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[224] エウロペ戦記・序章 ロイ - 2009/10/21(水) 06:41 -

 

 ZAC暦2099年8月―――ロブ基地―――




大異変時に崩壊した小国の城塞都市の後に設営されたこの基地には共和国軍が誇る最新鋭輸送艦、
ネオ・タートルシップ、その前世代機に当たるタートルシップを中心とする艦隊が軍港に停泊し、
多数のゾイド、兵士、物資を降ろしていた。



  ――タートルシップ6番艦・ミーバロス艦内――


かつて第二次暗黒大陸上陸作戦にも従事した船だけあって所々老朽化しており、さらに設計に従事した技術者の地球人が機能性を重視した構造(グローバリーV以前の旧世代宇宙船を参考にした構造)にしたこともあって、艦内は近代化改修されたとは思えないほど古く見えていた。

「ったく、何時基地に入れるんだよ、この鈍亀は」

ガムを噛みながら外の窓を見た、金髪の不精髭の男は苦々しく吐き捨てた。

「あと30分ぐらいだろうジェフ、このタイプの浮遊艦は停泊させるのにいくつかのプロセスが必要だからな」

隣に座っていた黒髪の男が答える。

「しっかしよう、本当にガイロスの野郎と戦争になるのかねえ」

ジェフが物資の搬入作業が行われている軍港を見て、ぶっきらぼうに言う。

「帝国がエウロペの我々共和国側の国家や中立国家、植民地の反政府勢力に武器やゾイドを供与していたことが諜報部の調査で判明しているからな、実際、3年前には代理戦争まで起きた。」

アルバートが本を読みながら言う。

「たしかに3年前のあれは当時士官学校出たての俺たちまで駆り出されたもんな、あのときは明らかに、ゲリラどもにはスポンサーがいたとしか考えられないほど装備が良かったからな」

「それに、ここのところ数十年の帝国の軍拡は明らかに、エウロペ侵攻のための軍事力だけではなく、共和国への侵攻も視野に入れたものとしか考えられない」

「そうかねえ」

30分後、停泊したタートルシップから降りた彼らは、辞令を受け取るべく、司令室に向かった。

司令室で彼らを迎えたのは脂ぎった狸の様な男だった。
他にも12名ほど辞令を受け取りに来たであろう新品の軍服を着た士官が並んでいた。

「アルバート・コードウェル少佐は、第三格納庫に、ジェフ・ラドリー少佐は第6格納庫に行きたまえ、アレックス・ランデル大尉は・・・・」

辞令が終わったのち、あの脂ぎった将軍が訓示を始めた。

「諸君、君達は士官学校を卒業し、一部には代理戦争やゲリラ狩りに従事した者もいるだろう、ここのところ共和国と帝国の関係は悪化の一途を辿り、いつかつての大陸間戦争ようなこととなるかわからない剣呑な情勢である、諸君らはいかなる時も実戦に備え・・・」

訓示が終わった後、彼らは、それぞれ自らの乗機となるゾイド、部下となる者たちが待つ場所に向かっていった。


[225] エウロペ戦記・第一章前編 ロイ - 2009/10/21(水) 21:03 -


―――ロブ基地・第三格納庫―――

そこには少なくとも20台のゾイドが鎮座しており、整備兵や整備用のアタックゾイドが機体に取りつき、整備作業を開始していた。

ゾイドの塗料、ゾイドの構造材、燃料、汗、かすかに硝煙の臭いが立ち込め、お世辞にもいいところとは言えなかった。

アルバートは格納庫特有の異臭に少し顔をしかめつつ、自分の隊の機体が鎮座している場所に向かった。



「・・・シールドライガーか。」


彼の前に待機していたのは、共和国軍が誇る蒼き獅子、シールドライガーだった。

シールドライガーは共和国軍がかつてのゼネバス帝国のサーベルタイガー対策として開発されたゾイドで、レッドホーンクラスの巨体でありながら250キロの俊足を誇り火器類も、三連衝撃砲、ミサイルポッド、加速ビーム砲と充実しており、高速ゾイド特有の脆弱さも、Eシールドを装備したことである程度カバーされているという共和国軍の大型ゾイドではゴジュラスの次に優秀な機体だった。

さらにこのシールドライガーには、かつてMKU部隊の機体が装備した2連装ビームキャノンが装備され火力が格段に強化されていた。

「アルバート少佐殿でありますか?」
後ろから若い男の声が聞こえた。

アルバートは振り向くと、そこには20歳くらいの男がいた。

「私がそうだが、貴官は?」

「ハルド・ロードン曹長であります! 少佐殿が隊長を務める第26独立中隊に配属されました。乗機は、コマンドウルフであります。」

ハルド曹長は直立不動の姿勢で敬礼していた。

「ハルド曹長、ほかの隊員は?」

「全員、部屋で待機しています。」

「わかった、すぐ向かう。」

10分後、二人は、26中隊の隊員が待機している部屋に到着した。

その後、自己紹介や訓示を終えると一部の中隊長、小隊長クラスを除く、隊員たちはそれぞれ基地内の自分があてがわれた部屋に戻って行った。



数週間後――――アレキサンドル台地――――



厚いガスに覆われた荒涼たる大地を彼ら第26独立中隊、通称ブルー・ファイヤー隊は進軍していた。

編成は、シールドライガーMKU1台、コマンドウルフ2台、マンモス1台、キャノニアーゴルドス1台、カノントータス2台、ゴドス2台、補給用グスタフ2台の総数11台で構成されていた。

任務の内容は帝国の支援を受けていると目される反政府ゲリラの掃討作戦の一環で彼らのこれまでの活動から拠点があると目される場所を発見、戦力の仔細を把握し、可能なら殲滅するというものだった。

「エミリア中尉、センサーに反応は?」

「いいえ今のところ特に反応はありません、あといま電磁嵐が接近しているので、センサーの精度がかなり低下してきています、これより音響索敵に変更します。」

キャノニアーゴルドスに乗るエミリア中尉が事務的な口調で報告する。

彼女は、幼いころ眼を傷めたのか眼鏡型電子デバイスを装着していた。
それはアルバートに機械的な印象を与えていた。

「わかった。各機警戒を緩めるな」

「「「了解」」」

「!?アルバート少佐」

「どうした、中尉」

「ここから20キロ離れた地点でゾイドのものと思われる駆動音を確認」

「種類と数はわかるか?」

「正確にはわかりませんが少なくとも3機以上います、種類はおそらく、モルガ、ゴドスタイプだと思います」

「ここから20キロというと、以前ゲリラと戦闘があったところか。」

「どうします、野良や傭兵の類とも考えられますが?」

ゴドスに乗るコルト曹長が質問する。


「ゲリラどもが補給物資を求めて戦場跡にジャンクを漁りにきたとも考えられる。念のため慎重に向かう」

「「了解」」



 ―――戦場跡―――

無数の奇岩が周辺に連なる中で広場のように開けた場所には、以前の戦闘で撃破されたであろうゴドス、ガイサック、コマンドウルフの残骸が転がっていた。

そして、それに群がるようにしてプロテクター装備のイグアン、背中にクレーンを装備したモルガが2台いた。

「少佐!、確かにゲリラの機体のようです!少佐の読み通り残骸回収をしているようです!」

付近にコマンドウルフの背中のビーグルを着陸させ偵察していた、ハルド曹長が少し上擦った声で報告する。

「そのまま少し様子を見たのち本隊に戻れ、その分だと、もう直ぐ連中はアジトに戻るはずだ。連中が去った後、連中の足取りを追う。なるべく慎重にしろ。」

「了解しました。」



[226] エウロペ戦記・第一章中編 ロイ - 2009/10/30(金) 02:39 -

――――アレキサンドル台地・ゲリラ拠点―――


かつてこの惑星全体を襲った大異変の際に生まれたクレーターの中心部に作られたこの施設は、200機近いゾイドと1000名近い構成員を持つゲリラの拠点の一つとして機能していた。

「あれが連中の拠点か。」
ゲリラの拠点から少しはなれたところにいたシールドライガーの上から赤外線式望遠鏡で見ていたアルバート大佐が言う。
「はい、しかし戦力的に見て連中の本拠地ではなさそうですが。」
隣にいたキャノニアーゴルドスに搭乗するエミリア中尉がモニターを見ながら言う。
「しかし、ゲリラの拠点である以上このままにしておくわけにもいかん、攻撃するぞ」
そう言うとアルバート大佐はキャノピーを閉める。
「これより作戦開始する。ゴドス隊は西側で陽動を掛けてくれ、カノントータス隊は基地の周辺から施設内へ砲撃、反撃されないよう一回射撃するごとに移動しろ、キャノニアーゴルドスはここからロングレンジバスターキャノンで施設の格納庫等に砲撃してくれ、私のシールドとコマンドウルフ隊は砲撃で混乱している敵に強襲をかける、以上だ。」
「「「「「「了解」」」」」」
「さあて〜陽動開始といくか!ジャック」
「おう。」
両腕にそれぞれガンポッドと6連装ミサイルポッドを装備したゴドスが施設周辺にいたモルガ3台に攻撃を開始した。
バゴオォォン ボオォォン 
3台のモルガが爆炎に包まれるが、すぐにモルガは爆炎の中から現れ、ガトリング砲で反撃する。
「ちっ、さすが重装甲ってだけはあるぜ」
ジャックはモルガの堅牢さに舌を巻きつつ、ガンポッドを連射する。
同じくコルトのゴドスもミサイルを発射、再び爆炎が生まれた。
同じ頃、共和国軍本隊もゲリラ本拠地に対する攻撃を開始しようとしていた・・・

「連中こんな大規模な拠点を持っていたとは、」
大型陸上艦の艦橋で地図を見ていた壮年の男が感心したように言う。
「しかしこれで、帝国が関与している可能性は高まりましたな」
隣にいた別の男がモニターに映る要塞化された岩山に立て篭もる、ゲリラ軍の陣容を見て言う。
「それはまだ連中を捕虜にして聞き出さねばわからん」
「将軍、プテラスボマー隊攻撃準備整いました。」
「そうか、よし爆撃開始!」

[228] 激突 ヒカル - 2009/12/27(日) 08:29 -

 どうもここでは初めましてになるかな? 管理人のヒカルです。
 ロイさんのこの小説は丁度ガイロス帝国とヘリック共和国による西方大陸での戦争ですね。私は割とこのあたりの出来事は好きなので今後が楽しみです。
 一つアドバイスのようなことをあげるなら、バゴオオンといった擬音はあまり使わないほうがいいと思います。パロディとかで使う場合がありますが、この小説がその部類入るとはどうしても思えませんので……
 初っ端から指摘でしたが今後ともどうぞよろしくお願いします。それでは次回のご投稿お待ちしております。

[229] エウロペ戦記第一章後篇 ロイ - 2010/01/04(月) 14:20 -

陸上艦や周辺に展開していたグスタフからプテラスボマーを中心とした爆撃隊が発進し始める
爆撃隊が飛び立つと、次に護衛のプテラストライカー、シルバープテラスが発進し始める。
共和国爆撃隊はゲリラの拠点たる岩山へとむかっていく、その数は100機、すべてプテラス系で構成されており、レドラーの対抗機として開発されたRHI-10レイノス制空戦闘機、空の要塞とよばれたRPZ-01サラマンダー戦略爆撃機の姿は影も形もない、その理由は五十年前の大異変によってこの二機種の素体となるゾイドが減少してしまったためだった。  50年たった今でも、大異変により野生体が絶滅、または絶滅寸前まで個体数が減少し、政府の保護下におかれ、生産不能になっているゾイドも多く現在帝国、共和国の主力となっているゾイドはほぼすべて、大陸間戦争時には一部を除き鉄屑と蔑まれていたようなゾイドばかりで共和国空軍も例外ではなく、現在の主力はほぼすべてプテラスタイプ、レイノスは、50〜100機ほど、かつてギル・ベイダーから首都を守り抜いたオルディオス中隊を構成する、オルディオス、バトルクーガー、サラマンダーF2、ショットイーグルはすでに粗方失われ、残った機体は特A級の監理が施され研究用として保管されており、実戦に出せても1,2機試験的に投入できるかできないか、というレベルだった。
「まったく、共和国空軍も落ちたものね!」プテラストライカーに搭乗するメアリー・スティンウェル少尉は毒づいた。彼女が軍、それも空軍に志願したのは、空軍でバトルクーガーのパイロットだった祖父の影響だった。 
それゆえ彼女は現在の共和国空軍に失望に近い感情を抱いていた。
それと同時に彼女は祖父がいたころの空軍のゾイドに乗ってみたいとも思い始めていた。
とくに彼女が乗りこなしてみたいとおもったのはオルディオスであった。しかし現実はそう甘くはなく、オルディオスはレプリカが共和国首都博物館にあるだけで、残された資料も9割が非公開となっており、実機に至っては、存在しているかすら定かではなく、一番有力とされている説では、共和国軍が遺失技術保存と復活、研究のためにさる独立実験部隊に配備されているというものでその確率は万に一つもないものだったが、彼女はそれを信じていた。
彼女は最初に家の倉庫に置かれていたグライドラーに乗り込んだときから、オルディオスにあこがれていたのだった。祖父から聞いたオルディオスの姿は金色の角と白い翼を生やした馬型ゾイドというもので彼女はその話を聞いたその日は一日中祖父に話を聞いたものだったな、とつい彼女は物思いにふけってしまっていた。
「間もなく敵基地上空に到達する。各機戦闘隊形を維持せよ!」
不意に隊長機からの通信がコックピット内に響いた。
それにより彼女は即座に現実の世界に引き戻された。そう今座っているのは、家の倉庫の中古機でも、ましてや妄想の中の決戦戦闘機械獣でもない、彼女が握る操縦桿は実際に軍用機として存在する飛行ゾイド、プテラストライカーなのだ。
そして少しでも操縦をミスすれば命取りとなるのだと、思い出した彼女は前方のプテラストライカー部隊の方を見た。
そこではすでにプテラストライカー隊とゲリラ側の飛行ゾイド部隊との間で戦闘が発生していたが、その展開は彼女が予想していた通りの一方的なもので、すでにゲリラ側は3機のぺガサロス、4機のグライドラーが撃墜されているにもかかわらず、共和国軍はシルバープテラスが2機小破しているだけだった。
「なんて迂闊な!」メアリーはゲリラの稚拙な技量に思わず毒づいた。彼女の隊にもペガサロス3機が向かってくる、彼女の機を含む4機のプテラストライカーが迎撃する。左のペガサロスがパルスレーザーを連射してくるが、逆に20ミリバルカン砲を撃ち込まれ爆発した。残りの二機はロケットブースターを全開にして特攻しようとしたが対空ミサイルが命中、火の玉に転じた。

すでにゲリラ側の飛行ゾイド部隊は四散状態にあるようでグライドラー、ペガサロスは姿を消し、残るプテラス、シュトルヒも護衛機のプテラスに追撃されとても爆撃隊を攻撃できるような状態ではなかった。

要塞から高射砲や対空ミサイルが放たれ共和国空軍を迎え撃つ、それだけでなく対空マルダー、モルガAA、カノントータス対空型が急降下爆撃をかけてくる対地攻撃用のシルバープテラスやプテラスボマーを迎え撃つ、しかし数の差はいかんともしがたく対空部隊は瞬く間に戦力を喪失してしまう始末で、それでもゲリラ側はわずかに残った対空火器や通常装備のゾイド、果ては携帯用対空ロケット砲で応戦するが、シルバープテラスのガトリングガンにより瞬く間に掃討される。
爆撃隊は本格的にゲリラの立て篭もっている要塞に対し1トン徹甲爆弾やレーザー誘導爆弾を雨霰と浴びせかける、それだけでなく試験配備されたプテラス重爆がギリギリ一発搭載できる大型貫通爆弾クェイクメーカーを8発投下、内2発はカノントータスにより破壊されたものの、残りの6発は共和国軍技術開発局の開発者たちの予想していた通りの威力を発揮した。
高空からの落下により加速されたクェイクメーカーは要塞の頑強な岩盤やコンクリートをたやすく貫徹すると、それらに守られていた地下施設を破壊した。
さらに共和国陸軍も空軍の支援のためにカノントータス、ゴルドスガナーで構成された重砲部隊からも砲爆撃が行われ始める。
この二段構えの攻撃の前に要塞内部で立て篭もっていたゲリラ軍の一部が痺れを切らした。
この痺れを切らしたゲリラ部隊の多くは高速ゾイドやアタックゾイドを装備した部隊で、快速を生かして動きの鈍い敵部隊の側面を衝いて屠ってきた彼らにはこの鈍足の敵の大群に包囲され、一方的に攻撃を受け続けながら、敵が来るのを暗く狭い待避壕で待つことに耐えきれなかったのである。

