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ウルトラマンメビウス&ウルトラマンシリーズマニア掲示板

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[1029]  ウルトラマンメビウス外伝・アーマードダークネス 〈超ネタバレ〉ストーリー紹介
ばーなーおん - 2008年09月17日 (水) 06時03分

レイゴ兄さん、皆さん、こんにちは。
「ウルトラマンメビウス外伝・アーマードダークネス」のストーリー・レポです。
もうご覧になった方はおさらいに、未見でネタバレ歓迎の方は予習にご利用下されば幸いです。

尚、こちらはレポ専用トビとさせていただきます。感想は別途「外伝感想トビ」を立てて頂きますので、そちらにレスして下さいますようお願いいたします。

では、ひとまずSTAGE1をお送りいたします。

***********************************

エンペラ星人によって破壊される街。皇帝に挑み倒されるザムシャー、ヒカリ...
メビウスフェニックスブレイブとゾフィーの光線を受けるエンペラ星人...「余は、光の国の一族などに敗れはせぬ!」
光線で太陽の光を取り戻すウルトラ兄弟...
一つになってエンペラ星人に向かうGUYSクルー...
「人間の絆に負けたのか...」光となって散るエンペラ星人...
(以上「絶望の暗雲」「心からの言葉」の映像。)

最終決戦の回想に乗せてリュウの独白。
「あの戦いはとっくに思い出に変わったけど...「かけがえのない星」、俺達の故郷をそう呼び、幾多の脅威から守り抜いてくれたウルトラマンは、今、地球にはいない...。だが。」

山中を跋扈するサラマンドラ。すっかり復旧したフェニックスネストに警報が鳴り響き、ガンフェニックスが発進準備に入る。
ガンウインガーが地上に姿を現すと、ガンスピーダーのコックピットではリュウがメモリーディスプレイをセットした。「ガンスピーダー、ブラスト・オフ。」
エレベーターを下りるガンスピーダー。
「出現したのは、レジストレーションコード再生怪獣サラマンドラです」
「隊長、このひと月、妙に多いですね。怪獣の出現。」
ガンスピーダーの後席から若い隊員がリュウに話しかけた。
「ああ。」リュウは軽く答えてミライから貰った「お守り」を空いたスイッチに引っかける。お守りは黒ずみ、ファイヤーシンボルはすっかりすり切れてしまっている。
「何か理由でもあるんでしょうか」
「さあな。」スロットルレバーに手をかけながらリュウが応える。
「そんなこと、怪獣に聞け。ガンフェニックス、バーナーオン!」浮上するガンフェニックス
「ガンブースター、バーナーオン!」
ガンブースターも続く。

サラマンドラは前進を続けている。
「ガンフェニックス、スプリット!」リュウが号令をかけるとガンフェニックスは左右に機体を揺らして分離した。体を振られて思わず声をあげる新隊員にリュウは、「いい加減に慣れろ、初めての実戦じゃないんだ」と厳しく声をかけ、
「はい!」新隊員は顔を引きつらせて、歯を食いしばった。
「ガンブースター、」リュウが通信でブースターのクルーに指示を出す。その様子を総監の制服を着たサコミズは薄暗い部屋でエスプレッソコーヒーをすすりながらモニターで見守っている。
お馴染みのディレクションルームとは違う。新しい司令室、あるいは総監室であろうか。
「奴の弱点は首にある酵素分泌器官だ。そこを狙うぞ。」リュウは手慣れた調子である。
「GIG。突入します。」
「いくぜ!」リュウの合図で突入する2機。歯を食いしばる後席の新隊員、慎重ながら余裕の表情のリュウ。
上昇するガンブースターに釣られて上を向いたサラマンドラの喉元に向かって、リュウはウイングレッドブラスターを発射した。
命中してもがき苦しむサラマンドラ、肩で息をする新隊員、冷静に経過を見守るリュウ。
「酵素分泌器官、活動を停止。これでサラマンドラが再生することはありません。」サコミズの後ろからミサキが歩み寄り、安堵の表情で報告した。
「流石だな、アイハラ隊長。」サコミズはやっと緊張を解いて、笑顔で話しかけた。しかしリュウは眉一つ動かさず、後ろの新隊員に新たな指示を出した。
「ハルザキ、あとは任せる。」
「僕に...」戸惑うハルザキ。
「なんだ、自信ねぇのか?」リュウに言われてハルザキは表情を引き締め、「GIG!」と答えた。
「メテオール、解禁。」リュウの号令を受けてハルザキはマニューバモードのスイッチを押す。「パーミッショントゥシフト、マニューバ!」
レバーを倒すとガンフェニックス各機はマニューバモードに変形、ガンブースターはスパイラルウォールでサラマンドラの攻撃をはね返し、ガンローダーはブリンガーファンで怪獣の巨体を持ち上げ、地面に叩きつけた。
「スペシウム弾頭弾、ファイヤー!」ハルザキが発射したスペシウム弾頭弾が的中、サラマンドラは大爆発の炎に包まれた。
「やったぁーー!」喜びの声を上げるハルザキ。
その様子をサコミズとミサキは頼もしげにモニターで見守っていた。
「ガンウインガーに乗っているのは?」
「ハルザキ・カナタ。適性試験トップで入隊した新クルーです。」サコミズの問いにミサキが答えた。
「やったーーー!やりましたよ!見ましたか!?」夢中で拳を握りしめはしゃぐハルザキにリュウは無言でニヤニヤしながら前に懸けたミライのお守りを見つめる。
「地球は俺達の手で、ちゃんと守ってるぜ...」リュウが顔を上げると、そこには青空が広がり、太陽が輝いてている。
「見てくれてるかよ...ミライ。」


タイトル
「ウルトラマンメビウス外伝・アーマードダークネス」 ――ステージ1「滅びの遺産」――


ウインガー、ローダー、ブースターの3機はそれぞれ帰還の途についた。
「隊長、隊長がいつもぶら下げてる、その汚いのはなんですか。」ハルザキが無神経に質問した。
「これか?これはな...俺のお守りだ。」リュウは遠い目をして答える。
「お守り?」
「こいつと一緒なら、どんなに辛くても、危なくても、必ず道が開けてくる。俺にとっての...守り神なんだ。」
「へぇ〜、俺もそいつにあやかりたいですね。」リュウの気持ちをよそにハルザキは軽く受け流した。
「ところでどうだった?フォーメーションヤマトは。」
「噂ほどきつくなかったですよ。余裕綽々ですね。」リュウに聞かれて強がってみせるハルザキ。
「どーこがっ?」
「でもこれで、夢が叶いました。」
夢、という言葉にリュウは反応した。
「夢が叶った...?ハルザキ、お前の...」夢はなんだ、と問いかけたところにミサキからの緊急連絡。
「アイハラ隊長、東京K地区に、レジストコード・ロベルガーが確認されました。」
「ロベルガー!?」その名を聞いて緊張するリュウ。「あの円盤生物か!?」

