ゾイド系投稿小説掲示板
自らの手で暴れまくるゾイド達を書いてみましょう。
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プロローグ<開戦前夜>「共和国軍がエウロペ大陸にやってきたようです」 一人の士官が報告をする。同時に基地にいるものの緊張が高まった。 この戦いは帝国にとっては共和国の首都を攻め落とす為の補給ルートを、共和国にとっては迎撃せねば確実な敗北が待っている。 一人の金髪の青年が煙草を吸う。特別な感情はない。ただの日常的光景を見ているだけだ。「余裕ね」 一人の女性が青年に話しかける。彼は何も言わない。 ただ、青年は自分の黒いセイバータイガーを見つめてある事を思う。 今度は、俺の飢えを満たせる相手がいるのかを・・・
どうも初めまして。後方と申します。今回は初めてここに来ましたがよろしくお願いします。ふっつか者ですが、なにとぞご勘弁ください。今回はプロローグでしたが次回からは本編です。では、失礼しました
1話<共和国の疾風>「先輩、メリクリウス湖が帝国に乗っ取られたようです」「やっぱりな」 先輩と呼ばれた青年、ドライはさも当然だという風に言う。 彼はこう言う。確かにオリンポス山は非常に重要な拠点にはなるが相手はこちらの三倍の戦力を有しているのだ。おまけに相手は作戦のバリエーション、パイロットの熟練度は遥かに向こうが上。一週間持ったのはいい方だと考えている。「んで、ドライ小佐殿はどういう行動に出ますか?」 一人のパイロットでドライの戦友の極東人、宗耶はにやにやしてたずねる。「少佐殿はやめな。俺とお前で階級を呼び合うのは気持ち悪い」 だな、と宗耶は愛機を見る。ドライ小隊は現在待機中。 そして、コールが鳴った。ドライは素早く無線をとる。「はい。こちらブラックシャドウ。任務は・・・わかりました」 無線をきる。無線の内容はこうだった。『見方を迅速に救え』 これは彼らの小隊にとって非常に得意分野の作戦である。「龍臥、お前のところの小隊も手伝え。砂漠だったらお前のデザートは相手にも脅威だ」「はいはい」 やる気のなさそうにバンダナをつけている最年少の小隊長を務めている龍臥は返事をする。「さぁブラックシャドウ、ゴースト部隊の出番だ。宗耶、それにルーズもいいな」「当たり前だ」「わーってるよ」 ドライは一人ほくそ笑む。彼には階級など関係ないチーム作りを目指している。まあ簡単に言えば友人関係である。 そして、彼らは動いた。「これは・・・」 カール・リヒテン・シュバルツは驚愕の顔を見せていた。 SOSの信号をとらえ約一時間でその場まで来たのだが周りには見方の機体の残骸ばかり広がっていた。 そしてシュバルツは冷静に状況を見抜いた。この参上の正体を。「全軍に伝えろ。敵は我が軍が最も恐れる高速ゾイド、シールドライガーだ」 そう、その正体は蒼き疾風だった。
2話<セイバータイガー>「おい、ドライ」「あんだよ?」「あんだよ、じゃない」 ルーズは周りを警戒しながらドライに質問をぶつける。「今回の作戦、少し無茶がすぎる」「何言ってんだ?自信ないのかよ」 宗耶がからかい気味にルーズに言う。 しかしルーズは意に介さなかった。彼は今回の作戦には乗り気ではなかった。 開戦から三週間経っており、帝国には混乱があったものの帝国側の優勢にはかわらなかった。 それなのに上部から出た指令はオリンポス山を抑えろとのことだった。 それにほかの部隊は高速戦闘隊であり隠密部隊でもあるブラックシャドウの援護にまわしている。エウロペ派遣部隊を危険にさらしてまで抑えたいのか、それがルーズには気になっていた。 無論、ドライもそれには気づいていた。しかし彼は黙々と任務をこなすだけだ。 そして援護のおかげもありオリンポス山に上陸をする。 しかし既に帝国軍が警戒部隊を放っており登頂スケジュールは二日の遅れが出ていた。 そして月明かりが明るいとき、ついに見つかってしまった。 シールドライガーにも勝るとも劣らない高速強襲戦闘用ゾイド、セイバータイガーに。それも二機。「シールドライガーか・・・俺の飢えを満たせるのか?」「ハイド、単独行動は慎めよ」「あぁ?るせぇよ」 黒いセイバータイガーが蒼いセイバータイガーにかったるそうに言う。「な、貴様上官に向かって口を慎めんのか!?」「るせぇ!俺が敬語を使うのはシュバルツ少佐だけだ!」 敵を前によく口論ができるものだと思う。 とりあえずわかったことは二つだ。 一つは黒い方は男、そしてハイドという名前で上官にも平気でため口を叩く。蒼い方は女ということ。 そして、隙が見つけられない。これは・・・厄介な敵である。 こちらの戦力はシールドライガー一機にコマンドウルフ二機だった。 状況は明らかに不利だった。
