この日は新しく楽譜が配られました。 モーツァルトのミサ「Missa in C(Missa solemnis)KV337」です。 1780年3月に作曲された、モーツァルト24歳のときの作品ですね。 さっそく音取りを開始。 キリエから始まり、サクサクとグローリアの半分を取り終えました。
■キリエ■ 初めは歌詞をつけずに「ラ〜」で歌いました。 このとき、「ラ」と発音するのは、子音のあるところだけにしましょう。 楽譜上で音が動いていても、母音でのばすところは母音のまま、つまり「ア」でのばします。 いちいち「ラララ」とやらず、「ラーー」と歌ってください。 そうしないと単語の切れ目が見えてこないよ、とのお話でしたが、 まあキリエだし、それなら歌詞をつけたほうが歌いやすいよねということになって、 結局音取り半ばで歌詞をつけてしまいました(笑) 歌詞をつけたらつけたで、「Kyrie」の語尾の「e」と「eleison」の語頭の「e」が くっつかないように歌うのはけっこうしんどいですね。 言いなおせばいいだけなのですが、特に16分音符で動くところは難しいので、 うまくやりたいものです。
■グローリア■ いきなり「皆でとりあえず歌ってみて〜」と言われ、「よっしゃ!」と応じてみたものの、 どんどこ押し寄せる転調についていけず、臨時記号に惑わされてぐちゃぐちゃに。 ところがそれを4回繰り返したころ「正しい音がチラホラ聞こえてくるようになったね」と(笑) 転調は本当に頻繁です。P8から始まるグローリアですが、 隣のP9にいく直前にすでに♯が1つつき(G、ト長調)、 P10にいくと真ん中あたりから♭1つの調(F、ヘ長調)になり、 P11の上の段の最後から♭2つ(B、変ロ長調)、 P11の最後のところからは♭3つ(Es、変ホ長調)……こらこらこらっ!って感じです。 でも、ピアノがぬかりなく転調のきっかけの音をくれているので、 冷静に向き合えば順応できると思います。ただ、譜面づらが臨時記号だらけなので、 ついついひるんじゃいますよね〜……。
さて、先生のお話に出てきた、このミサの豆知識。 このミサは、田中先生によれば「記念碑的なミサ」とのこと。 このミサはモーツァルトがザルツブルグで書いた最後の作品で、 ザルツを後にして向かったウィーンではなかなかミサが書けず、 唯一「大ミサ(KV427、KV417a)」を起こしたのみ。 ところがこれがなんと未完成で、大ミサのアニュス・デイはスケッチしか残っていません。 というわけで、今回のミサKV337のアニュス・デイは、 彼の最後のアニュス・デイということになるのだそうです。感慨深いなぁ。
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