土煙を立ててビル街に降り立つロベルガー。頭部から破壊光線を発射して街を破壊し始めた。
焦るミサキ。「直ちに、殲滅に向かって...」言い終わらないうちに基地の警報が。
ドアが開き、マルが小走りに司令室に飛び込んできて、報告した。
「中部J地区にはムカデンダーが、東京B地区にはケルビムが現れました!」
林の中を進むムカデンダーと、ビルの建ち並ぶ街を蹂躙しながら歩くケルビム。
レーダーには怪獣を示す三つの光点が同時に移動している。
「何が起きたんだ?」動揺するハルザキ。
「ガンローダーはケルビム殲滅、ガンブースターはロベルガー殲滅に急行。」
リュウは冷静に指示を出した。
「GIG!」
「GIG!」
ローダー、ブースターそれぞれの男女のパイロットが応答した。
「俺達は、ムカデンダー退治だ!」「GIG!」
リュウとハルザキも現場へ急行する。


トリヤマが渋い表情で司令室に入ってきた。
「怪獣の同時多発?このところ、やたら怪獣が現れることとなにか関係があるのですか?サコミズ総監。
サコミズはその問いには答えず、厳しい表情でモニターを見守る。

現場に到着したリュウとハルザキのガンウインガー。旋回しながらムカデンダーに迫る。
「ウイングレッドブラスター!」
赤いビーム砲がムカデンダーの尾を直撃し、怪獣は炎に包まれた。

その様子を見ていた司令室の4人に安堵の表情が広がった。
「ムカデンダー殲滅に成功。これより東京K地区に向かいます。」
あくまで冷静に報告するリュウ。その時、ガンウインガーのレーダーの10時の方向に、接近する未確認物体の反応があることにハルザキが気付いた。
「前方に、浮遊物体を確認!」
「確かか?...」リュウは目視で周囲を確認した。「何も...見えねぇ...」「確かです!」ハルザキが遮るように続けた。「10時の方向から、急速接近中!」
「10時だな。」それを聞いてリュウは機体をその方向に向けた。

青い空に一点どす黒い炎の塊のようなものが浮遊している。ガンウインガーは下方から接近した。ウインガーのシールドに炎が写り込み、金属のきしむ音が聞こえる。
「あれは...?」コックピットからリュウはその物体を見上げ
さらに接近したとき、ウインガーはその物体に吸い込まれそうになった。機内に警告音が鳴り響く。
「引き込まれます!」ハルザキとリュウは向きを変えて離れようとするが、ウインガーは後ろ向きに物体に引っ張られ、突然姿を消した。


司令室の壁には思い出のガンフェニックスの寄せ書きと、ディレクションルームでの記念写真、屋外でカレーを食べるつなぎ姿のクルーのスナップ写真などが飾られている。
写真にはディレクションルームでミライと中央に並んで笑顔のリュウ。
「ガンウインガー!ガンウインガー!アイハラ隊長!ハルザキ君!応答して!!」
ミサキの必死の呼びかけにも応答はない。
「ど〜おしたんだこの緊急時にガンウインガーは!?」
渋い表情でマルに詰め寄るトリヤマ。
「まさか...墜落でもしたんじゃ?」マルの答えにトリヤマは「へ!?」と目を剥く。
「いえ、ビーコンは発進され続けています。」ミサキがモニターを見ながらそれを否定した。
「じゃぁ、ガンウインガーは健在なんですね。」マルはサコミズに救いを求めるように聞いた。二人の後ろの壁に寄せ書きパネルと記念写真の額がかかり、窓からの光がさしている。
マルの問いに答えず、厳しい表情で無言のサコミズ。


暗い空、雷鳴が轟く中をガンウインガーは飛行していた。
「どこなんだ...ここは?」稲妻に顔を照らされながらハルザキは周囲を見渡した。
上空を見上げてリュウがあることに気付く。
「この雲!」
リュウの脳裏に、エンペラ星人のマントがはためき、炎に包まれた街の上空に暗雲が広がった時の記憶が甦った。
「間違いない...!俺達がいるのは...」


「エンペラ星人の宇宙船のなかぁ!?」トリヤマが画面いっぱいに驚きの表情で聞き返した。
「どういう意味ですか?」マルの質問にサコミズは手振りを交えて説明した。3人の後ろにはGUYSの旗が立てられている。

サコミズは説明した。
「かつてエンペラ星人が、暗い炎を浴びる球体に乗って地球に飛来した事は、ご記憶ですよね。」
3人の脳裏に、当時の光景が甦る。青空の一角から暗い炎の球体が接近し、停止する。炎の中に静かに立つエンペラ星人の姿...。
「あれこそ...エンペラ星人の宇宙船だったんです。」

テーブルに、4枚の写真が置かれた。4枚をつなぎ合わせると、中央に炎の塊の全体像が写っている。

「レジストコード、ダークネスフィア。」ミサキが淡々と説明を始めた。
「こんなものが、どうして今まで。?」マルが質問する。
「エンペラ星人に乗り捨てられ、地球の周回軌道を巡っていたのが、何らかの理由で再起動を果たし、観測可能になったと考えられます。しかも、初めて観測されたのは、ほぼ、一ヶ月前。」
一ヶ月前、と聞いてトリヤマには思い当たる節があった。
「一ヶ月前といえば。。。」
「怪獣の出現が集中し始めた時期と、一致します。」サコミズが、トリヤマの言葉を引き継いだ。


重苦しい空気の中、ガンブースターから通信が入った。
「ガンブースター、ロベルガー殲滅に当たります。」
正面から接近して、アルタード・ブレイザーを連射するガンブースター。間髪を入れず、ガトリングデトネイターを発射し、ロベルガーの直前で旋回、離脱する。その後を追うように頭部から光線を発して反撃するロベルガー。

続いてガンローダーからも連絡が入った。「ガンローダー、東京B地区に到着、ケルビム殲滅を開始します。」


両者の戦いを見守る司令室に、またもや警報が鳴り響いた。「また怪獣か?」急いでデスクに戻ってレーダーを確認するミサキにトリヤマが心配そうに聞いたが、ミサキはさらに怖ろしい事態が起こっていることを告げた。
「いいえ、ダークネスフィアが!高度を下げています!」
ディスプレイ中央上にダークネスフィアのアイコンが黄色く点滅し、地上に向かって降下している。画面右端には、「8048.54」という数値が表示されていたが、みるみる「8001」まで下がった。「このままでは、地上に激突します!」
「えっ...激突したら、どうなるんだ?」うろたえてトリヤマはマルにすがるように聞いた。「ダークネスフィアの、質量次第ではないでしょうか。」
マルの答えにトリヤマはテーブルの写真を見て、
「こ〜の程度の大きさなら...大したことないよなぁ〜」とサコミズの顔をのぞき込んだ。サコミズは相変わらず無言で渋い顔をしている。
「いいえ、ダークネスフィアに、我々の知る物理法則は通用しません。外からは、直径50メートルの球体としか観測されませんが、あれには、地球環境を激変させ、人類文明を滅ぼすには十分以上の質量があります。」
ミサキの言葉に一同は、炎に包まれる街の様子を想像した。降り注ぐ火球、破壊されるビル、無惨に折れ曲がる東京タワー、爆発に吹っ飛ばされるバスや自動車。オオシマ彗星激突のイメージとほぼ同じである。

