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[278]VBAC 対 帝切 投稿者:公務員医師です

投稿日:2005年03月12日 (土) 08時36分

公立病院に勤務する医師です。たまたま検索で見てよらせて頂きました。私たちも、患者さんに優しい医療を心がけているつもりです。
当方は、周産期センターを持っておりVBACに対応するためのセットアップをしていますが、やはりVBACは、患者さんの意志が最も大切な事です。非常に稀ですが帝切既往がない方の、自然分娩でも子宮破裂は起こります。陣痛促進剤を使用しなくても自然破裂した患者さんは、以前の中絶術後の経過が悪かったり、胎盤の異常、筋疾患があったりと何らかの原因がある場合もありますが、先天的な子宮の異常で、という事もあります。(稀なことですので普通は心配する必要はないと思います。)

せっかくVBACできるチャンスがあるのなら、その希望に沿ってできる
だけ安全に対応する、というのが現在の医療の水準です。
(このHPに記されているよな説明をして頂ける病院でお産する
というのが大切ですし、説明もなしに帝切、VBACを決められるのは
現在の水準からははずれてきていると思います。)

以下に記すことも稀なことですが、医師としての経験として
このような事もあると言うことを知って頂きたく記します。

まず、2回目の帝王切開は、1回目の帝王切開よりも若干ですが危険性が高くなります。一つは、このHPでもコメントされている血栓症です。日本で分娩中〜後に無くなっている方のうち、帝切後の血栓症は増加しており、特に2〜3回目の帝切が日本で亡くなられた妊婦さんの一部の方々の背景にあります。次に出血です。初回帝切と反復帝切の出血量は、個人差もありますが、2回目は、かなり多くなることもあります。出血に対して全身のコントロールのしやすい安全な全身麻酔をする施設も多くなりました。輸血以外の方法では対処できない事も時にあり、2回目帝切では、約1〜2%が輸血になるとも言われます。さらに、2回連続で帝切し、その後妊娠した方で前置胎盤や癒着胎盤という病気も増加し、その場合3回目の帝王切開では子宮を摘出する必要性も出てきます。この2つの点はあまり説明をされていない事が多いので注意が必要です。また米国の研究でもこの点の検討は抜けています。そのほか、臓器損傷、腸閉塞などの合併症も増加します。(少数例ですので医師側も説明を省くことが多いのですが。)

児への影響ですが、予定帝切では(初回帝切でも)自然分娩に比べて呼吸器の合併症が出ることが多くなります。約5%の児は、一過性多呼吸という一時的な呼吸障害で、酸素を使用する必要性が出てきます。生命に危険を及ぼすものではありませんが、注意が必要です。特に37週5日前に予定帝切すると、この呼吸障害が増加しますので、通常はそれ以降に手術日を決めますが、予定日が正確であるという前提でしか言えません。また、37週以降になると、普通でも陣痛が自然に始まる可能性がありますので、予定が急に変わり緊急で帝王切開をする場合が出てきますので、できればいつ手術になってもいいように、あらかじめ入院あるいは少なくとも手術のための検査等を全てすませておく必要があります。(予防的な入院や検査であり、本来は保険が使えないため、入院をしない病院もあります。)陣痛がついたり破水後ある程度時間がたってから帝切した場合は、赤ちゃんの呼吸障害の率がぐっと減りますのである意味では安心です。帝王切開の影響は、学童期まで続くという研究結果もあるようですが、私自身は詳しく理解できないのでコメントは控えますが、いずれ明らかになるかもしれません。

帝切、VBACどちらが絶対安全という事が無いことですが、先述のように自分が一番納得できる選択をすることです。現代は多くの方が帝王切開で分娩されます(初回妊娠で)。できるだけ自然分娩ができるように妊婦さん、これから妊婦さんになる方が努力できることも多くあります。
最初の帝王切開を極力減らすことが、VBACや反復帝切のリスクを少なくする第1歩と思います。

多忙ですのでまた掲示板に戻れるかどうかわかりませんが、一医師の独り言として、少し心の中に留めて頂ければ幸いです。
最後に、ご自分のご家族を失った深い悲しみの中で、他の方へのご助言をされ、このような立派なHPを維持されている管理人さんに賛同と敬意を表したいと思います。

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[279]ありがとうございます投稿者:管理人ベル
投稿日:2005年03月12日 (土) 23時24分
ようこそ。貴重なご意見ありがとうございます。
リスクという観点から見ると、確かに先生の仰るとおりです。

ただ、VBACに関しては、リスクはそれだけに留まらないということを学びました。

我が家のように万が一の事態が起こったとき、現行のガイドラインがないという状態が、医療裁判を起すときに、法の下に裁きがあり平等な判決を下すという日本の裁判のスタンスでは、非常に病院側に有利に働きます。

更に、VBACでの子宮破裂は前回創部の破裂でなくては、因果関係が否定されること、証拠(カルテ含め)は全て被告が持っていることなど、万が一の事が起きた後のリスクを考えると、例え1%とは言え手放しでは勧められないと言うのが本音です。

