ゾイド系投稿小説掲示板
自らの手で暴れまくるゾイド達を書いてみましょう。
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北エウロペ大陸の中央に位置する砂漠「レッドラスト」。その中に点在するオアシスが発展して生まれた街の1つ「セフェムタウン」の酒場に、今日も屈強な男達が集まっていた。店の前のハンガーには、男達の機体と思われる黄土色の狼型ゾイド[コマンドウルフ]や、エイの形をした海空両用ゾイド[シンカー]、蠍型の小型ゾイド[ガイサック]、それに、一際大きな角竜型ゾイド[レッドホーン]の姿があった。「今度のクライアントは最高だぜ、易しい仕事に高い金払ってくれんだからさぁ!」「そりゃまたおめぇ、危険だってフカシこいたんじゃねぇのか!?」カウンターで酒を煽りながら、数人が喋る。彼等は、ゾイドを使用して様々な依頼を承る者達…則ち、傭兵である。口ぶりや態度から察するに、あまり程度の良い連中ではなさそうだが…そのカウンターから離れた所に、少女はぽつんと腰掛けていた。長いローブを被っているため、傍目には女とは解らない。しかし、僅かに覗く口元と栗色の前髪、そしてエメラルドグリーンの愛らしい瞳が、少女の面影を物語っていた。その少女は温かいミルクセーキを煽りながら、先程からどんちゃん騒ぎ立てる傭兵達を冷ややかに見つめていた。「はぁ…」やがて、溜息が漏れる。「事前に聞いてはいたけど、ホントに柄の悪い奴ばっかりね……」そのまま落胆した様に立ち上がる。「ん?おい、そこの奴!」だが、立ち去ろうとした途端、さっきまで騒いでいた傭兵の1人が少女に気付いていた。「…っ!?」少女は一瞬早く駆け出して、そのまま店の外に出ようとしたが……ガシッ………「……!」入口付近にいた傭兵の1人が、その手首を掴み上げていた。「何だよ見かけねぇ奴だなぁ、どこのどいつだ?」一緒になって騒いでいた他の連中も、一斉に少女の方を振り向く。そのうちの1人が、おもむろに近付いてフードをめくり上げた。「っ!」眼前に酒臭い息がかかり、少女は眉を潜めた。「リーダー、こいつ女です!しかもガキですよ!」フードを取った男は、リーダー格の傭兵に向かって興奮気味に言った。その途端…店の中が蜂の巣を突いた様に騒がしくなった。「マジかよぉオイ!」「ここはガキが来るところじゃねーぞ!」何人かが少女を取り囲み、その顔を舐め回す様に凝視する。そのうちの1人‐さっきリーダーと呼ばれた傭兵‐が少女に近付いた。そして、少女の胸元から何かを乱暴に毟り取る。「あ!おい、このペンダント見ろよ!」傭兵が取り上げたのは、美しい緑の宝石をあしらった掌サイズのペンダントだった。「それは……!?」途端に、少女の表情が一瞬強張った。「こいつは…翡翠じゃねーか!おい、凄ぇ値打ち物だぜ!」毟り取ったペンダントを周りに見せびらかしながら、傭兵はそれを自分の物の様に高々と掲げた。「…?」だが…途端に、その傭兵は何かに気付いた様にペンダントの裏を覗き込む。「何だこりゃ…裏に変なのが彫ってあんぜ……古い文字か………?」傭兵の覗き込んだ面(ペンダントの裏側)には、何やら古臭い感じの文字が彫られていた。この時その場に居合わせた傭兵達には読めなかったが、それはかつてミューズ森林地帯を中心に使われていた文字の羅列だった。そこにはこう記されていた……..《翡翠の鎧纏いし暴君、今こそ姫護りし力とならん》
