ゾイド系投稿小説掲示板
自らの手で暴れまくるゾイド達を書いてみましょう。
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「その機体はもう動けません。これ以上痛い目に遭いたくなかったら、大人しく投降しちゃって下さ〜〜い!」レッドホーンは、ズタズタに成り果てたグランチャーに下顎の濃硫酸砲と肩の2連装機関砲を向けていた。頭部の損傷は目立ったものではないため、パイロットがいるならば生きている可能性は高い(勿論、尋常じゃない衝撃は避けられないため脳震盪は覚悟して貰うのだが……)。生け捕りにするには絶好の機会だ。レッドホーンは、油断の無い足取りで一歩前に踏み出した。リアンの全身の毛が逆立ったのは、その時だった……!「これは……!?」ティアとウィルは、突然モニターに表示された数値に仰天していた。倒れているレブラプターや墜落したプテラス、そしてレッドホーンの前に横たわるグランチャーのコアが、それぞれ異常な数値を示し始めている……「総員、直ちにフューラーとブレードライガーの後ろに下がれ!!!」途端に、リーファが指示を飛ばす。数秒後、夜の砂漠に巨大な轟音と火柱が立った……!!同時刻、メルクリウス湖中央、カルミナ大公国軍オリンポス山駐屯基地……「ヴィステリオ大佐!只今ミナス郊外、北部砂漠地帯にて熱反応が確認されました!!」宛がわれた執務室で作業していたセレナは、突然の報告に顔を上げた。「砂漠地帯に熱反応……?」数秒思案したセレナは、即座に椅子から立ち上がる。「直ちにセイバータイガー、モルガ、レブラプターで2個中隊を編成、現場に急行しなさい!」同時刻、ニケアコロニー近辺、砂漠地帯……「了解した、我々も直ちに現場に向かう。」アムンゼンは手短に了承すると、グスタフに設けられた司令室に入った。「中佐……?」付き従っていた士官が訝し気に尋ねる。「これより我々は予定を変え、ミナスに向かう事になった。オリンポス山駐屯部隊と合同で緊急調査に入る故、早急にパイロットを叩き起こしておく様に。」昼間から働き詰めなアムンゼンだが、その様子を微塵も感じさせていない。その並外れた精神力と的確な言動を目の当たりにした部下達は、まるで電撃に撃たれた様に直立不動の態勢を取る。「了解、これより我々はミナス北部砂漠地帯に向かいます!!」部下の行動を見届けたアムンゼンは、そのまま踵を反した。「私も行こう、エレファンダーの整備を頼む……いつでも出撃出来るよう念入りにお願いしたい。」.轟音が静まると共に、高く舞い上がった砂煙が次第に晴れていく。その砂煙の中で、光る眉の様な壁が2つ………「間一髪だったわね………まさかグランチャーがスリーパーもろとも自爆するなんて考えつかなかったわ…………」ミントのフューラーは、左右のバスタークローを展開してレッドホーンの前に飛び出していた。「リアン、大丈夫??」[は・はい……ミントちゃんに助けて貰いましたぁ………]通信機からは、胸を撫で下ろすリアンの声が聞こえてきた。「誰だか知らないけど自爆装置まで付けてるなんて、こいつらをけしかけた奴は中々用意周到ね……」先程の砂煙は、転がっていたスリーパー・レブラプターやスリーパー・プテラスが一斉に自爆して発生したものだった。数が多い上に、明らかに1機1機の爆発の規模が大きかった。これは何かが仕掛けられていたとしか思えない……「……とにかく戻ろ、もしかしたらまた何かあるかもしれないしさ………」「やってくれたな畜生……!!」ヴァイスは、シールドを展開したブレードライガーのコックピットで舌打ちしていた。