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ゾイド系投稿小説掲示板

自らの手で暴れまくるゾイド達を書いてみましょう。

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[295] ZOIDS−翡翠色の姫騎士…再会の旋律B ケイ氏 - 2010/10/20(水) 13:12 -

ビー、ビー、ビー、
紅いグスタフから緊急通信が走ったのは、太陽が没して間もない頃だった。一瞬遅れて、ティアマトーの警報も鳴り響く。
「!?」
ブリッジにいたティアは、素早くモニターを外部カメラに切り替える。
「これは……街の周囲に多数の熱源あり!街全体が何物かに囲まれてます!!」
「敵はゾイドか!?」
即座に近くにいたレナードが問い掛ける。
「はい。熱紋よりライブラリー照合……機種特定、RZ‐010プテラス、EZ‐027レブラプターです!!数はそれぞれ45!」
単体では戦闘能力は低い小型ゾイドとはいえ、馬鹿にならない大多数であった。
「了解…俺とミント、ヴァイスで迎撃する。シュウはプテラスを引き受けて貰い、ジュリアはガンスナイパーでシュウを援護させろ。」


月明かりに照らされて、赤い無数の影がうごめく。
大挙して動いているのは、小型のベロキラプトル型ゾイド[レブラプター]である。
一見ガンスナイパーに近い体格をしている。しかし白兵戦に特化した機体であるために、ガンスナイパー以上に攻撃的な雰囲気を彷彿とさせるゾイドである。四肢の鋭利な鉤爪と、両サイドに装備された刃[カウンターサイズ]が、それを忠実に表現していた。
しかも集団戦法を得意としており、大多数で大型ゾイドを打ち倒してしまう事さえあるという。グスタフやドラグーンネスト級には相性が悪いことこの上ない。
それだけならまだしも、上空にはプテラスも待機しているのだ。
万一ハッチを破られでもしたら、それこそ敵が雪崩をうった様に押し寄せてくるだろう。

(そうなる前に…敵が懐に入ってくる前に対応しなければ……)
「艦長を呼んでくれ、早急にブリッジを頼みたい。」



「レブラプターの大群なんて、無茶苦茶じゃない!」
フューラーを起動させながら、ミントは敵に向けて毒づいていた。
「そーでも無いみたいだぜ……連中の動きをよく見てみな……!」
しかしヴァイスは、冷静にモニターを見据えて呟いていた。
モニターには、一糸乱れぬ隊列で進行するレブラプターの大群が映っている。彼等は真っ直ぐにティアマトーや街の門を目指して直進していた。
「……気のせいかな?何か動きが規則正し過ぎない……?」
しかし……ミントはふと、奇妙な違和感に気付いた。
迫ってくるレブラプターの動きが規則正し過ぎる……まるで機械の様なその動きに、ミントは一瞬早く閃いてしまっていた。

「奴等の動きは明らかに有人機ではない……かといって、無作為に動き回る野良ゾイドでもない……となると、結論は1つだ。」
コマンドウルフを起動させたレナードは、敵の正体を悟るや否や素早く回線を開く。
[あれは…あのレブラプターは、みんな遠隔操作の『スリーパー』……そういう事ですわね?]
一方、ジュリアもレナードの真意を悟ったのか即座に応じてきた。

「だとすると……ティア、対空迎撃ユニットに換装します。用意しておきなさい。」
ジュリアは、起動させたガンスナイパーをカタパルトに乗せると即座に指示を飛ばす。
すると、格納庫の側面から伸びたアームが背中のユニットを素早く取り外す。
その後、今度は別の装備が外付けされた。
[ウィーゼルユニット、パージ。ガンスナイパーにアンチエアユニットを装備します。]

.

