天皇陛下への課税を議論する愚 (6064) |
- 日時:2017年04月29日 (土) 21時26分
名前:童子
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今上天皇が生前譲位されると、皇位は皇嗣に引き継がれます。
すると皇室経済法第7条によって、三種の神器他、皇位とともに伝わるべき由緒ある物が皇嗣に引き継がれます。
だから継がれた次の天皇に贈与税が発生するのではないかという議論があります。
実にとんでもない議論です。
なるほど日本国憲法は「国民」に「納税の義務」を課しています。
しかしそれは「国民」に対するものです。
これは日本国憲法第30条に基づきます。
第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
しかしここでいう「国民」とは「国の民」のことです。
天皇は「民」ではありません。
履き違えもいいところです。
贈与税が発生するのではないかという議論は皇室経済法第七条によります。
皇室経済法 昭和22年1月16日法律第四号
第七条 皇位とともに伝わるべき由緒ある物は、 皇位とともに、皇嗣が、これを受ける。
このことが「法的に生前贈与にあたる」から贈与税が発生するのではないかというのが、その議論です。
昭和天皇が崩御されたときは、相続税法12条が、上にある皇室経済法7条で定める物については非課税としていることから、三種の神器をはじめとした皇室の国宝級の品々は非課税となりました。
ところが本の印税や原稿料などの収入は課税対象になるとされ、今上陛下は約4億円を納税され、同じく相続のあった香淳皇后は、配偶者控除によって非課税となりました。
ところが、このことが「天皇にも納税の義務が発生する」という悪しき先例となり、いま、皇室経済法7条によって、皇位とともに伝わるべき由緒ある品々が法的に生前贈与にあたるから、贈与税の対象となるのではないか、という議論がまことしやかに囁かれているわけです。
しかしそもそも、天皇は憲法上の存在でも、法律上の存在でもありません。
憲法や法律ができるよりもずっと前から存在していた我が国のオーナーであり所有者であり、国家最高の権威です。
憲法を含め、法には、「法律不遡及の原則」があります。
つまり、憲法や法以前の存在である天皇に課税など、そもそももってのほかです。
・・・・・
>ところが本の印税や原稿料などの収入は課税対象になるとされ、今上陛下は約4億円を納税され ・・・
これは知りませんでしたね
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