ゾイド系投稿小説掲示板
自らの手で暴れまくるゾイド達を書いてみましょう。
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[デザートプレデター、謎の殲滅を遂げる!?]そんな記事がデカデカと一面を飾る新聞を片手に、ミントは喫茶店のオープンテラスで悠々とティータイムを満喫していた。「ふぅ……」今日はニクシー基地に程近い市街地にいるため、フードは纏わない。歳相応の女の子らしく、水色のシャツにチェックのスカート。それにパンプスといった簡素な出で立ちだ。これなら素性を知らない限り、彼女が悪名高き[翡翠色の姫騎士]だなんて誰も思わないだろう。「えーっと……[2日前、レッドラストに位置するセフェムタウンの郊外、北東に位置する砂丘地帯にて戦闘とおぼしき反応を入手。現場に急行した鎮圧部隊及び自警団は、破壊されて間もないレッドホーン、及びコマンドウルフ、シンカー、ガイサックの残骸を発見、機体照合によりデザートプレデターの所属機と判明した。尚、各機体が完膚無きまでに破壊されているにも関わらず、パイロットは全員無傷もしくは軽傷で、大事には至っていない。しかし、違法ドラッグや武器の密輸入、及びそれらの取引、横流し等の余罪が明らかになりつつあるため、全員がその場で逮捕された。現在、取調べが行われている模様…]ってことね……」調べによると、既に麻薬の取引や武器の密売等、明らかになっているだけでも数件の余罪が追求されているらしい。「ま、『悪は滅びる』って事ね……あ、このプリンパフェ下さい♪」少し機嫌の良くなったミントは、景気良く新しい注文を頼んだ。(食べ終わったら新しいグスタフ購入しなきゃね……流石にフューラーじゃ目立ち過ぎるし。)やがて、お目当てのプリンパフェが運ばれてきた。「んぅ………これぞまさしく幸せだぁ♪」とろける様な甘さに、ミントは思わず舌鼓を叩いていた。すると……ザッ…「!?」.ミントの腰掛けるテーブルのすぐ側に、何者かの影が立った。見たところ、背の高い大男と小柄な少年といった風な影がタイル貼りの石畳に映っている…….しかし、突然の気配を感じたその瞬間……ミントの全身に戦慄が走っていた。「誰………!?」「よぅお嬢ちゃん、ここ開いてっか?」その途端、ミントのすぐ側から声がかかる。「ひゃう!?」警戒していたミントは、突然の出来事に驚いて跳び上がっていた。その拍子に手が容器にに引っ掛かり……ガチャーン!!数秒後、テーブルの上にあったプリンパフェは、ものの見事に落ちてしまったのだった……「ご・ごめんなさい、本当にすみませんでした……(汗)」ミントより年下っぽい黒髪の少年が、今にも泣き出しそうなミントに向かって何度も頭を下げている。「ぅ・うん……君が謝る事無いよ、気にしないでね……」ミントは涙を拭いつつ、黒髪の少年を優しくいたわる。「そうそう。お前がやらかしたんじゃねーだろ?シュウ、こんなの適当に言っときゃいいんだよ。」謝る黒髪の少年の隣では、赤黒いウェーブヘアーの青年がけだるそうに腰掛けていた。「もぅ…誰のせいでこうなったと思ってるんですか……」少年は、恨めしそうな視線で青年を睨んだ。「そうだよね……だ・れ・が・私のプリンパフェ落っことしちゃったのかしらねぇ……」途端に、青年の後ろから、これまた恨めしそうな声がする。青年の背後には、さっきとはうって変わって恐ろし気な表情のミントが立っていた。青年の頭を鷲掴みにして……「ぁ……ぃゃ、その…悪かったな…なはは……」その状況を察したのか、青年は乾いた声で力無く笑った。「ヴァイス、貴方はもう少し反省して下さいね……」少年は、ヴァイスと呼ばれた青年をジト目で睨むと、溜息を尽いた。「それで……貴方達、私に何か御用かしら?」新しいプリンパフェを突きながら、ミントは突然の2人の訪問者を問い質した。その口調は穏やかだったが、全身からは先程からの警戒心がありありと湧き出ている。「それは……」黒髪の少年が何か行いた気に口を開く。だが…「ふぅ……まどろっこしい話は無しにしねぇか?なぁ、ミント・ルティーナ……それとも、『翡翠色の姫騎士』って呼んだ方が良かったかな?」.