[9]ざ・ふぇすてぃばる 「我、覚醒セリ」前編 - 投稿者:イシュ
20XX年…人類は未曾有の危機に陥っていた。悪の組織の暗躍、要人暗殺事件、都内連続行方不明事件、連続変死事件、不死生命体出現、謎の機動兵器襲来ect.ect… 次々と起こる怪事件に地球上の誰もがその未来を諦めたとき、救世主は現れた。鋼の仮面で素顔を隠し、摩訶不思議なモンスターと共に趣味の悪い絵柄のカードを巧みに使い、妖しげ技術の結晶たるハイテクツールを振りかざしてはゴスロリファッションに身を包み、人型機動兵器を駆って異形共をバッタバッタと薙ぎ倒していく。 この物語は彼とその仲間の苦悩と挫折と絶望の物語。 ――ではありません。期待しないでください。
さて、始まったばかりだが俺はいきなり――
子供「おかーさーん、誰か倒れるよー?」 母「シッ、寄っちゃダメよ。人はいつか死ぬものなのよ。」 チッ…このババァめ。勝手に人を殺すんじゃねぇ。……そろそろヤバイけど。 若者「うオッ!腐乱死体かYO!TOKYOは怖いZE!」 ゾンビ以上死体未満でーっす。 ぎゅむっ 細目のロン毛「ん?なんか踏んだかな?」 目つきの悪いノッポ「兄貴、死体を踏んでるぞ。祟られるぞ。」 細目のロン毛「親しみを込めて兄さんと呼べ、弟よ。」 ぐりぐり 目つきの悪いノッポ「12人の妹とでも仲良くしてろ、クソ兄貴。」(スタスタ) 細目のロン毛「マニアックな奴め。」(ぎゅむっ、ぎゅみっ、スタスタ) くそっ、あの蟹ヤロー。完膚無きまでに漢の背中と心意気を踏みにじりやがって。何故蟹かって?気にしない気にしない。 ああ、そろそろマジでヤバくなってきた…走馬燈が。
俺「うわーん!饅頭怖いよー!」 父「バカモノッ!そんな事で世界が取れるかッ!」
父「息子よ、小さな星の話をしようか。」 俺「そこで何故アブない童女雑誌を広げている、親父殿?」
父「飛んでくるボールの番号を当てるんだ!」(ビュンッ) 俺「5ッ!」 父「出鱈目を言うんじゃない!」(釘バット) 俺「えっ、合って・・・ギャァーッ!」
う・・・イカン、親父に刻まれたトラウマと共に天に召されるところだった。俺はまだ死ねない!殺られる前に殺れ!(何を) 「フォオオオオオオオッ!!」(ガバッ) 少女「!?」(ビクッ) むォ、俺の猛々しい咆吼もとい奇声で目の前の女のコを驚かせてしまった。イヤン、恥ずかしい。と、その前にまず弁明しておかないと熱にやられた電波野郎と思われてしまう。 「てな具合に敵を威嚇して意表を突けば、戦場では優位に立てるよ。」 少女「はぁ・・でもそんな大声出したら敵に囲まれません?」 「む、確かに・・・。」 てか何故普通に会話してるんだろう、この娘は。見たところ、日本人とは思えない金髪ロリだが外国人だろうか。しかも学校帰りのセーラー服と来た。こいつぁソソられるぜ。 「で、君は誰?」 金髪ロリ「こっちが聞きたいです。」 「ごもっとも。」 俺の胸まで届かなさそうなちっちゃいナリで随分と大人びた雰囲気のコだな。現実感がないぞ。 金髪ロリ「それじゃ、私はこれで。」
ガシィッ
眼前からクルッとターンして去りゆく金髪ロリの細い足を掴む俺。周囲からは絶対零度の視線を浴びせられ、ヘタをすれば告訴されてしまうがこの際そんなことまで頭が回らない。最高にハイってやつだぜ! 金髪ロリ「・・・まだ用が?」 コイツめ、全く動じていやがらねぇ。 「いや、君はこの状況を見て何も思わないのかね?私のこの様を見たまえ。」 彼女の目に転がっているのは、全身ボロボロで異臭漂う腐乱死体30秒前のゾンビモドキ。つまりは俺だ。 金髪ロリ「・・・・・・。」 考えてる考えてる。無表情だけど。 金髪ロリ「俗世に見捨てられた行き倒れの人生の負け犬・・?」 「うわーい、容赦がまるでな―い!」 キレるぞ、ゴルァ。 金髪ロリ「そんな可哀相なあなたにこれをあげる。」(ゴソゴソ) 「勝手に肯定すんな。まぁ、1/4+1/6-1/9+10%は当たってるけど。」 金髪ロリ「全部じゃん。そんな哀れな子猫ちゃんにはこれを。」(ポイ) 「うわーい。」 って、ロリッ娘に同情されてるぞ、俺。つーか魚一匹かよ!しかも生だよ!!しかし、生命のレッドゾーンギリギリのマイハートはこの恵に食い付く。 金髪ロリ「じゃ、私はこれで。強く生きるんだぞ。」 小さき器の柵を解き放ち(人間失格)生魚に食い付く俺から、金髪ロリは風のように走り去った。つーか何故、生魚を持っていたのだろう。しかも懐から出してたぞ、オイ。 「まぁ、いい。これで常識的に物を考えられる。」 つまりさっきまで壊れてました。 「さて、お目当ての家は確か・・・こっちだな。」 さっきの走馬燈で垣間見せたが、俺は先日まで人里離れた人外魔境で親父と共にサヴァイヴァル生活を(強制的に)していた。しかし晴れて親父の下を脱走・・・いや、卒業して俺は既に懐かしい下界へと下りてきた。 「たった一度与えられた命はチャンスなのだから、もっと有意義に過ごさんと。」 いきなり都会へと下りてきた俺だが、ちゃんと行くアテはある。親父が紹介した旧い友人の家だ。何でも凄腕の医者らしい。しかし、俺はその医者にどうしても言いたいことがある。