[230] エウロペ戦記・第二章・前篇 ロイ - 2010/01/08(金) 04:47 -

「全機体!!突撃!!!」 
セイバータイガーに搭乗する隊長の掛け声を合図にヘルキャット4機、コマンドウルフ2機、マーダ6機、アタックゾイド12機が半壊した要塞の壁を吹き飛ばし、要塞に対して砲撃を行っている共和国軍に突撃する。
同じ頃、共和国軍部隊の多くは爆撃隊と砲撃部隊のあまりにも強烈な砲撃を見て、すでにゲリラ部隊は壊滅状態にあると思い込んでおり、とても戦闘時とは思えないほど弛んでいた。
「ジェフ少佐、敵さんの一部が要塞から出てきました」
レドーム装備型カノントータスに搭乗するカーク曹長が報告する。
「数は?」
「25機、およそ半分がアタックゾイドですが、問題は隊長機のサーベル・・いえ、速度からセイバータイガーと思われるゾイドです」
「セイバーだと!やはりガイロスの奴ら連中を支援してたのか!」
「なあに、そんな奴らカノントータス隊の砲撃ですぐ全滅しちまうだろうぜ。」
ゴドスに乗るバルスト曹長が臨戦態勢下の兵士とは思えないような弛みきったことをいう。
だが、彼はまだましなほうだ。
共和国軍の兵士の中には「俺達用のゲリラ兵はいるのか?」などとうそぶく者もいたのである。
「バルスト!そんな奴らでも接近されたら俺達の部隊なんて2分と持たないんだぞ、俺達だってこの様なんだから俺達が油断して全滅でもしたら、トリガーしか弾けねえような重砲隊は嬲り殺しに遭うんだぞ」
部下の弛み切った意見に対しジェフは大声で反論する。
「ジェフ、カノントータス隊が敵の高速部隊に砲撃始めちまったぜ」
士官学校時代の同期であるデュラン中尉がぶっきらぼうに言う。
ジェフはすぐにコマンドウルフのキャノピー越しに敵高速隊のいた位置を見るが、すでにトータス隊の砲撃は敵部隊の姿を土煙で覆い隠してしまっており、
熱センサーや音響センサーも砲撃によって発生した熱と音で使い物にならない、
不意にいくつか火柱が上がる。
「全滅か?」
誰かがそんなことを言った、だが…
「敵部隊、いまだ健在!」
「何だと!!撃破機は?」
驚きを隠しきれない様子のデュラン中尉が言う。
「ヘルキャット2、マーダ3、アタックゾイド6です」
「およそ半分か、」
突破されるな・・とジェフは頭の中で呟いた。
「各機迎撃態勢!」ジェフは部下の機体に通信を送る。
その間にも高速部隊は共和国軍の喉笛に噛み付くべく、砲撃を受けて仲間のゾイドが炎に包まれ、撃墜されようともその屍を踏み越えて迫る。
彼らが共和国軍が同志討ちを恐れて砲撃できない距離まで接近したときには
残存機はセイバータイガー、ヘルキャット2機、マーダ、アタックゾイド4機のみいずれも駆動系に負荷がかかった状態だったが、
彼らを迎撃するべき共和国軍部隊は実戦経験の少なさが災いしほとんど恐慌寸前で、まともに迎撃態勢を整えていたのはジェフ・ラドリー少佐が指揮官を務める第35中隊などの実戦経験が比較的多いものが多いわずかな部隊のみだった。
「ちっ、どいつもこいつも・・」友軍の動きの悪さに思わず、ジェフは毒づくが、ゲリラ側のセイバータイガーから対ゾイド30mm2連装ビーム砲が放たれ、第41中隊のゴドス408号機のコックピットを貫いた。
主を失ったゴドス408号機はバランスを崩し、右に倒れ始める。
「たっ、、倒れるぞ!!」
「逃げろ!わああ」
「つ・・潰される・・・・わあああ」
「死んでたまるか!」
ちょうど落下地点の付近にいた歩兵たちはパニックに陥りながらもその場から逃げだした。
「こいつ!」
「・・・・!!」
デュランのコマンドウルフとヘイル曹長のゴドスが反撃の銃火を上げる。
その攻撃によりアタックゾイドのキラービー、ショットダイルが撃破される。
「喰らえ!」ジェフのコマンドウルフ改が通常機には本来装着されていない大型キャノン砲(3年前の代理戦争の際敵軍が放棄した対大型ゾイド用の大型砲を流用)をヘルキャットへ発射、
直撃を受けたヘルキャットが崩れ落ちると同時に隣にいた三連ミサイルポッドを装備したヘルキャットからミサイルが放たれる。
コマンドウルフ改に三発の中型ミサイルが迫る。コマンドウルフ改の前足にマウントされたマルチロケットディスペンサー(これもキャノン砲などと同様に3年前の代理戦争の際にジャンクから回収したものを装着した装備)が放たれ、それはミサイルとコマンドウルフ改の間で炸裂し、銀紙と小さな火の玉を撒き散らした。
チャフとフレアによって目標を見失ったミサイルはあさっての方向へと向かうと爆発する。
「なにっ」
必殺の一撃をいとも簡単に回避され、思わず茫然としてしまうヘルキャットのパイロット。
それは戦場という場では致命的であった。
「そこだっ!」
ジェフはその隙を見逃すはずもなくコマンドウルフ改の後ろ足のブースターを点火し一気に距離を詰めると、ヘルキャットの頭部に噛み付き息の根を止めるとデュランのコマンドウルフと戦闘していたセイバータイガーめがけて投げ飛ばす
「!?」
ちょうどそのとき裂帛の気合を込めたキラーサーベルの一撃をヘイルのゴドスに叩き込もうとしていたセイバータイガーはとっさのことに反応できず、ヘルキャットともろに激突してしまう。
「いまだ!全機砲撃!」
セイバータイガーは態勢を立て直す間すら与えられず、第35中隊とゲリラ側のアサルトシーカー、サイカーチ、マーダを撃破した第41部隊の全火力を叩き付けられ大破炎上した。
その炎がゲリラ側と共和国軍側の会戦の狼煙となった。

[231] エウロペ戦記・第二章・中篇 ロイ - 2010/03/15(月) 11:06 -

「全軍突撃!!高速戦闘隊、強襲戦闘隊は敵要塞を制圧、重砲隊は各隊を支援せよ!!」
大型陸上艦からの指令を受け共和国軍は進軍を開始する。
ゾイドの数は1000機近くにも及ぶもので、その数的主力はゴドス、ガイサック、カノントータス、ダブルソーダが務め
質的主力はコマンドウルフ、アロザウラー、カノンフォート、ベアファイターで構成されていたがコマンドウルフを除く三機種は大異変の影響で再生産されておらず、その数は少なかった。
数少ない大型ゾイドではシールドライガー、ゴルドスと装備から外されようとしていたRBOZ-002・マンモスであった。
マンモスは中央大陸戦争初期にサブリスキーポイント付近に生息する大型マンモス型ゾイドを素体として共和国軍がビガザウロに次いで開発した大型ゾイドで、共和国軍のゴジュラスに匹敵するパワーを生かした肉弾戦で多くのトーチカや敵ゾイドを中央大陸戦争初期の緒戦で破壊したが、
のちにゼネバス帝国軍が彼らにとって初の大型ゾイド、レッドホーンを開発したことやマルダー、ゲルダー、ザットンやモルガに攻城砲を装備した機体を利用した重砲戦術の前に自慢のパワーを発揮する前に撃破される機体が続出し、
さらに敵味方の新型機の出現や戦いが砲撃を主体としたものに変わるにつれて次第に第一線を退いたゾイドである。大異変後は旧式ながらも最新鋭機とためを張れるパワーを生かした復興作業に投入され、
一部は同盟国に譲渡されたものもあったが共和国軍はディバイソンやカノンフォートの生産ラインが回復するまでのつなぎとしてマンモスは再配備されたのだった。
無論開発から百年近くたっていることもあってそのまま再配備するわけもなく、パワーアシストの増設、駆動系の改良、対小型ゾイド用の火器の増設、インスタントシールドや特殊金属装甲の重要部位ヘの装備等で全く別のゾイドと言っていいほどの強化がされていた。
無論ゲリラ側も迫りくる共和国軍の姿を確認していたが、先ほどの空爆の影響でガイロス帝国からダミー会社や武器商人を通じて提供された要塞砲やその代用となっていた砲戦ゾイドも多くが破壊され、要塞奥深くに避難させていた自走砲や重砲ゾイド等の兵力もクェイクメーカーと共和国重砲隊の執拗な砲爆撃によって通路の多くが火災によって寸断されており、
ゲリラ兵の多くはアタックコングやゴーレムといったこのような作業に適したアタックゾイドを火災が深刻な個所に投入することで一刻も早く通路を回復させようとしていた。
このような状況のためゲリラ側は満足な迎撃態勢がとれず、進軍する共和国軍を迎撃できるのは一部の砲戦機のみだった。
「いいか!!少しでも、多くの敵ゾイドを撃破するんだぞ!!!各車砲撃開始ぃ!!!」
先ほどの火の雨のような爆撃を耐え抜いたキャノリーモルガ6台で構成される数少ない重砲部隊の隊長を務めるラグ・ホイスが檄を飛ばす、 
AZ120mmグラインドキャノンから砲弾が放たれる。
「「「「了解!!」」」」
最近の度重なる戦闘による人員の消耗で復唱する兵士たちの顔はあどけなく、幼かった。
だがここにいる多くの者たちと同様に彼らの意思は固かった。
「当たれ!当たれ!」
その中の一人、ダキ・クランは怨念の籠った眼光でディスプレイの向こうの共和国軍を見つめ、トリガーを引き続けたが、すでに冷却モードに入っているAZ120mmグラインドキャノンは反応しなかった。
「馬鹿!こいつの大砲はガトリング砲とかと違って連射するようにはできてないんだ!故障でもしたらどうするんだ!!」 
それを見かねたラグが大声でどやす。
「すいません隊長・・・・」
すまなさそうに答えるダキに対してラグは、「わかればいい、戦場ではほんの些細なことが命取りになるからな」
というと彼は迫りくる共和国軍の後方を凝視していた。
彼の視線の先ではゾイドの残骸がいくつか燻っていた。
「2、3機しとめたかな?」と彼は呟いた。
だがよく見渡してみると全く見当違いの場所に着弾している物もあった。
「ホルスキーの野郎か?あいつ後で修正してやる」
・・・後などあるのだろうか?と彼は思った・・・ここのところ彼らを取り巻く状況は厳しく、現在の戦力は勢力が最大だったころの10分の1にも満たず、仮にこの要塞を今日守り切ったとしても、明日守りきれる保証もなかった。
だが逃げるつもりはさらさらなかった。
祖国のクーデターで上官のクーデターが成れば、土地を公平に分配するという甘言に踊らされ命令に従った挙句、共和国軍の軍事介入で家族も帰る場所も失った彼にとってここはある意味最後の砦といえた。
「いや、まだだ、まだやれるはずだ…」
彼はそう自分に言い聞かせると再び砲撃命令を出そうとするが…
「!!!敵機来襲!!敵機来襲!!さっきの黒カラスだ!!早く待避するぞ!!」
突如彼のキャノリーモルガにレーダーモルガからの通信が入った。
「なんだと!」
彼が空を見上げるとそこにはプテラス対地掃射機仕様、シルバープテラスが5機いた。
「全員退避!!あれは俺たちの手に負える敵じゃねえ!」
彼は部下にそう叫ぶと、モルガをあわてて後退させようとする。
「ホルスキー、カイ!!いそげ!ハチの巣にされるぞ!!」
彼の部下はそうもいかず亀のように鈍い動きで後退していたため狙い撃ちにされる。
シルバープテラスのミシン縫いのような対地ガトリング射撃が開始され、それに巻き込まれた戦闘車両やゾイドはたちまち火の手を上げ、それは重装甲のモルガといえど例外ではなかった。
「わああ」ガトリングガンを弾薬庫に受けたカイのキャノリーモルガは誘爆に巻き込まれ大破炎上した。
「ちくしょう!くるなーー」
半ばパニック状態でホルスキーは上空の死食鳥目がけ砲撃するが、対大型ゾイド用の大型砲の砲撃が当たるはずもなく、後を追うように業火に包まれる。
「やりあがったな!!」
ラグは踵を返して陸上艦へと後退していくシルバープテラス5機に対してAZ120mmグラインドキャノンを発射する。
発射されたのは対空榴弾だった。
 放たれたその一撃は丁度、編隊付近で966個近くの弾子を撒き散らした。
その破片を一番間近で受けけた機体は穴だらけとなり爆発した。
2機がマグネッサーウィングを損傷したらしく、スパークを上げながら落ちて行った。
残り2機は慌てて陸上艦の方へと消えていった。「ホルスキー、カイ・・・仇はとったぞ!」
そういうとラグはキャノリーモルガを洞穴内に後退させた。
共和国軍側とゲリラ側の距離が200を切ったそのとき、ゲリラのほぼ全ゾイドが陣地から飛び出す。
その数アタックゾイドを含め378機ほとんどがアタック、小型、中型ゾイドでその多くが帝国製のイグアン、モルガ、ヘルキャット、ゲーター、ヘルディガンナー、ブラックライモスで、残りは大異変の影響で共和国の財政が火の車になった時に二足三文でエウロペの小国家や都市国家、武装勢力等に売り飛ばした所謂ガリウス、エレファンタスなどの骨ゾイドやゴドス、ガイサック、コマンドウルフの初期型、鹵獲された旧帝国軍のマルダー、ザットン、ゲルダーなどの旧式ゾイドだった。
アタックゾイドは24ゾイドと呼ばれた帝国特殊部隊が使用しているデスピオン、ゴーレム、ドントレス、ロードスキッパーや装甲擲弾兵師団が装備しているアタックコング、サイカーチ、クラブラスター、ランディングシェル、キラービーと共和国軍から鹵獲したアサルトシーカー、ライトスパイカー、メガトプロス、バトルローバー、サンドスピーダ、などで構成され、質的な主力たる大型ゾイドは鹵獲または闇ルートで入手したマンモスやビガザウロ(そのままでは戦力外のため大量の機銃や大型砲をハリネズミのごとく増設してある)と帝国軍から供与されたセイバータイガー、サーベルタイガー、レッドホーンだった。
レッドホーンはゼネバス帝国がメタロゲージに生息するスティラコサウルス型ゾイドをベースに鹵獲したマンモスの残骸を参考に開発した帝国最初の大型ゾイドで、その能力は当時の大型ゾイドとしては驚異的な整備性を誇り、当時の格闘戦至上主義的になりつつあった当時の風潮と逆行するかのような火器の大量搭載と格闘戦もある程度考慮したクラッシャーホーンと耐久力と機動性を考えたハニカム構造の装甲によって当時最高水準の攻撃力、機動力、耐久力を誇り、初陣では当時の最強機と言われたマンモスに対して砲撃戦、肉弾戦の双方で勝利し、ビガザウロを鉄の棺桶に貶めたほどであった。 
ゴジュラスの出現によって多数が撃破され、これに対抗するためにトルネドス、ゴーラス、バーナス、ブルスタイン等のバリエーションが生まれたが、
何れもゴジュラスには敵わず、その後もウルトラザウルス、カノントータスなどの新型ゾイドの登場に次々と屍をさらしていき、ライバル機ともいえたマンモスが砲撃主体の戦いに変わったことで第一線をしりぞいた後もアイアンコングやサーベルタイガーの数が揃わないこともあって初期生産型が全機地雷撤去用のデストローラーに改造されることになった以外レッドホーンは引き続き前線で苦しい戦いを続けZAC2039年の首都攻防戦、バレシア攻防戦のときにもニクス大陸に脱出する友軍の盾となり散っていき、その後もバレシア上陸作戦では最終生産型が投入され、その後共和国の首都陥落後の一時はブラックライモスの開発によって第一線から退いたものの対デスザウラー決戦兵器マッドサンダーの登場やZAC2049〜51年の帝国本土決戦の際には町の民間工場でも整備可能という整備性能の良さと生産台数の多さによって帝国滅亡まで戦い抜き暗黒軍(現ガイロス軍)に鹵獲されたものはダークホーンとして改造され大戦果をあげた。
そして大異変により多くの大型ゾイドが絶滅したことで、基本性能の高さと個体数の多さを買われ改良が施され、今なおガイロス帝国機甲師団の中核をなしているが大異変後の混乱期に旧帝国軍人らとともに旧レッドホーンの一部も西方大陸に流れた。
当時大異変の影響で多くの国が滅び、残っていた国や都市も電磁嵐で狂った野良ゾイド、戦闘ゾイドで武装した傭兵や盗賊、軍閥などで荒れに荒れており、多くの小国家は強力なゾイドと熟練のゾイドパイロット、兵士を必要としていた。
そして西方大陸に流れた旧帝国軍人の多くは中央大陸には既に居場所がなかったり、共和国に戦犯として訴追されることを恐れて逃れてきた者が多く、彼らも一時は中央大陸の覇権を握りかけた国の兵士達だったこともあり、その多くが優秀な軍人だった。
共和国、帝国双方とも自国のことに掛りっきりでまともな支援が期待できなかったエウロペの小国は彼らを正規の軍人として雇い、その際彼らが持ち込んだ帝国ゾイドも自軍に編入することで迫りくる脅威に対処したのである。
無論大部分はイグアンやマーダ、モルガ、ゲーター等の小型機ばかりだったがその中にもレッドホーンはいた。
そしてZAC暦2099年彼ら旧帝国将兵の何名かはこの要塞にあの遠い日と同様、相棒とともにかつての敵と干戈を交えんとしていた。
「来い!共和国軍!帝国の誇りを見せつけてやる!」
ゲリラ軍の司令官アルベルト・ベルガーはレッドホーン最終生産型のコックピット内で叫んだ。
ZAC2050年に学徒兵として徴兵された彼は、その後帝国滅亡後、共和国捕虜収容所での抑留生活ののち大異変の混乱期に相棒であったレッドホーンで脱走後、中央大陸の旧ゼネバス将兵の支援組織の助けを借り西方大陸に戦友たちとともに当時混乱の西方大陸に渡ったのちに戦友の何名かとともにエウロペの小国に招聘されそこで軍人としての地位を与えられたのち、将軍になるまでの出世をしたのだが、共和国の西方大陸進出のあおりを受け、クーデターの濡れ衣を着せられたことでゲリラ軍の司令官に祭り上げられていたのだった。「大尉殿!前方より、敵ゾイド多数、機種はゴドス、ガイサック、コマンドウルフです。」
彼のレッドホーンの砲手にして学徒兵時代からの戦友、クルツからの報告が来る。
「クルツ、よーく引き寄せて撃てよ、敵はダミーの無人砲台とスクラップに完全に嵌められて居やがる。」
彼は次第に自分の心が高ぶり始めるのを感じていた。
グルルゥゥゥ
「おまえもか?相棒」同じ様に高ぶっているのか、レッドホーンも低く、そして力強い声で唸った。「隊長!!敵部隊が有効射程に入りました!!」 部下からの通信が入る。
「今だ!!全機攻撃を開始せよ!!!」
次々と隠蔽壕から防砂シートを跳ね飛ばし、レッドホーンが、ブラックライモスが、ツインホーンが、モルガが、ゲルダーが飛び出す。

