[36]仮面ライダーREM〜予告プロローグ〜 - 投稿者:壱伏 充
何もかも追い抜いて、誰よりも早く突っ走って、最後はクラッシュしてしまう――連日うなされてきたそんな夢を、その夜も見ていた。
「……状態1の段階で仕留められないかと聞いているんだ」 まどろんでいた私の耳に、医らついた声が聞こえる。そしてパチパチと何かが焼ける音も。 (……この時はまだ、悪夢を見たにもかかわらず飛び起きたりしなかった事を不思議に思うほど、頭が目覚めていなかった) 「分かった。だったらアンタがサポートすべきだろう」 何の話をしているんだろう。つーか誰? ここに来て私は、自分の体が揺れていることに気付いた。 「大体だ、システムに欠陥があるなら製作者が責任を取るべきだろう……待て、切るな、話を聞け」 最近寝不足だから、難しい話はしないで欲しいんだけど……あれ、もしかしてこれも夢? 「よりにもよって長野の山奥だ。迎えくらいは寄越せ。いいな?」 はあ、山奥ですか――って待てそこの人! 「なぁんですってぇ!!」 私は飛び起きて、バランスを崩し何かから転げ落ちそうになった。 「っとと、とっと、とぉ!」 「暴れるな。危害は加えん」 私をあろうことか『お姫様抱っこ』していた声の主は、憎らしいほど慌てず騒がず私を地面に下ろした。 「信用できないわよ……っくしゅ!」 クシャミを一つ。肌寒い。どうやら夢の続きではなくれっきとした現実らしい。認めたくないけれど。 自分の姿を見てみたら、パジャマにスニーカーを履いただけの超軽装で、無意識のうちにヘルメットを後生大事に抱えていた。 あたりはどこかの山奥――声の男の言葉を信じるなら長野県の山中――で、深夜だ。 峠攻めには絶好のロケーションだろう。ロケーションだけで言えば。 月や星の光がやたら綺麗に見えるあたり、山奥の中でも気合の入った部類らしい。 「ちょっと、こんなところに連れてきてどうする……」 私は声の主に噛み付こうとして……不覚にも硬直してしまった。 そこにいた人影が光を発して、姿を変えたのだ。 お姫様抱っこの感触や声の感じから、さっきまでは少なくとも硬めのプロテクターとフルフェイスのヘルメットを着けていたはず……なのだが、光が収まった後に現われた目の前にいる男は、私ほどではないが軽装だ。 安っぽい黒ジャケットの胸元から覗く、派手なアロハシャツ。夜中なのにサングラス。オールバックに固めた髪。そして腰に巻かれたゴテゴテしたベルト――しかも背後では何かが燃え尽きようとする光が見えた。 「長野の山奥くんだりまでバイクを飛ばしたのは他ならぬアンタだ。覚えちゃいないだろうがな」 男はそう言って肩を落とす。声音は若くて理知的で――私はなぜか親しみを覚えていた。 そんな自分に戸惑いつつ、声をかけてみる。 「えーと、何かもう、いろいろと聞きたいことがありすぎるんだけど……それは後々聞かせてもらうとして。 当面のところ知りたいのがイッコ。あなた、誰?」 私の、よくよく考えればダイレクトすぎる問いに、男はしばし考えて、やがて答えを返した。 「――レム、だ。 ならば、こちらからも一つ聞こう。俺に興味を抱いたなら……仕事を手伝ってみるつもりはないか?」 「仕事?」 鸚鵡返しに首を傾げる私に、レムと名乗った男は唇の端を吊り上げた。 「バイオメア――アンタに憑いてたような『悪夢』を狩る。それが仕事だ」
これが、レムと私――那須加奈子との出会い。そして、私たちと「バイオメア」の戦いの――ささやかな序章だった。
【どんな悪夢さえ 手出しはさせないから (Dive into your dream)】
――――たとえこの世界が、朝目覚めたら消えてしまう誰かの夢だとしても――――
「僕は、君を騙したいと思ったことなんか一度もないよ」
【Dream Saver 眠らない街に一人】
――――生き抜くことは、きっと無意味じゃないから――――
「さあ、どこまでニンゲンは粘ってくれるかな?」
【伸ばした指先が 求めたもの】
――――戦う術なき者の代わりに、私たちは戦う――――
「ほら、さっさと行けよライダー!」
【Dream Lover 安らかな寝顔想い】
――――健やかな眠りと――――
「……変身……!」
【風の中 そっと呟いてみた】
――――その先に待つ、明日を守るために――――
「進んでみて後悔するか、二の足踏んだまま後悔するか、だな」
【「今宵貴方はどんな夢を見る?」】
原案・シナリオ・主題歌作詞:壱伏 充 提供:Original Rider Project
[Daydream Believer]
【Masked Rider...REM in dream!】
仮面ライダーREM、近日公開予定!
――――――――See you tonight, in your dream.
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2004年10月15日 (金) 19時18分 )
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- RES -
[37] - 投稿者:壱伏 充
さて、チャットなどで言っていた新小説の予告編兼用プロローグです。 とは言え、ジークVS機動戦隊を完成させないと、当分手出しできそうに無いんですけどね(笑)
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2004年10月15日 (金) 19時19分 )
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