ゾイド系投稿小説掲示板
自らの手で暴れまくるゾイド達を書いてみましょう。
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キャラクター紹介フリーダ・ブルマイスター この物語の主人公である地底族の女。20歳。中央大陸出身で、幼い頃に孤児となり、ヘリック共和国の養護施設で育ったが、幼い頃から風族からいじめにあっており、さらに10歳の時に地底族であるという理由でヘリック共和国軍に強制連行され、『コアノイド』の実験材料として利用された過去を持つ。そのため、自らを体を利用したヘリックや風族に対して強い憎悪を抱いている。ヘリック共和国本土からガイロスに逃れ、生きるために各地で略奪行為をしながら生活した後、西方大陸でエウロペ民族解放戦線の傭兵として、ヘリックと戦っている。 彼女の使用するライガーゼロ(帝国仕様)は、戦闘から戻ると必ずボディが敵の返り血(正確に言えばゾイドから噴出したオイル)で濡れていた事から、『血染めの獣王』と呼ばれて敵味方共に恐れられている。 容姿端麗だが、単独行動を好み、他人との接触や集団行動を嫌う傾向にある。ヘリックへの復讐のためなら手段を選ばず、戦闘では徹底的に容赦なく敵を殲滅する。コアノイドであるが故に戦闘能力はとても高いが、コアノイドの特徴である、定期的に起こる拒絶反応による発作『コア・ペイン』に苦しんでいる。クヌード・ボルク フリーダと同じく、エウロペ民族解放戦線の傭兵としてヘリックと戦っている沈着冷静な火族の男。74歳。第1次大陸間戦争を戦い抜いたベテランパイロットで、第2次大陸間戦争では傭兵として活動した。復讐に生きるフリーダを快く思っていない。彼曰く、「フリーダは悪魔のような人間」。使用ゾイドはアサルトガトリングを装備したエレファンダー。エリアス・ヘンズリー この物語のもう1人の主人公で、ヘリック共和国軍西方大陸軍に所属する風族の男。20歳。階級は少尉。孤児であったために、幼い頃は養護施設で育った。フリーダと同じ養護施設にいたため、彼女とは幼い頃から面識があり、初恋の相手でもあった。エリアスは、その頃フリーダに「大人になったら結婚しよう」と約束を交わしており、その時フリーダからもらったペンダントを今でもお守りとして肌身離さず持っている。養護施設を出た後は軍人としての道を進み、第2次大陸間戦争後半に西方大陸へ渡ったが、その際ヘリック共和国が崩壊したため、西方大陸に留まる事になった。 ゾイド乗りとしての腕は決してよいという訳ではないが、持ち前の正義感の強さで幾多の危機を乗り切っている。しかしながら、兵士としては多少、間が抜けている部分もある。使用ゾイドはケーニッヒウルフ。 別れてから10年後、西方大陸の戦場で、敵同士という思わぬ形で復讐鬼と化したかつての想い人フリーダと再会する事になってしまう・・・リーラ・オルビー エリアスと同じ部隊に所属している女。20歳。階級は曹長。エリアス同様、第2次大陸間戦争後半に西方大陸へ渡ったが、その際ヘリック共和国が崩壊したため、西方大陸に留まる事になった。エリアスに惹かれており、敵でありながら彼の幼なじみであったフリーダに嫉妬心を抱き、自らの手で倒そうとする。使用ゾイドは量産型ブレードライガー。
――ZAC2104年―― 旧ゼネバス帝国の残党である鉄竜騎兵団(アイゼンドラグーン)という思わぬ敵の出現によって、ヘリック共和国・ガイロス帝国の3年間に渡る第2次大陸間戦争が終結を迎えて2年。鉄竜騎兵団によって建国されたネオゼネバス帝国によって中央大陸を完全に制圧されたために、西方大陸に残っていたヘリック共和国軍西方大陸軍は、事実上、西方大陸に孤立してしまっていた。暗黒大陸上陸にほとんどの戦力を回してしまったが故に、中央大陸のヘリック軍残党への助太刀できる戦力もなく、ただ戦力を蓄えながら反撃の機会を窺うしかなかった。 そして、彼らを悩まさせた事実がもう1つ。 