友達選ぼうよ
まぁ、俺に言えることではないのだが。そんなこんな言ってる内に例の家らしき一軒家にたどり着いた。しかし・・・。 海の見える丘に立つ一軒家ってのはアレか?ブ○ック○ャックのつもりか?どうやら親父の友人だけあってマトモな神経の持ち主ではないらしい。 このゾンビモドキの有様でここに来るまで、何十何百の人間の注目の的になった俺が言うのは間違っているだろうが。 「ごめんくださーい。」 人間としての最低のマナーとして、入り口と思わしきドアをノックする。
ガチャッ
俺の奏でる美しきノック音に惹かれて開いたドアから現れたのは、本当にこんな人間がいるんだなと思わせる黒縁眼鏡のよく似合う白衣を着た男だ。ははーん、コイツが例の・・。 「こんにちは、変人さん。」
バタンッ
しまった!自分に正直に成りすぎた! 「あぁっ、ごめんなさいごめんなさい!口からポロッと出た真実、いや冗談です!虚言です!ジンクスです!」 最後のは自分でも意味不明だったが、俺の誠意が届いたのか、固く閉じていた扉が開き、あの白衣の男が再び現れた。 「さっきはゴメンね。変態ドクター。」
バタンッ
この口がッ、この口がァッ!見た物の感想を素直に述べるこのピュアなハートがこうも裏目に出るとは迂闊だった。だが、こちらとしても入れて貰わないと困る。 負けられません、勝つまでは。
熾烈な攻防戦を繰り返すこと30分。
変態ドクター「君が善次郎の言っていた出来の悪いロリコン癖のある馬鹿息子か・・。」(眉間をピクピク) 「はぁ・・・。」 死闘の末、やっと中に入れて貰えた。医者のイメージに合った本棚だらけの居間だ。それにしてもあのクソ親父、自分の息子を卑下しまくりだな。ロリコンはテメーだろ。
変態ドクター「私としては君のような無礼者は今すぐにでも放り出して鮫の餌にしたいところだが、奴には借りがあるしな・・・。」 この医者、親父に弱みを握られているな。わかるぜ、その気持ち。2004の弱みを握られている俺にはわかる。
変態ドクター「いずれは君の親父に話をつけるとして、それまで大人しくしていられるなら置いてやってもいい。問題を起こしたら即鮫の餌だ。」 「はーい。」 本気で言っているな、この医者。流石は親父の友人殿と言ったところか。 しかしあの親父と話を付けるとなると何年掛かるか・・・俺だって今どこにいるかすらわからないってのに。
変態ドクター「言い送れたが、私は佐伯だ。医者をやっている。空き部屋がいくつかあるから、そこを君の部屋に割り当てよう。」 「へーい。」 家裁道具や内装を見た限り、住人はそういなさそうだ。多くて2,3人と言ったところか。
変態ドクター改め佐伯「そうだな、この部屋にしよう。多少ホコリまみれだが、そこら辺は自分でなんとかしてくれ、必要な物も自分で集めろ。私は知らん。」 「ふぇーい。」 二階の部屋を案内すると、その入り口前で医者は下へ去っていった。見事な無責任ぶりだ。それに俺の持ち物と言ったらこのボロイリュックと中のサバイバルグッズぐらいだぞ。まぁ。ベッドくらいはあるだろう。
ガチャッ
無かった。
「クソッ、あの医者め!」 リュックを適当に場所に置き、ホコリまみれの床にゴロンと寝転がる。すっかり放置されていたが、俺は死にかけたゾンビモドキ同然の身。体力などもう既にマイナスの域だ。ちかれたび〜。 時計を見ると午後1時過ぎ、夕飯(出してくれるかどうか怪しいが)まで時間があるだろう。寝て英気を養うのも武士の(もののふ)の勤めなり。 「おやふみ、とっつぁん。」
ギッ ギッ
「ん〜・・・。」 木工造りの廊下を誰かが歩く足音で目が覚めたときには、窓の向こうの空色は日が沈んで黒みを帯びてきた。
ギィィッ
続いて隣の部屋のドアが開く音。どうやら他の同居人が帰ってきたらしい。この際だ、挨拶の一つでもしてやろう。 俺は重い腰を上げ、部屋のドアを開ける。
金髪ロリ「え・・・?」 「は・・?」 俺の視界に飛び込んできたのは、小さな二つの山もとい、無い胸を隠したブラジャーもとい、着替え中の先ほどの金髪ロリだった。 何がどうなっとるんじゃい。おせーて、ドラえ○ん。
続く
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2004年08月17日 (火) 23時59分 )
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- RES -
[10] - 投稿者:イシュ
さて、勢いに任せて執筆した自キャラ総出演作ですが、いきなりこんな展開になったのは石の思考故です(開き直るな) どうでもいいですが、この主人公の名前を募集したいと思います。お暇な方はどうぞ。
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MAIL
2004年08月18日 (水) 00時01分 )
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