[160] 聖戦の系譜〜異伝 17話「芽生えた感情」 |
- ラグ - 2005年10月18日 (火) 15時02分
アルスターが解放された翌日、ラドネイは町を歩いていた。
「そろそろしっかりと修理してもらわないと厳しいかな・・・」
ラドネイは自分の持っている鉄の大剣を見ながら言った。昨日の戦いでかなり刃こぼれを起こしていた。
「お、ラドネイ。どこに行くんだ?」
近くにいたヨハルヴァが突然ラドネイに声をかけた。
「あ、ヨハルヴァ、これから武器修理に行く所だけど・・・」
「それなら俺も一緒に行っていいか?俺も武器修理に行くし、それに言いたいことがあるからな」
ヨハルヴァはそう言い、ラドネイと一緒に武器修理に向かった。
「ところで、ヨハルヴァは私に言いたいことがあるって言ってたけど・・・何なの?」
修理が終わり、店から出て、ラドネイが言った。
「ああ、ここじゃちょっと話しづらいから、こっちに来てくれ」
ヨハルヴァはそう言って、人通りの少ない所に向かった。
「それで、話って?」
ヨハルヴァが立ち止まったのを見て、ラドネイは再び聞いた。
「ああ、ラドネイ、お前が好きだ」
「えっ・・・」
ヨハルヴァの突然の告白にラドネイは一瞬戸惑ったが
「うん、私も・・・ヨハルヴァのことが、好き」
そう言い、2人は軽くキスをした。
その時、ヨハンはうつむきながら町を歩いていた。
「ヨハルヴァに先を越されたか・・・。仕方ない、今日は飲み明かすか」
ヨハンは空を見ながらそう言い、酒場に入ろうとした時、酒場の近くで数名の男に絡まれているジャンヌを見つけた。
「あの・・・私は人を探しているんです。そこをどいてください」
「少し位いいじゃねぇか、俺達と一緒に酒を飲もうぜ」
「いえ、私お酒は・・・。とにかく、どいてください!」
ジャンヌがそう言い、1人の男を突き飛ばした。
「ちっ、この女、軽く痛めつけてやれ!」
突き飛ばされた男がそう指示した瞬間、その男の首筋に斧が触れた。ヨハンだった。
「それを実行したらどうなるか分かるか?」
「なっ・・・」
「ここはおとなしく引け、でないとどうなるか分かるだろうな」
ヨハンの脅しに男達は脱兎のごとく逃げていった。
「ジャンヌ、大丈夫だったかい?」
ヨハンが斧をしまって言った。
「あ、はい。ありがとうございます、それで兄からの伝言で「部隊について少し話があるから城に来て欲しい」のことです」
ジャンヌが感謝と共に伝言を伝えた。
「分かった。すぐに行く、案内してくれ」
ヨハンはそう言い、ジャンヌに案内され、城に戻って行った。
「はっ!せいっ!」
城にある修練所でクーフが素振りをしていた。しばらくして休憩していた所にパティが来た。
「クーフさん、お疲れ様」
「ああ、パティか、どうした?」
クーフは声に気づき、パティの方を見て、言った。
「えっと・・・剣術を教えて欲しいんです。まだまだあまりうまくないから」
「そうか、イードの戦いで見てたけどなかなかの物だったじゃないか?」
「でも、私の剣技は父さんの練習してた時の剣技をうっすらと覚えてるだけなの・・・」
「そうか、あの戦いで分かったけどイザーク式の剣術みたいだから。分かった。訓練をつけよう」
クーフはそう言い、パティにある練習用の剣を持ってきた。
「ありがとうございます」
パティはそうお礼をいい、2人で鍛錬を始めた。
「えっと・・・あれ?どこにいるのかな」
フィリは町の中で誰かを探していた。
「あれ?フィリさん、どうしたんですか?」
フィリが声に気づき、振り返るとそこにはフォルがいた。
「あ、フォルさん、ええ。トリスタンさんからの伝言です。「騎馬部隊編成をしたいから来て欲しい」って」
「あ、ありがとう。すぐに行くよ。ヨハン様のほうにも伝えてからすぐに行くと伝えてください」
「あ、ヨハンさんなら大丈夫です。ジャンヌが伝えに行きましたから」
「分かった。それじゃあすぐに向かう」
フォルはそう言って城に向かったが、一度止まり。
「フィリさんはどうするんですか?」
「えっと・・・武器を修理に出そうと思ってますけど・・・」
「あ、それなら話が終わった後で一緒に行かないかい?僕も修理屋に行くから」
「はい、分かりました」
「それじゃ」
フォルはそう言い、城に向かっていった。
17話終了
|
|