ただ、それとどちらが母体や児にとって安全か?というのは別の話なので、このサイトではそう言った観点から情報提供しています。

また、時間があったら宜しくお願いします。

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[280]そうですね。投稿者:公務員医師
投稿日:2005年03月13日 (日) 08時44分
当直空けで丁度来れました。わざわざお返事ありがとうございます。
>万が一の事態が起こったとき、現行のガイドラインがないという状態
そうですね。万が一の事がおこるというのは、どのような分娩でも
(自然分娩でも帝王切開でも)あることですが、このような場合には
こうするのが安全性が高いというルール作りは、日本でも少しずつ始まっています。例えばVBACについては、(日本産婦人科医会では)ここのHPで書かれているものとほぼ同じです。さらに病院によってはより厳しい条件を加えている場合もあります。1%は「万が一」ではありませんので、1%の子宮破裂のうち、母体や児に最もリスクの高い完全破裂と、比較的リスクの低い不全破裂があります。不全破裂は陣痛がくる前に起こるものもあります。別の理由で陣痛がくる前に帝王切開してみたら、赤ちゃんの髪が見えるぐらいに子宮の筋肉が薄くなっていた、というのは時に経験されます。1回目の手術時に子宮を縫うときに、1層で縫う施設と、2層で縫う施設があり、その違いがあるかないかという議論がされています。
しかし帝王切開したら、血栓症で亡くなってしまった方々や出血が止まらず子宮摘出をされた方々などは、万が一がその方に起こってしまった事になります。血栓症は現在血栓症対策で少なくなりましたが、それでも全国のどこかで対策後の患者さんに起こっています。お産や手術に関わる合併症は、率ではなく、その患者さんに起これば100%です。しかも妊娠分娩では、1000人の妊婦さんがいらっしゃれば1000通りの分娩があると良くいわれるぐらい個人差があります。(先端医療を担う若い医師も大事ですが、経験豊かな老齢の医師も必要です。)
個人差の大きい医療分野では、どのようにしてこれから安全な医療を提供していったらいいのか、ということで沢山の事が山積みされています。統計的により安全だから選びなさいといわれても、それに合わない少数側の方々を見過ごす事はできません。フローチャート式の医療ガイドラインがその例ですが、中途半端なガイドラインが施行されると、多数決の原理で捨てられる少数例の特殊事情の被害者が出てしまいます。
(今厚労省などが重視して進めているエビデンス医療というのは、結局多数の方を選択する原理です)
またさらに話を難しくしている事として、社会の常識と医療の常識のずれが生じている事です。
例えば、臍帯が首に巻き付いていたら危ない、といわれる事があるかもしれませんが、そんな事はありません。一般の方々は、首にまくというとあたかも赤ちゃんが首を締められるので危険というイメージもあるかもしれませんが、そもそも3割〜4割の赤ちゃんは自然に臍帯を首に巻いて生まれてきます。赤ちゃんの心音をみていても、首に巻いている方が危険だという事はありません。むしろ、赤ちゃんが何らかの形で動いて手や足で臍帯を引っ張ったりして心音が下がる事があり、こちらの方が危険性があるといわれています。しかし赤ちゃんに手足を動かすな、とは言えないのです。生まれる前に超音波で首に臍帯が巻き付いていても、実際に生まれるときには無かったり、逆の場合もしょっちゅうです。これは、赤ちゃんが動くためです。生まれるときに体が下がり、ループが外れてしまう事が起こります。ですから、超音波で臍帯が首にあっても、何らびくびくする必要がありません。
昔は、赤ちゃんの状態がおなかの中で心音が急変した際に、出てきた赤ちゃんに臍帯けんらくがあると、原因をそのせいだ、と言う安回答があったかもしれませんが、3割以上の子にみられる現象ですから、心音が下がる事と一緒に起こっていただけであるというのが最近の知見です。
4月から個人保護ガイドラインが施行されますので、管理人さんが書かれているような医療側だけに有利な状況が少しでも改善されるかもしれません。また医療裁判では、医療の常識が裁判の常識になっていない事が大きな問題です。判決を下す方々の知識不足が招くものです。
しかし、このような問題を解決するためには、医療の側からの十分な情報を提供し十分に説明をすることと、医療側だけに任せないで判断するための患者さん側の努力も必要になってきます。お互いに共通の理解にたって、お産をできる環境づくりが必要です。
そのためにも、ここのホームページでは、正確な情報を提供していただいおり、医療側からみても貴重な存在だと思います。今後もぜひがんばってください。(裁判の事は詳しくはわかりませんし、コメントすることは控えさせていただきますが、今後の医療の発展につながる良い方向へ向かう事をお祈りします。)長文乱文で失礼しました。

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[281]投稿者:管理人ベル
投稿日:2005年03月13日 (日) 11時21分
『しかし、このような問題を解決するためには、医療の側からの十分な情報を提供し十分に説明をすることと、医療側だけに任せないで判断するための患者さん側の努力も必要になってきます。お互いに共通の理解にたって、お産をできる環境づくりが必要です。』

先生の仰るとおり、とても重要なことですが、

実際にはなかなか患者と医師が腹を割って話す機会を持つ事は難しく、

こういった掲示板を通じて医師と患者さんのコミュニケーション取れて、

それをきっかけに掛かり付け医との信頼関係の構築へ繋がればいいなぁと思います。



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