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[509]ベルさんへ 投稿者:岡山の内科医

投稿日:2006年02月22日 (水) 12時30分

>このニュース少し前に私も読みました。
明らかな医師の技量不足による医療過誤と思います。

はじめてメールさせていただきます。この件に心底腹を立てている医師の一人です。どうも事実誤認があるようなので、やむにやまれずメールしました。
「なぜ、全国の医師の大半が怒りをあらわにしているか」ということをご理解下さい。この件は加藤医師の技量不足によるものではありません。医学臨床の前線に立つ、普通の感覚を持つ医師が、「この件で主治医の責任を問うのは酷」と思うケースなのに、有無を言わさず刑事事件として逮捕に至ったという異常な事態に対して怒っているのです。確かに、女性が一人亡くなった事実は非常に重いし、ご遺族の方の悲しみも痛いほど分かります。だからといって、僻地で孤立無援のまま、命を削るような激務に耐えていた加藤医師を、単に「明らかな技量不足」で切り捨てるようなことは、同じく医療現場で体を張っている人間には到底我慢なりません。

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[510]確かに投稿者:内科医
投稿日:2006年02月22日 (水) 13時02分
>このニュース少し前に私も読みました。
明らかな医師の技量不足による医療過誤と思います。

ニュースを見る限りではそうとられる方も出てくるかもしれません。
逮捕されると言うことは当然納得のいくことではありませんが、ニュース自体にも問題があるのではないですか。

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[511]投稿者:ベル
投稿日:2006年02月22日 (水) 13時51分
ありがとうございます。私も今冷静にこの事件を振り返り、同考えても刑法適用というのが納得しません。遺族にとっては例え不可抗力な出来事で、その死については認めても死に至るまでの過程については得たいもの。そういう意味では、裁判外で協議するシステムのない現在では、民事訴訟という手段に頼らざるを得ない部分は仕方のない事とは思いますが。
この事件は日本の産婆文化と医療の高水準化によるギャップの犠牲なのかなぁと言う気がしています。産婆文化の日本人は日本の高度医療水準が助産院や開業医にまで備わっているような誤認をしているような気がします。助産院や開業医レベルでの分娩はなくして診療のみとし、分娩はセンター化を進め、十分な設備とマンパワーの元で行なえるようにならないと、中途半端な設備では必ず遺族に「もし病院に輸血が備蓄していたら」とか「速やかに搬送すれば。」という心残りが現れ、僻地医療で働く医師ほど犠牲になり得る状況が益々増えると思っています。

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[514]なんだか。投稿者:イチ医学生
投稿日:2006年02月22日 (水) 17時54分
福島の事件のことをいろいろ見ているうちにここにたどり着きました。だいぶここの掲示板読んだのですが・・・ベルさん、ちょっと考え方がおかしいような。周産期センター建てるのはいいですが、そうなると「僻地」の方はどうするのかと。産婆さんですか?「周産期センター」に集めれば集めるほど全体的にはお産のリスクが上がると思います。周産期センターなぞできるところには元々大きい病院があると思いますので。私は医療経済には詳しくありませんが、このようなセンターを都道府県に複数個作れるとは思いません。それに、お産というのはできるだけ地元で産みたいものだと私は思っていたのですが。まぁ現在の政府の政策には合致していると思います。

私も産婦人科は遠慮しときます。ただ現在の状況を考えると、将来産婦人科医は苦境をものともしないやる気のあふれる方ばかりになっており、それはそれで妊婦さんにとっても良いのではないかと思います。・・・いざ陣痛が始まっても
看護師「分娩室は明後日の15時まで予定でいっぱいです」
なんてね。

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[515]イチ医学生さん投稿者:ベル(あかいふうせん)
投稿日:2006年02月22日 (水) 20時21分
コメントありがとうございます。
「おかしい。」って言われちゃうと返す言葉もないのですが、私は医学生でも医者でもないので、みなさんのように複雑に絡む現実の問題というのも確かにまだまだ勉強不足です。
ところで、仰ることは最もだと思います。地元で産みたいというのも当然ですし、それどころか自宅で産みたいという人も少なくないでしょうね。具体的に医者も患者もできるだけ安全にお産が迎えられる体制についてお考えを伺えたらと思います。