「人類文明を滅ぼすのに十分...」トリヤマは口をあいて唖然としている。
「地上から攻撃することは出来ないんですか?」マルの質問にサコミズは一層渋い顔をして首を横に振った。
「今の我々には...仮にあったとしても、あの中にはリュウ達が...」その答えに落胆する二人。
「だが、ビーコンをたどれば、きっと見つかる。」そう言ってじっと前を見つめるサコミズを後ろのデスクから中腰のまま見ていたミサキは、はっ、という表情をして姿勢を正した。サコミズの決意に気付いたようだ。


ダークネスフィアの中、暗い空をガンウインガーは飛び続ける。
「待ってくださいよ、宇宙船が動いているって事は、エンペラ星人が生きてるって事ですか?」
「いや...」リュウはフェニックスブレイブとなって、フェニックスバーストでエンペラ星人にとどめを刺した時を回想していた。光と散るエンペラ星人の最後。
「あの時、確かにエンペラ星人は...」リュウには確信があった。
その時、ガンウインガーは強い衝撃を受け、機内に警報が。
「何だ!どうした!」
「下です!下からの攻撃です!」


フェニックスネストの格納庫。サコミズは隊長服を着てメットを抱え、ゆっくりとガンフェニックスに歩み寄る。「俺達の翼」を感慨深げに見上げるサコミズの後ろから、ミサキが近寄って強い口調で声をかけた。
「突入は可能でも、脱出できる証はないんですよ。」
「入れるんだ。出られないわけはない。」
「総監はここに残るべきです。アイハラ隊長だけでなく、総監にまで万一のことがあったら...GUYSは、地球はどうなるんですか。」
サコミズはようやく振り返った。周りには様々な機材が置かれている。その中にはなぜか「AQUA PROJECT」のタンクも。
サコミズはミサキに歩み寄りながら話しかけた。
「ミライが地球を去ってから、リュウはたった一人で新生クルーを鍛え上げてきた。その中ではぐくんだ希望と信頼が、この星を守る一番の力だと信じている。地球は我々人類の手で守る。どんな困難も、どんなピンチも、今のチームは乗り越えることが出来た。そのリュウが今、助けを求めているんだ。」
その言葉にうつむくミサキ。サコミズは再びガンフェニックスに向き直り、力を込めて言った。
「私は、彼の期待と信頼を裏切るわけには行かない。」

「そう思っているのは貴方だけではありません。サコミズ総監。」
そこへもう一人の力強い声が。入ってきたのはマルを伴ったトリヤマ補佐官。
「ですが、ここはミサキ女史の言うとおり、残るべきです。」ここ一番に見せる、毅然とした態度である。
「しかし...」
「たまには年寄りの言うことを聞きなさい!」トリヤマは声を荒げた。
「絆と信頼が一番の力なら、その絆で結ばれた仲間達を、今一度信ずるべきです。」
「仲間...?」トリヤマの真意を測りかねているサコミズに、マルが近寄って説明した。
「言ったはずです。総監一人ではないと。みんな帰ってきてくれました。共に戦って、泣いて笑った仲間達が!」
マルに促されて振り向くと、そこには懐かしい4人の顔が。

白黒チェックのシャツに黒っぽいのジャケットのジョージ、白いチュニックブラウスにニットのカーデガンを羽織ったショートボブのマリナ。テッペイはノーネクタイの白いワイシャツに黒のピンストライプのジャケット。コノミはグレーのカットソーに黒のミニスカート、コンタクトをしているようだ。
♪「我らCREWGUYS」
「リュウがやばいんでしょ。」マリナが笑顔で一歩前に出る。
「丁度日本に遠征中だったから良かったものの...」腕を組んだまま踏み出すジョージ。
「今リュウさん達を助けられるのは、俺達の翼だけ...なんですよね。」ガンフェニックスを見上げながらテッペイ。
「私達、行きます!」小走りに、元気よく進み出たコノミ。
「みんな...」感無量のサコミズ。
「たとえ離ればなれになっても、彼等の絆が消えた訳じゃない。ガンフェニックスへの搭乗許可は私が出しておきました...その制服を着ている以上、私の方が立場が上ですぞ。総監、いや、サコミズ隊長。」トリヤマはサコミズに笑いかけた。


ダークネスフィアでは、ガンウインガーが地中から飛び出す三叉槍の攻撃を受けていた。次々と予想もしないところから繰り出される槍。必死で回避するリュウだったが、ついにまともに攻撃を喰らってしまう。コントロールを失って下降するガンフェニックスを追うように、地中から巨大な影が飛び出し、土煙を上げて着地した。手にした槍には両端に先程からの三叉の穂先が。鈍い鋼色の鎧の中に、目だけが赤く光っている。アーマードダークネスだ。金属のきしむ音を立てて立ち上がったその姿を稲妻が浮かび上がらせる。


ガンウインガーは墜落する直前にガンスピーダーを放出し、なんとか不時着した。しかし衝撃でキャノピーが破損してしまった。
「ハルザキ、大丈夫か。」
「はい...」
リュウの額からは血が。負傷しているようである。
痛みを堪えながらリュウはキャノピーを開けた。アーマードダークネスがきしみながら一歩一歩近づいている。
「早く脱出するんだ。」
「GIG。」
ハルザキはなんとかシートベルトを外し、ガンスピーダーから下りた。
リュウも脱出しようとするが、足を怪我したのか、動けない。
「隊長!」引き返そうとしたハルザキにリュウは叫んだ。
「ハルザキ、お前は逃げて、助けを待て!」
振りかえると、アーマードダークネスはもうそこまで来ている。リュウはトライガーショットを取りだし、連射するが、びくともしない。
「無駄だ。諦めろ」
アーマードダークネスから不気味な低い声が聞こえた。
「諦めろだ?」トライガーショットを構えたままのリュウだったが、ホルスターに納めると、今度はメテオールショットを手にした。
「俺はそいつが、一番苦手なんだよ!...ハルザキ!」
リュウはハルザキの方を振り向いた。
「お前は生きろ、生きて、必ずこいつを倒せ...行けーー!」
リュウはミライのお守りをハルザキに向かって投げた。
歯を食いしばってその場を立ち去るハルザキ。
アーマードダークネスは三叉槍を持ちかえ、振りかぶった。
メテオールショットを構えてにらみつけるリュウ。
槍を振り下ろそうとした時、アーマードダークネスは何かの力によって一瞬動きを止られた。鎧が激しくきしむ。その力を振り払い、再び槍を振り上げた。
「GUYSを...頼んだぞ!」メテオールショットを構えたリュウは、敵から目をそらすことなく言い放った。
ついに槍が突き立てられ、ガンスピーダーは炎に包まれる。爆風に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられるハルザキ。やっとの思いで立ち上がろうとするが、そこにアーマードダークネスが迫る。再び槍を振り上げてハルザキに狙いを定め、振り下ろした。