レブラプターの大群は、腕のビーム砲を撃ちながら手近のグスタフに接近する。
しかし、赤い大群の前に漆黒の大きな影が立ち塞がった。
「どういう目的か知らんが、ここから先には行かせねぇぞ!!」
現れたのは、ヴァイスの駆るブレードライガー・ブリッツだった。
レブラプター達は一瞬だけ動きを止めたものの、すぐに疾走を開始する。
「来やがれ雑魚共!!」
ブレードライガーは、銀色の刃を閃かせて猛然と襲い掛かった。



小型ゾイド……とりわけレブラプターやガイサックの様に白兵戦を得意とする機体の本当の恐ろしさは、数で圧倒する集団戦法にある。
これらの機体は機動力に優れたものが多く、その素早さは大型ゾイドですら翻弄させてしまう。そのため、大群で襲われると危険性は大きくなる。
事実、西方大陸戦争の中盤においてレブラプターがロールアウトした際、大群でゴジュラスを袋叩きにして破壊した記録もあるのだ。
ましてやブレードライガーは、Eシールドやずば抜けた機動力を有しているものの装甲は分厚くない。防御力が高くないため、囲まれると危険である。

長いこと戦ってきたヴァイスは、その恐ろしさをよく知っていた。
故に、ただ闇雲に突撃しているわけでは無かった。
「ミント!レナード!」
距離がかなり狭まったところで、ヴァイスは2人に合図を送った。


ドゴォン……!!
「ギャッ!?」
レブラプター2機がいきなり弾けたのは、その時だった。

バシュッ
「グェ…!」
同時に、別方向から放たれた緑の光線が、別のレブラプターを貫いていた。

.


レブラプター隊の側面から現れたのは、バーサークフューラーとコマンドウルフACだった。
ブレードライガー・ブリッツと3機掛かりでレブラプター隊を包囲する。
「行くよ……フューラー!!」
「グオオォ!!!」
フューラーは、ミントの気概に応える様に力強く咆哮した。



「ムンベイさん、私も行きます!!!」
血相を変えたリアンがリーファとムンベイの所に駆け込んできたのは、ミント達が敵を包囲して間もない頃だった。
「な…あんた馬鹿言ってんじゃないわよ!!相手は大量のレブラプターにプテラスなの、まさかまだ最終調整が出来てないレッドホーンで出るつもり!?」
突然のリアンの申し出に、ムンベイは戸惑うばかり。
しかし、次にリアンの放った一言でブリッジが凍り付いた。
「私、分かるんです……誰かがレアヘルツを出しながら、ミントちゃん達を包囲してる。今みんなが戦ってるレブラプターやプテラスは、みんなを釘付けにするための囮なんです!!!!」

[296] ZOIDS−翡翠色の姫騎士…再会の旋律B ケイ氏 - 2010/11/04(木) 00:33 -

レアヘルツ
それは、特定の地域に発生する強電磁波の一種である。

金属生命体であるゾイドは電磁波に影響される事が多く、相応の電磁処理を施していなければ暴走したり機能に異常をきたしてしまう事もある(電子偵察機であるゴルドスやディメトロドン、ステルス機能を持つヘルキャット等はある程度中和出来るが)。
故に、これを兵器に転用する技術、そして、ごく僅かながらそれを搭載したゾイドも存在している………

.

「……話は後だ。ティア、索敵範囲を地中に広げてレーダーを展開しろ。」
いち早く指示を飛ばしたのは、リーファだった。
「は・はいっ!!」
ティアは弾かれた様にパネルを操作し、可能な限り索敵範囲を広げていく。
瞬く間にモニターに無数の光点が表示され始めた。
しかし……

「これは……!?」
ティアは、数キロ先に表示される微かな反応に気付いていた。
「この反応は……熱紋からライブラリー照合してみます。」
「よし、早急に頼む。」
リーファは、ティアの言わんとしている事を予測していた様に指示を飛ばす。

「…リアン、あんたは早くレッドホーンに乗りな。弾槽を電磁パルス弾にして、いつでも出られる様にしときなさい。」
「は・はい!」
一方、ムンベイとリアンもすかさず行動に移っていた。

その瞬間、モニターにゾイドの映像が映し出された。
「これは………機種特定、EZ‐051『グランチャー』です!!!」

そこに映っていたのは、ハリモグラの姿をした黒いゾイドだった……

.

.