「おいレナード、生きてっかぁ?」ヴァイスは、真後ろにいたレナードとコマンドウルフを一瞥する。どうやら目立った損傷は無いらしい。「どうやら、コア直結型の自爆装置が仕掛けられていたらしいな……」「誰だか知らんが、よっぽど身元や出所を知られんのが嫌な奴みたいだ。投入したスリーパーをみんな吹っ飛ばしてやがる………腐ってんな!!」苦虫を噛み潰した様な表情で、ヴァイスは毒づいていた。「……いや、収穫はあった。」だが…突如レナードの放った一言で、その場にいた全員の視線が釘付けになっていた。コマンドウルフの口には、先程食い千切ったレブラプターの頭がぶら下がっていた……!「とにかくこれを持ち帰る。早急に中身を解析させよう………」レナードは短く言い切ると、先に立ってティアマトーに歩き出した。「あいつ……柄にも無くムキになってんな、どーしたんだよ………」戻っていくコマンドウルフを見ながら、ヴァイスは訝し気に呟いた。ビー、ビー、ビー、ビー………ブリッジから緊急連絡が届いたのは、その時だった。[直ちに全員舟に戻れ。この騒ぎを聞き付けてカルミナ軍が押し寄せてくるぞ!]声の主は、リーファだった。「カルミナ軍が………ち、ミント!嬢ちゃんも引き揚げるぞ!!」リーファの言わんとしている内容を即座に理解したヴァイスは、次の瞬間には指示を飛ばしていた。「り・了解です……!」リアンは、踵を反してレッドホーンを緊急発進させる。フューラーとブレードライガーもその後に続いた。「この辺りはミナスの目と鼻の先、つまりはオリンポス山駐留軍の管轄ってわけだ……あそこは規模がでかい、ぐずぐずしてると連中に取り囲まれるぜ。」ブレードライガーから降りたヴァイスは、ミントやリアン達に状況を説明し始める。「それだけではない。現在オリンポス山には、とんでもない連中が駐留している……」遅れてコマンドウルフから降りてきたレナードが、更に口を紡いだ。「とんでもない連中……?」「誰ですの……?」続いて、エレベーターから降りてきたシュウとジュリアが首を傾げた。「……ここで話すのもなんだ、一旦ブリッジに集合する……そこで改めて話そう。」しかしレナードは、まるで警戒するかの様に口をつぐんでいた。「とんでもない連中か……確かにあるかもしれんな………」全員がブリッジに集まった後、事の次第を聞いたリーファは考え込む様に唸った。「艦長…知ってるんですか?」意外な返事に、ミントは目を丸くして驚いた。「あぁ、心当たりはあった………昼間、お前達と合流する前にオリンポス山頂に向かってホエールキングが飛び去っていくのを見た。その時に見えたのさ……カルミナ軍第16独立大隊のマークがな……!!」リーファの言葉を聞いた途端、今まで黙っていたムンベイが弾かれた様に立ち上がっていた。「第16独立大隊ですって!?」「なるほど……やはり艦長も見ていたか……」レナードが、抑揚の無い表情でリーファを見る。「第16独立大隊って……まさか、あの……」一方、一同はリーファやレナードの放った[第16独立大隊]という言葉に困惑を隠せずにいた。「そう……カルミナ軍きっての名将、[セレナ・リィン・ヴィステリオ]と[ウォルター・アムンゼン]の指揮する師団だ……!」そして……レナードの放った言葉が、ブリッジにいた物達を戦慄させていた!「……直ちに潜航、地下水脈を辿りつつ砂漠から脱出する!!」そんな中、沈黙を破ったのはリーファだった。(セレナ……よもやあいつが出てくるとは、ここでぐずぐずしているわけにはいかない………!!)