「わあぁーーー!」思わず顔を伏せるハルザキ。しか槍は彼の体を貫かず、代わりに金色の光がその場を照らした。ハルザキが顔を上げて振り返ると、眩い光に包まれてひざまずき、アーマードダークネスの槍を左手のブレスで受けるメビウスの姿が。
「ウルトラマン...メビウス。」
メビウスは槍をはねのけると、アーマードダークネスに組み付いた。しかし投げ飛ばされ、再び体勢を整える。槍を地面に突き立て、仁王立ちするアーマードダークネス。メビウスは助走して飛び蹴りを入れる。びくともしない。槍の攻撃をかわすのに精一杯のメビウスは距離をとると、左手を胸の前に構えた。メビュームブレードだ。しかし、メビュームブレードは金色の煙のようにすぐに蒸発を始める。そこに繰り出された三槍を受け止めると、あえなくメビュームブレードは消えてしまった。

アーマードダークネスが再び仁王立ちして矛を空に掲げると、稲妻が走り、矛の先から赤くどす黒い光が沸き上がった。その矛を一閃すると、どす黒い光線が放たれる。
メビウスは瞬時にそれが何であるか察知し、光線を避けた。
「レゾリュウム光線。。。!」ハルザキもその光線を知っていた。かつてエンペラ星人がメビウスを一瞬で消滅させたウルトラマン分解光線である。
「やっぱりあいつは!?」

メビウスは立ち上がると、メビュームシュートを撃った。「せいやぁーー!」
しかしメビュームシュートはアーマードダークネスの手前で全てはね返されてしまう。
「ふっふっふっふ...」くぐもった笑いが響く。
ひるんでメビウスは2,3歩後ずさりする。胸に目をやるとカラータイマーが赤く点滅を始めている。
きしみながら迫るアーマードダークネス。メビウスはさらに数歩下がったが、ジャンプして跳び蹴りを喰らわせた。しかし少しのダメージも与えることは出来ない。両手で槍を受け止めた隙に腹に蹴りを入れられ、投げ飛ばされてしまう。
すぐに立ち上がれないメビウスに、アーマードダークネスは近寄って狙いを定めた。焦るメビウス。
しかし、再び何者かの力がアーマードダークネスの動きを封じた。鎧をきしませながらもがくアーマードダークネスの中から、メビウスに呼びかける声がする。
「メビウス...聞こえるか。」
「ウルトラマンヒカリ?」
「私は今、この甲冑の中にとらわれている。良く聞け、この世界では、我々の光線は無力化される。武器を奪ってこいつを撃て!」
武器、武器...メビウスはアーマードダークネスの腰に挿した剣を見つけた。
「だが君はどうなる!?」
「急げ、時間がない...メビウス!」
メビウスは立ち上がり、甲冑の懐に飛び込んで剣を抜き、腹に一太刀斬りつけた。
槍を振り上げて応戦するアーマードダークネス。その槍を剣で受け流し、下から振り上げて額に斬りつけ、膝をつくメビウス。額の刀傷は黄色い光を放って楔形に口を開けた。メビウスは前転して距離をとり、再び構えた。
傷を受けたアーマードダークネスは鎧をきしませ槍を掲げる。再びレゾリューム光線が放たれるかと思いきや、赤い目の光が消え、アーマードダークネスは動きを停止し、槍は手に握られたまま落ちて地面に刺さった。

肩で息をしていたメビウスも力尽き、光のなかに姿を消した。


♪「我らCREWGUYS」
フェニックスネストでは元GUYSクルー達が出撃の支度をしている。
黒いグラブをはめ、制服のジッパーを上げるジョージ。トライガーショットのスライドを引き、エネルギーをチェックするマリナ。メモリーディスプレイを手にするテッペイ。眼鏡をかけるコノミ。それぞれ引き締まった面もちである。整列した彼等の前にサコミズは立ち、一人一人の顔を見つめ、笑顔をこぼすが、すぐにまなじりを決し、いつもの号令をかけた。
「GUYS、SALLY GO!」
「GIG!」


雷鳴のとどろくダークネスフィアの地面に、リュウが投げたお守りが落ちている。ひざまずき、それを手にとるハルザキ。その後ろに、GUYSの制服を着た人物が歩みよった。気付いてハルザキは立ち上がり、その人と向き合った。
「貴方は...。」ハルザキもその人を知っていた。
「僕は逃げてしまったんです。僕は隊長を助けられなかった...」悔しげにハルザキはお守りを握りしめた。
「僕が隊長を殺してしまったんです!」うつむいて嗚咽にむせぶハルザキにその人は声をかけることもなく、ゆっくりと振り返った。その人こそ我らがヒビノミライ!
ミライが見上げるその先には、アーマードダークネスが無言で立っている。
挑むようにミライはそれをじっと見つめ続けた。

ーSTAGE2へ続くー

[1036] ウルトラマンメビウス外伝・アーマードダークネス STAGE2 不滅の魔鎧装 ストーリー
ばーなーおん - 2008年09月30日 (火) 17時46分

皆さん、こんばんは。
引き続き、「ウルトラマンメビウス外伝・アーマードダークネス」―STAGE2 「不滅の魔鎧装」ストーリーレポをお送りいたします。

尚、エンドクレジットについてはSTAGE1と共通する部分が多かったので、今回の最後にまとめさせていただきました。
製作に関わられたキャスト、スタッフの皆さん、メビウスとGUYSに再び出会わせてくださって、本当にありがとうございます。どうか、これからも終わらないメビウスの輪を私達と共に紡いで下さい。
では、感謝と共に始めましょう。

**************************
 

―STAGE2―

ミライがこれまでのあらすじを語る。

「再びあらわれた怪獣達。その原因は、エンペラ星人の遺産にあった。ピンチに陥ったリュウさん達率いる新生クルーガイズ。再び戦場に立った僕がそこで見たものは、囚われの身となったウルトラマンヒカリ。ヒカリを助ける手段は。リュウさんの運命は!?」

「バリアブルパルサー!」
ガンローダーがケルビムを攻撃する。螺旋状の光の中からミクラスが登場、拳を握りしめて気合い十分。ケルビムはトゲトゲの尻尾で攻撃するが、ミクラスは難なく受け止める。

頭部から破壊光線を出しながら街を跋扈するロベルガーの前にはウインダムが仁王立ち。ウインダムはロベルガーに突進すると直前でジャンプ、お得意の開脚跳びで背後に着地、ロベルガーが振り向いたところをガンブースターがアルタードブレイザーで攻撃する。

「ミクラスとファイヤーウインダム、両マケット怪獣による攻撃が開始されました。」
祈るような表情でクルー達の戦いを見守るミサキ、サコミズ、トリヤマ、マル。

ガンフェニックスはダークネスフィアに向かっている。ウインガーにはジョージ、マリナ。ローダーにはテッペイとコノミが。
「これより、ダークネスフィアに突入する。」ジョージが報告した。