「進路クリアー…レイノス、発進します!!」
ティアマトーの後部甲板から、漆黒のレイノスが出撃する。

「上空のプテラスを撹乱します。ジュリアさんは対空迎撃に専念して下さい!」
シュウはジュリアに向けてメッセージを送った後、そのまま迫り来るプテラスの群れを睨み据えた。
「相手は密集陣形……これならミサイルで!」
そして、腹部からミサイルを放った。
狙い違わず、ミサイルは1機のプテラスを直撃して四散させる。更に、爆発や衝撃波に巻き込まれて周りにいた数機が誘爆して墜落していった。

.

シュウの交戦開始と共に、ティアマトーの後部ハッチがスライドする。その下から、深緑のガンスナイパーが姿を覗かせた。
背中に小型の8連装対空ミサイルポッドを1対、加えて対空ビーム砲と中型のミサイルポッドを装備した出で立ちのそれは、レイノスを取り囲むプテラスの群れをゆっくりと見上げる。
「ガンスナイパー・アンチエア(対空砲火)ユニット、邪魔な蚊トンボを撃ち落として差し上げなさい!!」
いつもよりテンションの高いジュリアの声と共に……

途端に、

ドドドドドッ………!

ガンスナイパーのミサイルが一斉に火を噴いた。その数、大小統計して34発!
旋回性能に優れたレイノスは軽やかに離脱したが、上空にいたプテラスの群れは回避が間に合わずに次々と撃墜されていった。
辛うじて残った数機も、即座に放たれた対空ビームの餌食となる。
「このジュリア・グリンスヴァールを只のスナイパーだと思ったら大間違い。銃火器なら遠距離でも近距離でも十八番ですのよ!!」

.

「よもやグランチャーまで持ち出すとは、中々に用意周到だな。確かにカルミナ軍に配備されてはいるが、あの様なジャミング仕様ゾイドは重要な作戦でなければ用いない筈……」
リーファは、訝る様な表情でグランチャーの映像データを眺めていた。
「……とはいえ、あれこれ言っている暇は無さそうだ。ウィル……ミサイル弾装をスモークに換装、レッドホーンの出撃を支援する。市街地に当てるなよ!」
「了解!」
ティアの隣で作業していたウィルは、すかさずコンソールを動かして弾装を切り替える。
そして、ティアマトーから数発のミサイルが放たれた……


一方、ティアマトーの第2ハンガーではリアンがレッドホーンの調整を行っていた。
「これで良し……ミントちゃん、今行くよ!!」
「ヴォアアアァ!!」
リアンの気迫に合わせる様に、レッドホーンは力強く咆哮していた。

程なくして、前方のハッチが開き始めた……

『進路クリアー…リアンさん、お願いします。』
通信機越しに聞こえるティアの声と共に、リアンは閉じていた瞳をゆっくり見開いた。先程までの愛らしい瞳は、戦う姿勢を誇示する凛としたそれに変わっていた……!
「こちらリアン・フローライト。レッドホーン、行きます!!」
そして操縦桿を一気に前に押し倒した。

「オオオォォ!!!」
途端に、レッドホーンは怒れる猛牛の如く夜の砂漠に踊り出した。


「レッドホーン……リアン!?」
突然現れた重装備のレッドホーンに、ミントは驚きを隠せなかった。
「あのチビ、何しに来やがった……?」
ヴァイスも戸惑いを抑えきれずにいる。
すると……

[みんな下がって!このレブラプターはみんな囮だよ!!]
出し抜けに、全員の通信機からとんでもない言葉が飛び出した。
それと同時に、ティアマトーからも連絡が入る。
[ミントちゃん、お姉ちゃん達も聞いて…!周辺を解析したところ、私達の近くにグランチャーが潜んでる事が分かりました。レアヘルツの射程に入ったら、ゾイドのコントロールを奪われちゃいますです!!!]
ティアからの報告に、外に出ていた全員(リアンを除く)が戦慄していた……

(ぐ・グランチャー……ですって……!?)
ミントは、未だ相手取った事の無いゾイドの名前に背筋が凍り付くのを感じていた。
何度か資料で読んだ事はあるので、グランチャー自体がどんなゾイドかは知っている。当然、カルミナ大公国に配備されている事も既に調査済みだ。
しかし、レアヘルツを操る特性故に通常の部隊に配備される事は無い。所有しているのは特殊任務を請け負う師団か、そうでなければ親衛隊クラス……いずれにしても、盗賊やそんじょそこらの連中が所持出来る代物ではない。

「こいつらがカルミナ軍だとしたら、敵は本気って事……!?」
にわかに信じられる話ではない。
しかし、ミントはリアンの特殊な体質を知っている。だからこそ断言出来るのだ……

自分達が、グランチャーに嵌められているのだと………!!