3話<揺動> ドライはミサイルを放つ。 ミサイルは正確にセイバータイガーに向かうが、二機のセイバータイガーはあっさりと避ける。 それと同時にドライは黒いセイバータイガーに、宗耶とルーズは蒼いセイバータイガーにそれぞれ向かった。 戦況は非常に不利、ならば一気に接近して短期決戦に持ち込むべきだと判断した。 セイバータイガー背中の二連メーザー砲を撃ち込む。しかしそれを半歩ずらしてかわす。 スピードはシールドライガー、しかし銃火器の類はセイバータイガーの方が上である。「近接ならこちらに分があるか・・・?」「ハッ!なめンなよぉ!」 セイバータイガーのストライククローがシールドライガーに向けられる。 ドライは的確に避ける。が、甘かった。 ストライククローが地面についたときにその足を軸に後方の足をシールドライガーにぶつけて吹き飛ばす。 舌打ちをしながらドライも似たような事をして逆に驚かせる。「やるじゃねぇか!」「そりゃあドウモ!」 そのまま虎と獅子、ライバルの対決が始まった。 一方、ルーズとソウヤは非常に苦戦していた。 この二人は決して弱い訳ではない。むしろエース級の腕前である。 だが、今回は相手もエース級であるようだ。しかも二人はコマンドウルフ、相手はセイバータイガーである。コマンドウルフは軽量級、奇襲用ゾイド。対しセイバータイガーは重量級、強襲用ゾイドだ。 明らかなまでに不利だ。「どうした!」「この女・・・強いな」 ソウヤが呟いているが、ルーズから返信は来ない。むしろ動きまで悪くなっている。「おい!ルーズ!どうした!?」「あいつ・・・まさか・・・いや、そんなはず・・・」 何やら、動揺をしている。ソウヤは舌打ちをしながらも攻撃を避けていく。同時にスモークディスチャージャーを発動させて煙幕を張る。煙幕はセイバータイガーを包み視界を防ぐ。 直後、コクピットから暗号が入る。『ハルフォード中佐、頂上につかれたし』と言った内容だった。ソウヤは一瞬安堵の息を漏らす。そう、ドライ達も揺動であったのだ。しかしだからといって今の戦況は悪いことに変わりはない。 どうする、彼は必死で考える。この状況はそう簡単には打破できないだろう。今は煙幕がはっている。不意打ち、一瞬頭によぎったが即座に否定。おそらく止められるだろう。「だらぁっ!!」「ぐお!?」 考えていた瞬間だった。黒いセイバータイガーが吹き飛ばされてきた。一瞬、蒼いセイバータイガーの動きが止まった。その隙をソウヤは逃がさなかった。高速で間を詰めて一撃をいれる。鼻っ面にぶち込んだためか。動きが止まる。「ドライ!急いで引くぞ!」「あぁ!?こんなチャンスにか!?」「ルーズの様子がおかしいしハルフォード中佐も頂上についた。後はいつもどおりに」「っち、わーったよ。もうお前隊長かわる?」「バカだろお前!」 アホなやり取りをしながら三人はオリンポス山をおりていく。 そして数時間後、山頂から猛烈な爆発が起きた。 この日、ハルフォードは死亡した。そして生き残った隊員、トミー・パリス中尉の持ち帰ったデータは共和国の技術開発局に衝撃を与えた。「やばかったな・・・」「そだな。あのまま留まってたら死んでたな」 ソウヤとドライは休憩室で茶をのみながらオリンポス山でのことを話す。 三人がいた位置は荷電粒子砲が後で通ったのだ。ドライのシールドライガーのシールドも意味をなさず瞬時に蒸発するだろう。 だが、生き残った。二人はそれに笑みをこぼす。生き残れたことにただ至福を感じていた。 だがまだ二人は知らない。後に出会う恐怖を、まだ知らない。