[288] エウロペ戦記・第二章・後篇 ロイ - 2010/08/11(水) 19:10 -

突然の出来事に先ほどまでダミーの無人砲台やおとり部隊に気を取られていた共和国軍は面食らった。
レッドホーンの主砲大口径3連リニアキャノンが放たれる。
その威力は驚異的で共和国軍のゾイドが次々とスクラップに変換される。
ガイサックはその華奢な構造が災いし、文字通り粉々に砕け散る。
ゴドスは機体面積の高さ故、最も多くの砲撃を受けて大破した。
コマンドウルフは友軍機が邪魔になり、持ち前の機動性を発揮できず次々と銃火に倒れていった。無論共和国軍も反撃するが共和国軍側の30mmビームライフル、ロングレンジガンでは重装甲の帝国ゾイドにはほとんど効果はなく、逆に帝国軍ゾイドの火器は共和国ゾイドの装甲を紙のように撃ち抜くのを見た共和国ゾイド部隊は白兵戦で対応しようとする。
多くは砲撃を受け砕け散るが、共和国軍部隊はその物量を生かしてさながら銃剣突撃のように迫る。
ゴドスの蹴りを受けモルガが撃破される。
ガイサックが不用意に突撃してきたモルガの頭部装甲の隙間にレーザークローを叩き込むと、マルダーを器用に横転させる。
別のガイサックはゲルダーのコックピットにロングレンジガンを撃ち込む。
ゲルダーに誇乗していた歩兵が慌ててゲルダー側面にある歩兵用火器収納庫を開け対ゾイドライフル、サブマシンガン、テルミット手榴弾、果ては9ミリ口径の短銃や収束手榴弾を構えてガイサックの前に飛びだす。
「!?」
突然の事にガイサックのパイロットは半ばパニック状態に陥り、
「全員撃て!」
ケブラー製のボディアーマーをつけた男が叫ぶ。男が収束手榴弾を投げつける。
間髪いれず他の兵士も各々の火器をガイサックの頭部コックピットへ向けて撃ち放つ。
たちまちガイサックのキャノピーが火花に包まれる。
さすがに構造が脆弱なガイサックもマシンガンの弾に貫かれるなどということはなかったが、その攻撃の激しさにガイサックの動きが一瞬止まる。「今だ!撃て」
マシンガンを連射しながら男は対ゾイドライフルを構えている男に指示を出す。
「了解!」対ゾイドライフルの照準を橙色のキャノピーに合わせる。
対ゾイドライフルが放たれる。
その一撃はガイサックのキャノピーを撃ち抜くと、中のパイロットの胴体に大穴をあけた。
「やったぞ!」
「俺達歩兵隊でもやれるんだ!」
「ざまー見やがれ共和国の野郎!」兵士たちが口々に言う。
「みんな!喜ぶのはまだ早いぞ、もうすぐ敵のゾイド部隊が歩兵を連れてやってくるはずだ。今のうちにゲルダーから武器を調達しておくぞ!」
最初は共和国軍のなりふり構わぬ突撃に混乱していたが次第にゲリラ側の主力部隊も無謀な突撃を敢行してきた共和国軍を集中砲火を浴びせ掛け始めていた
「全軍後退!全軍後退!このままでは全滅するぞ!」
コマンドウルフに搭乗するテッド大尉は通信周波数を最大にして叫んだ。
彼は第69高速戦闘中隊の副隊長だったが隊長が乗機のシールドライガーを撃破され戦死したため現在彼が指揮官として指揮をとらざるを得なくなっていた。
「もう少し持ってくれよ」
と彼は乗機のコマンドウルフに語りかけるように言った。
彼のコマンドウルフは左肩アーマーが脱落し、機体各所で不具合が発生しており、とても本格的な戦闘に耐えられるような状態ではなかった。
他の友軍機も似たようなもので早く撤退しなければ他の敵部隊に挟撃、包囲される恐れがあった。彼のウルフが後退しようとしたその時、踏ん張っていた第51中隊所属のゴドス4機が蹴散らされる。
残骸を押しのけレッドホーンとモルガ3台が現れる
「くっ!」
彼はほうほうの体で遁走する第51中隊の生き残りを援護すべく、半ば痺れかけた手で愛機の背中にマウントされたAZマクサー60ミリ機関砲のトリガーを引いた。
機関砲弾は次々とモルガとレッドホーンに着弾する。
その威力は他の共和国軍側ゾイドの火器同様レッドホーンに対しては火花を散らす程度の効果しかなかったが、モルガに対してはモルガが側面からの攻撃にぜい弱なこともあって2機が大破した。だが同時に砲身冷却が追い付かず、砲身が焼けついたことでマクサー50ミリ機関砲はその機能を停止させた。
「オーバーヒートかっ、こんな時に!」
役立たずめ!と彼が悪態を吐く暇もなくレッドホーンからのリニアキャノンの砲撃を受け彼のコマンドウルフは崩れ落ちた。
「こいつはもうだめか!」
テッドがコマンドウルフのキャノピーをこじ開け脱出しようとした直後、歩兵が放った携帯型ロケットランチャーがコマンドウルフの首の付け根に着弾し、彼は何が起こったのか理解する間も与えられず、跳ね飛ばされその身を地面に打ち付けた。
「勇敢だが、無謀な狼だったな」
ベルガーがそういうと同時にカノントータス3機がベルガーのレッドホーンに対して砲撃を浴びせ掛けた。
「危ない!」すかさず砲手のクルツが砲弾を撃ち落とすが、一発が頭部に命中し、爆煙に包まれる。
「やったか?」指揮官機仕様のカノントータスに乗るディアス中尉はペリスコープで外を覗きながら言った。
780ミリ加農砲の直撃を至近距離で受けたのだ、いかに大型ゾイドのレッドホーンといえど頭部は大破全損、よくてコックピットが破壊されているだろうと彼は考えていた。
だがその予想はすぐに覆されることとなる。
突如停止していたレッドホーンの三連装リニアキャノンが彼の乗るカノントータスの方に旋回したのだ。
「なにっ、角で弾いただと!バーク伍長!砲げ・・」慌ててディアス中尉は砲手を務めるバーク伍長に命令したが、同時にレッドホーンが三連装リニアキャノンを発砲、彼等の搭乗するカノントータスに砲弾が命中した。
その一撃はカノントータスの正面装甲を貫くと、ゾイドコアを破壊しコアから漏れ出たエネルギーが弾薬庫の誘爆を促し、カノントータスは内部から破裂するようにして爆発炎上した。
「そんな・・・」突然の出来事に僚機のカノントータスの動きが鈍る・・そこを見逃さずセイバータイガーATとマーダ9機が猛禽さながらに襲いかかる。慌てて後退しようとするが、すぐさまマーダ3機が退路を分断、カノントータス2機は至近距離からミサイルを撃ち込まれ大破した。
同じ頃・・・「まだ砲撃は来ないのかよ…」
「もうすぐ来るはずだ・・」陽動役を務めていたジャックとコルト、途中から陽動に参加したアルフのマンモスは15機の敵ゾイドと交戦していた。さらにゾイド鹵獲用の装備を持った鹵獲班が4機現れる。
「隊長!早く攻撃しましょう!!」ハルドは友軍の苦境を見て、突撃するべきと意見具申をするが、
「いや、まだだ」とアルバート少佐
「少佐殿、敵が飛行ゾイドを発進させるようです!機種はシンカー3、」ジム准尉が報告する。「なに!わかった、突撃開始!!」
アルバートはこの基地に大型ゾイドは配備されていないと判断(旧式の飛行ゾイドは小型であっても数を揃えると大型ゾイド並みの整備施設を必要とするため)、機体に装備していたマルチロケットディスペンサーから信号弾を発射した。
「中尉殿、砲撃許可が出たみたいですよ!」カノントータス236号機に乗るケレア・クニスペル少尉はそういうと格納庫めがけて砲撃を開始した。数秒遅れてキャノニアーゴルドス、カノントータス163号機も砲撃を開始した。
―――――ゲリラ側基地―――――
「あの三機を撃破しろ!いやマンモスは鹵獲するんだ!航空部隊を早く発進させろ!!このままでは中央が陥落するぞ!」
仮設建設された管制塔でこの基地のゲリラの司令官が叫ぶ。
鉄板を敷設して作られた即席滑走路ではRMZ‐02グライドラー6機、EMZ-19シンカー4機、ソルディス3機、飛行爆弾に改造したプロラバーン10機が発進しようとしていた。
「くそ、なんて暑さだ」浅黒い肌の整備兵の青年はプロラバーンを整備しながらそう呟いた。
彼はゲリラになる前は比較的気温の低い地域の町工場で民間機を整備していたという経歴故ゲリラにスカウトされた彼はここアレキサンドル台地のオーブンの中にいるような乾燥した気候と強烈な日差しに不慣れだった。
「まだ戦闘は続いているのかよ」シンカー1番機にのるパイロットは偽装のスクラップの山の向こうで時折見えるアイスキャンデーのような光を見ていた。
戦闘の光であろうそれは次第に増えていた。
「これじゃあ、安心して発進できねえぜ」
シンカー一番機のパイロットが愚痴る
「同感だ、まったく、ん?」胴体部の斜銃の銃手がキャノピーを閉めようとしたその時「なんだ?」雲ひとつない青空を黒い点は弧を描きながら、建設途上の対空陣地に落ちて行った。
その直後、全身を乱暴に揺さぶる轟音とともに、対空陣地があった場所に火柱が上がった。
「何だ!」「流れ弾か?」「敵襲!敵襲!!」誰かが半狂乱で叫んだ「ちっ!早く発進するぞ!」「りょ、了解!」銃手はキャノピーを閉めた。慌ててシンカーとグライドラー2機が発進するがその直後、滑走路上空に約千個の破片と数百個の子爆弾が降り注いだ。
先ほどまで航空部隊が並んでいた滑走路に血色の華を想起させる爆光が咲き乱れる。
無論、そこにいた航空兵力は壊滅、また付近にいたサイカーチス自走砲が巻き沿いを食い破壊される。
同時にカノントータス163号機から放たれた突撃砲弾が格納庫の一つに着弾した。
それはキャノニアーゴルドスのバスターキャノン砲弾と比べれば爆竹とダイナマイトほどの差があったが、格納庫の屋根を突き破るには十分すぎるほどの威力を備えており突撃砲弾は薄紙のように格納庫の屋根を突き破ると内部で炸裂し、発進しようとしていたEMZ−02マーダ6機を大破させた。
「よし、いいぞ!これより我々は突入を開始する!!」
アルバート大佐は基地内へ砲撃禁止を示す信号弾を発射すると、部下のコマンドウルフを従え愛機のシールドライガーを進ませた。
慌てて旧帝国軍製の砲戦ゾイド、ヤークト・クラッペ三機が迎撃してくる。
デザートイエローで塗装されたヤークト・クラッペが対装甲シザースを振り回しながらシールドライガーに突撃をかける。
シールドライガーは三連衝撃砲を撃ち込む。ヤークト・クラッペの分厚い正面装甲はその攻撃に耐えきったがその衝撃は完全に相殺できず、砲手と操縦士はその衝撃の激しさのあまり脳震盪を起こしていた。
動きの鈍ったヤークト・クラッペに間髪いれずストライククローが叩き込まれヤークト・クラッペは沈黙した。
残り2機のヤークト・クラッペはコマンドウルフのAZ50MMビーム砲を叩き込まれ、鉄屑に変換されていた。
「敵襲!!」
「シールドライガーだ!」
「ここから先は通さんぞ!」
ベトンで固められた中型トーチカが砲撃するが、すぐに突破されてしまう。
ゲリラ側のハンマーロック6機が炎の海と化した滑走路を背に立ちふさがり、一斉に加速ビーム砲を発射すると同時にドラム缶の内部に爆薬を詰めた即席手榴弾を投擲する。
「散れ!」アルバートは部下のコマンドウルフが施設の陰に隠れると同時にEシールドを展開させる。瞬時に紫色の光の壁が形成され、ビームがはじき返され、ドラム缶爆弾が光の壁を叩く。
その光景に動揺したのか攻撃が一瞬止まる。
その隙にシールドライガーmk2の二連装ビームキャノン砲が発射され、ハンマーロック6機のうち4機が大破し、残りのハンマーロックにも左右から忍び寄ってきたハルドのコマンドウルフが襲いかかった。
右側から忍び寄ったコマンドウルフがAZ50MMビーム砲を発砲、大破した4機の近くにいたために左腕を破壊されたハンマーロックの頭部が炎に包まれる。
「なに!」別のハンマーロックが肩の加速ビーム砲を向けるが左側から忍び寄っていたコマンドウルフのAZ50MMビーム砲を背中に受け大破した。
慌ててイグアン3機とゲーター1機、サイカーチス自走砲1機が迎撃のため接近してくる。
「ハルド曹長!陽動は任せた!」
「了解!」
「敵が逃げるぞ! 追え!」
ハルドのコマンドウルフが後退するのを見てゲリラたちは追撃を開始した。
「馬鹿め!そこは行き止まりだ!」指揮官機仕様のイグアンに乗る男が口元をつり上げる・・・だがその笑みは数秒で覆されることとなる・・なぜならば彼らがコマンドウルフを追い詰めたと思った地点には六連装ミサイルポッドを展開したシールドライガーMK2が待ち構えていたからである。「しまった!罠か!」指揮官の男が後退命令を出した時には既に遅く、ミサイルは5機のゾイドに命中、そのすべてを鉄屑に変換した。
「陽動隊の救援に向かうぞ!」
「「了解!」」アルバート少佐は基地制圧をしめす信号弾を発射すると、陽動部隊とゲリラ部隊との戦闘がおこなわれている地点に向かっていった。
同じ頃・・・大型ゾイド鹵獲用の電磁パイルバンカーを装着したイグアンがマンモスの脇腹めがけて自身の背丈の半分ほどもある電磁パイルバンカーを突き立てようとする。
「やらせるか!」しかし、すんでのところでジャックのゴドスのガンポッドの銃撃を受けて倒される。
ハンマーロックがアイアンコング譲りのハンマーナックルでジャックのゴドスに殴りかかる。「!?」ジャックは左腕のガンポッドのトリガーを引くがそこから砲弾は飛び出さず、代わりにゴドスのコクピットに弾切れのアラームが流れただけだった。
「くそっ!」ジャックは思わず毒づいたがそれで事態が好転するはずもなくハンマーナックルが迫る。
もはやここまでと、ジャックが考えた瞬間、ハンマーロックが光弾の雨を受けもんどりうって倒れた。
「助かったぜアルフ」
すかさずコルトのゴドスがロングレンジガンで倒れているハンマーロックに止めを刺した。
「砲撃隊!脚だ!脚をねらえ!」
ハンマーロックの強化改造機ハンマーロック3に乗る指揮官の男がマルダーと後部コンテナをレールガンに換装したモルガE型、ヤークト・クラッペに砲撃指示を出す。
すぐさまそれらの機体の砲口が向けられる。
だが、突如彼らの後方にいた給弾用のサプリトータスが光弾の直撃を受け木っ端微塵に爆散した。無論搭載していた弾薬はすべて誘爆したため護衛のスパイカーが巻き添いを食い大破した。
慌ててヤークト・クラッペが背部砲塔を旋回させるが、ビームを弾薬庫に受けて炎の塊と化した。「なんだ!」イグアンのパイロットが叫ぶ、
しかし次の瞬間後ろからコマンドウルフに押し倒され電磁牙でコックピットを噛み砕かれた。
「シールドライガーにコマンドウルフだと!」
驚愕する指揮官の目の前でシールドライガーのミサイルを受けたマルダーが横転する、モルガE型がバッテリーを撃ち抜かれ、爆発炎上する。
「おのれぇ!こうなれば!」
敵の指揮官と刺し違えてやる・・ハンマーロック3は左肩の大型ビーム砲をシールドライガーに連射する・・無論Eシールドに弾かれてしまうが、男にとってはEシールドを使用不能にできればいいと考えていたためそれでも良かった。
しかし冷却剤が払底した後も連射を続けたため砲身がビームの高熱に耐えきれず、飴のように溶けた。
撃てない大型砲など只のデッドウェイトでしかなく、すぐに炸薬により排除される。
しかしシールドライガーも大型ビーム砲を連射されたことにより、Eシールドが焼けつきを防ぐためにセーフティーシステムが作動してしまい、一時的に使用不能になってしまっていた。
「いまだ!」男は赤いプラスティックカバーをたたき割る。
直後に背中の使い捨て式ロケットブースターパックが作動し、ハンマーロック3はシールドライガーに向かって爆走した。
アルバートは位置関係上友軍機を巻き添いにしかねない為有効な攻撃ができない。
「隊長殿の突入を援護しろ!!」
「おおおお!!」
辛うじて残ったゲリラ部隊が隊長を援護するべくシールドライガー以外のゾイドに攻撃をかける。「くそっこいつら!」
アルフのマンモスにはヤークト・クラッペ二機と鹵獲用ゴドスが、二機のコマンドウルフにはモルガとゲーターが、ゴドス二機にはモルガAAとイグアンホバーユニットがハンマーロック3の突入を支援する。
しかし元々ろくに整備が行き届いておらずすぐに蹴散らされてしまうが彼等は貴重な時間を稼ぎだすことに成功した。
「少佐殿!!っ」
モルガAAを撃破したコルトのゴドスが背中の二連装ビーム機銃でハンマーロック3を攻撃した。「くぅ」咄嗟に左マニピュレーターでコックピットを守ろうとしたが、コックピットのアンテナが吹き飛び計器類がいくつか火花を散らした。
「くぅう」
さらに背後からマンモスがマクサービーム砲を受けて大きくバランスを崩したハンマーロック3は、何度かバウンドした後、地面にボディをめり込ませて大破した。