夜明け前……独特の重苦しい声と共に、1隻のホエールキングが朝日を反射しながら砂漠に舞い降りる。その胴体には、青い盾と白い剣を重ねた独特の紋章が刻まれていた…カルミナ大公国軍、第16独立大隊を表すマーキングだ。「この地点です、大佐。」艦長席に座るオーガスタス・ダロム少佐は、隣に腰掛けるセレナに声をかけた。しかし、モニターに映るのは、右往左往する調査員達。そして未だに燻っているレブラプターやプテラス、グランチャーの残骸ばかり。「付近数`内に移動する熱紋反応は確認出来ません。熱源はこの残骸群からの様です…どうやら一足遅かったみたいですね……」観測員が落胆した様に肩を落として呟く。しかし、セレナとダロム少佐は何故か険しい表情を崩さなかった。「グランチャーの残骸……妙ね………」(セレナ)「我が軍でも、特殊部隊にしか配備されない機体がこんな所に……しかも3機…………」(ダロム)2人は、本来ならば正規部隊に配備される筈の無いグランチャーの残骸に何故か引っ掛かるものを感じていた……やや送れて、ブリッジの通信機が鳴り始める。近くにいたゴドウィン・デクスター官制官がそれを取り、素早くセレナの手元に持って行く。「大佐、アムンゼン中佐から連絡です。」..[なるほど、グランチャーでしたか……]通信機越しに聞こえるアムンゼンの声は、普段と変わらず抑揚の無い響きを見せていた………しかし、セレナはかつての師の口調に僅かな違いを感じていた。「……今回の件…中佐は、どう思われますか?」「そうですね………推測の域を出ないが、何らかの形で特殊部隊が動員されたのは確かと思われます……そして、ある理由から出所を隠す必要があった………爆発の経過を見る限り、装甲の内側から弾けた形勢が見られます。恐らく内部機関のどこかに自爆装置が組み込まれていたのでしょう………」自らも分析をしながら、アムンゼンはセレナとの会話を続けた。「装甲の融解具合から見て、かなり強力な炸薬が使われている模様です。機体の所属ナンバーや中枢機関が完全に破壊されている……」[では……彼等が追い求めていたのは一体……]聞こえてくるセレナの声も、かつてない緊迫感に満ち溢れていた。「これだけ入念に爆破しているとなれば、現時点では特定には至らない…恐らく解析班に回してもさしたる結果は期待出来ないでしょう……ただ言えるとしたら、差し向けた連中は目標の確保、または殲滅に失敗。逃げられてしまったという事くらいですね………」彼等が追っていたのが何者かは解らない……しかし、只事とは思えない………セレナは、胸の内に広がる違和感を噛み締めていた…….(ねぇ、リーファ……こういう時、貴女だったらどうするのかしら……?)
朝日が昇る中、オアシスの巨大湖から赤い影が浮上する。ドラグーンネストだ。巨大な舟影は、あちこちから雫を滴らせながら湖岸に這い上がる。.「水面浮上、上陸に移ります。」ブリッジに聞こえるティアの声と共に、ティアマトーは陸上に乗り上げた。同時に、折り畳まれていた脚が大地に迫り出す。「潜航形態から歩行形態にチェンジ。システム、オールグリーンです。」「それじゃ、これからミューズ森林地帯に行くのですか?」朝食を頬張ったリアンは、ミント達の行き先を聞いて仰天していた。「うん……今は廃墟になっちゃってるけど、アルトハイムは縁の深い所だからさ……何か放っとけないんだ………」パンを切り分けながら、ミントは思案する様に呟いた。「そっか……ムンベイさんはこれからガイガロス(エウロペ大陸南部、ガイロス帝国首都ヴァルハラの姉妹都市)に行くみたいですから、ミントちゃん達ともお別れですね………」明らかにしょぼんとした雰囲気で、リアンはテーブルに突っ伏した。「そうなりますね……ちょっと寂しいですが、行き先が違いますから必然的にサヨナラです。」シュウも、いつもより肩を落としている様子。「残念ですわね……せっかくミントのお友達とお近づきになれたのに。」そしてジュリアも、溜息を尽きながら水を飲んでいた。「あ、それなら心配しなくて良いわ。リアンは今日から風神騎士団の一員になるし。」だが……ムンベイが唐突に放った一言に、ヴァイスとリーファ、レナードを除く全員が硬直していた。「はぇ……?」(ミント)「何ですって……??」(ジュリア)「嘘……」(ティア)「今何て言いました……?」(シュウ)「……ほぅ?」(レナード)「そうか、それはまた……」(ウィル)「はわわわわ!」(リアン).「いやぁ、昨夜寝てたらリーファとムンベイがいきなり叩き起こしやがってよぉ、何事かと思ったら……こいつの面倒見ろって話だったんだ。」一同があらかた落ち着いた後、ヴァイスがおもむろに切り出した。ついでに、隣に座るリアンを顎で指す。