ゾイド系投稿小説掲示板
自らの手で暴れまくるゾイド達を書いてみましょう。
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大戦終結から数十年を経た西方大陸エウロペ・・・北大陸を支配する『カルミナ大公国』の台頭から始まった混乱の歴史の中で、失われし翡翠色の覇竜が咆哮する・・・・・・!
地球とさほど変わらない星、惑星Zi……この星は、数多の大陸に根付く金属生命体が人々と共存する世界である。その一つ『西方大陸エウロペ』は、数多の都市国家が群雄割拠する戦乱の時代となっていた。その中で頭角を現していったのが、北エウロペを支配するカルミナ大公国だった。カルミナは、対抗国だったタリオス王国の壊滅と共に西地方の国を次々に武力で進攻していく…そのため、国を奪われ、家族や故郷を奪われた者達は、カルミナへの復讐に溺れていった…だが、中央大陸の大国ヘリック共和国の後盾を有するカルミナの進撃は止まるところを知らず、その中で多くの命が無情にも死んでいった…ミューズ森林地帯の小国、ロフト共和国に住んでいた少女、ミントは、一夜にして家族と故郷を失った。ただ平和に暮らしていただけの幼い少女に降り懸かる非情な現実、そして絶望が、ミントを容赦無く攻め立てる。やがて、打ちのめされた少女は戦火の中に消えていった…8年後、少女は傭兵となって戦場に立っていた。翡翠色の竜と共に…その圧倒的な強さから、人はいつしか彼女を畏怖する様になる…そう…「翡翠色の姫騎士」の名で…
ドォォ…ン……遠くから、爆撃の音が聞こえてくる…「ぅ…」私は、地面を伝わる微かな衝撃に目を覚ました。北東に覇を唱える「カルミナ大公国」が、ミューズ森林地帯に広がる小さな国「ロフト共和国」に進攻を始めたのは、数週間前。必死の抵抗も虚しく、カルミナ軍は破竹の勢いでロフト軍を駆逐し、そして、私達の街…ロフトの首都、アルトハイムに攻撃を始めた……雪の舞う空にちらちらと映る黒い影…我が物顔で飛行し、次々に爆弾を落としていく飛行ゾイド、「ザバット」の編隊だ。それを見上げながら、私はふと振り返った……「パパ…ママ…お兄ちゃん……」家族4人で業火の中を逃げている最中、目の前に現れた小型の恐竜型ゾイド、「ゴドス」や「ガンスナイパー」に乗ったカルミナ軍が、逃げ惑う人達をまるでゲームみたいに銃撃している光景を見た。パララララ……!!対人機銃のシャワーを受けた人達は、みんな血を噴き出して崩れ落ちていく。そして、倒れた人達に向かってカルミナ軍はまたも機銃掃射を始めていた。隣のお姉さんも、近くのパン屋のおじさんも、私やお兄ちゃんと同じ子供達も…みんな、物言わぬ屍にされていく……だけど…そんな光景を茫然と見ていた私達に、ザバットから投下された爆弾が迫ってきたの…「危ない!ミント……!」途端に、先を走っていたお兄ちゃんが弾かれた様に私に向かって走って来る…次の瞬間、私の視界は白く染まった………そして今…私は冷たい地面で目を覚ました……幸い、みんなから遅れていた私は爆風に吹き飛ばされた程度で済んだみたい…でも、パパは…ママは…お兄ちゃんは……?そう思って振り返り…私は言葉を失った…爆弾の落ちた地点に、「それ」は無造作に打ち捨てられていた………かつては「パパ」と「ママ」だった、無数にちぎれ飛んだ肉塊…そして、跡形もなく消えてしまったお兄ちゃん……「ぅ…そ…………?」あまりに信じ難い光景に、思わず地面にへたり込む私。