―タイトル―「ウルトラマンメビウス外伝・アーマードダークネス STAGE2『不滅の魔鎧装』」

ダークネスフィアの暗い空の下。ハルザキはミライと佇んでいた。
「僕のせいです。」
悔しそうに右手に持った「お守り」を握りしめるハルザキ。

「いけーー!」リュウの最後の姿が脳裏に甦る。アーマードダークネスの槍に突かれて爆発するガンスピーダー、吹っ飛ばされるハルザキ。
「僕のせいで隊長は...!」
その時、ミライは何かを感じ取り、空を見上げて笑顔を見せた。
「大丈夫、リュウさんなら生きています。」
「え?」ハルザキはミライを見た。

エメラルドグリーンの光の波に包まれてリュウは漂っていた。
「目覚めるのだ、人間よ。」
その声にリュウは眉をを動かし、ゆっくりと目を開けた。
「ここは?」あたりを見回すとそこには巨大なウルトラマンキングの顔が。
「ウルトラマン?」
「んふふ。人間は私をウルトラマンキング、そう呼んでいるはずだが?」
あごひげ(?)を撫でながら語るキング。
「ウルトラマンキング、あの伝説の?」
「はっはっは。そうか、地球でも私は伝説か。」満足そうに頷くキング。
「貴方が、助けてくれたんですか。」
「一働きして貰わねばならんのでな。」
「おれに?」
「あれを着装しているのはウルトラマンヒカリ。」
「え!?」
ヒカリ、と聞いて驚くリュウに懐かしい声が語りかける。
「だが、今はもう俺ではなくなりつつある。」
「その声...セリザワ隊長!?」
あたりが真っ暗になり、リュウの前にウルトラマンヒカリの姿が現れた。カラータイマーが赤く点滅している。
「あれは、エンペラ星人の配下が宇宙警備隊との全面戦争に備えて鋳造した、生きた鎧装、アーマードダークネス。」
「アーマード...ダークネス!?」
「アーマードダークネスは、エンペラ星人亡き後着者を求めて放浪、地球の側に放棄されていたダークネスフィアにたどり着いたのだ」。
「なら、ダークネスフィアが動き出したのも...。」
「アーマードダークネスとの接触が原因だった。」
薄暗い荒野に着地するヒカリ。
「俺は、アーマードダークネスを追い、ダークネスフィアに侵入した。」
ヒカリの前に三叉槍を持ったアーマードダークネスが。
飛びかかるヒカリ、しかしびくともしない。首を捕まれ、地面に叩きつけられ、踏みつけられてしまう。
アーマードダークネスがヒカリの両腕を掴んで自分の体と重ねると、ヒカリはどす黒く赤い光に覆われてダークネスフィアの中に取り込まれてしまった。

「しかしそこで、新たな着装者として、体を奪われてしまったのだ...。」

リュウは再びエメラルドグリーンの波の中に戻った。再びキングの声が。
「だが、アーマードダークネスの支配はまだ完全ではない。」
それで...リュウは思い出した。アーマードダークネスに襲われたとき、一瞬何かの力によってアーマードダークネスが動きを止めた時の事を。
「あの時...」
「お前はウルトラマンヒカリと一体になり、その体をアーマードダークネスの支配から解き放たねばならない。」
「ヒカリと一体に?けど、アーマードダークネスの中にあるヒカリの体と、どうやって?」
「ぬわっははあ、既にお膳立ては出来ておる。」楽しげに笑うキング。


「本当ですか、隊長は生きているんですか。死んじゃいないんですね!」
ハルザキは喜びのあまり、ミライの肩を掴んで揺すった。
「そんなに俺を殺したいか。」
ハルザキの後ろから声が。
「隊長!」
ハルザキは駆け寄った。リュウも笑顔で歩み寄る。
「無事だったんですね♪」
「おまえもな。」ハルザキの肩をぽん、と叩くリュウ。ミライもハルザキの後から近づいてくる。
「ヒビノさんと、これが守ってくれました。」
リュウはハルザキからお守りを受け取ると大切そうに握りしめ、懐かしそうにミライの顔を見た。
少し緊張した様子で微笑むミライ。リュウはにっこり笑うと左手でミライの頭をくしゃくしゃっ、と撫で、ミライはやっといつもの無邪気な笑顔になった。
「取り戻しましょう。ウルトラマンヒカリを。」ハルザキの言葉に、リュウとミライは黙ってダークネスフィアを見た。二人の間から前に進み出るハルザキ。
「必ずあいつを倒してやる!」

その時、3人が見上げていた空に一機の飛行物体が。
「ガンフェニックス!」ミライが懐かしさと驚きの入り交じった表情で見上げる。
リュウのメモリーディスプレイに着信が入った。
「アイハラだ。」いつもの調子で隊長らしく答えるリュウだったが。
「久しぶりだな、アミーゴ!」とジョージ。
「迎えに来てあげたわよ、感謝しなさい♪」とマリナが。
「お前等、どうして...」嬉しそうなリュウの側にミライが寄り添った。
「ミライもここにいるし、久しぶりに全員集合だな。」
それを聞いてテッペイが「え、ミライ君が?」
「ホントなんですか、リュウさん!」後部座席からコノミが。

その時、再び金属のきしみ音が。アーマードダークネスの指がかすかに動いた。
再会の喜びに浸る間もなく、リュウは隊長の顔に戻り、メモリーディスプレイで指示を出した。
「作戦を説明する...。」

♪ワンダバCREWGUYS
3人の前にガンスピーダーが着陸。テッペイとコノミが「ミライ君!」と手を振りながら下りてくる。上空でホバリングして待機するジョージとマリナのガンウインガー。

「今は、ヒカリが抑えてくれているが、アーマードダークネスはいつ動き出しても不思議じゃない。それに、いまこの瞬間にも、ヒカリはアーマードダークネスの完全な着装者にされつつある。それだけは、絶対阻止しなきゃならない。GUYSの誇りに賭けて!」
並んで飛ぶウインガーとローダー、ガンローダーの後部座席にリュウはノーヘルで座り、自分に言い聞かせるように力を込めて言った。
その前席で操縦桿を握るハルザキが不安そうに聞いた。
「隊長、本当に俺がやるんですね。」
「どうして」
「だって、皆さんに比べたら僕は」
「あいつ等に遠慮なんかしてどうすんだ。お前は現役なんだぜ。」一転して優しいリュウ。
「でも...」ハルザキは不安に顔を引きつらせている。
「ハルザキ」
「はい」
「お前夢を叶えたっていったよな。お前の夢ってなんだ。」
「GUYSに入って、地球のために」
「戦うことか」
「はい」だんだん小さくなるハルザキの声。
「けどな、夢ってそんな簡単に叶っちまううほどちっぽけなものか?おれは、いや、俺だけじゃない、ジョージもマリナもテッペイも、コノミだって、GUYSをやめてそれぞれの道に戻ったからって、夢を叶えたなんて思っちゃいない、今はその先を、もっと遠くを目指して戦ってる。」
オーバーヘッドシュートを決めるジョージ、表彰台のマリナ、聴診器を首にかけるテッペイ、子どもたちに囲まれるコノミ...
「もっと遠くを...目指して?」
「俺達もいこうぜ、そこに。」