[290] エウロペ戦記・第三章・前篇 ロイ - 2010/08/15(日) 19:11 -

帝国軍事顧問団の指導によって巧妙に設置されたトーチカ群の存在もあってか共和国軍は2時間近くの時間を消尽させていながらいまだにゲリラ軍の要塞を攻めあぐねており、無数の砲撃と爆撃によってクレーターだらけとなった大地で無数の兵士とゾイドが激突していた。
イグアンが自陣に迫るガイサックに四連装インパクトカノンを叩き込み撃破する。
だが鉄甲弾を胴体に受けて撃破される。
残骸を踏み越え、ゴドス3機が進撃する。
その刹那、近くのトーチカの残骸がはじけ飛び、そこからロケット弾が発射され、ゴドスが一台大破する。
土煙の中から緑色に塗装されたステルスバイパーが飛び出す。
「!?」中央にいたゴドスがテイルスマッシュを叩き込まれて機能停止に陥る。
右側にいたゴドスはヘビーマシンガンをコクピットに撃ち込まれて撃破された。
「奇襲成功っと!」ステルスバイパーに乗るバンダナをつけた男が軽々しく言う。
その横をツインホーンを先頭にしてヤークト・クラッベやモルガ、アタックゾイドの部隊が通過する・・そのどれもが、損傷しており、ろくに整備されていないのか、動きも悪かった。
「乗る船を間違えたかな…」男はぶっきらぼうにそういった。
傭兵である彼は元々この組織に全く思い入れがなく、この組織に所属したのも報酬と陰で帝国の支援を受けているという噂を信じたからであった。
その噂は事実ではあったが、帝国はこの組織に共和国側傀儡国家や植民地を占領させ、傀儡として操る意図などは全く無く、精々数年混乱状態に陥れてくれればいいと考えていたわけで、その意味では彼もゲリラの幹部連同様帝国に一杯食わされたようなものである。
だがこの状況で降伏するわけにもいかず、ゲリラたちとこの要塞で無謀な戦闘を続けるしかなかった。
次の瞬間、先行していたゲリラ部隊のツインホーンが側面に大穴をあけて爆発炎上した。
「なに!」同時にモルガがゴドスに側面から襲いかかられ撃破される。
「ちっ、トラップかよ!」
男は陽動に引っ掛かったゲリラ部隊の無能に舌打ちした。
さらにヤークト・クラッペ3台がシルバープテラス数機のガトリング掃射を受けて燃える鉄屑と化す。
ステルスバイパーから地対空ミサイルが放たれる。その数は2発、これは帝国製の高性能品でオリジナルのそれより射程距離と命中率は上回っていた。それを見たシルバープテラスは散開するが、2機が硝煙で濁った空に黒い機体を散らした。
「やったぜ!」しかしその刹那、コマンドウルフ改のキャノン砲を頭部に受けてステルスバイパーは崩れ落ちた。
マンモス改がガリウスをストライクノーズで蹴散らしながら、トーチカに接近しトーチカの一つを破壊する。
左右からアタックゾイド5機が迫るが側面の20ミリ銃座に撃墜される。
マンモス改はそのまま前進しようとするが、対大型ゾイド障害にひっ掛って動きを止めてしまう。「しまった!」
「いまだ!」防砂シートを跳ね飛ばして現れたヤークト・クラッペが至近距離から主砲を発砲、マンモス改の左前脚に着弾する。
着弾後内部の液体爆薬が反応し、マンモス改の前足は内部から消し飛んだ。
マンモス改は大きくバランスを崩して行動不能に陥る。
「よし!」ヤークト・クラッペはそのまま砲塔を旋回させカノントータス突撃型を砲撃するが、カノントータス突撃型の正面装甲に徹甲弾をはじかれ液冷式対空自働キャノン砲を零距離で叩き込まれ撃破された。
行動不能に陥ったマンモス改の側面に火炎放射機と燃料タンクを装備したイグアンが回り込み火炎放射を浴びせ掛けた。
マンモス改は背中のMLRSに火が回った途端、背中で火災が発生する。
自動消火装置が作動するが消火する傍から炎を浴びせ掛けられている上に、挙句の果てに爆発に巻き込まれたことでその機能を停止した。
「止めだ!!」
鹵獲されたカノントータスやキャノリーモルガ、モルガG型が至近距離から砲撃を弾切れになるまで射ち込んで撃破した。
ゲリラ側のイグアンを撃破したゴドス6機と指揮車仕様のカノントータスと通常型のカノントータス6機が砂で埋もれたかつての飯場町の残骸を跳ね飛ばして進撃する。
先頭を行くゴドスが赤錆びたクレーンの残骸を通過した瞬間、潜伏していた歩兵が発射した携帯型熱感知ミサイルがゴドスの頭部右側面装甲を貫通、ゴドスの頭部がザクロのごとく砕け散った。歩兵は別のゴドスを狙おうとしたが、周辺に展開していた共和国歩兵隊の銃撃を受け倒された。
だがその歩兵隊も別の地点に展開していたゲリラ兵の攻撃を受け五名が戦死し辺りは血の海となる。
足元の地獄を見てしまったゴドスのパイロットは半狂乱になりながら銃火の光る方向に砲撃を叩き込むが、いつの間にか後方に回り込んでいたヤークト・クラッペ改が80mm電磁砲を発砲、一番後ろにいたゴドスがバキッという音を立てて真っ二つになる。
さらに共和国軍部隊の側面を対ゾイド肉薄班が襲撃した。彼らの装備は吸着爆薬とアサルトライフル、ロケット砲、拳銃というもので彼らの祖国は大異変の影響でゾイド群生地が壊滅してしまったためこのような部隊を創設することで数少ないゾイド兵力を補わざるをえなかったのである。
他の肉薄兵の援護を受けた一人の肉薄兵が吸着爆雷を抱えて最後尾のカノントータスに迫る。
カノントータスの搭乗員の一人が車載重機で迎撃する・・だが、別方向から投げられた手榴弾によって制圧される。
「くらえ!」そして肉薄兵は吸着爆雷をカノントータスの弾薬ブロックのあたりにセットすると後退した。
数秒後吸着爆雷の信管が作動、さらにカノントータスの弾薬が誘爆し周辺に展開していた共和国歩兵11名が巻きこまれた。
別のカノントータスにも肉薄兵が迫るが、これは歩兵に阻止されてしまう。
しかし別の匍匐前進で迫ってきた肉薄兵がカノントータスの底部に吸着爆雷を仕掛け撃破した。「ロケット砲隊!指揮車をねらえ!」
隊長の命令を受け、各所に隠れていたロケット砲装備の肉薄兵が指揮車仕様のカノントータスにロケット砲を発射、四方から白煙を上げてロケットが迫る・・その光景はクジラに襲いかかるシャチの群れのようだった。
周辺の歩兵がアサルトライフルで弾幕を張ったが防ぎ切れず三発が命中して火災が発生した。しかしカノントータス2機がロケット砲の発射の白煙で肉薄兵が隠れていると判断した廃虚と掩蔽壕を対空砲と突撃砲で滅多打ちにした。
これにより隠れていたロケット砲肉薄兵は大損害を受けた。
辛うじて生き残っていたロケット砲兵がロケット砲を背を向けていたゴドスに発射してゴドスの背部を炎上させたが、歩兵の銃撃に倒される。
吸着爆雷を持った肉薄兵が多数、指揮車仕様のカノントータスに突撃するが体制を立て直し始めた共和国歩兵隊の銃撃の前に倒れ始める。
一人の肉薄兵が腹部に被弾しながらも吸着爆雷を抱えてカノントータスに突撃する。
彼は吸着爆雷を設置すると同時に力尽きるが、カノントータスも行動不能となる。
電磁砲が一時使用不能になっていたヤークト・クラッペ改も彼らに負けじとばかりに応急修理した電磁砲でゴドスを撃破する。
「くそ!」
別のゴドスがガンポッドを向けるが、肉薄兵の放ったバズーカ砲に破壊される。その隙にヤークト・クラッペ改がミサイルでゴドスを撃破する。
「そろそろ頃合いだ!全員後退せよ!」
ヤークト・クラッペ改が撤退信号弾を打ち上げる。共和国軍に追撃する余裕はなかった。
―――――要塞内部―――――


かつての坑道を改造した格納庫には数百機ほどのクロスウィングが並べられていた。そのどれもが爆装しており、操縦席がセンサーヘッドに交換されていた。
「実験道理、命中するんだろうな!」技術に疎いゲリラの幹部の一人が技術者の一人に声を荒げる。
「はい、威力、命中率共に問題はありません、それよりも共和国軍の迎撃能力を問題にしたほうがよろしいかと」
対するガウンを着た青年はそれをどこ吹く風とばかりに答える。
「ふん!そんなものは各基地の航空部隊が何とかする!そもそもこの兵器は低空を飛行して敵に突入するようプログラミングされているんだろう!」
そんな青年の態度が気に入らないのか幹部の男はさらに大声でまくし立てた。
「はい、しかし・・「もういい!とにかく連中が砲撃してくるまでに早く発進させるんだ!!!」幹部はそれ以上議論で時間を消費するのが嫌なのか、一方的に話を打ち切ると格納庫を去って行った。
「はあ」青年は溜息をつくと整備兵たちに指示し始めた。
丁度その時大型陸上戦艦を中心とした本隊が要塞を射程に収めつつあった。
―――――大型陸上戦艦艦橋―――――
「誰だ、まったく連中の兵力を過小評価していたのは!!」座乗していた幕僚の一人が声を荒げて言う。
彼は報告に聞いていたゲリラの戦力と目の前のゲリラ軍の戦力があまりにも乖離していることに困惑していた。
「おそらく、欺瞞情報を摑まされたのだろう。今は諜報部を責めても仕方ない、これより敵要塞に対して戦略艦砲射撃を開始する。」
「了解、観測機隊発進!」
陸上戦艦後部格納庫から観測機のバロールが発進する。
この機体はグライドラーの大型種をベースに作られた機体であり武装はビームバルカン2門で翼が円盤状に大型化されており、緊急離脱用にロケットブースターを6基装備していた。
「バロール1より報告、area‐3−3‐4にビガザウロ改とレッドホーン3機を確認、バロール2から、area‐5‐6‐2に中型トーチカ3基を確認、いずれも友軍部隊の障害となっているようです」「51cm砲は全門発射可能か?」
「何時でも行けます!!艦長殿!」
砲術長が待っていたとばかりに言う。
もともとこの艦の主砲たる51cm砲は大陸間戦争時代、帝国海軍がウルトラザウルスを超える大型海戦ゾイドを建造しているという情報(当時トライアングルダラス周辺の生態系の頂点にいたメガロドン型ゾイドをベースに建造しようとしていたらしいが詳細は不明、共和国海軍ではリヴァイアサンというコードネームで呼ばれていた)を耳にした共和国海軍がその総力を結集して建造しようとした特ビ級・ブルハスカヨ級の主砲として開発が進められていたもので試射では60キロ先のゴジュラスのスクラップを撃ち抜いており、対空レーダー、特殊レーザー誘導慣性修正装置付き砲弾との併用ではギル・ベイダーをも撃墜可能という恐るべきものでブルハスカヨ級自体も非常に強力でウォディックが20隻襲来したとしても撃退可能とある高官が豪語したほどのもので当時の共和国海軍は同時期に陸軍が開発していたキングゴジュラスに対抗すべく建造しようとしたが、大異変後野生体が絶滅してしまったことで建造中止(計画では12隻が建造される予定であった。
一説には2隻建造されたともいわれ、当時の帝国首都ダークネス攻略時にキングゴジュラスの突入援護を担当後、大異変により地盤沈下に巻き込まれ失われたビッグ1、ビッグ2と名付けられたウルトラザウルス級の改造型がそれではないかとも言われているが関係者が口を噤んだままこの世を去ってしまったため詳細は不明)されたためこの主砲は戦後しばらく窒素を充填した気密格納庫にモスボールされていたのだが、それを見た共和国陸軍関係者が共和国海軍に掛け合った結果陸軍に譲渡され、丁度その時期建造されていたこの艦に搭載されたという経緯があり、その経緯を知る砲術長はこの時を待ちわびていたのである。
「1番と3番はarea‐3−3‐4を、2番と4番はarea‐5‐6‐2を砲撃せよ。クルーは全員耳栓を着用、外部にいる者は全員艦内に入るように艦内放送で伝えろ!」
「「「イエス・サー」」」
警報が鳴り響く中両舷に搭載された4門の51cm砲が斜め上に構えられる。
その様子は本来この砲を装備する予定だったブルハスカヨ級の野生種の首のようだった。
「撃て!!」巨砲が火を噴くと同時に大地を揺るがすような轟音が響き渡る。