「………ヴァイス!ジュリア!シュウ!レナード!一旦戻るわよ!!」
判断は一瞬だった。

未だかつて試した事は無いが、自分達の機体がレアヘルツに抵抗出来ると決め付けるには早計過ぎる。それを過信して、万一機体を奪われでもしたら取り返しのつかない事態に陥りかねない。
ならば、寧ろ余裕のあるうちに引き揚げた方が得策と言えた。

(まさかグランチャーを出すなんて……一体何者なの!?)

[297] ZOIDS−翡翠色の姫騎士…再会の旋律B ケイ氏 - 2010/11/04(木) 00:53 -

(レアヘルツ反応が近づいて来てる……2時の方向、距離1.5`先に1機……)

リアンは、微かに感じるレアヘルツの反応を手掛かりにグランチャーの位置を計測していた。
(同じく1.5`先、6時と10時の方向に1機ずつ……そして0時の方向、約1.6`先に1機……)

相手は4機。しかも、そのうちの3機が一定の布陣を保ったままティアマトーとグスタフを取り囲んでいた。
(予想通り、こっちに向かってる……!)
リアンは、逸る気持ちを抑えながら武器のチェックを始めた。
「全ミサイルに電磁パルス弾頭を装備。キャノリーユニットに炸裂弾、バルカンユニットに高速貫徹弾を搭載……OK、これならいけます!」


「グランチャーだと!?」
レナードは、ティアからの報告に耳を疑った。
そして…ギリ……と唇を噛んだ。
「イプシロンの仕業か……!!」

本来、特殊任務仕様機であるグランチャー。それがここに来て、しかも自分達を狙っているという事は……
考えられる理由は2つ。何者かが特殊部隊を担ぎ出したか、もしくはグランチャーを所有する組織が何らかの理由を以て介入してきたか……
どちらにしろ、レナードの危惧するイプシロンの影がちらついているのは間違いない。
(くっ、レブラプター共に気を取られて本命に気付けなかったか……!!)
怒りの形相でハッチに拳を打ち付ける。しかし、相手が地下にいる以上コマンドウルフではどうする事も出来なかった。

「シャアァッ!!」
途端に、後方から甲高い声がする。反射的に振り向くと、今しもレブラプターの1機がコマンドウルフに切り付けようとしているところだった。

「ちぃ……!!」
瞬間、青い風と化したコマンドウルフは背後から襲ってきたレブラプターの刃をかわすと……

ガッ!!!

擦れ違い様に敵の首を食い千切った……!!

.

.

(残り1`……900……800……)
リアンは、全身に伝わるレアヘルツの感覚が次第に大きくなっていくのを感じていた。
(700……600……500………あぅっ……!)
感覚が近づくにつれ、次第に全身に微かな痺れと頭痛が走り始める。レアヘルツがリアンの身体に影響を与えているのだ……
(だ…ダメです、私が焦って撃ち損じたら作戦は失敗なのですよ………もう少しだけ、もって……下さいね…………)
ともすれば意識を刈り取られてしまうかもしれない……全身の痺れと頭痛が、それを示す様に大きく響き始めていた。

.

そして………


「射程距離に突入した………行きます!!!」
リアンは冷静に照準を合わせると、そのままトリガーを引いていた。

「当ったれぇーーー!!!」


リアンがトリガーを引いたその瞬間……
レッドホーンの肩背部に取り付けられた大型の8連装ミサイルが一斉に飛び出した。
同時に、両サイドの2連装ミサイルベイや尻尾の大型ミサイル2丁が照準した方向に向けて放たれる。

暫くして、ミサイルは空中で勢い良く破裂し始めた。

.