嘘だと信じたかった……悪夢だと思いたかった……でも…その瞳に映る景色は、紛れも無い現実だった……その日、私は家族を失った………「あ…ぁ……」一瞬にして奪われた、私の掛け替えの無い家族…目の前にいながら、私は屍と化した両親を眺めることしか出来なかった……「っ…あ……」いつの間にか、私の視界は水面の様に大きく歪んでいた。自分が泣いていることに気付くのに、そう時間はかからなかった……「パパぁ…ママぁ…お兄ちゃん……ぅっ…ああぁぁーーーーーっ!!!!!」私は、カルミナ軍に見つかることもお構い無しに泣きじゃくっていた……ガシャ…どのくらい泣いたのかな…気付いた時、さっきまで市民の掃討を敢行していたゴドスやガンスナイパーが私を取り囲んでいた。まるで、獲物を捕らえて舌なめずりをする獣みたいに……不思議な事に、それを見ても怖いなんて思わなかった…今思うと、その時の私は全てを諦めていたのかもしれない……それも無理ないよね。昨日まで何不自由無く暮らしていた小さい女の子が、一瞬にして全てを奪われたんだから……奈落に叩き落とされるって、きっとこんな気持ちなのかも…でも…そんな事、もうどうでも良かった……私はもうすぐ死ぬ…パパやママ、お兄ちゃんみたいに………もう、私にはそれしか考えられなかった……でも…その瞬間、思いがけない事が起こったの……「グオオオオォォ!!!」突然、耳をつんざく重々しい咆哮が雪の空に轟いた…同時に、私を撃とうとしたガンスナイパーに、翡翠色の巨大な影が襲い掛かり…一瞬のうちに食いちぎっていた……現れたのは、ガンスナイパーと同じ恐竜型ゾイド。でも、その体は2回り程大きくて、しかもがっしりしている。遥か古代において、暴君と畏怖された「ティラノサウルス」を彷彿とさせるその雄姿に、私はさっきまでの喪失感も忘れて釘付けになっていた。一方、カルミナ軍は明らかにうろたえていた。すぐ近くにいたゴドスが狂った様に火器を乱射する。だけど、翡翠色のゾイドには傷1つ付かなかった。ううん、それどころか相手に自分の位置をばらしてしまったみたい。気付いた時、ゴドスの頭は物凄い力でひしゃげて噛み砕かれていた。その時、翡翠色のゾイドの背中から金色の何かが迫り出した。左右に1つずつ、槍みたいに鋭い輝きを放つそれは、瞬く間に残っていたゾイドを切り刻み、叩き潰していく…その暴風の様な戦い方に、その時の私は何もかも忘れて魅入っていた……翡翠色のゾイドの背中から左右に突き出した槍が、おたおたしていたガンスナイパーを押さえつけて串刺しにする。ガンスナイパーは2・3回大きく痙攣したかと思うと、糸が切れた人形みたいに動かなくなった……その場にいた全ての敵を破壊した翡翠色のゾイドは、それから暫く粉雪の中で立ち尽くしていた……私は、翡翠色のゾイドをただ静かに見つめ続けた……やがて、翡翠色のゾイドは…ゆっくりと首を傾けて、地面で立ちすくむ私を見下ろしたの……「フルルルルゥ……」さっきと違う落ち着いた声で、翡翠色のゾイドは唸った。目の前に近付いてくるそのゾイドを見ても、不思議と私は怖いとは思わなかった……やがて、翡翠色のゾイドは私の側に頭を擡げると…「……?」静かにコックピットハッチを開いていた。いつか、誰かが言っていた…ゾイドは兵器じゃない。金属とコンピューターの身体を持っているけど、実際はちゃんと魂を持った生き物なのだと……今まで気付いてなかったけど、幼い私はその事実を目の当たりにして…それを美しいと感じた…頭を攀じ登り、開かれたコックピットに座る。その瞬間、私は全身に心地良さを感じていた…まるで、自分がゾイドと1つになっていく様な…そんな感じがしたんだ……それから8年後…私は、翡翠色の暴帝と共に戦場に立っていた………翡翠の旋律は、ここから始まる。この戦い渦巻く西方大陸で………!!