同じ頃・・・―――area‐3−3‐4――――


丘の上に建造されたトーチカに対して共和国軍は激しい攻撃を加えていたが、いまだに落ちる気配はなかった。
「全員撤収!!早くしろ!!」
カノンフォートに乗る第23機甲部隊隊長ショーン・ストライプ中尉はそう叫ぶと自ら部下数名と殿をつとめ、部下を逃そうとしていた。
このような行動をとる共和国軍人はそんなに珍しいものではなく、これは共和国陸軍が創設当時風族の軍制を主体にして作られていたことに由来する。
彼らの軍隊では指揮官クラスは貴族または優れたゾイド乗りでなくてはなれず、戦況が不利な場合は部下のことを最優先に考えて行動せよなどと考えられていた。
尤もこれは地球人による軍制改革によってデメリットであると判断されたが、士官学校ではある将軍の残した民なき王がないように部下無くしては指揮官は存在し得ないものであるという訓示が流されていることからもその影響は今も確かに残っているのである。
彼と彼の部下は五機の敵ゾイドを撃破したが同時に弾薬とエネルギーも払底してしまう。
「くそ!弾切れか!煙幕展張!」あわてて、彼の部下のカノントータスが煙幕弾を発射その隙に彼等は撤退することに成功した。
「見ろよ!共和国の奴ら尻尾を巻いて逃げやがったぜ!」
レッドホーンに乗る兵士が煙幕を指差す。
「この要塞を落とすんならデスザウラーでも連れてきやがれ!」
指揮官機仕様のレッドホーンに乗る指揮官が言う。
「21番トーチカより連絡、我、敵部隊の撃退に成功、わが方の損害きわめて軽微なり、とのことです。」
ゲーターレディーファントマに搭乗する通信兵が彼に報告する。
「よし!」彼は21番トーチカの方を見た。そこにはベトンに覆われたトーチカがあった。
共和国軍は遠巻きに砲撃を仕掛けるのみで、先ほどまで上空を乱舞していたシルバープテラスも補給のためか、上空から姿を消している・・それでも各基地から飛んできたゲリラ側の航空部隊と共和国陸軍航空隊、共和国空軍との戦闘が続いており、青空では未だに鋼鉄の竜達が乱舞し、地上からの対空砲火が撃ち上げられていた。
だが次の瞬間、突如飛来してきた赤熱する何かが21番トーチカに突き刺さる。
瞬時にベトンと内部の人員を粉砕したそれの信管が作動、21番トーチカは内側から破裂した。
弾薬庫が巻きこまれ、誘爆の炎が陣地全体を飲み込む。
陣地にいた歩兵たちが炭化物に変換される。無論、パイロットが露出しているアタックゾイドや24ゾイド、旧式の骨ゾイドも彼らの後を追った。監視塔が炎に呑まれ、崩壊する横で、ヤークト・クラッペが弾薬と燃料を引火させ爆発する。
さらに地下に秘匿されていた燃料タンクが破損したことで燃料が噴きだす。
不純物が多い劣化レッゲルも瞬時に着火、火災旋風が発生し、火災旋風に巻かれたゾイドや重砲が爆発する。
さらに21番トーチカ以外の周辺に設営されていた小型トーチカも次々と爆発する。
紅蓮の業火とどす黒い黒煙が晴れた後には戦力と呼べるものはなかった。
「・・・!!」
「わああああああああ!!!!!!」
その様子を見ていた23番トーチカの兵士たちは指揮官、兵卒の区別なく一瞬茫然となった。
次第になにが起こったか理解し始めると、雪崩を打って陣地から飛び出す。
その直後砲弾が陣地に直撃し、彼等は21番トーチカの後を追った。
この二つの陣地を皮切りに共和国軍は先ほどの攻撃とは比較にならないほどの攻撃を開始した。
まず、観測機バロールやダブルソーダが敵陣地の戦力規模や配置を逐次報告後MLRS装備のカノントータスやマンモス改がゲリラ側が潜伏していると報告を受けた場所に対して地対地ロケットのシャワーを浴びせ掛ける。
白煙を引きながら2000近いロケット弾がかつての鉱山の賑わいを偲ばせる設備の残骸や瓦礫とそこに潜伏していたゲリラの戦力を根こそぎ吹き飛ばした。
それでも帝国軍事顧問団らの指導によって建造されたトーチカ群は抵抗をやめなかったが、それに対し共和国軍は陸上戦艦の51cm砲と重砲部隊のゴルドス重砲型による制圧射撃でもって答えた。これによってゲリラ側の防衛システムはズタズタに引き裂かれ、各ゲリラ部隊は分断されてしまう。
「いまだ!全軍突入せよ!!!!」
それを見た共和国軍部隊は一気に要塞へ向けて傾れ込む。
これを阻止する戦力はゲリラ側にはなく、要塞砲は迎撃するが陸上戦艦の艦砲射撃によって撃破される始末だった。
ダブルソーダ・ボマーが低空を飛行し、ロケット弾やビーム砲、機関砲を叩き込み陣地を吹き飛ばす。
カノンフォートの背中の重撃砲が唸り、オリーブドラブに塗り替えられたゴドスを撃破する。
その横ではカノントータスがゲルダーやザットンを撃破していた。
「ちっ、最初からこれをやればいいものを…」
キャノリーモルガを電磁牙で撃破するとジェフは苦々しく吐き捨てた・・・確かに彼の言うとおり最初からこの規模の攻撃を仕掛けていればゲリラ軍にこれほど苦戦することもなかっただろう。
だが、数ヶ月前、共和国軍諜報部がゲリラ側の欺瞞情報にまんまと引っかかってしまった時点でこの事態が起こることはすでに決まっていたのである。
空では各所の基地から発進したゲリラ側航空部隊にレドラーを装備した部隊が加わったことでわずかに状況がゲリラ側にとって好転していた。
「くそ!なんて速さだ!わああ」
一機のプテラスストライカーが機銃を撃つが、レドラーE型は横滑りで軽々と回避すると、
可変レーザーブレードでプテラスの左翼を切り裂く。
別のレドラーはシルバープテラス6機編隊に向かっていく。
一機のプテラスが20mmバルカンを撃ちながらレドラーの前に立ちふさがる。
プテラスのパイロットはレドラーが衝突を恐れて腹を見せることを期待していたが、レドラーはそのまま直進。
「クレイジーが!」
プテラスは慌てて回避しようとするがすれ違いざまにコクピットをストライククローで潰されてしまう。
「くらえ!」
レドラーは、シルバープテラス目掛けてロケット砲とレーザー機銃を発射、シルバープテラス4機が被弾し二機が黒煙を引いて落ちていた。
中にはレーザーブレードで切りつけようとして誤って敵機と激突してしまうレドラーもいる。
ほかにも闇市場や鹵獲で入手したプテラスや帝国軍やエウロペの小国家の空軍が装備していたシンカーやグライドラー、ペガサロス、シュトルヒも戦っていた。
グライドラー7機が爆撃機仕様のプテラスボマー部隊15機に銃撃を仕掛けて3機を離脱させ、5機を損傷させたが、護衛機のプテラスストライカーに5機撃墜される。
シュトルヒがバードミサイルを発射、プテラスに命中、プテラスは大破した。
正面からレドラーが突入してきたがこれは即座に撃墜されてしまう。
低空でも陣地を攻撃するダブルソーダとゲリラ側のサイカーチスとビーシューターやクロスウィングが交戦していた。
「ヒュー!連中もうまくやってるなあ、こりゃあ俺達もまけられねえな!」
爆撃隊の爆弾を受けた重砲が火の手を上げているのを見たダブルソーダ・ボマー部隊の隊長は爆撃隊の技量に舌を巻いた。
「隊長!敵機です!」
後部偵察員が報告すると同時に敵の陣地から銃火が上がる。
「ちっ」ダブルソーダ・ボマーは四連装機関砲で撃ち返す。
ゲルダーやモルガは辛うじて耐えたが、ガリウスやハイドッカーは数発浴びただけで大破した。
―――――要塞司令部――――


「第16トーチカ沈黙、第34騎兵中隊、第31小隊応答なし!」
「此方第25中隊!我既に戦力なし!」
「ベルガー将軍とは繋がらんのか!!」
「ベルガー将軍の部隊は敵装甲部隊と交戦中とのことです。」「援護に迎える部隊はないのか!」参謀の一人が大声でまくし立てる
「現在、一部の残存部隊が向かっているようですがまだ足りないようです」
「近くいる部隊で手の空いている連中は?」
「第24砲兵中隊と第22砲兵中隊がいます」
「すぐに援護に向かわせるんだ!!」
「第22砲兵中隊より連絡、先ほどの敵の航空攻撃で隊長と副隊長が戦死したそうです。」
「!?第22砲兵中隊には第24砲兵中隊の指揮下に入るように伝えろ!」
「地下格納庫より、連絡!クロスウィング改の発進準備が完了したとのことです!」報告と同時に司令部の真上位置に有った対空陣地がマンモス改の放った大口径臼砲の直撃を受けて壊滅、さらに衝撃で一時的に停電が起こる。
「なんだ!」
「第23陣地が壊滅したようです!」
「くうう!ただちにクロスウィング改部隊を発進させろ!」
幹部の一人が絶叫に近い声で命令する。

―――地下格納庫―――


「司令部より“直ちに発進させよ“とのことです」
「わかった!整備兵長、整備状況は?」
「万全です、これなら共和国の奴らも・・」
「わかった。」
「共和国側の砲撃が一時的に弱まったようです!」
「よし!ゲート開放と同時にクロスウィング改を発進させろ!!」
三重のゲートが開放されると同時に帝国からダミー企業を通じて供与されたリニアカタパルトによって加速されたクロスウィング改が発進する。「なんだ?」第323戦闘機隊所属のプテラスは突如現れた黒い物体の群れに驚いた。
「クロスウィングだと、無人機か?一体何のために?」
彼のその疑問は一機のクロスウィング改が突っ込んできたことで瞬時に氷解した。
「特攻か!」
彼はクロスウィング改を避けようとしたが背部火薬ロケットが点火され、クロスウィング改はプテラスの胴体に直撃、プテラスは爆発四散した。
他のクロスウィングも目標に対して突入を開始する。
レッドホーンと交戦していたカノントータス突撃型6機にクロスウィング改8機が一斉に特攻を駆ける。
クロスウィング改は機体上面装甲や背部装甲といった部分目掛けて体当たりを駆けたため、6機中3機が大破する。
正面から突撃した機体が装甲で弾かれてしまうという珍事も起こるが、この攻撃にパニックを起こしたこの部隊はレッドホーンに二機が撃破され一機は四機ものクロスウィング改に突入され木っ端微塵となった。
「第3小隊が壊滅だと、」
援護に向かおうとしていたゴドス小隊もクロスウィング改に突入されて壊滅した。
重砲部隊上空に到達したクロスウィング改部隊は最優先目標の一つとAIにプログラミングされている給弾車仕様のグスタフやカノントータスに対して突撃する・・・・無論周辺の対空ゾイドの火の壁のような対空砲火にからめとられて叩き落とされたり損傷する機体も現れるが、損傷機の中にはAIが突入不可能と判断して手じかな目標に突っ込むものも現れる。
「来るぞ!逃げろ!」ゴルドスガナー6機目掛けて左翼マグネッサーウィングを損傷したクロスウィング改が突入一台が胴体に大穴をあけ他の機体も損傷する。
「くそ!こいつらイナゴかよ!!」
カノントータス対空型のパイロットが毒づく、クロスウィング6機が突入してくる。
1機が対空砲弾の破片に刻まれ爆発する。
同じように3機撃墜されるが残り2機がサプリトータスとコンテナに突入、大爆発がおこる。さらにクロスウィング改以外にもゲリラ側の航空部隊も攻撃に参加、中にはクロスウィング改に気を取られてしまい、航空部隊に爆撃される部隊もいる。
クロスウィング改部隊による特攻によって共和国軍部隊が混乱したことにより、ゲリラ側部隊各所で息を吹き返し始める。
「いまだ!全部隊突撃!!」
ベルガーは指揮下の部隊に通信を送ると同時に突撃命令のオレンジの信号弾が放たれる。
対する共和国軍部隊はクロスウィング部隊の特攻によって大混乱に陥っている。
指揮車仕様のカノントータスがレッドホーンの加速ビーム砲に貫かれ爆散する。
混乱するカノントータス部隊、イグアンが残骸の陰から忍び寄り、カノントータスの側面にキックを叩き込んで血祭りにあげる。
別のカノントータスは旋回しようとするが、レッドホーンとゲルダーに攻撃され爆発炎上した。
マンモス改が背中の大口径臼砲を発射しようとするが、側面からクロスウィング改が突入、臼砲が破壊される。
他のマンモス改も似たようなもので、クロスウィングの特攻で損傷しているものが多かった。
そこにレッドホーン隊が持てる全火力を叩きつける。
マンモスの随伴機は例外なく大破し、マンモス14台の内、2台が破壊され、4台が中破、6台が小破に追い込まれる。
先頭のレッドホーン隊は道を遮る残骸や土砂、瓦礫を踏み潰し、跳ね飛ばし、粉砕してマンモス改部隊に突撃した。
他の中小型機も後に続く。
共和国軍はほとんどパニック状態で弾幕を張るが、後方にいた第24砲兵中隊が共和国軍の航空戦力のほとんどがクロスウィング部隊の撃墜に向かった隙をついて砲撃を行い、これにより共和国側の砲撃が中断される・・そして戦闘は肉弾戦に移行した。
マンモス改とレッドホーンの部隊が激突する、それは上空から見ると古代の海戦の衝角戦のようだった。
背部構造物の大部分を破壊されたマンモス改が頭を振り回してベルガーのレッドホーンに突撃する。一部の護衛機が阻止しようとしたが、無残に踏み潰され、跳ね飛ばされ、叩きつぶされた。ベルガーは機首を正面に向けるとマンモス改に向けて突撃した。互いの距離はすぐに狭まり、今まさにマンモスのビームタスクとレッドホーンのクラッシャーホーンがぶつかり合・・・わなかった。レッドホーンは寸前でスラスターを利用して、マンモスの横に移動していたのである。マンモスのビームタスクが虚空を切り、マンモスの巨体が尻もちをつく。
「今だ!クルツ!」
「了解」
レッドホーンの三連リニアキャノンがガラ空きのマンモスの側面に叩き込まれマンモスは機能停止した。マンモス改三台の背中に砲弾が着弾する・・・・同時にキャノリーモルガ8台とゲルダー2台とヤークト・クラッベ4台が雪崩込んだ。「司令官殿!援護に来ましたぜ」
隊長機のキャノリーモルガからの通信が入る。「援護!感謝する!」そう言うとベルガーは僚機とともに敵部隊に突撃していった。

[291] エウロペ戦記・第三章・後篇 ロイ - 2010/08/16(月) 23:29 -

「落ちろ!」ジェフのコマンドウルフ改が上空に向かって大型キャノン砲を発射する。
一機のクロスウィング改が翼を叩き折られ墜落する。
他のゾイドも対空砲火を撃ち上げ、クロスウィング改が次々と火を噴き、墜落、あるいは胴体に埋め込まれた爆弾が誘爆して爆発する。
「3時方向より、4機、高度8メートルで突っ込んできます!!」カーク曹長のカノントータスレドームから通信が入る。
「何だと!」ジェフは驚愕した。
「ちっ、無人機ってのは厄介だな!」デュランはそう吐き捨てると、背中のビーム砲を発射、一機が撃墜されさらにその巻き添いを食って一機が撃墜される。
残りの二機は右の機体が障害物と接触して地面と激しい抱擁を何度かわした後、放棄された歩兵陣地に突っ込みそこに置かれていた対AZ砲に激突して爆発した。
左の機体はカノントータスレドームから放たれた榴弾にその紙細工のように脆い機体を粉々にされて撃墜された。


