mvunitさん、こんにちは。
「グランプリの鷹」はリアルタイムで観ていた作品ですが、正直ストーリーはまったく記憶に残っていません。一発寛太くんさんと同様、クラッシュの前身火傷から生還した男、ニック・ラムダ=ニキ・ラウダの存在が全てだったような気がします。こういうジャンルにとって、いかにスーパースターの存在が大事かということ、そして(「ルパン三世」の第一話なんかもそうですが)当時のモータースポーツはどこかでクラッシュを期待されている、残酷ショー的な要素があったということを物語っていると思います。
恐らくこの作品の元ネタになっているであろう作品として、1973年の実際のF1グランプリに取材したドキュメンタリー「F1グランプリ 栄光の男たち」という映画があります。日本でも当時公開されて大人気になった作品ですが、「グランプリの鷹」の放映より先だったかどうかはわかりません。でもこの作品もレースの残酷ショー的な一面を強調した作り方やプロモーションがなされており、クライマックスではクラッシュで一人のレーサーの命が失われ、そしてエンドロールの後で、作品内でインタビューを受けていたレーサーのほとんどが取材後のレースで事故死していることが告げられて映画は終わります。「グランプリの鷹」がシリアスな情念の渦巻く作品になったのは、この映画の影響のような気がしてなりません。なお、この作品のために自身のレースを捨てて車載カメラ(今とは違って巨大なものです)を載せての撮影に協力したのが、まだF1ドライバーとして駆け出しだった頃のニキ・ラウダその人でした。