[162] 「公」とは何か |
- 念のため - 2005年05月17日 (火) 16時20分
確かに公子さんの言うような意味も、公と私という言葉にはありますが、論点とする場合は、普通、その意味では公私という言葉を使いません。例をあげて考えてみましょう。「国家や組織に奉仕する「公」」とありますが、国や組織がある特定の個人や企業の利便を図って行動している場合、その国や組織に奉仕することが、はたして「公」と言えるでしょうか? ある独裁者が国政を自分の好き勝手に動かしている場合、その独裁者に忠誠を捧げることが「公」と言えるでしょうか?
「公」「私」という漢字はもともと中国から来た漢字ですが、中国では、「公」は「公平」という意味が強い言葉です。ですから、皇帝のやっていることが不公平だと考えられると、その皇帝は、公から私(偏私)になったと判断され、皇帝の座から引きずりおろされてしまいます。近代になって西洋から自由平等の考え方が中国に来た時、「自由平等とは、公のことである。公をもって政治をしているので西洋は栄えているのだ」という説明がなされたこともありました。
公私について議論をする時は、普通は、西洋的な意味で公私という言葉を使います。そこでの公とは「公共」という意味で、人と人の間のつながりのことを指します。公とは、「みんな」のことだ、と言いかえれば、わかりやすいでしょうか。国とは、そもそも、みんなのためのものです。つまり、公とは、国に奉仕することではありません。国が、公に奉仕するための機関なのです。そこの所を間違えてはいけません。
以上、公と私、という言葉についての簡単な解説でした。これで、公子さんの疑問に答えたことになれば良いと思っています。
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