―――――ゲリラ軍要塞上空―――――


既に発進したクロスウィング改の数は600機近くにも及びその内100機が体当たり攻撃を成功させていたが、次第に共和国軍の狂的ともいえる対空弾幕の前に途中撃墜される機が増え始める。「くそ!危なくって近づけやしねえ!」
レドラーのパイロットがその対空砲火の激しさを見て思わず舌打ちした。
彼の見ている前で一機のレドラーがプテラス隊に追い詰められ急降下を駆ける。
彼は援護しようと機首を向けたが、彼の見ている前でそのレドラーは無数の火箭に貫かれ砕け散った。
それを見た彼はレドラーの下顎の部分に装備されたガンポッドを一番編隊の外側にいたプテラスに叩き込んだ。
共同とはいえ敵機を撃墜したことで完全に有頂天になっていたそのプテラスのパイロットは、なにが起こったか分からないままコックピットごと肉体を粉々にされた。
「!?」
「アーウィンがやられた!」プテラスのパイロット達が事態を把握したときにはレドラーは既に編隊の内部に下方から殴りこんでいた。
「まず一機!」
レドラーは上昇と同時に翼下に装備したロケット弾を発射、ロケット弾は指揮官機の横を飛行していたプテラスの近くで炸裂し数百個の小型の鉄球を撒き散らした。
プテラスは左翼をズタズタにされ白煙を吐きながらきりもみ状態で落ちていく。
「よくも!」プテラス隊を率いるランス中尉は20mmバルカン砲のトリガーを握り握りつぶさんばかりに押したがその攻撃はレドラーの翼の関節キャップを掠めただけだった。
レドラーが指揮官機プテラスに向かって突っ込む。
「くっ、格闘戦を挑む気か!」
レドラーの尾部が銀色に光ったのを見たランスは切断翼を展開しての格闘戦が敵の戦法と判断した。
「こっちも望むところだ!」
ランスはプテラスの脚部をレドラーに叩き付けようとする・・・プテラスの脚部は着陸脚として設計されたものであったが、叩きつけられれば現存するどの飛行ゾイドも飛行不能となることを彼は知っていた。
その刹那レドラーとプテラスが交差するが、お互いに損傷はなかった。
レドラーはそのまま後方に去って行った。
「逃げたのか?」
ランスはそう判断したが既に遥か後方にいたレドラーの後背部がオレンジ色に光った。
「ん?」
彼はロケットブースターかフレアを使用したと考えたが、次の瞬間彼を強い衝撃が襲った。
「ぐわあ!何だ!」警報が鳴り響くと同時にセーフティーが働き彼はコックピットから射出された。
すぐに彼が装着していたパラシュートが作動する。
「何が起きたんだ?」彼は自問自答した。
あの状況で自分を攻撃できる敵機は全くいなかった。
なら流れ弾か対空砲台か流れ弾にしてはさっきの攻撃は正確だし、敵の対空陣地は艦砲射撃と絨毯爆撃を耐えられたとは思えなかった・・・不意に彼はあのレドラーのことを思い出した。
「まさか・・・さっきのオレンジ色の光は、後部銃座の光だったのか!」彼は相手の技量に驚愕した。
この時代制空戦闘機の後部銃座の役割など無きに等しく精々目くらまし代わりに使われる程度のものでこれを命中させるのには相当の技量がいるのだ。
ランスは下を見た。
地上では共和国軍とゲリラ軍との間で激しい戦闘が続いており、絶えることなく爆光が生まれていた。
共和国軍がクロスウィング改の特攻に対応するための対空砲火であろうそれはアイスキャンデーの様にも見えた。
突如、彼の横で何かが破裂した。
同時に大勢に殴りつけられたような衝撃を感じた後彼の意識は消失した。
至近距離で炸裂した対空砲弾の破片を浴びたパラシュートは堕ちて行った。
それは流れ星のように見えた。


―――――陸上戦艦・艦橋―――――


「こちら第33重砲隊!我敵の自殺攻撃で戦力を30%喪失、後退許可を!」
「こちら第55急降下爆撃隊、敵の自殺機が邪魔で爆撃できません!」
「こちら第45高速戦闘隊、現在敵の高速隊と交戦中、増援求む!!」
「こちら第14航空大隊、敵のレドラーが手ごわい!増援を!」
「此方第555戦略爆撃隊、我3‐1‐9areaの精錬工場跡付近の対空陣地と自殺機のカタパルトを破壊」
「こちら第287戦略爆撃隊、敵高速部隊を確認!これより空爆を行う!」
「こちら第15装甲大隊!敵の大規模な抵抗に遭っている!!応援を!!」
「此方第45高射砲部隊!!指揮官負傷!!」
陸上戦艦に設置されている司令本部に入る報告の多くはクロスウィング改部隊による特攻攻撃による損害やそれにより敵部隊が次第に各所で息を吹き返しているということを表すものばかりで、戦果をあげていると言えるのは爆撃部隊のみという有り様でそれもクロスウィング改の特攻を恐れて急降下爆撃隊の機体を含むすべての機体が命中率の低い高高度からの水平爆撃を行うためその効果も低く、戦果誤認もかなり多かった(酷い物では戦闘終了後ゲリラ側から押収した資料にある以上の陣地を破壊したというものまであった。)。
「くそ!重砲隊と高速戦闘隊が敵の自殺機と高速部隊に手一杯な以上、機甲部隊を支援できるのは爆撃隊とわずかな部隊のみか!!」
「戦闘機隊は何をやっている!!なぜあのクレイジーどもを叩き落とせん!!」
将官の一人が戦闘機隊によるクロスウィング改の撃墜が少ないことに声を荒げる。
「現在戦闘機隊は3分の1が敵部隊の増援に備えるために主戦闘エリア外を哨戒中です。もう3分の1が補給中の上、爆撃機隊の護衛や敵航空部隊との戦闘に忙殺されているため敵自殺機を迎撃する余裕はありません!!」
航空参謀が報告する。
「哨戒中の戦闘機隊を呼び戻した方がよろしいのでは?」将官の一人が提案する。
「スミス航空参謀、哨戒中の部隊の損害と戦果は?」
「はっ、グライドラー4、プテラストレーナー改1、レドラー4、シンカー2、レシプロ式の中型輸送機7、こちら損害はプテラス3大破、4中破、プテラスストライカー4大破、3中破プテラスボマー6大破です」
「うむ・・・スミス航空参謀、哨戒中の部隊を呼び戻せ。補給中の部隊をも早く発進させるんだ」「中将殿!しかし「連中の戦力からしてもう敵の増援部隊は来ないよ、それにこの分だと自殺機はもうすぐここに来る!」
「・・了解しました!」
「12時方向と3時方向より!敵の航空部隊多数接近!」オペレーターの一人から報告が来る。
「数は?」
「どちらも100機以上います!例の自殺機が過半を占めています!」
「なんだと!早く補給作業を完了しろ!補給作業完了後、補給部隊の弾薬輸送車や燃料輸送車はなるべく分散するようにしろ!早くしないとここが火の海になるぞ!」中将が大声で叫んだ。
この時大型陸上艦は周辺のグスタフ40台と輪形陣を形成しており、プテラス120機が補給を受けていただけでなくサプリトータスや燃料補給用のグスタフが20台待機していたため
ここにミサイル一発でも命中すれば忽ち火の海になるのは子供でも分かることだった。
そうなってしまえば、この陸上戦艦も周辺の業火にとろ火で焼かれる巨大な鉄の棺桶になり下がる。
「敵部隊を迎撃できないのか?」
中将が艦長に言う
「我が艦の対空オプションであの距離に届くものはありません・・・・主砲なら余裕で届きますが。」「艦長、3時方向の航空部隊に艦砲射撃! 弾種はタイプVを使用せよ!」
「・・了解しました!」
「急げ!今のやつらはほとんど丸腰だ!皿の上の七面鳥の肉と同じなんだ!!とっととローストにしちまうぞ!!」
指揮官機仕様レドラーに乗るクルトは大声で部下の機に向かって発破をかけた。
「「「了解!」」」
だがそれは部隊の大規模さに比べ、帰ってくる声はあまりにも少なかった。
「けっ、無愛想なトンボだぜ・・」
クルトは周囲に展開するクロスウィング改を見ながら吐き捨てた。
特攻が唯一の攻撃手段であるクロスウィング改にはコックピットなどはなく、無論無人で通信機の類もないため彼の声も聞こえるはずも無かった。仮に聞こえていたとしても操縦用AIは何も感じはしないだろうが。
「隊長、連中大慌てですぜ!」
列機のレドラーG型に乗るケイスからの通信が入る。
「そうか!」
クルトは共和国軍陸上艦隊の方を見た・・・5000m上空から見える砂漠に陣取る艦隊はまるで砂粒のように小さかったが、モニターを拡大すれば共和国軍が大慌てで飛行ゾイドを発進させているのが分かった。突然中心に鎮座していた陸上戦艦が火を噴いた。
「艦砲だと?連中、恐怖で気が狂ったか?」
クルトは呟いた。
次の瞬間彼のレドラー部隊の下を飛んでいたシンカー12機編隊の中心で光の華が咲きシンカー7機がその火の子を浴びた。
もろに破片と火の子を浴びたシンカー2機が爆発、1機はボディを穴だらけにされて空中分解した。4機は機体の一部で火災が発生していたが、自動消火装置が作動して大事には至らなかったようだった。「第二爆撃隊潰滅!!!」後部座席のコ・パイロットが大声で叫ぶ「なに!」彼が驚愕する間にも2発目の砲弾が炸裂した。炸裂したのはクロスウィング改部隊の中心部だった。クロスウィング改部隊30機が蝿のごとく落ちて行った。「なんなんだ!あれは・・・・」クルトはその光景に茫然となった・・・・
「全機散開!!おくれるな!」それが彼の最期の命令だった。
彼が部下に命令したと同時に6発の対空榴弾が部隊の中心で同時に炸裂した。
6つの光の華が消え去った後、50機いた航空部隊は16機しか残っていなかった。
「クルトーーーー!!!」
第二攻撃部隊を率いていたウルブレヒトは紙飛行機の様に堕ちていく飛行ゾイドの中にクルトの搭乗機である灰色の指揮官機仕様レドラーを認め、思わず叫んだ。
だが、彼の思いもむなしくレドラーは空中でバラバラになった。
「各機!!第一攻撃部隊の弔い合戦だ!!全機散開後、包囲しつつ、攻撃せよ!!!」
ウルブレヒトが大声で叫ぶと同時に航空部隊はクモの子を散らすように散開していく。
同時に慌てて発進してきた共和国軍航空隊120機も敵部隊の突入を阻止すべく突撃する。
「堕ちろ!!」プテラスストライカーの20ミリ機関砲がクロスウィング改を次々と打ち砕く。「やらせるか!」レドラーの一機がガンポッドでプテラスストライカーを撃墜する。
レドラーA型が陸上艦隊に向かうが、後方にいたプテラスストライカーの銃撃を受ける。
レドラーA型は煙を吐きながらも反転して反撃を試みたが、機体がフラッター現象を起こして空中で砕け散った。
一機のレドラーG型が切断翼でプテラスの左翼を切り裂く、AZ空対空ミサイルが4発迫るがレドラーはスプリットSを打って掻い潜る。さらに上方からプテラスストライカーが20ミリ機関砲を撃ち散らしながら急降下してきたが軽くロールで回避すると、レドラーはプテラスストライカーの後ろを取ると、銃撃を浴びせ掛けて逆に撃墜した。同じ頃、2時方向から爆装シンカー13機が共和国軍本隊に迫る。
だが共和国軍も只見ているわけはなくプテラスとプテラスストライカーの混成部隊16機が襲いかかる。
「わああぁぁ・・」
シンカーの一機が無数の火線に貫かれ爆発する。続いて指揮官機の左隣にいたシンカー2機がミサイルに撃墜される。
無論シンカー隊も胴体後部に増設した旋回銃座で反撃する。
「くっ!!来るなあ!!」
シンカー6番機の銃手の少年兵は恐怖に顔を醜く引き攣らせながらも必でトリガーを引き続けた。
一機のプテラスが通信機に被弾し離脱した。
「やった!」銃手は思わず叫んだが、同時にプテラスストライカーの20ミリ機関砲が旋回銃座に着弾、彼の肉体は瞬時に粉々になった。
彼の後を追うようにシンカー6番機も火達磨になって墜落した。
シンカー隊が7機まで打ち減らされた時共和国軍機が踵を返して引き揚げ始める。
同時に陸上艦隊からの対空砲火が上がり始める。「なんて対空砲火だ!」シンカー11番機のパイロットがそう叫ぶと同時に7機のシンカーは炎のカーテンに突っ込んでいった。
「ぎゃあ!」
破片が刺さり銃手が重傷を負う。
「どうした?わっ!」
シンカー3番機に対空ミサイル5発が突き刺ったかと思うとシンカー3番機は爆発した。
シンカー8番機がパノーバー42ミリ高射機関砲をロケットブースターに受けて左翼の3分の1をもぎ取られ、火達磨になりながら地面に落下していった。
シンカー隊が防空網を突破したとき、その数は3機にまで撃ち減らされていた。「全機投弾開始!」
先頭のシンカー1番機が800キロ爆弾を投下、陸上戦艦の20mm連装砲を中破させた。
2番機も爆弾を投下、二番機が投下したのは飛行場攻撃、対人殺傷用のクラスター爆弾で装甲戦艦自体は大したダメージを受けなかったもののクルーや機銃座に損害を与えた。
2番機はそのまま離脱しようとしたが対空レーザーに貫かれて爆散した。
12番機が翼下に装着した250キロ爆弾2発を投下、内一発がレーザーのジェネレーターを破損させた。
その後2機のシンカーは対空ミサイルにより撃墜された。
同時にクロスウィング改が多数防空網に突入した。
元々民間機を改造した機体が大部分のため対空砲火に次々と落とされるが少数が防空網を突破して突入、防空隊のカノントータス6台とサプリトータスが撃破される。
しかも撃破されたカノントータスの中に指揮官機がいたため、一時的に防空網に穴が開いてしまう。
その穴にゲリラ側航空部隊が殺到する。共和国軍防空隊も慌ててその穴を埋めようとするが、撃破された機体の残骸が邪魔で思ったように動けず、逆に損害が増える始末だった。


―――――――陸上戦艦艦橋――――――
「7時方向の防空網突破されました!!」
「4時方向の防空網も突破されました!!」
「侵入してきた敵機の数は?」
「シンカー7機、レドラー5、シュトルヒ2、例の自殺機が40です!!」
「対空レーザーを集中しろ!!!」
陸上戦艦に搭載されていた多数のレーザーが火を噴いた。
先頭を行くレドラーが左翼をもぎ取られ地面に叩き付けられた。
重装甲を誇るシンカーも薄紙のごとく装甲を貫かれた。
クロスウィング改に至ってはレーザーの余波で墜落するものまであった。
だが、ゲリラ側も只落とされているだけではなかった。
クロスウィング改が自走コンテナに突入、自走コンテナは爆発炎上した。
化学消火剤を持った兵士達が必で消火作業を行うが焼け石に水だった。
並べられていたAZ砲がクロスウィング改の特攻を受けて鉄屑と化す。
陸上戦艦にも11機が突撃したが濃密な対空砲火の前に殆どが撃墜され、わずかに2機が後部格納庫に突入バロール3機を破損させただけにとどまった。
同時にレドラー2機が攻撃を敢行、撃墜されたが一機が撃墜される寸前に翼下にマウントしたロケット弾を発射、フェーズドアレイレーダーが破壊される。だが共和国軍本隊に対するゲリラ側航空部隊の攻撃はこれが最後だった。

[299] エウロペ戦記・第四章・前篇 ロイ - 2011/01/07(金) 11:07 -

同じ頃・・・・ゲリラ軍は最後の時を迎えつつあった。

「数が多すぎる!!わああああ!」

ヤークト・クラッペが集中砲火を浴びて爆散する。
燃え盛る鉄屑と化したヤークト・クラッペの横をコマンドウルフ改とカノントータス4台、ゴドス2台が通過する。

「くらえ!」

コマンドウルフ改の背中のキャノン砲が発射され要塞近くのトーチカが破壊される。
突然の事に護衛のゾイド部隊が動揺する。

「いまだ!!突撃!!」

辛うじて残っていたビルからコマンドウルフ改、コマンドウルフ、ゴドス2機、
カノントータスレドーム、カノントータス4機が突撃する。

「撃て!!撃ちまくれ!!」
カノントータス隊の隊長が命令する。

カノントータス4台が砲撃するが、移動射撃のため撃破された敵機は2機のみだった。

マルダー2台が反撃するが、コマンドウルフ改に沈黙させられた。
バルストのゴドスがガイサックを蹴り飛ばす。
「ぐわっ」
カノントータスの一台が被弾する。
「八時方向!距離200に敵機!!イグアンです!!」

カーク曹長が報告する。

彼の言ったとおりそこにはイグアンがいた。

「落ちろ!!」

デュランのコマンドウルフがAZ50mmビーム砲を発砲、コックピットへの直撃コースだ。
だがイグアンは背中に追加装備されたホバーユニットを点火して近くにあった大型輸送機の残骸に隠れる。

