| [180] 最後の戦い 「１１章 それぞれの理由ｐａｒｔ２」 |
- 大志 - 2005年10月27日 (木) 18時47分
・・・ブラックナイトは、湖の近くを歩いていた。
彼は『四翼』の中、いや、この世の中で最も寡黙と言って
いいほど喋らない。だが、剣の才能はピカイチで、性格
に合わない大剣を巧みに扱っていた。漆黒の鎧、背丈ほど
の大きさを誇る大剣、それに無口を加えてかなり不気味な
男だったが、冷酷さや非情さは全く無かった。
「・・・・・・？」
何者かの気配を感じ、立ち止まる。すると、湖の中から
何かが飛び出してきた。
「ブラックナイト・・。それがお前の名前だったな」
「貴様・・・海握族のカイ・・・。」
「くくく・・・。覚えていたか。忘れもしない、１０年前。
魚の力を持ち海を支配していた我らを、突然黒鎧の男が
襲来、全滅させた。だが、俺はその男と互角に渡り合った」
「・・・・・・」
「我々が海と陸で住める事を利用し、陸で盗賊行為を繰り返し
我々だけの国を作ろうとした。だが、その剣１つでそれは
潰された。この行為は、人を傷つけず実行できる作戦
だった・・・。それを、よくも・・・。」
カイと言う男は、何か銃器のような物を手にはめている。
それでブラックナイトを狙った。
「そのくだらない計画のせいで・・・。傷ついた人だって
居るのだ・・・」
「何！？」
「私の・・・父親だ・・・！」
ブラックナイトは、感情を表に出さないのだが、今は怒りか
悲しみか、拳を握り締めている。
「私の家は貧しかった・・・。父が、必死で稼いだお金で、
うちはやり繰りしていた。母が幼い頃死んだから、父が
男手１つで私を育てていた。だが、金や食べ物をごっそり
盗まれた後、父は必死で犯人を追ったよ。だが、犯人の
返り討ちにあって死ぬのを、私はこの目で見た。」
「それは・・・まさか・・・・」
「察しがついたようだな。同胞の後を追わせてやる」
ブラックナイトは、兜を外すと、投げ捨てた。
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「ほう・・・。これは面白い。それぞれが武器を持つ理由と
なった者達が、ここに集められたのか。この城は、やはり
侮れぬよ」
「この城の魔力、それは未知なる物ですからね。おっと、こっち
の男も何かと遭遇したようですよ」
部下の機械は、映された画面を指差した。
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「親父・・・」
レグルスは、俯いて呟いた。
「情けない声を出すな。こうして、生きて会うことができたの
だから。」
だが、レグルスは切っ先を父に向けた。
「こうして、ここで会うと言う事は・・・ 親父も、
敵なんだろう？始めようぜ」
その目には、恐らく『本物』の殺意が浮かんでいた。
「待て。お前とは戦いたくない。私は別の場所に・・・」
「問答無用ッッ！！！」
レグルスは飛び掛り、実の父を斬り付けた。
「くっ！」
父の方もガードする。だが、間に合わずに剣を落としてしまう。
それでも、レグルスは攻撃を続ける。父は、盾を取り出し、
防御体制に入った。
(長い間、私の帰りを待ち、待ち続けた結果がこれか・・・。
変わったな・・・。いや、私が変えたのか。父親として
何一つできなかった・・・。だが、ここで殺されてはここに
来た意味が無い・・・。くっ・・・)
父は、心の中で葛藤していた。あの男の口車に乗せられ、
強さを求めてここに来た結果、息子と一戦交える事になるとは
夢にも思わなかった・・・・
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「ふぅ。皆の所では敵とか出てるのか？こっちに少しでも
出てくれないと暇だ・・・」
１人森の中を黙々と歩いていた大天使は、特に何の障害も無く
進んでいた。だが、望みどおり・・・ とは言い切れないが、
それはやってきた。
「大天使・・・ 待っていたぞ」
「・・・・？アンタは・・・！」
大天使にも、ようやく石像の言葉が理解できた・・・。
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続く
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