タイトル:孤独な機械は古い夢を見るか? |
ノンフィクション |
『あの青年は身元不明の機械である。』 …の、続きと言うか、回想というか。 皆さん覚えてらっしゃるかは知らないけれど、私がこの子を好きなもので。 第8形態ぐらいまでできちゃったので、ちまちま書いていこうかなぁ、とね。
…まぁこれは与太話。 とある青年の長い長い生きざまの話…? いえ、青年はもう死んでいる? 誰も知らない『彼』のお話。 どうぞ皆さん楽しんで…♪
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赤い宝石、または第三者 2017年09月25日 (月) 21時14分(149) |
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題名:オルゴールとお人形とお父さん、それが家族でしょう? |
『お父さーん!見てみてー!』 ぱたぱたと軽い足音は仕事部屋に近づいてきている。 古い木でできた椅子をぎぃときしませ、翁はいったん手を止めた。 「…どうしたんだい、ソルクー」 名を呼ばれ、少年はぱぁと顔を輝かせた。 『あのね、これ!お父さんにあげる!』 翁の膝に置かれたのは小さな木箱。 真新しい木の板で作られており、表面には絵の具やペンでぐちゃぐちゃと幼い絵が描かれている。 「ほう、ソルクーが作ったのかい?」 『そうだよ!…ね、お父さん、開けてみてよ!』 ふしの目立つ老人の指が箱を開く。 「…そうか、オルゴールか…すごいじゃあないか!」 父親は白鬚に包まれた口元を上げ、珍しく大きな声でそう言う。 赤い髪をくしゃりと撫でられて、父親にいた少年の飴色の瞳が細くなる。 作者を思わせる明るい音色は箱から溢れ出し、仕事部屋全体に、作りかけの人形を包むように流れていく。 『…ね、お父さん。これ、〈おかあさん〉に入れてちょうだい。僕が作ったやつで、一等上手くできたやつだから。』 赤い生糸の髪を持つ作りかけの人形。それを愛おしそうに見て少年は言う。 「…ああ、そうだな…できたら、そうするよ」 父親は微かにそう答え、音楽を止めた。 「もう寝なさい。子供は早く寝るものだ。」 父親は仕事机の方を向いた。 『…うん、お父さん。』 扉の前で振り向いて、おやすみなさい、と言った。
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赤毛に飴色の眼を持った少年…『2の彼』 2017年09月25日 (月) 21時36分(150) |