「そんなもので!!」

カノントータスがカノン砲を発砲、イグアンは大型輸送機ごと撃ち抜かれ爆発した。

「敵の抵抗は排除した。全員降車!!」




共和国軍機甲部隊と激戦を繰り広げていた虎の子のレッドホーン部隊もクロスウィング改部隊の払底によって空爆と砲撃が再開されたことで次第に追い詰められつつあった。

マルダーがカノントータスの砲撃を受け撃破される。

ダブルソーダの機銃掃射を受けたマーダが蜂の巣になる。

鹵獲機のカノントータスが対空砲火を打ち上げるがマンモス改により撃破される。

「くたばれ!」

レッドホーンが電磁砲でカノントータスを撃破する。
だが、すぐに後続のカノントータスがその穴を埋める。

「ちっ!!数が多すぎる!!」

砲手のクルツが舌打ちする。

「弱音吐くなよ!!こんなん帝国本土防衛戦に比べりゃなあ!!」

ベルガーはマンモス改の一台に肉薄するとレッドホーンの全兵装を開放した。
ボディを穴だらけにされたマンモスは崩れ落ちた。

「12時方向よりマンモス2台接近!!」

「ビームランチャーは使えるか?」

「80%の出力ならなんとか!!」

「ぶっぱなせ!!」

ビームランチャーの砲口から発射された青白い光の奔流がマンモス改に直撃した。

マンモス改はインスタントシールドを展開していたが薄紙のごとく破られた。
続いて第二射、カノントータス4台が撃破される。

「やったぜ!!ぐっ」

クルツは思わず叫んだが、同時に衝撃が襲った。

「くっ!クルツ無事か!?」

ベルガーが叫ぶ。
「なんとか大丈夫だが、ビームランチャーが使用不能になった」

「くそっ!クルツ、ビームランチャーをパージしろ!!」

ビームランチャーが炸薬により排除される。
彼のレッドホーン以下生き残ったゾイドはマンモス改部隊に最後の突撃をかけた。

30分後、ベルガー将軍率いる主力部隊は激戦の末降伏した。
だが、それは戦闘の終わりを意味しなかった。




――――――area2−5−4――――





「ベルガー閣下が降伏だと!!そんなことがあるか!!!敵の謀略だ!!だまされるなああ!!」
ブラックライモスに乗る男はそう叫ぶと部下とともに共和国軍に向かっていった。

「連中は戦闘を停止したんじゃなかったのか?なっ!!」

ゴドスが大型電磁砲を受け大破する。

「なっ!!貴様らだまし討ちするつもりだったのか!?」

「ちっ・・ちがう!!わあああ!!」

ある共和国軍の部隊は既に降伏していたゲリラ部隊を攻撃した。

「くっ!!このままじゃあ傭兵の俺達もどうなるか分からねえ!!逃げるぞ!!」
ヘルキャットに乗る傭兵の一人が言う。

「同感だ!」
ガイサックに乗る傭兵が賛成する

――――――陸上戦艦艦橋―――――

「何が起きている。連中は降伏したんじゃなかったのか?」

「最高司令官が降伏したのは事実のようだ。おそらく情報が錯綜しているのではないか?」

「閣下!!敵の通信です。内容は明らかに徹底抗戦を訴えるものです!!!!」

「なんだと!?」

「過激派が騒いでいるようです!!」

「急いで歩兵部隊を内部に突入させ敵司令部を制圧せよ!!!投降した最高指揮官に
降服を促す放送をさせるんだ!それと投降した兵士は丁重に扱え!」





少し前―――――ゲリラ軍要塞司令部―――――




「ベルガー将軍が降伏されただと!!」
ゲリラ軍の幹部の一人のカエザル髭の男が狼狽する。

「これ以上の戦闘は無理では?降服しよう!」

「そんなことができるか!!!」

「いや、これは共和国軍の連中の陰謀だ!閣下は脅迫されたんだ!!」
別の幹部が張り裂けんばかりの声で叫ぶ。

「通信兵!!使用可能な高出力通信機はあるか?」

「はい、あることにはありますが・・・使用した途端確実に爆撃で破壊されます。」

「構わん!!全軍に通達!!全軍最後の一兵まで敢闘したのち鉱山内部に籠城し機を待て
!!!私もゾイドで出撃する!!!」

「わ・・わかりました。」

「貴官の協力に感謝する!」

男はそういうと部下数名を伴い退室した。
だが彼が向かおうとしたのはゾイド格納庫ではなく、第4滑走路だった。

「これでよろしいんですね。・・・殿」

「はい、これであなたの帝国内での地位は保証されましたよ。」
 いつの間にか隣にいた若い男が言う。

その声色に感情はこもってはおらず、冷たかった。 

「そうですか。それはよかった!」

「いえ、貴方ほどの方を失うのはわが帝国としても惜しいですから。それでは私はこれで」

「!?私どもと輸送機に乗られないのですか?」
「失礼ながら私は用事がありますので貴方がたのみで行ってください。
私は義勇兵として戦っているグレートセイバーのパイロットに回収してもらいますのでお気になさらずに。」

「分かりました」



同じ頃…「ジェフ隊長!!本部より入電!!全軍現在ゲリラ軍は分裂状態にあり全軍、
過激派の排除と武装解除に努めよ!!とのことです。」

「分かった!全員!!接近してくるゲリラ側戦力を確認した場合、
まず降伏勧告を行いこれに従う場合は武装解除するように伝えろ!不測の事態に備え何時でも照準は解除するな!!」

「了解!!」

「4時方向よりゲリラ軍と思しき部隊接近!!!」

「戦力は?」

「ゴドス2、イグアン1、モルガ4それとAZ砲装備のハーフトラック1、歩兵多数です。」

「わかったカーク曹長!投降勧告を行う」

「わかりました。」

「エウロペ解放連盟軍に告ぐ、諸君らの司令官たるアルベルト・ベルガー将軍はこれ以上の戦闘を望まず
名誉の降伏をした!これ以上の戦闘は無意味である。直ちに武装解除せよ・・・
尚今降伏すれば諸君らの待遇は保証される。」

ジェフのコマンドウルフ改が外部スピーカーでゲリラ軍に向かって放送する。
無論ジェフ以下第35中隊の全員はゲリラ軍に対して照準を向けている。

お互い緊張状態でにらみ合う。
不意にゲリラ側から通信が入る。

「了解した。本当に私と部下の命は保証されるんだな・・」

「ああ、そうだ。我が軍の最高司令官が保証している。」

「そうか・・・降伏しよう。」

ゲリラ部隊は武装を解除し始める。





―――――area1−5−3―――――

ここでは残存砲台と共和国軍との間で砲撃戦が発生していた。


「連中!どうして降伏しないんだ!」

カノンフォートの重撃砲を撃ちまくりながらショーンが毒づく。

「帰る場所がないのでしょう…」

カノントータス突撃型に乗る副官が言う。

「前方よりイグアン部隊接近!!」

「了解した。」

接近するヘビーイグアンをカノンフォートは機体下部のガンランチャーを叩き込んで撃破した。

カノントータスが後方支援をしていたマルダーとゲルダーを撃破する。

ゾイドの足元を歩兵部隊が駆け抜ける。

共和国歩兵の銃撃を受けたゲリラの兵士が崩れ落ちる。

ヤークト・クラッペの車載重機が火を噴き、数名がメタルグロススーツ毎ミンチにされる。

物陰に隠れた兵士がバズーカ砲を発射、ヤークト・クラッペの主砲塔が炎に包まれる。





――――メインゲート付近―――――



ガイロス帝国軍から供与されたサイカーチス改、
対空部隊のモルガAA、対空マルダーの残骸が散乱する中を共和国軍部隊は進軍していた。

ベアファイターがハンマーロックをねじ伏せ、その横をゴドス3機が工兵仕様のカノントータスを護衛しながらメインゲートに接近しようとする。

だがゴドス3機は中型砲台の砲撃を受けて破壊され、工兵仕様カノントータスもヤークト・クラッペUの120mm砲を受けて爆発炎上する。
ヤークト・クラッペUは次の目標を探すべく砲塔を旋回させようとしたその刹那、
ヤークト・クラッペUの主砲塔に大穴が開いた。

「よし!」

ジェフは、ヤークト・クラッペUが火の手を上げるのを見て思わずガッツポーズを取った。
だがゲートからヘルディガンナーを中心とした増援部隊が出現する。

「っ!まずい!全員隠れろ!!」

ベアファイターに乗るヘンリー・カーティス中尉は慌てて部下に命令を下した。
しかしカノントータス34号機と36号機、同盟国部隊のハイドッカー3両とエレファンタス1台が砲撃で撃破された。

「畜生!なんて弾幕だ!」

「隊長!ダブルソーダ・ボマー部隊が航空支援に来るそうです!」

「わかった」

数分後、ダブルソーダ・ボマー46機が高度300メートル地点からホバリング状態でロケット弾を発射した。

ゲリラ側もロケット弾を迎撃するが、ダブルソーダ・ボマー一機につき8発装備された368発のロケット弾をすべて撃墜することは不可能であった。
さらにプテラスストライカー6機に護衛されたシルバープテラス13機の空爆が加わり、
メインゲート付近の部隊は大損害を受ける。

「いまだ!突撃!」

すかさず共和国軍部隊が攻撃を再開する。

同盟国部隊の指揮官機のキャノントータスの加農砲、カノントータスの液冷式荷電粒子砲、カノントータスレドームの榴弾砲(光学兵器はレーダー、センサー類に悪影響を与えるため)の援護を受けて
ベアファイター、コマンドウルフ、ゴドス、コマンドウルフ改が突撃する。

「糞野郎が!」

ベアファイターがイグアンを叩き伏せる。
モルガAA を撃破したゴドスをヘルディガンナーが収束ビーム砲で破壊するが、
ジェフとデュランのコマンドウルフに挟撃され撃破された。

ハイドッカーから歩兵が降車し始めるが、そこに潜伏していた歩兵の対ゾイドミサイルが吸い込まれた。

ジャンクで補強されているとはいえ成形炸薬の直撃には耐えられず、背部が燃え上がり、
飛び降りようとしていた若い兵士は爆発で跳ね飛ばされ地面にたたき付けられる。

ハイドッカーは火達磨になりながら、数人の歩兵を巻き込んで横転した。

ゲリラ兵は護衛機のエレファンタスの57mm砲を受けて粉々になった。

「工兵隊前!」

2台のカノントータス工兵仕様が部隊の前に出るとトラップを排除すると、
硬化セメント弾で乱暴に固められたゲートを触手のごとく生えたアームの内のドリルが付いた2本が掘削し
その穴に別のアームが細長い爆薬筒を挿入していく、
最後の爆薬筒を設置した2機の工兵仕様カノントータスは後退すると爆薬筒を起爆させた。

ゲートは土煙を立てて崩壊し、周辺のゴドスやガイサックが瓦礫を撤去すると乱暴に開削された侵入口に装甲服を装着した兵士達を先頭に立てた歩兵隊が侵入する。

要塞内部でも戦闘が発生していた。
多くの区画は降伏していたが、司令部の置かれている区画では今もゲリラが激しく抵抗していた。
数機のゾイドが要塞から飛び出す。

「野郎ども!!さっさとこんなとっからトンズラするぞ!!」

灰色のベアファイターに乗る髭面の男が言う。

「親分、前方に共和国軍!!」

「構うなあ!!蹴散らすぞ!」

ベアファイターは背中に装備した100mmAZ砲を発砲、カノントータスが撃破される。

ゴドス3機が立ち塞がるがイグアンにインパクトガンを叩き込まれ撃破される。

「邪魔だ!」

ベアファイターが中央にいたゴドスを叩き伏せる。
最後に残ったゴドスは後退した。
「今だ、逃げるぞ!ヴァル、煙幕だ」

「了解でさあ」
モルガがミサイルを発射、ミサイルは地面に突き刺さると煙を噴出させた。

共和国軍機は煙にセンサーを狂わされる。

さらに煙にゾイドの感覚器官を狂わせる薬品が含まれていたため、
一部のゾイドにいたっては暴走寸前に陥る始末で追撃ができる状態では無くなっていた。
それを尻目に傭兵部隊は後退していった。

帝国軍義勇兵も退路を開くべく戦っていた。

漆黒のグレートセイバーが同じく漆黒のカラーリングのヘルキャット6機を従えて地下格納庫から現れる。
無論それは上空にいた共和国軍のバロールによって発見される。

「此方第七格納庫跡付近、敵の高速部隊を確認!!?」

「…邪魔だ」
グレートセイバーのアサルトビーム砲が発射されバロールは胸部を撃ち抜かれ爆発した。

「よくも!」

それを見た空対地攻撃任務に就いていたプテラス・ボマー7機が攻撃を仕掛けてくる。

プテラスのロケット弾がグレートセイバーとヘルキャットに迫る。

グレートセイバーはアサルトビーム砲で、ヘルキャット改はAZレーザー機銃でロケット弾を撃ち落とす。
それでも残り数発がグレートセイバーに迫る。

グレートセイバーはその恐るべき機動性で着弾点から離脱すると、プテラス・ボマー部隊の予想進路上めがけてミサイルをばら撒いた。

「しまった!!全機散開!」
プテラス・ボマー部隊の指揮官はグレートセイバーのパイロットの意図を遅れながら察知し部下に散開を命じたが、
同時にミサイルの信管が作動、部隊の多くが破片を浴びてしまう。
黒煙を噴きながら制御不能に陥ったプテラスが地面に激突する。
他にも3機のプテラスが空中衝突を起した。
墜落を免れた3機も少なからぬ損傷を負っており、ヘルキャット改のレーザー機銃を受けて撃墜された。

「各機!雑兵にかまっている暇はない!!・・・技術大尉との合流地点へ急ぐぞ!」


だが、そんなグレートセイバーのパイロットの思いとは裏腹に航空部隊の連絡を受けた共和国軍部隊が立ち塞がる。

「各機ひるむな!!連中は総崩れだ!」

指揮官のアロザウラーが大音量のスピーカーを最大にして怒鳴り散らす。

アロザウラーの二連装ビーム機銃と火炎放射機、部下のゴドスやカノントータスもビーム砲や突撃砲で支援する。
さらに後方に随伴していた共和国の同盟国の部隊もAZ砲などの火器を撃ちまくる。

辺りは土煙と硝煙に包まれる。

「やったか?」
アロザウラーに乗る指揮官は怪訝な表情で煙を睨み据える。
さすがに大型ゾイドといえどあれだけの砲撃を受ければ…と彼が考えた瞬間
・・・・赤い閃光が黒煙を切り裂きゴドス3機の頭部を次々と直撃した。
「何!」同時にグレートセイバーとヘルキャット改が黒煙から飛び出す。
「逃がすか!」
アロザウラーが両腕の火炎放射機を発射しようとするが、三連衝撃砲を叩き込まれよろめいたところをヘルキャット改のビーム砲をコックピットに受けて崩れ落ちた。
グレートセイバーはすれ違いざまにゴドスのコクピットをアサルトビーム砲でぶち抜くと、もう一機のゴドスの頭を跳ね飛ばした。
そのままグレートセイバーはヘルキャット改2機とともにゴドス3機に襲いかかる。
グレートセイバーのストライククローとヘルキャット改の電磁クローがゴドスの胸部を貫いた。
3機がそれぞれの得物を引き抜くと同時にゴドスの胸部から赤黒いオイルの飛沫が辺りを汚した。グレートセイバーはさらに後方で慌てる同盟国部隊にミサイルを発射した。
ぜい弱なアタックゾイドと歩兵で構成されていた同盟国部隊は文字通り消滅した。
グレートセイバーにカノントータスは砲撃するが、側面に回り込まれて三連衝撃砲を叩き込まれ、爆砕した。
残り2機のカノントータスは互いに背中合わせになることで互いの死角を補おうとしたが、ヘルキャット改に翻弄され撃破された。
「全機集結!!」グレートセイバーを中心にヘルキャット改7機が集結する。
ヘルキャット改7機が前肩部に装備された煙幕投射機を作動させた。
辺りは白煙に包まれ、レーダーが使用不能になる・・・一部の兵士は音響探知機を使用するがグレートセイバー以下8機が装備した消音装置を使用したため探知不能に陥り、追撃はかなわなかった。


――――第四滑走路周辺――――


滑走路を守るように配置された陣地ではいまだにゲリラ部隊が応戦していた。

「カノントータス3台接近!歩兵も多数見受けられます!!」

「距離は?」

「600です!!」

「300まで引きつけてから撃て!!」

指揮官のウェルナーが叫ぶ。

そしてカノントータス部隊と陣地の距離が320を切った瞬間・・・予め敷設されていた炭素鋼と特殊高分子化合物で構成されたワイヤーに引っ掛かり勢い余ってひっくり返りそうになる。

幸いカノントータス3台は前進を阻まれるだけで済んだが、同時にゲリラ側陣地からの砲撃が殺到しカノントータス3台は次々と大破炎上した。

「やったあ!!」

「まだだ!後方からまた来るぞ!!」
ウェルナーが若い兵士にそういうと同時にカノントータス工兵仕様が現れトラップを除去し始める
「あの黄色い奴を撃て!!早くしねえと突破されるぞ!!」
そう叫ぶと同時に彼は115ミリAZ砲のトリガーを引いた。
護衛のカノントータスが胴体に大穴をあけて大破する。