途端に、さっきまで情け無い態度でいた青年が鋭い瞳でミントを見据えたのだ。.「貴方達、一体……!?」ミントは、さっきまでの至福の表情から一変。刺すような鋭い視線で2人を睨み据えた。「あ、違います。僕達、敵じゃないですから……」黒髪の少年は、青年とは正反対の潤んだ瞳でミントを見つめる。「だ・だから、そんなに警戒しないで下さいって……僕達、なにも怪しい者じゃないですから………」男とは思えない、幼児の様な綺麗な瞳。それがミントの胸に勢い良く突き刺さる。「かっ、可愛い……(はぁと)」そう思った瞬間、ミントは思わず少年を抱き絞めていた。「えぇ!?ちょっと……ふえぇ!!」少年の悲鳴にも似た叫びが、喫茶店に響き渡った。.「ゲフン……危うく主旨を見失うところだったわ……」顔を赤面したミントは、何事もなかった様に口元を拭った。「それで……結局、貴方達は一体何者なの?」そして、目の前の2人に詰問する。「単刀直入に言うがな……あんたに俺等のチームに加わって貰いたいんだ。」青年は、真剣な口調で言葉を紡いだ。「俺達、『風神騎士団(シュトゥルム・ナイツ)』のな……!」..同時刻、ミル・ドレッド南西部、マンション街路地裏「ヴァイスってば、シュウを引っ張ってどこに行ってしまったんですの……?」少女は、苦虫を噛み潰した様な顔で市街地を歩いていた。「お・お姉ちゃん、落ち着いて下さい(汗)隊長はともかくシュウ君が一緒だから、すぐ合流出来ますよ」側では、妹とおぼしき内気そうな少女がおたおたしながら姉を諌めている。「甘い……甘いですわよティア。シュウが一緒だから余計に危なっかしいのですわ………はぁ、こんな事ならレナードかウィルを同行させるべきでしたわね…………」苦笑する妹の傍らで、姉の方は壁に頭を押し付けて更に項垂れていたが………「とにかく電話をお貸しなさい。あのバカ隊長を早々にとっちめて差し上げますわ。」やがて気を取り直したのか、姉は妹から携帯電話を受け取った。
「風神騎士団……嘘……!?」ミントは、青年の告白に言葉を失っていた。「貴方達が……あの「風神騎士団」なの……!?」「風神騎士団(シュトゥルム・ナイツ)」それはミントの異名たる「翡翠色の姫騎士」と同様に、最近あちこちで噂されている強力な傭兵集団である。少人数だが精鋭揃いで、特にリーダーと思われる黒いライオン型ゾイドがよく目撃されている。彼等は、今尚台頭しつつあるカルミナ大公国に対して抵抗を続けるゲリラとしても知られていて、その悪名は大陸全域に轟いていた。その風神騎士団(自称)のメンバーが、今、ミントの眼前にいる……!「おいおい、そう身構えんなって……俺等は別にお前を取って食おうなんて考えちゃいねーよ。」赤黒い髪をかき上げながら、青年は笑った。「それによ、お前みたいなガキ相手に誰が欲情すっか、バーカ。」パカーーーン……!!「ぐげ!?」「ぐだぐだ言ってないでさっさと本題に入らんかい!!じゃないと……」いい気になって喋っていた青年に向かって勢い良く皿をぶつけるミント。そして、ドスの効いた低い声で青年を睨みつける。「今すぐフューラーの口に縛り付けて、荷電粒子を零距離でぶっ放すわよ……(怒)」さも恐ろしい事をさらりと言ってのけた。「す…スイマセン……」青年は、さっきとはうって変わって真っ青になっていた。「……という馬鹿な真似はこのくらいにして、俺等はカルミナの悪政に対抗する為に戦ってる。そのため、より即戦力となる仲間が必要なんだ……頼む、俺等と一緒に来てくれるか?」再び真面目な態度に戻った青年は、ミントに向き直る。「……!」正直、カルミナに対するミントの恨み憎しみは並大抵の比ではない。実際、8年前のアルトハイム進攻で、両親と兄を目の前で奪い、生き残った自分の平穏も踏みにじり、そして故郷であるロフト共和国までも奪い取った……そんな軍事大国カルミナを、ミントは今尚許せずにいた。だが……それでも疑念は生まれてしまう。果たして、彼等は信頼に足るといえるのか……はたまた、命を預けるに足る器なのか……?いずれにせよ、ここで安易に返事を返すわけにはいかなかった。..(お、考えてる考えてる。)ヴァイス・フォン・アーセナルは、ころころ変わっていくミントの表情をニヤニヤしながら見つめていた。