「この……!」バキィ……!「ぶげぁ!?」途端に、店内に盛大な音がしたと思うと傭兵の首が真上にのけ反っていた。哀れな傭兵は白目を剥くと、そのまま仰向けに倒れる。少女が恐ろしい勢いで傭兵の顎を蹴り飛ばしていたのだ。そして少女はペンダントを奪い取ると、席から立ち上がっていそいそと歩き出す。数秒後には、カウンターを横切って悠々と去ってしまった。気が付くと、さっきまで騒がしかった店内は、しーーーんと静まり返っていた………「翡翠のペンダント…おい、あのガキもしかして……噂の[翡翠色の姫騎士]じゃねぇのか……!?」やがて、カウンターに座っていた傭兵の1人が震える声で言った。「翡翠色の姫騎士」それは、ここ1年近くの間に各地で話題になっている傭兵の通り名である。あちこちで有名になっているが、女性であるということ、翡翠色の大型ゾイドを操っているということ以外は謎に包まれている人物だった。それもその筈。彼女はゾイドから降りて姿を見せることは殆ど無かった。しかも、これまで敵に回した連中はその大半が完膚なきまでに叩き潰されてた………盗賊も、傭兵も、カルミナ大公国の正規軍さえも…………「ばっ…バカ言え!あのガキがそんなヤバイ奴なわけ無ぇだろーが!」だが、別の傭兵が大声で否定する。「…誰だろうと、許さん……!!」途端に、カウンターにいた一際大柄な人影がゆっくりと立ち上がった。「あんな奇妙な小娘1人に我々[デザートプレデター]が一杯食わされて黙っていられるか!すぐに捕まえて連れて来い!!」「は・はい!」大柄な傭兵の怒号と共に、数人の部下が弾かれた様に入口から駆け出していった。....「ふぅ、あいつ等が『デザートプレデター』か……」少女はフードを脱ぐと、町外れに停めている黄色いダンゴムシみたいなゾイドに乗り込んだ。この機体はグスタフ。惑星Ziの金属生命体の中でも個体数が多く、硬い外骨格を有した機体である。その堅固な防御力故に主に運搬や輸送に使われている昆虫型ゾイドであった。そのグスタフの後ろに牽引されているトレーラーには、何やら大きなコンテナが鎮座していた。「えーっと……情報だと戦力は、シンカーにガイサック、コマンドウルフがそれぞれ3機、それにレッドホーン……外の機獣置場にあったのとドンピシャリね。コマンドウルフが1機だけAC(アタックユニット)仕様になってたのが気になるところだけど……」事前に寄せられた情報によると、敵はレッドホーンを隊長機とする10人チームの傭兵団。しかし規律を持たず、自警団を気取る傍らで近隣の街から物資の搾取や破壊を行っているという。このセフェムタウンもデザートプレデターの被害に悩まされているのだが、彼等がいなければ街は外からの驚異に曝されてしまう。悪いことに、連中はそれを傘に来て好き勝手に暴れ出す始末。ここまで来ると、悪循環も良いところである。「大したこと無いくせに意気がって、生意気に弱い者虐め……本当に小さい連中なのね……」少女は独り言を呟くと、グスタフを近くの荒れ地に向けて発進させた。(さてと………私の予想だと、そろそろ仕掛けてくる頃ね……ふふっ、こっちもその為にわざわざ尾行されてあげたんだから……!)少女は不敵に微笑むと、不意にグスタフのハッチを開けた。そして地面に降りる。そのままトレーラーに跳び移ると、素早い足取りでコンテナの陰に消えていった……..少女がコンテナに消えた瞬間……ドォ…ン………!突然、グスタフの周りの地面に何かが着弾して土煙を上げた。(予想通りね……それじゃ、こっちも早速動きますか………?)砂丘に陣取ったレッドホーンと2機のコマンドウルフが、眼下のグスタフに向かって砲撃を行う。いずれもさっき少女が確認したゾイド……すなわち[デザートプレデター]の機体だった。「1発殴られたら100発にして返す、それが俺達デザートプレデターの流儀よ!!さっきはよくもコケにしやがったな……例え女子供だろうと容赦しないぜぇ!!!!」レッドホーンを駆るリーダー格の傭兵(先程酒場で怒り狂っていた男)が、高笑いしながら背中の3連装リニアキャノンをぶっ放す。左右に展開したコマンドウルフ達も、それに便乗する様に砲撃を続けた。すると、グスタフが急発進し始める。「逃がすかぁ!