西方大陸に戦争が拡大してから、各地でヘリック・ガイロス両勢力に抵抗していた西方大陸人による小規模なゲリラ組織が、共和国軍が暗黒大陸上陸に目を向けていた隙に結集して戦力を拡大、『エウロペ民族解放戦線』として共和国軍に本格的な軍事抵抗を始めたのだ。 これは、そんな西方大陸の地で、エウロペ民族解放戦線に所属し、復讐を果たすためにヘリック軍西方大陸軍との戦いに身を置いた、1人の傭兵の物語である・・・SECTION01 血染めの獣王 西方大陸中心部に位置する広大な砂漠地帯、レッドラスト。通称『死の砂漠』。 膨大な数の古代遺跡が眠るこの地は、5年前の戦争では常に最前線だった地であり、その金属成分の関係で赤く染まった砂が暗示するように、幾多の激戦が繰り広げられ、そして多くの血が流されてきた場所である。 所属も階級も関係なく、ただ実力を持ったゾイド乗りだけが生き残れる『死の砂漠』。この日も、赤い砂が血に飢えているかのように、戦いの火蓋が切って落とされる・・・「全機体に告ぐ!! 接近する敵部隊を確認!! 各機、戦闘準備!! 各機、戦闘準備!!」 レッドラストを通過している共和国軍の1機のグスタフを護衛していたアタックユニット装備のコマンドウルフ部隊に、警告が発せられた。すぐに戦闘体制に入るコマンドウルフ部隊。すると、どこからともなく砲弾が飛んで来て、地面で爆発する。砲弾が放たれた先にいたのは、尾を向けて並んでいるワイルドウィーゼルユニットを装備したガンスナイパーであった。その中には、アサルトガトリングを装備したエレファンダーの姿もある。全機の機体に、西方大陸の形を描いたマークが描かれている。エウロペ民族解放戦線の旗だ。「敵ゾイドを確認!! 攻撃を開始する!!」「了解!!」 コマンドウルフ部隊はそれらを確認すると、一斉に咆哮を上げ、動き出した。「来たか。」 エレファンダーに乗る初老のパイロットは操縦桿を動かし、バルカンを撃ちながら機体を前進させる。ガンスナイパー部隊も一部が機体を正面へと向け、ワイルドウィーゼルユニットを撃ちながらコマンドウルフ部隊に突撃する。両部隊は次第に距離を詰め、たちまち両部隊は肉弾戦に突入する。小型ゾイドとはいえ、ガンスナイパーはオーガノイドシステムの一部を取り入れた機体だ。コマンドウルフとも互角の戦いを繰り広げる。エレファンダーも、牙や鼻を使った格闘攻撃でコマンドウルフを蹴散らしていく。そんな戦いの様子を離れた場所から見つめる1機のゾイドが。「あれが敵だ、ゼロ。」 そのゾイドのパイロットはそんな事をそのゾイドに話しかける。すると、そのゾイドは戦いの場に向かって走り出した。背部のブースターとスタビライザーを展開し、加速する。「!! 新手か!!」 1機のコマンドウルフがそのゾイドを捕捉する。遠くにいるので、まだ種類は識別できない。すぐにロングレンジキャノンで砲撃する。しかし、そのゾイドはその砲撃を易々とかわしながら接近してくる。「くそっ、当たれ!! 当たれ!!」 コマンドウルフは尚も砲撃を続ける。しかし、なかなか当たらない。その内1発の弾がそのゾイドの手前に当たり、爆風が広がる。しかし、爆風が消えた後、そのゾイドの姿は消えていた。「!? どこだ!? どこへ行った!?」 コマンドウルフは辺りを見回す。するとその直後、背後でズシンと音がした。背後に寒気が走る。振り向くと、真紅のゾイドが目を不気味に緑色に光らせているのが見えた。しかしその直後、コマンドウルフは真紅のゾイドの爪で弾き飛ばされた。倒れた隙を逃さず、真紅のゾイドの牙が迫る。「うわああああああ!!」 パイロットの断末魔の叫びと共に、コマンドウルフの首が宙を舞った。そして、地面に激しく落ちる。衝撃でキャノピーが割れる。パイロットは即死だろう。「どうした!?」 別のコマンドウルフが、悲鳴がした方を見る。するとそこには、胴体だけになって倒れたコマンドウルフの許にいる、そのコマンドウルフを倒した主の姿がはっきりと映っていた。「ラ、ライガーゼロ・・・」 それは、共和国兵の間では閃光師団(レイフォース)の機体として馴染みのあるライオン型ゾイド、ライガーゼロだった。