護衛がやられたことでカノントータス工兵仕様のパイロットは恐慌状態に陥った。
次の瞬間、カノントータス工兵仕様はAZ砲の直撃を受け爆発炎上した。

「連中、後退していきます」

「いや、次は爆撃隊が来るぞ!!総員対空警戒!!」

彼がそういうと同時に硝煙で濁った空に黒い点が20個ほど見えた。
そしてそれは次第に大きくなり点から鳥のような形に変わる。

その黒い点の正体は戦爆仕様のプテラス、どれも爆弾を腹に抱えている

「きやがったか!!」

彼は帝国製の携帯型赤外線誘導式対空ロケットランチャーを抱えた。

彼にこの戦いから生還することなど既に頭の中にはなかった・・・一機でも多く道連れにする。
それがせめて死んでいった部下へけじめになると彼は考えていた。

他の兵士達も同じように空を睨み付けていた。

やがて重高射砲陣地が砲撃を開始する。

数機の共和国軍機が被弾したらしく、白煙を吐き始める。
運悪く爆弾庫に被弾してしまったプテラスボマーが四散する。

彼らの姿を確認した航空部隊のプテラス戦爆仕様、プテラスボマーが低空に降りて来て機銃掃射を始める。

120mm重高射砲がロケット弾の直撃を受け破壊される。
30mm対空機関砲陣地が上空のプテラスを盛んに銃撃するが命中せず、逆に20ミリ機銃に狙い撃ちにされる。

陣地内の兵士たちはメタルグロススーツを着用していたが20mm機銃を浴びれば
そんなものは無意味で直撃を受けた兵士は粉々になった。

「ううう・・・・」

全身血塗れなりながらも辛うじて生き残ったゲリラ兵士は辛うじて残っている30mm対空機銃座に取りついた。

同時にプテラス・ボマーが低空で陣地に目掛けてロケット弾6発を発射、
陣地は炎に沈んでいった。

「ちくしょう!!」

それを見たウェルナーの部下の一人が対空噴進弾を放つが逆に
20mm機関砲の掃射を受け血煙と化した。

「くっ!」

ウェルナーの方にも一機プテラス戦爆が低空で迫る…

「道連れにしてやる!」


ウェルナーはランチャーを構えた。

同時にプテラス戦爆の機銃が火を放った。

だが搭乗員に地上銃撃の経験が少ないのかそれとも彼を甚振るつもりなのか、その攻撃は周辺に着弾する。
火線が次第にウェルナーに迫る・・・その刹那、プテラス戦爆が真上から銃撃を受けて爆発する。

「なに!」

ウェルナーが空を見ると、そこでは見たこともない機体がプテラス部隊に襲いかかっていた。
その機体は胴体に大型のイオンブースターを装備したずんぐりとした翼竜型で
大口径機関砲4門を装備した重武装の飛行ゾイドだった。

その機体の名はシャロヴィス、かつてゼネバス帝国がメタロゲージに生息するシャロヴィプテリクス型ゾイドを素体に大型重爆ゾイドサラマンダー迎撃用に開発した飛行ゾイドだった。

「来い!!共和国軍!!叩き落としてやる!!」

シャロヴィスに搭乗する少年飛行兵はプテラスストライカーを照準に納めるとトリガーを引いた。

削岩機を思わせる発射音とともにプテラスストライカーは砕け散った。

「よし!」


彼は機体の大出力イオンブースターのスロットルを一気に引き上げ爆撃隊に突撃していった。
丁度彼が攻撃をかけようとしていた爆撃隊のプテラス・ボマーの多くは爆弾庫の蓋を開けていたところだった。

「喰らえ!!」

大口径機関砲が火を噴き、プテラス・ボマー4機が墜落する。
しかし護衛機のプテラスストライカーに撃墜される。

そのプテラスストライカーも粉々に砕け散る。
さらに2機のシャロヴィスが爆撃隊に突入する。

護衛のプテラスのパイロットも必死でシャロヴィスを照準に収めようとする。
だがシャロヴィスは素早い動きになかなか照準に収めることが出来ないでいた。

「なんだあれは?!」

「40oくらいか?なんて威力だ!!」

それを見た共和国軍パイロットは驚愕した。

これにより共和国空軍のエアカバーは一時的に機薄になる。

その隙をついてゲリラ側は最後の突撃を敢行した・・

「いくぞ!!」

指揮官機仕様のヤークト・クラッベUに乗る兵士が叫ぶ。
20台近いゾイドが歩兵を随伴して突撃する。

共和国軍は砲撃を叩き込み6機を撃破したが、15機が突入し大混戦となった。
イグアンがゴドスをインパクトガンで破壊する。
直後、歩兵のRPGをコックピットに受けて頓挫する。

ヤークト・クラッベUが120mm砲をカノントータスに叩き込み撃破する。

次にゴドスを狙うが砲身の消耗のせいで砲弾の弾道がそれてしまう。

「畜生!!」

ヤークト・クラッペUはやけくそ気味にゴドスに体当たりしようとするが、
キックで砲塔を跳ね飛ばされて撃破される。

ゲルダーがガイサックを電磁砲の零距離射撃で吹き飛ばす。

ゴドスを撃破したヘルキャットがコマンドウルフに頭部を噛み砕かれ撃破される。
その横ではゲルダーがカノントータスの突撃砲の直撃を受け四散する。

操縦席がまるで金槌につぶされた様にペシャンコになったトラックの荷台から歩兵が対ゾイド兵器を抱えて飛び出す。

「くたばれ!」

指揮官らしい特徴的な帽子をかぶった男が命令を下した。
ロケット砲弾を5発喰らったゴドスが黒煙を上げて崩れ落ちる。

[301] エウロペ戦記・第四章・後編 ロイ - 2011/04/09(土) 18:08 -

――――――第四飛行場――――――
既に滑走路には飛行ゾイドの姿はなく、あるのは離着陸に失敗したレドラーやシンカー、シャヴィロスの残骸が焼け火箸のように燃えていた。
その中で一機の輸送機が発進しようとしていた。

「発進はまだなのか?!!このままでは合流できんぞ!」

輸送機に乗る徹底抗戦派のゲリラ幹部の一人が言う。

彼等は最後の航空部隊が出撃した後、まだ生き残っている拠点に援軍を要請しに行くという
名目で彼等は輸送機に搭乗していたのだが既に大部分の拠点が壊滅状態にあると予想していた
彼等はそんなつもりなどさらさらなかった。

「共和国の奴らめ、これで終わったと思うなよ・・・・」

幹部の一人が輸送機の窓を見つめながら呟いた・・窓の外では間もなくこの飛行場を
瓦礫の山にするためやってくるであろう共和国空軍機に対応すべく対空火器を揃えていた。

他にも重砲が数門配置されており、せめて放棄する前に撃っておこうと砲撃が行われていた。無論照準など碌に付けないめくら撃ちのため戦果など殆どないだろう・・・と彼がひとりごちた次の瞬間、
中央に置かれていた多薬室砲の薬室の一つから閃光が走り大爆発が起こる。

周辺にいた兵士が巻きこまれ火達磨になりながらもだえ苦しむ。さらに付近に配置されていた重砲や弾薬ケースが誘爆、周囲は火の海と化した。

「なんだ! 攻撃か!?」

幹部の一人である太った男が狼狽する。

「早く状況を報告しろ!」

「ふっ」

機内の喧噪の中で彼は絶望のあまり微かに笑った。

「早く発進させろ!」

カエザル髭の男がコックピットのパイロットに指示を出す。

「出せます!!」

パイロットが返答する。

「ならば早く出せ!!」男は思わず立ち上がり烈火のごとく激怒した。

「了解!!」

その後、エンジンの音を聞いて安心したのか男はシートに座った。

「私はこんなところでは終わらんぞ・・・」

男は小さな声でつぶやいた。

「(帝国の新型ゾイドや兵器を借りて必ず返り咲いてやる!!)」

この絶望的な状況においても彼は勝利の可能性を抱いていた。

「そうなれば、私を追放した豚どもに目に物を見せてやる!!」

(そして帝国の力で共和国を追いだしたのちに全エウロペを手中におさめて、何れは帝国軍も・・)

彼が自分の脱出後の展望を夢想しようとした数秒後・・・
「こちら管制塔!敵機来襲!!繰り返す敵機来襲!!6時方向よりプテラス・ボマー、プテラス19機、
9時方向よりプテラスストライカー3機接近!!」

「パイロット!!早く発進しろ!!」

彼がそういうと同時にプテラス・ボマーから放たれたミサイルが燃料タンクを吹き飛ばした。

「ちっ、遠すぎたか」

プテラス・ボマーのパイロットが舌打ちする。

「馬鹿!無駄弾を使うな!」

「此方ハワード、輸送機らしき物体を確認!攻撃しますか?」

「いい!滑走路は間もなく空爆で破壊される!」

彼等の目の前で超低空で侵入したシルバープテラス4機がガトリング砲を掃射する。

炸裂弾の威力はすさまじく直撃を受けた蝸牛型超小型機械獣ゴリアテは自慢の甲殻を粉々に砕かれた。

トーチカも数秒で鉄とコンクリートのオブジェに変換される。

ロケット砲を携帯した歩兵が反撃するが、次々と蹴散らされた。

防空陣地を撃破したシルバープテラス部隊が滑走路に侵入した瞬間、

「輸送機はやらせん!!」

シンカーが突如滑走路から発進しシルバープテラス部隊に突っ込んできた。
右端にいたシンカーはシルバープテラスと激突、二機の破片が飛び散り、
さらに指揮官機がその破片をコックピットに受け操縦不能となって地面に激突した。

しかし2機のシルバープテラスは輸送機に銃撃を仕掛けることに成功した。

「来るなあ!」

輸送機に乗る幹部の一人が半狂乱で叫ぶ、別の幹部は窓を割って逃げようと
豪華なエングレービングが施された拳銃で窓を殴り始める。

同時に炸裂弾が薄紙のように輸送機を貫いた。

炸裂弾の直撃を受けた輸送機の機体が粉々になった。

シルバープテラスが基地上空を離脱すると同時にプテラス・ボマー隊の全機の爆弾槽が開き、
中に満載されていた爆弾がばら撒かれる。

爆弾は滑走路破壊用のクラスター爆弾などで、それらの爆弾はそれぞれ違う高度でパラシュートを開いた後、
無数の子爆弾を撒き散らかした。

飛行場全体が爆発に包まれ、黒煙が晴れた後には穴だらけの滑走路と炎上する飛行ゾイドの残骸だけだった。


――――――――陸上戦艦・艦橋――――――

「第47砲兵中隊、敵残存トーチカを破壊」

「第23対空監視部隊、敵飛行ゾイドを7機撃墜!」

「第6空挺部隊、第七空挺部隊、順調に降下中・・・・!?三番機大破」

モニターには地獄の山の如く盛んに燃え上がる要塞に砲撃を浴びせ掛けるゴルドスガナー、カノントータス
プテラスストライカーによって撃墜されるレドラー
爆撃によって更地と化した飛行場に輸送機から空挺部隊仕様のゴドスが降下する・・・次の瞬間青紫の光を照射された大型輸送機は爆散し、巻き込まれたゴドスがパラシュートパックを火達磨にしながら落ちていく等の映像が映っていた。

「これでカタがついたな」

艦橋の戦略情報表示ディスプレイを見ながら将軍は言った。

「はい!あとは要塞を逃げ出した残党と他の拠点の掃討のみです!」

目を輝かせながら空軍の将校が言う。

「いや残党については大部分が傭兵や夜盗の類のようだからほっといてもかまわない、無論周辺の居住区や都市国家の治安維持部隊の増派は行う。拠点についても航空偵察の後に調査班を送るだけでいい」

「了解しました」

少し前・・・・高度4000メートル・・・
辺りに広がる雲海の中を8機のプテラスストライカーが早期警戒任務に就いている
プテラスレドームの護衛のため編隊を組みながら飛行していた。

「磁気雲の磁気レベルが上がっている。各機、接触に注意しろ!それとレーダーにはあまり頼るな!敵がどこにいるかわからん!」

指揮官機のプテラスストライカーに搭乗するアリソン・グリーン大尉が部下に言う。


「了解」

「しかし隊長、敵なんているんですかねえ・・」

プテラスストライカー8番機のマーカス少尉が軽口を叩いた。
彼はこの戦闘でまともに敵機と交戦していなかったのだ。

「そういうなよ」

「どうせ敵機つったって、骨董品のグライドラーとかペガサロスが大部分だろ?」
プテラスストライカー5番機のカール・ハドソン少尉が言う。

「カール、今日の敵機にゃシュトルヒ、シンカーがいたぞ、それにハリスの話だとプテラスもいたそうだ」
とプテラスストライカー6番機のジョン・ミッチェル少尉

「乗ってるやつらはエウロペのボンクラ共だろ、それにプテラスといったってノロマのE型とか練習機のT型だぜ。
例えレドラーが来たって俺達のプテラスストライカーの相手じゃねぇよ」

「だといいがな」

「そうですよね・・」

「しかしプテラスレドームはどこにいるんだあ?」
プテラスストライカー2番機のマイク・ブリュースター中尉が言う。

「お前の目は節穴か?あの積層雲の横の奴を見ろ。」プテラスストライカー3番機のミハイル・アントノフ中尉が指さす。

その先にはプテラスレドームが哨戒行動に就いていた。

「前の護衛についてた連中は燃料切れでもう帰っちまったのか?」

「ん?いえ、1機残ってるみたいですよ?」
カールの言うとおりプテラスレドームの少し下を黒い機影が雲間に潜むように飛んでいた。

「なんだ?故障か?あいつだけレーダーに反応がないぜ」

「隊長!画像を拡大しましたが、あれはシュトルヒです!」

次の瞬間、黒い機体、ステルスシュトルヒは急上昇をかけ、プテラスレドームの後ろに占位すると
ビームバルカンをプテラスレドームに叩き込んだ。

プテラスレドームは彼らの目の前で機体各所から煙を吐きながら錐揉み状態で墜落して行った。

「ああっ!」

「くそ!叩き落としてやる!!」

目的を達成したステルスシュトルヒが逃げようとしているのを見た
カールのプテラスストライカーはバルカン砲を連射しながら追撃する。

「隊長!俺達も追撃しましょう!」

「まて!奴以外にもいるかもしれん、二手に別れて追跡するぞ!」

「「了解」」

左右から5番機と6番機がステルスシュトルヒに銃撃をかける。

シャワーの様な連射を軽やかに回避したステルスシュトルヒは雲の中に隠れようとするが、5番から8番の4機のプテラスストライカーが追撃する。

「よし!雲の先は電磁雲だ!奴は必ず上昇する!其処を狙え!」

アリソン大尉がそういったと同時に4機のプテラスストライカーに追い立てられたステルスシュトルヒが雲から這い出てくる。

「いまだ!生意気なカラス野郎をミンチにしてやれ!!」

彼と3人のパイロットは機関砲の照準を合わせるとトリガーを握りつぶした。

ステルスシュトルヒに機銃弾の帯が吸い込まれ命中した。

20mm炸裂弾にボディを食い破られたステルスシュトルヒは錐揉みになりながら落ちて行った。

「やったぜ!」それを見た4番機のハリファックス少尉がガッツポーズを取る。

「しかし単機で来るなんてなんてやつだ…」

「いや、どこかに本隊がいるかもしれん、もしいるとすれば奴は哨戒網を突破するために単独で哨戒機を撃墜していたのかもしれん、しばらく周囲を哨戒するぞ」

グリーン大尉の予想は的中していたが、先ほど撃墜されたシュトルヒが確保する予定だった飛行航路を飛ぶべきゲリラ側爆撃部隊はシンカーD型24機、ペガサロス24機、プテラス6機で構成され
内6機のシンカーにはゲリラの幹部連が帝国軍を拝み倒して譲渡してもらった気化爆弾を充填した大型対艦ミサイルを装備しており使用されれば共和国軍も大損害を受ける可能性があった。
だが共和国側にとっては幸運なことに爆撃部隊は
地上に配置されていたゴルドス、カノントータス対空仕様、ガイサック対空仕様、ステルスバイパー等
で構成された対空監視部隊と遭遇してしまい半数を喪失してしまった挙句、
通報を受けた航空部隊の攻撃を受けて飛蝗の如くたたき落とされていたのである。

30分後、ゲリラ側の要塞の最後のエリアが制圧され作戦は終了した。


共和国軍は要塞司令部に処分を免れ残されていたコンピュータのデータや僅かな書類と捕虜を尋問した結果、
このゲリラ組織がダミー会社等などから帝国側から多大な支援を受けていたことは確実視された。



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