ガイサック隊、行けぇ!!」その光景を見たリーダーは、慌てる事なく指示を飛ばした。途端に、グスタフの眼前の砂の中から茶色の昆虫の様な影が飛び出す。砂漠での奇襲を得意とする小型の蠍座ゾイド、ガイサックだ。現れたガイサックは、その鋭利な鋏を無造作にグスタフのコックピットに突き立てた。頭を潰されたグスタフは、そのまま砂塵に突っ込んで動かなくなってしまう。「よぅし、とどめだ!シンカー隊、徹底的に爆撃してぶち壊せ!!」すかさずリーダーは次の指示を出す。すると、上空から3機のエイに似たゾイドが飛来してきた。海空両用のエイ型ゾイド、シンカーだ。3機のシンカーは、腹に2発ずつ括り付けた大型爆弾をグスタフ目掛けて次々に投下していく。身動きの取れないグスタフは、瞬く間に爆炎に包まれてしまった。
薄暗い空間に、不意に無機質な電子音と共に光が灯る。『こちらレナード。随分と厄介な事になっているぞ………』同時に、通信機から若い青年の声が聞こえてきた。「あぁ、俺もだ。今さっきボスからスクランブルがかかったぜ。ったく………これだから潜入ミッションって奴ぁ嫌いなんだ。どーしてこう毎度毎度トラブルが続くんだよ………?」『知らんな……大方、お前が呪われてるんじゃないのか?』暗いコックピットで、コンソールの明かりを頼りに青年はパネルを操作していく。苛立っているのか、会話するその口調には若干の刺が混じっている様に見えた。「はぁ………にしても何なんだ?あのガキはよ…………」『………さぁな。しかし、妙な女ではある…………』不意に話題を振られ、通信機越しの声は思案する様に呟いた。『奴のグスタフは連中が補足し、現在攻撃を加えているところだ。じきに潰されるだろう………そういうお前は今どこにいる?』少し落ち着いたのか、青年は懐から何かを取り出して齧り付く。そうしながら通信機越しに会話をしていた。「俺かぁ?俺は今、合流ポイントの地中だ。あのガキ何かヤバい感じがしてよ………下手に手を出したらこっちが危ないと判断して抜け出してんだ。」『………お前の思考回路はともかく、その判断は正解かもしれん。とりあえず様子を見させて貰うとしようか………』通信機越しの声は、そう言い残して聞こえなくなってしまった。「ハッ……『翡翠色の姫騎士』か…………こんなしけた所で聞くとは思わなかったが、もしマジだったら……こいつは面白くなりそうだぜ………」通信機を切った青年は、微かな光の中で口を吊り上げてほくそ笑んでいた。曇り空の砂漠に、突如として巨大な火柱が立ち上る。グスタフの外骨格は頑丈で、多少の爆弾やビームでは傷付けることは出来ない。しかし、頭を潰された上に、対要塞攻略用の特殊爆弾を3発も喰らっては……流石に無事に済むわけが無かった。「砲撃止めーぃ!!」暫くして、レッドホーンから指示が飛んだ。それと同時に、デザートプレデターのゾイド達は砲撃を停止した。煙が晴れた時、グスタフは原型を留めない程に破壊されていた。後部コンテナは多少ひしゃげているが、目立った損傷は見られない。「ざまぁ見ろ!我々に盾突く奴はこうなるんだよ!!!」レッドホーンに乗るリーダーは、機嫌良く笑いながら残骸を見下ろした。[しかし、あれだけの攻撃に損傷軽微とは……あのコンテナ、何が入ってるんでしょうね?]シンカーに乗る部下が、訝し気に尋ねてくる。「知ったことか!すげぇ値打ち物かもしれねぇぞ!!」だが、愉悦に浸るリーダーには通じていない。「やれやれ……」崖の上に控えていた青いコマンドウルフのパイロットは、通信機から聞こえる馬鹿馬鹿しい会話を吟味しつつ呆れた様に溜め息を尽いた。「今回ばかりはヴァイスの予感も外れたか……ま、あんなビッグネームがこんな所を彷徨(うろつ)いてる筈も無いな。」少し残念そうに呟くと、コマンドウルフはゆっくり立ち上がった。