午後一番の山崎先生は、指導対局。
『当たれ、当たれ。』
と祈るも、空しく外れました。
なれば、大盤解説会と次の一手にかけるしかありません。
3回の予定の次の一手。
景品は、両対局者の色紙、加藤女流王座の一期目の記念扇子、棋書数冊。
棋書の中には、羽生の頭脳全10巻がありました。
「この羽生の頭脳は、はっきり言って”在庫処理”やね。」
井上九段が笑わせます。
最初の次の一手は、▲86角に対する後手の手になりました。
「これは、△52金と上がります。9割方、間違いないでしょう。」
自信たっぷりの井上九段です。
▲65銀が問題で、後手が指し易いという解説でした。
「△31角と打つ手もありそうですが、働かないかもしれませんからね。」
ということで、第1回は、△52金で鉄板ということになりました。
もちろん、僕も「52金」のりです。
さあ、休憩が終わり、ゲストの谷川会長が登場です。
谷川会長への拍手は、いつもすごいです。
さすがにスーパースターは違います。
山崎先生も、こうなってほしいと思います。
その谷川会長を、弟弟子の井上九段がいじります。
谷川会長、前日の順位戦で、痛い星を落としていました。
「(久保九段に)花を持たせたんでしょう?」
「そんな余裕はありません。」
「まあ、年明けの3局が本番だと思うとんでしょう。」
「もう、トーナメントと一緒です。」
「3連勝して(残留決定)。ねっ。」
関西らしいノリに谷川会長ものって、会場に笑いをもたらします。
さて、次の一手ですが、谷川会長の解説ですと、雲行きが怪しいです。
「△31角と打たないと、ダメなんじゃないですか。」
「いや、私も31角がいいと思うとんですわ。」
おっと、井上九段、いきなりの裏切りです。
「集計は、どうなってますか?」
メモを受け取った井上九段。
「えっと、52金が30人、31角が5人。あかんわ。」
9筋を絡めた攻めが、意外とうるさくて、形勢も互角とのことでした。
中には、後手の里見二冠が悪くなる変化も出て来ます。
そして、40分を超える長考の末に、△31角は指されました。
「まあ、この5人は、全員当選ということで、良かったですね。」
そういう気分にさせてしまうところが、井上九段の持ち味です。
景品も残ったので、早速、第2問を探します。
37手目の里見二冠の考慮中、二回目の次の一手になりました。
「ここは、△64歩から銀を取り合って、最後は飛車と角の取り合いになります。
この変化は、後手が良いと思います。」
というのが、お二人の結論。
「変かもしれませんが、」
と、谷川会長が、△33桂を示します。
「何もさせませんよという手で、▲37桂には△36銀。
これなら、銀の取り合いにもなりませんし、先手の飛車も捌けません。」
ということで、その他を含めての三択です。
僕は、「△64歩」のりです。