そこへテッペイからの通信が。
「リュウさん、動き出しました。」
アーマードダークネスの手が動き、矛をしっかりと握りしめると、目に赤い光が灯った。

突進するガンローダー。
リュウが号令をかける。
「GUYS、SALLY GO―――!」
「GIG!」

ミライが空をきっと見据え、力を込めて左腕を掲げた。メビウスブレスが光る。お馴染みのユニホーム姿の変身ポーズ。
「メビウース!!」
∞形の光芒が炸裂し、ウルトラマンメビウスが姿を現した。
アーマードダークネスの前に、右手の掌を掲げたタロウ教官譲りの登場ポーズ。そして構えをとる。
激しいきしみ音をたてて槍を振り回すアーマードダークネス。そこへガンローダーが飛来。
これまでクールだったリュウだが熱血バカ再来、いつものだみ声で指示を出す。
「頼むぜイカルガさん!」
「その名前で俺を...呼ぶな!」
お定まりの応答もこころなしか嬉しそう、ウイングレッドブラスターを発射するジョージ。アーマードダークネスの足元で爆発がおこる。微動だにしないアーマードダークネスだが、ガンウインガーの方を向いたその時。
「今よ、ミライ君!」マリナの合図にメビウスはアーマードダークネスの背後から取り付き、動きを抑える。
そこへ正面からガンローダーが接近。リュウはウルトラマンキングの言葉を思い出している。
「メビウスがアーマードダークネスに傷を付けてくれた。お前はそこから飛び込めばよい。」
「ハルザキぃ!」「GIG!」二人は突進した。
地上ではメビウスに押さえ込まれたアーマードダークネスがもがいている。
必死の形相のリュウ。
ついにアーマードダークネスはメビウスをふりほどいた。
槍で撃たれ、吹っ飛ばされるメビウス。そして赤い目が次に狙いを定めたのは接近するガンローダー!
しかし二人はひるまない。歯を食いしばるリュウ。
アーマードダークネスが槍を突き上げると、槍は如意棒のように一直線にガンローダー目指して伸びた。
目の前に迫る槍。
「もう待てない!」
「諦めんな!」後ろからリュウがゲキを入れた。
リュウの言葉を思い出すハルザキ。
(「諦めろ...?俺はそいつが一番苦手なんだよ!」...)
「うおぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーー!」
ハルザキは吼えた。
その時、槍がガンローダーに命中!ローダーは空中で大爆発をおこした!
はっ、と息を呑むジョージ、マリナ、テッペイ、コノミ、
しかし、炎の中から飛び出したのはガンスピーダー!
「ガンスピーダー、イジェクション!」ハルザキがギリギリのタイミングで脱出に成功したのだ。
♪「バトルフィールド」
「隊長!僕も諦めることが、一番苦手になりました!」後ろで黙って頷くリュウ。真っ直ぐにアーマードダークネスの額を目指す。キャノピーが吹っ飛んだ。
リュウはシートベルトを外し、後席から立ち上がった。修羅の形相でアーマードダークネスをにらみつけると、
「そりゃぁぁっ!」と飛び出した。
アーマードダークネスはそれを防ごうとするかの如く、体の前で槍を横回転させる。
左の拳を尽きだし、ウルトラマンのポーズで飛ぶリュウ。アーマードダークネスにヒカリの姿が重なって見えた。
「ヒカリよぉぉぉぉぉーーーーーー!」
リュウの雄叫びにヒカリが目覚めた。
「リュウ、リュウか!?」
槍の回転はますます速くなる。
ヒカリは、ぬぅぅ、と力を込め、闇を振り払うかのごとく交差した腕を開いた。
アーマードダークネスの動きが止まった!
「うぉありゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!」
そこへウルトラマンポーズのリュウが咆哮と共に飛び込んだ。
赤い目は光を失い、あたりに静寂が訪れる。立ち上がって見守るメビウス。息を呑むジョージ、マリナ、テッペイ、コノミ。
「隊長」...ハルザキはリュウを案じている。
するとアーマードダークネスの額の傷から青い光がさし、続いて全身も青い輝きに包まれた。
槍が地に落ち、青い輝きが更に増し、稲妻が走った。
「でやぁぁ!」
大爆発するアーマードダークネスから雄叫びと共に垂直に何者かが飛び出す。
そして手前に着地したのは、もちろんウルトラマンヒカリ!
「隊長が...ウルトラマンヒカリに...。」呆然とするハルザキ。
ヒカリは駆け寄ったメビウスと互いの目で合図を交わし、頷いた。

しかし、再び雷鳴が轟き、稲妻が破壊されたアーマードダークネスに降り注ぎ始めた。
身構える二人のウルトラマン。
「なんだ?」ジョージが見上げる。
稲妻は次第に一箇所に集まり、その中からアーマードダークネスが再び姿を現した。
復活し、再び槍を回転させるアーマードダークネス。

その頃、司令室でもダークネスフィアの異変を察知していた。
「タークネスフィアが急速に高度を下げ始めました!」
ミサキの声にサコミズ達がモニターの前に集まってきた。
モニターに表示された高度の数値は6000台まで下がっている。
「地上への到達は」
「あと10分もありません」
「みんな...頑張ってくれ...」サコミズも祈るほかない。

ダークネスフィアでは、二人のウルトラマンがアーマードダークネスとの戦いを開始した。
「はっ!」息を合わせて同時に突進するメビウスとヒカリ。
横に振られた槍をかいくぐるが、なかなか懐に飛び込めない。距離を取るメビウス。構えるヒカリ。メビウスが勢いを付けて飛び込み、槍を抑え、ヒカリがパンチを食らわせる。
しかしメビウスは槍で押さえ込まれ、再び吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられる。
そこへテッペイが声をかけた。
「ミライ君、リュウさん、ダークネスフィアの地上への激突を防ぐには、エネルギーの供給を遮断すれば良いんです!」
「どうすればいいんですか?」うしろからコノミが飛び跳ねるように近寄って訪ねた。
「エネルギーはアーマードダークネスから供給されているんだな。」
「はい。」
さすがにジョージは物わかりがいい。
「ミライ、リュウ、頑張って!」マリナが声援する。
蹴っ飛ばされるヒカリ、メビウスは再び槍を押さえるがやはり振り払われる。
それでも立ち上がる二人にアーマードダークネスは槍を回しながら迫る。二人とも槍に撃たれ、薙ぎ払われてしまう。もう一度同時に槍に組み付いたが、二人とも投げ飛ばされてしまった。
余裕綽々で槍を水平に構え、鎧をきしませて天を指さすアーマードダークネス。
既にメビウスのカラータイマーは点滅を始めた。続いてヒカリも。
稲妻を受けた槍をアーマードダークネスが回転させると、槍の両先端が赤く輝き始めた。イヤな予感。
ハルザキは見覚えがあった。「レゾリューム光線!」
どす黒い煙と赤い光の入り交じったどろどろした光線が渦巻いている。危ない!
「ミライ!」「ミライ君!」「リュウさん!」「リュウさん!」
4人はミライのお守りを手に叫ぶ。
槍の回転が最高速度に達し、今にも光線が発射されようとしたその時、ジョージとマリナのお守りが輝き始めた。そしてメビウスブレスのクリスタルも。
右手を構えたまま、はっ、と気付いて驚いたようにブレスを見るメビウス。テッペイとコノミのお守りも輝く。笑顔でメビウスを見上げながらゆっくりと姿を消すコノミ。
そしてナイトブレスにも金色の星形が光り、クリスタルが青く発光する。ヒカリも自分のブレスを見る。
目を見合わせて頷くメビウスとヒカリ。二人は右手と左手を揃えて、気合いを込めると同時に前に尽きだした。二つのブレスから∞形の光芒が展開する。メビウスとヒカリはブレスを並べて腕を突き上げた!
「メビウーーース!」仲間達と声を合わせて...!
∞マークが炸裂し、一つの光の玉となる。
同時に回転する槍からレゾリューム光線が発射された!
しかし約束の炎の前にその邪悪な光線は砕け散った。息を呑んで見守るハルザキの眼前に、激しく炎を発しながら現れたのはメビウスフェニックスブレイブ。拳を合わせ、胸を張るメビウスフェニックスブレイブ。