「仕方ない……予定通り、仕掛けるか………」途端に、コックピット内の計器がけたたましく鳴り響く。「今度は何だ……?」青年は煩わしそうに計器を覗き見て…………「……!?」その場で絶句していた………!異変が起こったのは、その時だった……「グオオオォォ!!!」突如、コンテナの中から巨大な咆哮が響いたのだ。「な・何だぁ!?」突然の出来事に、デザートプレデターの面々は驚いて顔を見合わせる。その時、バシュッ……!コンテナから、緑色に光る光線が放たれたのだ。その光線は、上空のシンカーに触れた途端、たちまちそれを火球に変えて撃ち落としてしまう。同時に、コンテナの外壁が音を立てて吹き飛んだ。壊れたコンテナの中から、巨大な翡翠色の影がゆっくりと姿を現す。「グルルルゥ……!」それは低い唸り声を上げながら、遠くのレッドホーンやコマンドウルフ達を見据えた。「あ・あれは…あのゾイドは、まさか……」「嘘だろ…なんであのガキがあんなの持ってんだよぉ……」さっきまで威勢良く獲物を追い詰めていたデザートプレデター。だが、彼等は気付くべきだった……獲物は自分達だということに……「ば、バーサークフューラーだと…あいつ、本物の「翡翠色の姫騎士」だったのか!?」翡翠色に輝く装甲、背中に装備された金色の槍、そして、大型肉食恐竜に酷似した攻撃的なフォルム……そこに立っていたのは、ティラノサウルス型ゾイド[バーサークフューラー]だった。
「さて、これからが本番だね。行こう、フューラー!」バーサークフューラーのコックピットに座る少女、ミント・ルティーナは、愛機に向かって力強い言葉を投げ掛ける。「グアァァ……!!」バーサークフューラーは、それに応える様に短く吠えた。そして……「そこ!」不意に、背中の鋭い刃「バスタークロー」で砂地を貫く。否、砂地に潜んでいたガイサックを貫いていたのだ。それも2体同時に……「さぁて、砂漠の殺し屋さん達に、追い詰められる恐怖って奴を教えてあげないとね……!」そう言いつつも、今度は急降下してきたシンカーを尻尾で叩き落としていた。..「くそぉ!撃て!撃ちまくってなぶり殺しにしろォ!崖の上の新米にも協力させるんだ!早く!!」さっきまで優勢のつもりだったデザートプレデターは、一瞬にして恐怖に陥っていた。レッドホーンと両脇のコマンドウルフ2機が全ての火器をフル稼動させるが、眼前のフューラーは細かな動作て回避しながら少しずつ砂丘に近付いてくる。途端に、近くの岩山から新たな砲撃が来た。見るからに機体への直撃コースで、気付くのが一瞬遅れたフューラーには避けられない………!しかし、「フューラー、防いで……!」フューラーは、一瞬早くバスタークローを側面に展開。すると、3本の刃の付け根から磁場の様な光が展開される。そして、放たれた砲撃はその磁場に触れた瞬間に爆散した。.「死角からの砲撃……伏兵!?」突然の砲撃にとっさに対応したミントは、すかさずバスタークロー基部に内蔵されたビームで応戦する。岩山にいた敵は、それに気付いたかの様に軽やかな動きで頂上から降りていく。よく見ると……それは、背中に2連装長距離ライフルとブースターを装備した青いコマンドウルフだった。「コマンドウルフAC(アタックユニット仕様)……あっちも遠距離戦は想定済みってことね……!」ミントは素早く向き直ると、そのまま釣瓶撃ちにビームを放った。岩山の斜面を疾走していたコマンドウルフは、たちまち爆炎に飲み込まれていった……・・青いコマンドウルフに反撃を返したバーサークフューラーは、そのまま砂丘の上のレッドホーンに迫った。「な・何してる!早くあいつを沈めろよ、ホラ!」尚も応戦するコマンドウルフ2機に背を向け、リーダーはレッドホーンを反転させた。途端に、レッドホーンの眼前に翡翠色の影が着地する。フューラーが跳躍してレッドホーンを飛び越えたのだ。