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[293] 終わらない戦い 17章
聖徳大使 - 2006年01月15日 (日) 21時31分

作者「また更新速度が速まってきましたが・・・」
大天使「・・・ちゃんと書いてね・・・」
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「あ、船が見えたぞ」

セシルが指を指した。一行は、船旅の為に港を探していたが、
すぐに見つけることができた。

「昨日の疲れが残ってるのかな・・・ 腕が痛いな・・」

「へ?昨日何かしたのか?」

セシルがフェイズに聞いた。

「いや、何でもない」

刺客に襲われた事、ネイルと練習をしていた事は言わない
事にした。一行は船の近くにあった小屋に入った。

「すまない、船を出してもらいたいんだが・・・」

シスルが言うと、2人の老人が振り向いた。

「帝国への旅人さんかい。良いよ、ちょうど今魚を向こうの
 市場に売りに行くところなんだ」

「では、俺達も乗せてもらおう」

シスルが言うと、皆が外に出て行った。だが、セシルは一人だけ
固まっている。

「どうした?」

「悪い・・・ 俺、海はダメなんだ。小さい頃の事がトラウマ
 でさ・・・」

と、小さな声で言った。

「どうするんだよ。お前一人で残るのか」

すると、別の方向から声が聞こえた。

「別にここに居ても構わないよ。わたしゃ、主人が居ないときは
 一人で寂しくてねぇ・・・」

と、老夫婦のお婆さんが言った。

「良かったな。俺たちは契約を済ませたらすぐ戻るから」

「・・・ありがとう。それに、お婆さんも」

セシルは軽く礼をすると、皆についていった。
既に、出航の準備は済んでいるようだった。

「お爺さん、頼むぜ」

「おう。ワシは最大1週間しか港に残れない。これもお上の
 方が決めた決まりでねぇ・・ それ以内に用を済ませて来い」

「了解。じゃ、出航だ」

セシルとお婆さんが見送る中、船は港を離れていった。
出航してから1時間ほど経っただろうか。船内で寛ぐ者、
外で景色を眺める者と皆ばらばらで行動していた。
フェイズは後者で、船の先端に座っていた。

「フェイズ。ちょっといいか」

「ん?何だ」

フェイズの横に座ると、手に持っていたカップでコーヒーを
飲み始めた。

「ふぅ。・・・なぁ、お前は何で親元を離れて盗みなんて
 始めたんだ?」

いきなりドキッとするような問いを投げかけてくるので、
焦るフェイズ。

「俺の命を救ってくれた・・・ あの人達に迷惑はもうかけられ
 ない。そうしたら、することは1つしかなかった」

「盗賊か。王の城に忍び込むだけ大したもんだ。・・・それは
 置いといて、お前は何で本当の親が居ないんだ?」

「・・・・殺された。俺の目の前で」

この話題を出した瞬間、フェイズの顔色が変わった。

「何で殺されたかなんて知らない。でも、奴らの着ている服と、
 顔くらいは覚えてる。あれはただの賊じゃない。訓練を
 受けた兵士だ」

「・・・・・」

「以前敵の組織に捕まったとき、見た物と同じだった。姫を無事
 救い出したら、俺はあいつらに・・・・」

フェイズはハッとして、シオンの顔を見た。

「そうか。でも、無理はするな」

「俺は、あの時の悔しさを忘れない。とりあえず、この旅を
 無事に成功させるため、最善の努力はするさ」

フェイズが立ち上がって船内に戻ろうとすると、シオンが
呼び止めた。

「何だ?」

「皆に3番目の契約場所は少し長旅になるといっておいてくれ。
 セシルが居ないんじゃ、どうにもならない」

「分かった」

返事をすると、フェイズは静かに船内に戻っていった。

「今の敵は親の敵、か。どうする気なんだ、あいつは・・・」

シオンはコーヒーカップを置くと、日差しの下で寝そべった。

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                          続く



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