「ミサイル破裂!電磁パルスが発動しました!!」
ブリッジにいたティアが、モニターを確認して声を上げる。
「敵グランチャーの動きは?」
リーファは間髪入れずに聞き返す。
「3機が地上に向かって急速直進中、10秒後に本艦周囲に浮上!」
ティアは、すかさず敵の動きを解析。そしてグランチャーの進路を割り出した。
「ティアマトーを取り囲んで直接攻撃を仕掛けるか……ふ、飛んで火に入る何とやらだな。」
リーファの言葉と共に、ティアは外にいるメンバーに指示を飛ばしていた。
「ミントちゃん、ポイント95地点にバスタークローを!!お姉ちゃんとシュウ君はポイント54地点に攻撃を!!正面の敵はリアンさんに任せます!!!」


.

「フューラー!行っけえぇぇぇーーー!!」
跳躍したバーサークフューラーは、そのままバスタークローを突き出す。

ドカッ!!

一瞬の後、刃の突き刺さった砂地から衝撃と火柱が立った。バスタークローが、砂の下のグランチャーを貫いたのだ。
「グランチャーを撃破!やったよ!!」
ミントはそのままティアに打電し、安堵した様に溜息を尽いた。

.

「そこですわね!!!」
ガンスナイパーは、両腕のバルカン砲を一点に向けて連射する。
途端に、勢い余ったのかグランチャーが地上に飛び出してしまった。
「レイノス!」
それと同時にレイノスの黒い影が急降下したと思うと、慌てて潜ろうとするグランチャーを足の爪で掴んでいた。そして、そのまま鷲の様に空中に引きずり出す。
「電磁パルスのお陰で、一時的にレアヘルツは無効化される……同じ条件なら、僕達の方が有利です!!」
敵を空中に引きずり出したレイノスは、そのままグランチャーを蹴り飛ばす。そして、滞空状態のまま腹部のビームを放って粉砕した。
「ティアさん、グランチャーの撃破を確認しました!」
「後は1機だけですわね!」


リアンは、照準を地面に合わせてトリガーに手を掛けていた。
そして、
「……ぶっ飛びやがれぇーーーーですぅ!!!」

バララララララ!!

次の瞬間、左側に装備されたバルカン砲が火を噴いていた。

.

夜の砂漠にマズルフラッシュの光が飛び交う中、レッドホーンの側面の砂地が削り取られていく。
途端に……

ボゴォ!!

突然、地面が割れて黒い影が飛び出してきた。グランチャーだ!

「フッフッフ〜〜……かかったですねぇ?」


地中からの奇襲やジャミングを想定して生産されたグランチャーは、地上にいる相手を襲うのに適した造りをしている。そのため、低い攻撃力ながら敵の死角を突くのが戦闘における常套手段なのだ。
ましてやレッドホーンの様な大型の機体は、死角からの奇襲に対して脆い一面を持つ。そのため、通常の機体ならば避けられる攻撃ではない……

但し…それは通常の制式仕様機を想定した話であり、四肢のバランサーや駆動系を強化したレッドホーンならば、話は別だった……


「ふんっ!!!」
グランチャーの牙は、レッドホーンの喉笛を突き破っている筈だった。
しかし……

貫くかと思ったその瞬間、グランチャーの牙は空を切っていた……!
レッドホーンが、その巨体に似合わないバックステップでかわしていたのだ………!!

勢い余ってグランチャーは空中に飛び出してしまう。一方、後ろに下がったレッドホーンは背中のキャノリーユニットをぴったりと向けていた。
空中に飛び出して身動きの取れないグランチャーに向かって……

「とどめの一発、発射です!!」
それと同時に、必殺の一撃が火を噴いていた。

.

.

同時刻、ヘリック共和国工業都市キマイラ……

「……スリーパープテラス、及びレブラプターのみならず、本命のグランチャーを3機も片付けてしまうとはな……」
白い長髪の男は、爬虫類の様な目線で眼前のモニターを見据えていた。
「あのジェネラル.θが手こずるのも納得出来る。この程度のスリーパーでは、話にならない様だな……」
煙草に火を灯しながら、男は唸った。

「………ジース大尉、直ちに撤退しろ。各スリーパーに備え付けの自爆装置も忘れるな。」

その白い顔には、寒気がするほど不気味な顔が闇に浮かぶ様に煌めいていた。



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