…。」

A「ん?…ああ、あれか。」

B「やっぱ気になるよな。」

A「そりゃあ、ね。」

B「いくら目下とはいえ、普通、職場でファースト・ネームの呼び捨てってないよなぁ。」

A「―まぁ、違和感はあるかな。」

B「プライベートならともかくも。」

A「……。」

B「お前、今変なこと想像しただろ。」

A「いや、でも、全く根拠がないって訳でもない…かな。」

B「何ィっ!…お前、何を知っている…!俺にも分けろ…!」

A「―ちょっと、おい、手ぇ放せ!…落ち着けって、言うから!」

B「ああ、すまん。で、何だよ。」

A「実は…昨日、八つ当たりされてあんまり腹が立ったもんだから、将軍の部屋に女王蜂仕込んでやろうと思ってさぁ―」

B「蜂はまずいだろ、下手したら死ぬぞ。」

A「いや〜蜜蜂だからいいかな、って。まあとにかくコッソリ窓から忍ばせようとしたら、その…取り込み中だったらしくってさ…。」


春の日差しもうららかに、さわやかな風が吹き抜けてゆきます。


B「何、それ、あの二人そういう関係なわけ!?」

A「一部始終をじっくり観察したわけじゃないけどさ。なんていうか、ああ、本当にこういうのあるんだなぁって…。」

B「何かショックだなぁ…。大佐って…そうなんだ…将軍とね…。」

A「何か、あんまり和やかな雰囲気って訳では無かったかと。」

B「ってことは無理やりぃ!?…任務遂行の為に身体を差し出す若手エリートか…イイカモシレナイ。」

A「おい、何だよ。」

B「普段とのギャップが堪んないだろうなぁ…。」

A「…おい。」

B「やっぱ俺、選抜試験受けることにするわ。結局さ、どの世界でも、やるからには上り詰めなくちゃってことだよな。さっそく申し込み行ってくるよ!」

A「不純だ、実に動機が不純だ。」

恐らく、当のご本人達は一人の若者の進路選択に多大な影響を与えたことなど知る由もないでしょう。人の運命と言うものはどこでどう関わり合っているのか分からないものですね。
その後、部隊内での摩擦は格段に減り、寧ろ協力的な雰囲気が見られるようにさえなりました。これが将軍の訓示によるものなのか、はたまた兵士達の間に流れた艶っぽい噂の所為なのかは定かではありません。でも、どっちでも構いませんよね。組織というのはそういうものです。一念発起して試験に臨んだ若者がどうなったのか、それはまた別のお話。



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