同時にレゾリューム光線が襲いかかるが、メビウスはそれを胸を張って退ける。
「フェニックスブレイブ...?」
♪「友情の絆」
メビウスはアーマードダークネスが振り回す槍をかいくぐり、懐に飛び込むと槍を押さえつけて右足で回し蹴り。さらに気合いを込めて右手を挿しだし、お馴染みのポーズで構える。
「しゃあぁっ!!」
再び飛びかかって肘撃ち、しかし背中を槍で打たれて転倒、辛くも膝をついて体勢を立て直す。アーマードダークネスも槍を構え直して突進する。メビウスはその穂先を掴むと、その間に剣を奪った。
槍を振り回すアーマードダークネスと防ぐ剣のメビウス。槍で足を払おうとするがメビウスはジャンプして避ける。やっと反撃の機会を得、剣を振り下ろすがそれをアーマードダークネスは三叉槍で受ける。槍に腹を付かれるメビウス。しかしダメージは少ない。すぐに剣で挑みかかる。剣と槍を合わせ、力押しの勝負である。きしむアーマードダークネスの顔面にメビウスのパンチ、そして左回し蹴り。逆手に剣を構えるメビウス。右手の剣で槍を押さえながら右手でのパンチで攻撃。ついに三叉槍を奪い、投げとばした。左手の槍を脇に放り投げると、右手の剣を薙ぎ払い、高くジャンプ。やっと体を起こそうとしたADの頭上で宙返りすると、着地の勢いでアーマードダークネスを一刀両断に斬りつけた。

言葉を失い、ただ見守るばかりのカナタ。すかさずメビウスはその場を離れ、拳を合わせると一旦交差させた左手を上、右手を下に広げた。カラータイマーを中心に∞の光芒が広がる。両手を旋回させて右手を掲げると、両手のブレスがそれぞれ輝く。両手を掲げて...
「せいやあぁぁぁぁーーーー!」
L形に組んでメビュームナイトシュート!
オレンジと青の光線がアーマードダークネスの刀傷に向かって発射された。激しくきしむ鎧。メビウスは光線を放ち続ける。
ぐらぐらと首を揺らがせると、炎につつまれてアーマードダークネスは大爆発をおこした。
メビウスはそれを見届けるて仁王立ちし、再び∞形の光芒に包まれると、メビウス、ヒカリの二人に別れた。両者のカラータイマーは赤く点滅している。

暗い空の下、眩しげに二人のウルトラマンを見上げるカナタの後ろから、リュウ、ジョージ、マリナ、テッペイ、コノミが歩み寄った。
あたりにはカラータイマーの点滅音と共に、変わらず雷鳴が轟いている。そのとき、轟音と共に大地が激しく揺れた。再び身構えて顔を見合わせるメビウスとヒカリ。
「震動が納まらない...!?」うろたえるカナタ。
「アーマードダークネスは倒したはずなのに!?」テッペイにも状況が理解できないらしい。
ヒカリはメビウスと目で合図を買わすと、一歩進み出て話しかけた。
「リュウ...」
不安げにヒカリを見るリュウ。
「お別れだ...私に残った最後のエネルギーで、ダークネスフィアを光の国へ運ぶ。」
「光の国へ?」メビウスが問い返した。
「そうだ。光の国の聖なる炎で、焼き尽くすのだ。」
「だったら、僕も!」メビウスは胸に手をあてて応えた。
「お前には、他にやることがある。メビウス、リュウを、GUYSを頼む。」
ヒカリは真っ直ぐにメビウスの目を見た。


司令室のミサキのディスプレイでは、ダークネスフィアの赤い炎のアイコンが怖ろしい勢いで降下していた。数値はすでに3000台まで下がっている。
「ダークネスフィアの降下速度、加速しています!」
「ど、どうするんだぁ...」
ミサキに言われてディスプレイをのぞき込み、トリヤマは泣きそうになってマルに抱きついておびえている。

ダークネスフィアでは、カラータイマーを点滅させながらメビウスが胸の前に腕を交差させた。メビウスの体は白く輝き、両手を振り下ろすと頭から順にその姿は消滅した。ウルトラテレポーテーションだ。
メビウスの姿が消えると、それを見ていたコノミ、マリナ、ジョージ、ハルザキ、リュウ、の順に同じく次々と頭から姿を消してゆく。
しかし何故かテッペイだけが最後に残された。雷鳴のとどろくダークネスフィアの荒野でテッペイはきょとんとして周囲を見回すと、ぴょんと飛び上がってみた。しかし消えない。
「あれっ!ち、ちょっと!えぇ!?」うろたえるテッペイ。ミライのうっかりだろうか。やっとのことでテッペイもテレポートした。

「ん〜むむむ...」
それを見届けると、ヒカリは両足を踏ん張り、深く深呼吸すると体を沈め、全身に力をみなぎらせた。
「やぁぁぁーーーーー!」
ヒカリは足を踏ん張ったまま気合いを込めて両手を高く差し上げる。大地は激しく揺れ動き、岩が浮き上がる。ヒカリは念動力でダークネスフィアを持ち上げた!