(これでコイツが如何なる判断を取るか……どっちにしても見物だな♪)隣では、仲間の少年シュウ・ホウジョウがおどおどしながら事の成り行きを見守っている。やがて、ミントは顔を上げたと思うとおもむろに席から立ち上がっていた……「ご・ごめんなさい……悪いけど、ちょっとだけ考えさせて……!」ミントは少し俯くと…ガタッ……不意に席を立って駆け出していった。「行ってしまいましたね……」黒髪の少年‐シュウ‐は、少し寂しそうに呟いた。「……いーや、そう悲観することも無ぇさ。」しかし、ヴァイスは表情を変える事は無かった。「あいつとはまた出会うだろうよ……今度は他人じゃねぇ、正真正銘の仲間としてな……」その表情は、まるでこれから冒険に赴かんとする子供の様に輝いていた。「……最も、あいつのプリンパフェ代は俺達持ちだがなぁ……ははは〜〜〜…………」しかし……現実を見据えたヴァイスは、今度は本当にガックリ項垂れていた。「なぁシュウ……俺等の財布、今いくら入ってたっけ……」シュウは、ヴァイスの情けない様子を見て、本日何度目かの深い溜息を尽いていた。「……とりあえず、この場はジュリアさん達に応援を要請しましょうか…また何言われるか分からないですけど……」「また借金が増えちまう……(泣)」哀れなヴァイスは、泣きそうな表情で携帯電話をプッシュしていた。「せめて、一攫千金か大口の依頼でもあれば良いんですがね……はぁ」シュウは、呆れた表情でテーブルに突っ伏した。.「しかし、もし彼女が………ミントさんが味方になってくれたなら、その時は僕達の日常も少しは変わってくれるかもしれませんね………」
「はぁ……はぁ……」荒い呼吸を必死で抑え、ミントは繁華街から抜け出していた。(マズイわね。素性が割れてる以上、この街にいるのは危険だわ。早く出発しないと……)彼等が何者かは知らないが、自分の正体を暴かれている以上は警戒するに越した事は無い。今はとにかく、街から脱出するべきである。「くぉのぉ……アホンダラがぁ〜〜〜〜!!!!」近くからとんでもない大音量の罵声が聞こえてきたのは、その時だった。「ひぃ!?」あまりの剣幕とボリュームの大きさに、ミントは思わず全身を強張らせる。「はぁ?女の子に食い逃げされた!?ちょっとシュウ、貴方がついていながら何をやっているんですの!?」「お・お姉ちゃん、声大きいですって……(汗)」見ると、お金持ちが着る様なフリフリのレースを遇った水色のワンピースの少女が、携帯電話片手にぎゃーぎゃー喚いていた。その傍らでは、琥珀色の髪の少女がオタオタしながら成り行きを見守っている。「全く……わかりました!私(わたくし)が行くまで動かないでいてくださいね。それでは、ごめんあそばせ!!」お嬢様みたいな少女はそう言うと、乱暴に電話を切った。「ったく、もぅ…あの馬鹿共、御祖父様に何て言い訳する気なのかしら!……ティア、行きますわよ!」いかにも不機嫌な様子で、少女は回れ右をする。そして…「「「あ……」」」立ち去ろうとしたミントと、バッチリ視線が合ってしまっていた……「あの、貴女……もしかして今の、聞いていらしたのかしら……?」疑る様なジトっとした視線で、少女はミントを睨む。「あ…えーっと、その……」冷汗をかきながら目を泳がせるミント。しかし……古い格言に、[目は口程にものを言う]というものがある。ミントの挙動不振な態度が、事実を雄弁に物語っていた。「あぁ…ぁ…………」途端に、少女は頭を抱えて俯いた。「あ…あの……」ミントは恐る恐る少女に声をかける。すると…「あああぁあぁ!!こここここんな醜態を見られてしまうなんて、このジュリア・グリンスヴァール最大の不覚ですわ〜〜〜〜〜!!!」「おおおお姉ちゃん、落ち着いてぇ!」少女は悲鳴に近い声を上げて、その場にうずくまった。.「ぁ・あの………その………何だかわかんないけどゴメンね………」(ミント).「も・申し訳ありませんわ…あの程度で取り乱してしまうなんて、はしたないです……しかも通りすがりの貴女にまで気を遣わせて……本当にすみません。」数分後………先程まで電話片手にまくし立てていた少女は、落ち着いた口調でミントに謝っていた。