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[392] 夢幻と現実の狭間 〜1章 第6話〜
闇の大天使 - 2006年10月20日 (金) 00時16分


新入りである璃音もすぐに皆と溶け込み、彼女自身も楽しげに
このひと時を過ごしていた。
雰囲気はお開きに近づきあったその時、ふと桃が時計を見た


「あ…ねぇ、皆。今の時間なら、まだ売店開いてるはずだから、
お茶買ってきてくれないかな?」

「別にいいぞ。俺が行ってくる」

「じゃ、僕も行くわ。話し過ぎて喉渇いたぁ」


お願いね、と桃が見送りの言葉を掛けた後、駿が病室の扉を開ける。
…だが、その瞬間、建物全体を震え、大きな揺れが起きた。
そして、その後、下の階層から、この位置でもハッキリと聞き取れる、
大きな爆発音が響いた

「な、何今の…?」

「ただの地震じゃないみたいですね…」

訳の分からない事態に、女性陣は表情を険しくする。
すると、女性の甲高い悲鳴が間もなく室内まで響き渡った


「何だか様子がおかしいぞ」

「凛たちはここで待ってろ!俺と豹介と夜一で下を見てくる!」


言うまでも無い、という様子の表情で、駿達は一斉に駆け出す。
駿が想像していたこの爆音の正体は、恐らく愉快犯が仕掛けた
爆発物。病院などは、そう言う気の違えた
人間が犯罪を起こすにはうってつけの場所だ

階段を駆け下り、受付まで一気に走ると、そこには想像とは
遥かにかけ離れた、凄惨な光景が広がっていた

受付のナースステーションはメチャクチャに破壊され、
黒いシートの椅子も、金属ごとへし折られている。
床も何かの衝撃で抉られ、機材には大きな火が燃え上がっていた


「何だ…!?一体何が起きて…」

豹介が破壊された受付に駆け寄り、いち早くその被害を確認する。そして、
倒れた棚の下敷きになった、受付の看護婦の手が目に入った


「駿、夜一!人が下敷きになってる!来てくれ!」

「あぁ!」

三人の男子高校生が力を合わせれば、この程度の作業は苦では
無かった。棚をどけると、先程駿達に応対した看護婦が
うつ伏せに倒れていた

「しっかりしてくれ!」

いつもは穏やかで、比較的物静かな夜一も、必死の形相である。
意識の無い看護婦の体を揺さぶるが、それを豹介が止め、
手首の脈に触れる


「駄目だ…もう…死んでる…」

「何……くそっ!誰が…何がこんな事をしたんだ!!」

人の死に初めて直面し、焦燥感を抑えられない駿。
額に手を当て、脱力してしまい壁に寄り掛かる夜一。
同じく、苦しげな表情で顔を伏せる豹介


「とにかく……火の手が上がってる以上、救急車と消防車を呼ぼう。電話は壊れても、携帯はあるから…」

「…そうやな…命を救う看護婦さんたちがこうなってる以上、
僕らが何とかせぇへんと」

同時に立ち上がる夜一と豹介に合わせ、遅れて駿も立ち上がる。
だが、その時…以前感じた揺れと同じ振動が、再び床を伝って
三人の体に流れ込む

「な、何だ…?この振動、近づいてきてる…?」

断続的にだが、振動は繰り返し起き、どんどん
大きくなっていく。そして、その揺れは、ついに駿達の
すぐ側までやって来た


再び揺れが起こった瞬間、三人は絶句した。今、自分たちが
直面している事態より有り得ない、信じがたい光景が広がっているのだから
人間でもない、動物とも思えない"何か"が、視界に現れた


「…こ、コイツは…!?」

「嘘やろ…」

「く………っ」

灰色の剛毛、屈強で力強さの溢れる、巨躯を誇る肢体。
その両側面には、木の幹のように太い腕と、先端に鋭利な
黒光りする鉤爪。そして頭は…まるで表情があるようだった。
鹿のように曲がった角は、何物も貫いてしまいそうだ

その口元と鉤爪から鮮血を滴らせ、"それ"は駿たちの方向へ
視線を向けた。その冷めた視線に、全神経が凍りつく
錯覚を覚える


「おい……まさか、コイツ患者や医者たちを…」

その駿の見解は、豹介に向けられていた。この中で、一番
平静を保っているのは彼だろう

「…動きが緩慢だから、普通の人間なら逃げ延びられるだろう。
だが、ここにいるのは、どこかしらに障害がある人たち…
医者言えども人間だ。自分達の命を優先にして、どこかへ
隠れているんだろう…」

「こんな奴が相手やったら、患者を見捨てて逃げても誰も責められへんよ」


すると"それ”は、喜んでいるのか、口端を吊り上げた。その表情は、
三人に一層大きい焦燥を与える

「どうするんや…今にも襲って来るで…」

「…撃退する」

「「はい!?」」


そのとんでもない発言をしたのは、他でもない駿だった。
額や頬に冷や汗を流しているが、大分落ち着きを取り戻しているように見える

「三人で協力して…奴の弱点を見つける。そこを集中的に攻撃しよう」

勝ち誇ったように、彼は鼻で笑って見せている。そこには、
ただの慢心ではない、本物の自信が見えた

「はぁ…でも、それが一番かもしれへんな。正直僕も、
あの変な面構えに苛ついてたんや」

「…全く…でも、それならそれでいい。助けは父さんが呼んでるとして、
僕たちは僕たちのやるべき事をしよう」


三人とも、喧嘩に馴れている訳ではないが、それなりに
根拠の無い自信があった。そんな不確定要素でも、
今は自信へと繋がっていた

一斉に、鋭い視線を怪物へ向ける。三人は、この見た事もない
怪物の撃破に、己の全てを懸けようとしていた



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