「散々街で好き勝手したオトシマエ、たっぷり償って貰います……デザートプレデター!!!」ミントは、かけ声に合わせてレッドホーンに急接近していく。レッドホーンやコマンドウルフが狂った様に砲撃を放つが、フューラーは風の様に軽やかな動きで全てを回避していく。そして……ガシュッ!!!次の瞬間には、左右に展開したコマンドウルフの半身をえぐり取っていた。それも2体同時に……一気に行動不能にされ、砂地に倒れ伏す2体のコマンドウルフ。しかし、バーサークフューラーはそれを一瞥することも無く、そのまま後方にいたレッドホーンに肉薄した。「それまでよ、覚悟してね……!」そして…レッドホーンの火器を、背中ごとバスタークローで叩き潰したのだ。金色の刃が、ドリルの様にレッドホーンの背中をえぐり取っていく。しかし、背中をズタズタに切り刻まれたレッドホーンは最後のあがきとばかりに自慢のクラッシャーホーンを突き出した。フューラーの首筋目掛けて……「ゾイドに恨みは無いけど……」だが、次の瞬間……フューラーは敵の一撃を紙一重で避け、そのまま首筋に牙を突き立てていた。「そっちが手向かうなら、容赦はしないからね……!」そして、そのままレッドホーンの首を食い千切っていく。断末魔の悲鳴すら上げる事無く、頭を失ったレッドホーンはそのまま砂地に崩れ落ちていた。.首の無い残骸を踏み締め、翡翠色の竜は轟く様な咆哮を上げていた。まるで、その死を悼み弔うかの様に………「ごめんね……無能な主のせいで、命を散らせてしまって………」 ...「なるほどな………あれが、[翡翠色の姫騎士]か……」崩れた岩山の向こうで、青いコマンドウルフは一部始終を見ていた。「死角からの俺の奇襲に機敏に反応し、その上反撃までしてくるとは……想定範囲を越えている。」コマンドウルフの足の装甲は、一部が融解して痛々しい様になっていた。どうやら、さっきの攻撃を全て避け損なったらしい。「お前がそこまで評価するなんてな……こりゃ明日は雨か嵐なんじゃねーか?」すると、すぐ側の砂地から茶色い影が飛び出す。ガイサックだ。「ま、いずれにせよあいつは俺達の仲間に相応しいって事だよな。」ガイサックから降りてきた長身の青年は、隣のコマンドウルフに問い掛けながらヘルメットを脱いだ。赤黒い艶やかな髪が、風に靡く。「それで、ヴァイスよ……これからどうする?」コマンドウルフのパイロットは、落ち着き払った表情で赤黒い髪の青年に問い掛けた。「潜入して内部からデザートプレデターを潰す作戦は、これで完全にパァだ。あのガキに手柄持ってかれちまったからな……とりあえず、リーファに報せる。一端戻るぞ。」赤黒い髪の青年は、去り際にもう1だけ振り返った。そこには、完膚なき迄に破壊されたレッドホーンやコマンドウルフの残骸の真ん中で、仁王立ちしながら咆哮するバーサークフューラーが影絵の様に映っていた……..同時刻、とある地下施設………「レッドラスト南部、セフェムタウン郊外にて熱反応を確認……戦闘と思われます。」薄暗い部屋で、巨大なモニターの前に座る数人の影が何やらざわめき立っている。「念のため、拡大しろ。小競り合い程度なら、我等の出る幕では無いがな……」一同より後ろに座る司令官らしき影が、手短に指示を出す。やがて、熱反応のあった地点の映像が表示され始めた……だが………「待て……何だ、このゾイドは!?」不意に、司令官の表情が変化した。彼等の眼前に映るモニター……そこには、レッドホーンやコマンドウルフの残骸の中心で咆哮する翡翠色のゾイドの姿がくっきりと映し出されていた。「このゾイドは一体……?」「ジェノザウラー級の派生機でしょうか……?」モニターを見た要員が、口々にざわめき立つ。しかし、司令官は驚愕を隠さずに命令を下していた……「違う、そんなものではない……バーサークフューラー……直ちにジェネラル.θに連絡をしろ!!」