「私もすみませんでした……姉に付き合わせてしまって、痛み入ります……」妹らしき少女も、平謝りとばかりにミントに謝罪する。「あ、ううん、気にしないで。私こそ、お節介なことして……ごめんね。」一方、ミントはというと……照れ臭そうに頭を掻いるだけだった。「あぁそれから……さっきの事は黙っとくから。ホント、安心していいよ。」「構いませんわ……それに、こんな優しい方に出会えるなんて……」気遣う様に話すミントに、少女は穏やかな口調で返す。振り仰ぐと、白金色の長髪が優雅に靡いた。「私はジュリア。ジュリア・グリンスヴァールと申します。こちらは妹のティアですわ。」「初めまして、ティア・グリンスヴァールです。」「私はミント。ミント・ルティーナって言うの。宜しく♪」暫くして、ミントと少女達は互いに向き合って自己紹介していた。「まぁ、ミントと言いますの……私の事はジュリアで良いですわ。」「あ、私もティアで良いです。宜しくね、ミントちゃん♪「ん、そーなの?だったらこっちこそ宜しく。ジュリア、ティア♪」程なくして3人は笑顔で笑い合っていた。「ねぇ、ジュリア……」「?」少しして、ミントはある事を思い出していた。「さっき携帯片手に怒鳴ってたけど、何かあったの?すぐ行くって言ってた様だけど……」「ぁ……」だが、話した途端…ジュリアとティアの表情が明らかに狼狽したのが分かった。「お・お姉ちゃん……すっかり忘れてました(汗)」「き・奇遇ですわね……私もなのですわ………(汗)」どうやら、2人とも今の今まで忘れていたらしい……「あ、待たせてるなら早いとこ行ってあげた方が良くないかな?私のことは良いからさ……」ミントは慌てるジュリア達を気遣う様に言った。その時……ピー、ピー、ピー…不意に、ジュリアの携帯電話が音を立て始めた。「……ちょっと失礼します。」ジュリアは、手早く携帯電話を取り出す。「……?」「はい、分かりました。では、こちらも対応します。ヴァイス達は……はい、了解。直ちに向かいます。」しかし、話しているうちにジュリアの表情が真剣なものに変わっていった。「ミント……申し訳ありませんが少々予定が変更してしまいまして、すぐに行かなければならなくなってしまいました……」「はぇ?」通話が終わった途端、いきなりジュリアは済まなさそうに頭を下げた。「お姉ちゃん……」傍らにいたティアも、いつの間にか神妙な面持ちで姉を見据えている。「貴女と知り合えた事、光栄に思います。いずれまた、どこかで出会えたら……その時は、また一緒にお話しましょうね♪」呆気に取られるミントを尻目に、踵を返すジュリア。「ティア、行きますわよ。」「は・はい………」ミントには、次第に駆け足で遠ざかっていく2人の後ろ姿を眺める事しか出来なかった……その時…「……?」何気無く空を見上げたミントは、町の真上を飛行する何かを見つけていた。(あれは……飛行ゾイド………?)飛行していたのは、楔型編隊を成して飛んでいる4機の翼竜型ゾイド「プテラス」だった。しかも、機体にカルミナ大公国の紋章が刻まれていた。「あのプテラス、カルミナ軍の……しかも、あの陣型……まさか、どこかを爆撃しにいくつもり!?」よく見ると、機体の各部には爆撃兵装と思われるコンテナやミサイルポッドが幾つも装備されている………ミントは一瞬で悟った。カルミナ軍は、この街を爆撃しようとしている……!(だとすると、今の4機は多分先行部隊。その後方に、恐らく本隊が控えている筈……!)ミントはそう確信し、素早く駆け出した。駆け足で町外れのオアシスに辿り着いたミントは、スカートのポケットから何かを取り出す。そして、素早くボタンを押していた。「光学迷彩解除……」操作していたのは、手製のリモコンだった。ボタンを押した途端、オアシスの一角の風景が歪み始めた。そして、その下から翡翠色の巨大な体駆が姿を現す。バーサークフューラーだ。愛機の姿を確認したミントは、間髪入れずにフューラーのコックピットに滑り込む。「あいつ等が、こんなところで動き出すなら……止めないと!」そして、フューラーを起動させ始めた。「行こう、フューラー!!」「グオオオォォ……!!」バーサークフューラーは、ミントの気概に応える様に力強く咆哮していた。