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[517]安全にはお金がかかると言うことです投稿者:神奈川の産科医
投稿日:2006年02月22日 (水) 23時23分
この医師が事前に癒着胎盤に気づかなかったことは判断ミスである可能性もあります。なにせ、部分的な情報しかありませんから。
とはいえ、帝切で子宮を切るまで全くわからない癒着胎盤もあります。そして、ひどい場合は5分で5リットル(人間の全血量)出たりすることもあるようです。こんなのに当たったら、まず救命は無理です。
9年目とはいえ、たった一人で200のお産、毎日の外来、婦人科の手術では勉強する暇もなかったでしょう。やはり、産科医個人の責任にするには無理があります。
この事件をきっかけに私の病院でも産科の閉鎖が具体的になってきました。5年もしたら、お産をする場所は無くなっているでしょう。無理を承知で少人数でやる開業医か巨大な周産期センターに分化することでしょう。
周産期センターを建てるということが意味することは、僻地でのお産を認めないと言うことです。近くに安いホテルを建てたりして、僻地の人は都会に来てもらうことになります。
命を助けるためにお金を使うわけです。もちろん、国が全面的にバックアップするなどの経済支援が必要です。
その状況でも僻地で産む人は、ある程度の危険を受け入れると言うことになります。そうですよね?ベルさん

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[518]投稿者:いち麻酔科医
投稿日:2006年02月22日 (水) 23時46分
「僻地」「公務員体質の公立病院」「年々高まる『市民』様の要求」「一人体制を放置する県立医大と福島県」「公立病院の決して高くない報酬」「労働時間の過酷さ」…

これらのファクターを加味すると,たとえ癒着胎盤が予見できなかったことを「ミス」としても,情状酌量の余地はいくらでもあります。
それを「逮捕」という形で幕引き記した警察を含めて,福島「県」というものそのものに問題があると解釈せざるを得ません。
あとは他の先生方が言うように,癒着胎盤を予測することは難しいです。
更に,子宮摘出を選ぶべきだった,と他人事のように言うことには怒りを覚えます。
自分が経験した症例で,28歳の帝王切開のあと、用手的に剥離したにもかかわらずDICとなり、逆上した父親と主人を何とか説得して要約子宮摘出に至った…それでも訴訟寸前までいった…と言うことがあります(三人めだったから良かったような物で,初子だったら訴訟ものでしたでしょう)。

一番憎むべきはこのような体制を放置し,医師個人の責任で解決しようとする「福島県」という存在ではないでしょうか。
あとは、世界一といってよいほど安い医療費で,世界最高レベルの(先端医療はともかく,普通の「市民」に対するもので)医療を提供していることが「当たり前」で,「ちょっとしたミスでも絶対に許せない」ということになれている「市民」様にも問題があるのではないでしょうか。
この流れでいくならば,周産期・妊婦死亡率が100年前の水準に戻っても良いか,完全自由診療となり「安全確実なお産をしたいなら,家を売れ」の世界になることを甘受しているとしか思えませんよ。

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[521]神奈川の産科医さん投稿者:ベル(あかいふうせん)
投稿日:2006年02月23日 (木) 00時14分
「その状況でも僻地で産む人は、ある程度の危険を受け入れると言うことになります。そうですよね?ベルさん」
う〜ん、危機を受け入れるというよりは、最新医療を選択しない、これまでの医療レベルでの選択、古来医療の選択ということにでもなるのでしょうか!?なんだか上手い言葉がみつかりませんが、そういうことを意味するんでしょうね。悲しいですが、僻地の方にとっては金がないと高度医療を受けにいけないという事も意味してしまうのかも知れません。もちろん先生が仰る国のバックアップ如何でしょうが・・・。

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[525]投稿者:いぱん
投稿日:2006年02月23日 (木) 01時06分
周産期センターを作りバックアップ体制を充実させるということは、いままで1人で診てきたところを2人3人で診ることになるわけで、確実に安全性は上がります。今回の例のような場合も救命率は上がります。医師も寝られるし、逮捕もされにくくなるでしょう。

で、マンパワーは簡単に2倍3倍になったりしませんから、当然周産期センターのベッドを取り合うことになるわけです。フェアなのが金、それ以外にコネ・暴力などでしょうか。外国に行くというのも選択枝に入ってくると思います。

あふれた人は医師のいない、昔の医療に戻ります。医師無しの出産が一般的だったのは昭和20年代以前で、自宅と施設の出産が半々になったのが昭和35年です。

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai03/toukei2.html

助産師の技術も進歩しているので60年以上前のレベルになることは無いと思いますが、確実にリスクは上がります。社会全体が産科医を減らす要因を作り、なおもそれを加速させ続けているのだから、結果は受け入れるしかないでしょう。



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