上昇するダークネスフィア。
「ダークネスフィア、大気圏を離脱してゆきます!」
「よかったぁぁぁ〜。」顔を見合わせて喜び合うマルとトリヤマ、そしてデスクのミサキ。
そこへ男性クルーから誇らしげに報告が。
「ロベルガー、殲滅に成功!」
「同じく、ケルビムも殲滅しました。」女性隊員からも。
「やったぁーーー!」トリヤマとマルは腕を取り合って喜んだ。ミサキも立ち上がり、二人を見て微笑んでいる。
しかしふと、トリヤマは心配そうな表情を見せ、サコミズの元に駆け寄って気を付けの姿勢で聞いた。
「アイハラ隊長は!?救助に向かった彼等は!?どうなっちゃったんですかっ!」
そこへサコミズが微笑みながら答える。
「大丈夫ですよ。みんな無事に...帰ってきたようです。」
サコミズも安堵の表情で、空を見上げるように呟いた。
上昇するダークネスフィアは、青空の彼方に姿を消した。
それを地上で見上げるコノミ、ジョージ、テッペイ、マリナ...そしてハルザキ、リュウ。

「もしあの時、エンペラ星人がアーマードダークネスを付けていたら、俺達は勝てただろうか...?」
リュウは目を伏せ、腕を組んで自問自答するように呟き、再び空を見上げた。
ミライがその後ろから微笑みながら進みでて、きっぱりと言い切った。
「勝てました。」
リュウはミライを見る。ミライはじっと前を見据えたまま付け足した。
「根拠はありませんけど。」そしてリュウに向き直り、
「でも必ず。」
それを聞いて黙って微笑むリュウ。
あたりはすでに夕暮れである。フェニックスネストの近くであろうか、後ろには草むらが。
「もう、いっちまうのか。」
リュウは名残惜しそうに声をかけると、ミライはリュウの正面で姿勢をただした。
「ヒカリの事も心配ですし。」 
かるく頷いて黙っているリュウの周りに、クルー達が集まってきた。
「もっとゆっくり話したかったな〜♪」両手をぱたぱたさせながらコノミが明るく振る舞う。その隣でマリナが優しく「また今度ゆっくりいらっしゃいよ。」
「光の国の話、聞かせてくださいね。」テッペイが手を前で合わせて後ろから。
ミライは黙ってしみじみと目を伏せた。
「あの時と変わらず、俺達は一つになれた。俺は...それだけで十分だ。」
リュウは噛みしめるように言うと、後ろの仲間達を見渡し、再びミライの顔を見た。
「みんな、もっと遠くを目指して戦ってるんだ。きっと...また会える。」
リュウの顔を見て、ふっ、と笑うミライ。目が潤みそうになって、思わず顔を伏せたが、堪えて再び真っ直ぐリュウと向き合ったが、その時、何かに気付いて空を見上げた。
夕闇迫る空に、2行に渡る複雑なウルトラサインが現れたのだ。
それを見てミライは嬉しそうに笑みをこぼす。
一同は怪訝そうに同じ方向を見上げるが...ぽかんと口をあけるテッペイ。
「なにか見えるのか?...アミーゴ、」ジョージはミライに振り返って聞いた。
「あぁ...」ミライは少々バツが悪そうに照れ笑いを浮かべて、
「休暇...貰えちゃいました...。しばらく地球にいていいって!」
「本当〜!?」「ホントに?」「やったーー!」素直に喜ぶコノミとマリナ、リュウは参った、という感じで腰に手をあてて、やはり嬉しそう。
ぽかんとまだ空を見続けていたテッペイが、驚いて
「空間に書いた文字で超長距離通信するの...!? 何語で...!?」とミライに詰め寄る。それを楽しげに見守るジョージ。
一同は再び空を見た。
夕焼け空にひときわ明るく青く光る星。それをクルー達は笑顔で見つめていた。目を細め、満足げなミライ。
後ろからその肩をぽん、とサコミズが叩いた。
「お帰り。ミライ。」傍らにはやはりミサキ、トリヤマ、マル。嬉しそうに4人と目を合わせると、再び一緒に空の星を見上げた。
呆然と空をみるハルザキに、リュウは微笑みながら教えた。
「ウルトラの星だ。」
「ウルトラの星...?決めた。僕はあの星を目指します!」
ハルザキは星に目をすえたまま答えた。
リュウも空を見上げたまま、
「がんばれよ、カナタ。」と初めて彼の名前を呼んだ。
カナタは大きく息を吸い込んで
「はい!」と答えた。

ウルトラの星は一層その輝きを増して、一同を照らし続けるのであった...。

〜主題歌〜


監修 円谷一夫
製作統括 大岡新一

ヒビノミライ 五十嵐隼二
アイハラリュウ 仁科克基
ハルザキカナタ 三好真
カザママリナ 斉川あい
イカルガジョージ 渡辺大輔
アマガイコノミ 平田弥里
クゼテッペイ 内野謙太
ミサキユキ 石川紗彩
トリヤマ補佐官 石井愃一
マル補佐官避暑 まいど豊
サコミズシンゴ 田中実

スーツアクター 和田三四郎 丸山貢治 西村 朗寺井大介
声の出演 滝川元夢 難波圭一 大友龍三郎 和田三四郎 おかのみさと

製作プロデューサー 小山伸行 
アソシエイトプロデューサー 仲吉治人
ラインプロデュース 中井光夫
音楽 佐橋俊彦

主題歌「ウルトラマンメビウス」
(作詞/松井五郎 作曲/鈴木キサブロー 編曲/京田誠一 歌/ProjectDMM with ウルトラ防衛隊)

撮影 高橋義仁
照明 高野和男
美術 内田哲也
録音 楠本達巳
操演 上田健一
殺陣 岡野弘之
助監督 富田卓
装飾 遠藤雄一郎 赤星裕史
衣装 野々山理恵 多勢美智子
メイク今井志保
スチール橋本賢司
編集 前嶌健治
スクリプター 島貫育子
オンライン編集 岡本光雄
しあげ 鶴田幸信

円谷CGI−ROOM
スーパーバイザー 早川哲司
ディレクター 大壺隆仁
デザイナー 森 裕二 上田和彦 小嶋律史 小杉淑美 高松玲子 船越 優
DSコンポジット 島田友晴 澤田元春
モデリング 永岡俊彦
システムサポート 足立和也
エフェクトコーディネーター 藤下忠男
エフェクトスーパーバイザー 増田英和
エフェクトアニメーター 佐藤 元 西山明宏 安藤隼也 原 玉絵
マットペインティング  小田達哉

MD担当 釜下和之
催事宣伝 古池啓一 菅野悦子
DVD宣伝 石井俊明 
制作デスク 石渡牧子
キャスティング 小島文夫
キャラクターデザイン 丸山浩
キャラクターデザインイメージポート 西沢安施
キャラクターメンテナンス 宮川秀男
音響効果 古谷友二
選曲 池田地香子
整音 阿波良和
カラリスト 児島正博

協力 松下電器産業 銀座サクラヤ ビットプランニング キャン・インターナショナル 日本照明 東宝ビルト 東宝コスチューム 開米プロダクション 亀甲船 スワラプロ スリーエススタジオ 富士通乾電池 グレイショコラ 宗特機 コダック IMAGICA タチカワブラインド 日本エフェクトセンター クレッセント ボーンデジタル 

映像協力 原口智生 小原直樹 梶研吾 鈴木健二 小原直樹 村石宏實 菊池雄一 北浦嗣巳 八木毅
脚本 赤星政尚 
設定考証 谷崎あきら
監督、特技監督 佐野智樹

企画協力 中部日本放送 電通
製作協力 バンダイナムコグループ
製作 円谷プロダクション バンダイビジュアル


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ありがとうございました。




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