神を祭ることが、まず先 (38) |
- 日時:2015年01月19日 (月) 17時40分
名前:伝統~夕刻版
*Web:「JOG( H27.01.11)」より抜粋
《神を祭ることが、まず先》
天皇の御本務が神々への祈りにある、とは1千数百年前から語り継がれ、 歴代天皇が継承されてきたことだ。
たとえば西暦645年の『大化の改新』の頃、天皇に対して、こんな進言をしている人が いたと『日本書紀』は記している。
天皇は、まず神祇(あまつかみ・くにつかみ)を祭り、そのあと 政治(まつりごと)を行うべきです。
『大化の改新』は聖徳太子の描いた理想国家を具現化しようとしたもの、 と弊誌は捉えたが、政治(まつりごと)の根底には、民の幸せを神々に祈る (まつりごと)ことがなければならない、と我が古代の先人たちは考えていた。
鎌倉時代の第84代順徳天皇も、宮中の行事・制度などを解説した『禁秘抄』に、 こう書かれている。
すべての皇居で行うことのうち、神を祭ることが、まず先であり、 他のことは、すべてそのあとに行うものです。 天皇たる者、朝から晩まで、神を敬うことを怠けてはなりません。
こうしたお諭しを、8百年後の今上陛下もそのまま実行されているのである。
《「世の平らぎ」と「民安かれ」》
歴代天皇が神々に何を祈られたのか、近現代の天皇の御製を見てみよう。
今上陛下(第125代)
波立たぬ世を願ひつつ新しき年の初めを迎へ祝はむ
昭和天皇(第124代)
わが庭の宮居に祭る神々に世の平らぎをいのる朝々
大正天皇(皇太子時代のお歌、第123代)
もろもろの民安かれの御いのりも年のはじめぞことにかしこき
明治天皇(第122代)
とこしへに民安かれと祈るなるわがよをまもれ伊勢のおほかみ
孝明天皇(第121代)
あさゆふに民やすかれと思ふ身のこころにかかる異国(とつくに)の船
まるで同一人物の歌かと思ってしまうほど、5代の歴代天皇が祈られているのは、 すべて「世の平らぎ」と「民安かれ」なのである。
この祈りが皇室の伝統を貫いている。
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