しかし、金色と茶色のフレームに、銀色の爪牙。そして、血のように赤いタイプ0アーマー。元々ガイロス帝国で開発されたライガーゼロの本来の姿だ。ガイロスでの量産はヘリックの暗黒大陸侵攻時だったため、そのカラーリングは西方大陸にいた彼らの見慣れているものではなかった。「ち、『血染めの獣王』!!」 誰かが叫んだ。「『血染めの獣王』だと!?」「あいつに狙われたら最後、生きては帰れない・・・!!」 恐怖に怯えた叫びが通信で流れる。「行くぞ、ゼロ!!」 ライガーゼロのパイロットが叫ぶと、ライガーゼロは再びコマンドウルフ部隊に風を巻いて襲い掛かる。「うわああああ!! 来るなああああああ!!」 コマンドウルフのパイロット達はライガーゼロに恐怖の声を上げ、やけくそに砲撃する。しかし、ライガーゼロはジャンプして回避し、真上からコマンドウルフに襲い掛かる。「そんなヘッポコ弾に当たるものか!!」 ライガーゼロの光り輝くレーザークローがコマンドウルフの上空から頭部に深々と突き刺さった。その時、そこからオイルが噴出し、ライガーゼロの頭部や前足にかかった。そのオイルに濡れた姿は、あたかも返り血で濡れているかのようだ。すぐさま次のコマンドウルフに挑みがかかる。そして、1機、また1機とコマンドウルフを倒していく。そして、ある程度コマンドウルフを倒した後、ライガーゼロはグスタフに向かって走り出した。「敵が来た!! すぐに回避・・・ぐわあっ!!」 グスタフのパイロットが行動に出る間もなく、グスタフの頭部はライガーゼロのレーザーファングに噛み砕かれた。そして、首を引きちぎられ、停止する機体。それを見た残りのコマンドウルフが逃げていく。「逃げられると思うな!!」しかし、ライガーゼロは容赦なく追撃する。「な、何だ!! まだ追いかけてくるぞ!!」「奴の牙はまだ食い足りないのか!!」 そう言っている間にも、ライガーゼロはコマンドウルフとの距離を詰める。そして、最後尾の機体の左後ろ足に噛み付いた。転倒した隙に、首を引きちぎり、撃破した。さらに逃げる他の機体を追撃しようとするライガーゼロ。「それくらいにしろ、フリーダ。」 その時、通信が入った。エレファンダーのパイロットからだ。「!!」「我々の任務はもう達成している。それ以上追撃する必要はない。」「・・・だが!!」「深追いは命を落としかねない。命が惜しかったらもうやめにしろ。」「・・・わかったよ、クヌード!!」 フリーダと呼ばれた人物は逃した悔しさからか、唇を噛んで機体を回頭させたのだった。 * * * ライガーゼロの攻撃によって停止したグスタフの周りにエウロペ民族解放戦線のゾイドが集まっている。そして、別の場所では捕虜を連行している。その中に、1人の捕虜に尋問をしている赤いショートヘアーの容姿端麗な女がいた。先程のライガーゼロのパイロット、フリーダ・ブルマイスターである。「さあ言え!! お前らは、新型ゾイドの素材を運んでいたのか!!」 フリーダは外見からは想像できないほど捕虜に怒鳴りつけ、捕虜の襟元を強引に掴んで問う。「いや・・・その・・・頼むから・・・命だけは・・・」 捕虜はその剣幕に、恐怖心で答える事ができない。「そんな事は聞いてない!! 答えろ!!」「ひ・・・」 フリーダの問い詰めにも、捕虜は恐怖心でなかなか言葉を発せられない。ついにフリーダは答えないとわかったのか、襟元を掴んだまま捕虜を投げ飛ばした。そして、懐からピストルを取り出し、構えた。「役に立たない捕虜め。」 フリーダはそう言うと、ピストルの狙いを定め、引き金を引いた。「ぎゃあっ!!」 銃声が灼熱の空に響き、弾は捕虜の右足を貫いた。そしてすぐにもう1発撃つ。今度は左足。更にもう1発。今度は肩。このように次々と弾を受け、悲鳴を上げる捕虜の姿を見て、他の兵士達は唖然としてただ見守る事しかできなかった。フリーダは、なぜか心臓がある左胸を狙おうとしない。いや、あえて急所を狙わない事で、相手を意図的に苦しめているのだ。「苦しいか? 苦しいだろう・・・そのまま地獄へ落ちろ、風族め!!」 