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[190]W企画ノベライズエピソード 第1話「Aの捕物帳/猿を訪ねて三千里」B - 投稿者:matthew

「おっ、おっ、お〜さる来〜い! こっちのバナナはあ〜まいぞぉ〜っ!」
 木造の竿に吊り下げた、ひと房の黄色い新鮮なバナナ。それを踊るように振り回して歌いながら、零太は大通りを闊歩していた。どうやらこれが彼の考えた猿を見つける策、ということらしい。
「き……聞くんじゃ、なかった……!」
 がっくりと肩どころか膝まで落とした雨は、そんな零太を見ていることさえ耐えられずに青い顔でうなだれていた。ところが零太はそんな彼女にお構いナシといった風に陽気に語りかける。
「ほらほら雨姐さん! がっくりしてないで一緒に歌って!」
「誰が歌うか! 寄るな見るな話しかけるなぁ!」
「何言ってんだよ、さあ恥ずかしがらずにっ! さぁさぁ!」
 当然、周りは好奇の目を二人に向けている。その視線が痛いほど雨の羞恥心を刺激し、苛立ちを増大させていく。同時にそれをまるで意にも介さない零太の無神経さが余計に腹立たしくて、腕を引かれながら雨は思わず声を荒げていた。
「っえぇい離せレフト! こんなので猿が来るわけないだろうが!」
「来るに決まってるだろ? 昔っから猿とバナナはワンセットじゃないか!」
「馬鹿だろ、やっぱり馬鹿だろキミ!」
「嘘ぉ!? これ、名案だと思うんだけどなぁ……」
 自らのアイディアに絶対の自信を持っていた零太は、その名案を根底から否定されて目を丸くした。どうやら本気で、猿とバナナがワンセットだからという安易な根拠をアテにしていたらしい。雨はそんな零太のアイディアに眩暈を憶えて額を押さえた。
――やはり、零太の話にわずかでも期待を寄せたのは間違いだったのだ。
「……いくら猿が相手でも、そんな単純なアイディアで引っかかるわけがないだろう」
 呆れたように肩をすくめた雨が、踵を返して立ち去ろうとする。それでも諦めきれない零太は、そんな彼女の視界の隅で不思議そうにバナナと竿を見つめるばかりだ。
「鮮度抜群の水都特産バナナ、最高の餌になると思ったのになぁ……」

 だが次の瞬間――そのバナナだけが一瞬で彼の視界から消え去った。

「え、そ、そんなバナナっ!?」
 うろたえてまともに喋れなくなった零太にさらに呆れた雨が、何も知らずに苛立ったように声を荒げる。
「くだらない駄洒落を言っている場合かレフト、いいから帰――」
 しかし、雨の言葉はそこで遮られることとなる。何故なら、彼女の目の前に現れたからだ。
「キ、ウキャキャッ、ウキャッ」
 バナナを奪い取った1匹の猿――エーテルが。

「……ほら見ろやっぱり来たぁああああああああッ!!」
「ウキーーッ!!」
 エーテルは零太の大声と同時にぴょんぴょんと飛び跳ねながら、二人の前からあっという間に逃げ去っていく。さすがは猿、1匹といえどもその身軽さは侮れない。ぼやぼやしているうちに距離はどんどん離れていくばかりだ。しかし零太はそれよりも、自分の策が間違っていなかったことのほうに興奮して雨ににじり寄る。
「ね、ね見たでしょ雨姐さん! 僕やっぱり間違ってなかったでしょ、ね!? ねって――あいっだぁ!?」
「そんなことを言っている場合か! 追うぞ!!」
 本来の目的を見失った零太に平手打ちを決めた雨は、一人さっさとエーテルを追って走り出した。さっきまでの諦めはもう彼女にはない――報酬という誘惑を前に、いつの間にやら雨のやる気は零太以上に燃え上がっていたのだった。
「あ、待って、待ってってばぁあ!!」

( 2010年05月16日 (日) 21時00分 )

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