「彼女はジャンク屋だ。ネットワークを用いれば、今後の資材や物資の購入に一役買ってくれるかもしれん……それに整備士の心得もある。そういった意味でも彼女の存在はプラスとなる筈だ。」リーファも、朝のコーヒーを啜りながら淡々と言った。「そ――そそそそそれじゃあ……もしかしてリアン、これからはミントちゃんと一緒になれるんですかぁ!?」リアンは素っ頓狂な口調でリーファとムンベイに問い掛ける。「当ったり前じゃない。元々あんたを連れてったのは、お友達を見つける為。あんたが最初にそう言ったんじゃない。」ムンベイは肩を竦めて苦笑した。「……だ、そうだな。偶然とはいえこうしてミントと巡り会えたならば、本懐は果たしたと言えないか?」リーファは、くすくす笑いながら肩を叩いた。「それにミントだけではない……我が愚弟や隊長、それに有能なオペレーターとも既に仲良くなっている様子だし、このまま無下に引き剥がすのも事だ。故に、リアン・フローライト……君とレッドホーンを、我々の一員として迎えたい。」思いも寄らない申し出に、リアンは驚きを隠しきれなかった……!「ぅ………わぁい!!!!」そして……突然、ミントとシュウに飛び付いていた。「ふにゃ!?」「うぁ!?」突然の動作に、2人はびっくり仰天。「えへへミントちゃん達とまた一緒ですぅ〜〜♪」リアンは、ミントとシュウの胸元に顔を押し付けてぐりぐりと摩っていた。「こ・こらリアン!くすぐったいってぇ……!」狼狽するミント。「ちょ…みんな見てますって!恥ずかしいですよぅ!」ついでにシュウも、リアンのすりすり攻撃にはタジタジの様子。「ぁ・あの、リアン………?」「はぇ?………あ、ジュリアさん♪」暫くして…流石に心配になったジュリアが声をかけるまで、リアンの熱烈なスキンシップは続くのであった…….「では……これより我々はミューズ森林地帯、旧アルトハイムに向かう。各員、それで良いな……?」朝食を片付けた後、ブリッジに集まった一同を前にしたリーファは、真剣な表情で今後の動きを語った。「あぁ、構いやしねぇよ。」(ヴァイス)「私も良いですわ……!」(ジュリア)「俺が意見してどうにかなる事でもあるまい……行くんだろう?」(レナード)「僕は賛成です……何だか解らないんですが、行かなきゃいけない………そんな気がするんです………!」(シュウ)「……お供致しますよ。」(ウィル)数々の仲間が賛成の意を表明していく中、ミントは胸の中に込み上げる何かを感じていた……「みんな……ごめんなさい、私の我が儘に付き合わせちゃって………」申し訳なさそうに頭を垂れるミント。「何かと思ったら……ったく、今更何改まってんだよ??」陳謝するミントを待っていたのは、ぶっきらぼうなヴァイスの言葉だった。「そうですよ。私達の旅にはちゃめちゃは付き物ですから、ミントちゃんが気にする事なんてありません♪」続いて、ティアがくすくす笑いながらミントを宥める。「そうですわ……というより、しんみりしてるのはミントらしくありませんわ。」ジュリアもまた、妹の言った事を後押しする様に言葉を紡いでいた。「無茶なんて……ヴァイスが日頃からやってくれるので慣れっこなんですけどね。ミントさんが気にする事無いですよ♪」更にシュウも、年相応の朗らかな表情で笑いかける。「……案ずるな。こちらとしても、色々と行く理由はある。」そして、レナードも……視線を合わせようとはしなかったが、淡々とした言葉の内にはミントへの気遣いが表現されていた。「いちいち相手を気遣っていては、こちらも立つ瀬が無い。それに、我々としても調べたい事があるからな………あながち無関係というわけではない。」そしてリーファも、ミントの肩を叩きながら言った。「大丈夫だよ。ミントちゃんの行く所、地獄の果てまでついて行くんだから♪♪」最後にリアンが、皆を激励する様に強い口調で言い放っていた。「皆ぁ………」これ以上、言葉は要らなかった……ただ、ここにいる者達全てがミント自身の思いを満たしてくれる……それだけで充分だった……….「あの子が『翡翠色の姫騎士』か……リアンの奴、ホントに良い友達を持ったわね…それにヴァイスやティア、レナード達も………」遠ざかるティアマトーを眺めながら、ムンベイはぽつりと呟いていた。「……まるで、昔のあの子達みたい。果てさて、これから何やらかしてくれるのかしらね………?」彼等は未だ知らない……始まりの地に何があるのか……何が自分達を待ち受けているのか………そして、アルトハイムの闇に暗躍する『イプシロン』の存在すらも……….今……穏やかな前奏曲は終わりを告げ、物語は新たな旋律を奏で始める………血生臭く荒々しい戦いと、悲しい涙に満ち溢れた調べと共に……