[185] 最後の戦い 「続・12章」 |
- 大志 - 2005年10月30日 (日) 23時26分
ミリュンは、妹に支えられながらも、洞窟を出た。 洞窟の外は、自分が斬られた場所よりも、薄暗い所だった。 そこから・・・延々と歩き続け、敵が出なかったのが幸運と 思い始めた時、何かの音が聞こえた。
「何だ・・・。誰かが戦っているのか・・・」
剣と剣がぶつかり合う、金属音が聞こえてきた。その音の方向に 進むと、どんどん明るくなってくる。
「!あれ見て!」 ミリュアが叫ぶ。そこには、激しく戦う大天使とカズの姿が あった。
「おい・・・。闇天さん、大丈夫なのか・・・」
その心配をよそに、大天使はひたすら攻撃していた。
「ふん!腕をあげたな!だが、これならどうだ!」 カズは後退すると、剣で印を作り出した。
「ヘルプラント!」 剣を振りかざすと、地面が大きく揺れた。すると、巨大な 木の根が地面から次々と飛び出た。
「うぉっ!ぅわっ!」
「隙あり!■ぇ!」 カズがいつもと全然違う口調で、喋り、攻撃し、狂った様に 剣を振り回す。それは、カズではなかった。
ミリュンには、その出来事がスロー再生で見ているような気分に なった。・・・カズが、ゆっくりと剣を振り上げる。大天使が ゆっくりと飛びはね、根を回避する。剣が振り下ろした瞬間、 大天使がカズの体に剣を突き刺した。
「!」 ミリュンの瞳は、スロー再生が終了していた。ただ、 剣を刺され、動かないでいるカズと、目を瞑りながら剣を 突き刺す大天使が映し出されている。
「私は・・・。やられ・・た・・・のか・・・」
剣を抜かれると、カズは膝をついて倒れた。
「・・・。」 大天使はカズの仮面を取り出した。
「これはもう必要無いな。あの世じゃ笑って暮らせや」
スパン、と音を立て仮面が半分に割れる。笑って暮らせ、 と言った大天使当人は、笑っていなかった。
「闇天さん・・・」 よろよろしながらミリュンが出てくる。
「ミリュン!■んだんじゃなかったのか」
「えぇ、ミリュアに助けられました。あいつ、どうやら 捕まる時逃げてきたそうです。それより・・・」
ミリュンはカズの■体を見た。
「あの人が、そんな事を考えているなんて思いもしなかった。 ■神に遺志を利用されて生き返ってきたんだ、もと居る 場所に戻してやるのは当然さ・・・」
大天使に、妙に哀愁が漂っている。
「一人にしてくれ・・・。妹さんと一緒に早く行ってくれ。」
「・・・分かりました。闇天さんも気を付けて下さい。」
ミリュンは、遠ざかっていく大天使の背中が、とても悲しく 寂しいものに感じた。 ===========================================================
その頃・・・。城の最上階では・・・。
「何!刺客の1人が敗れたのか!」 男の声が部屋に響いた。
「大天使とやり合って、やられたそうです。」
メカの部下が報告する。
「フン。そうで無いと面白くない。残る刺客は5人。 何人城に入れるか楽しみだ」
すると、メカが持っている無線に連絡が入った。
「既に・・・。『四翼』ミリュアが刺客を倒していました」
「な・・・!私が仮眠を取っていた僅かな時間でもう2人も やられているのか・・・」
「今、最新の様子を映し出した画像を送ります」
6分割された画面が、光って起動し始めた。 大天使とミリュア兄弟は森を抜け、ハウトは消息不明、 ブラックナイトとレグルスは刺客と戦闘中だった。
「仮に今戦ってる刺客が倒されると、後2人。城に入られるのは 見えてるな。よし、見せしめに誰か1人処刑しろ」
だが、メカは賛成ではないようだ。
「はぁ・・・ ですが、それでは逆に敵の怒りを買い、 勢いが強まってしまいま・・・」
男は机を叩いた。
「五月蝿い!お前は私に従っていろ!」
メカは渋々部屋を出て、兵に命令した。 男は、椅子に座って映像を監視しながらコーヒーを飲んでいた。
(こういう事は部下に任せればいいのかもしれないが・・・。 フッ。私もいつから苦労事が好きになったのだろう。 今回の事だって、私自ら動いて作戦に参加して・・・。 自分で自分が分からん)
そんな事を考えながら、モニターを見ていた。ここまで 引っ張ってくれば読者の方もお分かりになってるかもしれない この男の正体。だが、あえて言わないことにしよう。 -----------------------------------------------------------
続く
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