フリーダは冷たい眼差しで悪魔のような一言を言うと、ピストルの引き金を再び引いた。弾は捕虜の左胸を貫いた。捕虜の全身の力が抜け、体が動かなくなった。フリーダは、そんな捕虜を見て清々したかのように不敵な笑みを浮かべた。周りの兵士達は、そのあまりにもの残忍さに言葉も出なかった。「おいフリーダ、その捕虜に何をした!!」 そこへ、この騒ぎを聞きつけたエレファンダーのパイロット、クヌード・ボルクが現れた。「何だ、この捕虜が役に立たなかったから、処分しただけだ。」「だが、そのやり方は何だ!!」「非人道的だ、とでも言うのか。戦争にズルも卑怯もない。誰が人をどう殺そうと私の勝手だ。」 フリーダは反論すると、すぐにその場を去って行ってしまった。「・・・全く、悪魔のようだな、あの傭兵は・・・」 クヌードはフリーダの後ろ姿を見てつぶやくのだった。 一方、フリーダは自らグスタフの貨物室に入った。何かを探しているようだ。彼女はすぐに、隅に『TOP SECRET』と書かれた札が付いた大きな箱が置いてあるのを見つけた。箱はダイヤル式の鍵で施錠されていたが、フリーダはピストルでダイヤルを壊し、箱を開けた。その中には、大理石のような模様が入った、石のような金属の塊がいくつも入っていた。「これは・・・間違いない。奴らが開発してる新型ゾイドの素材だ!!」 * * *――エウロペ民族解放戦線―― それは、ヘリック共和国、ガイロス帝国の西方大陸植民地化政策に異を唱えるゲリラ組織が結集した武装組織である。ZAC2099年のヘリック共和国、ガイロス帝国の対立による西方大陸進出の際には、両国とも植民地を樹立し、最終的に戦いに勝利した共和国は、帝国の植民地を解放する事なく接収し、支配地域を一層広めていった。更に、野性体ゾイドの資源が多い事を理由に、共和国はこれを次世代のゾイドに生かすべく、大規模な野性ゾイド狩りを行ったため、野性ゾイドに畏敬の念を抱いていた西方大陸人を刺激する事になった。そして、ZAC2100年以降、各地でゲリラによるテロが多発する事になる。最初は小規模なものであったが、ZAC2101年に共和国軍が暗黒大陸の侵攻に目を向けている隙に次第に結集し、エウロペ民族解放戦線となり、合法・違法問わずさまざまなルートで入手したゾイドを装備して本格的な軍事抵抗を始めたのである。 ライガーゼロのパイロットである20歳の女、フリーダ・ブルマイスターは、西方大陸人ではなく、暗黒大陸から渡ってきた傭兵である。彼女が過剰なまでにヘリック共和国、そして風族に強い憎悪を抱いているのは、彼女の過去に関係があるらしいのだが・・・ * * * レッドラストの中にあるヘリック共和国軍西方大陸軍の拠点。 炎天下の下、そこには、ヘリック共和国製のゾイドが擬装用のネットに覆われた状態で駐機しているが、そのほとんどがコマンドウルフ等の旧式機ばかりである。この中で新しい機体といえば、たった1機あるケーニッヒウルフのみである。ヘリック共和国は、新型ゾイドをほとんど暗黒大陸上陸に参加した部隊と中央大陸本土の部隊に優先して配備したため、西方大陸軍へ送られた新型ゾイドの数は少ない。そして、エウロペ民族解放戦線との度重なる戦闘で、多くの新型ゾイドを失った事もある。 そのケーニッヒウルフの機器の点検をしている1人の若い男の姿があった。ヘリック共和国軍の制服を着て、首には見るからに安物なペンダントをかけている。どうやらこのケーニッヒウルフのパイロットのようである。「エリアス!」 その時、どこからか女性の声がした。エリアスというらしい若い男は、声がした方を見る。そこには、彼と同年齢ほどの女がいた。制服を着ているので、兵士のようだ。「リーラ。どうしたんだ?」「何言ってるのよ! もうすぐブリーフィングの時間じゃない! また隊長に怒られたいの!」「あっ、いっけね!! そうだった!! すぐ行く!!」 リーラという女に忠告されたエリアスは、慌ててすぐに施設に向けて駆け出して行った。「やれやれ・・・世話が焼けるんだから・・・」 リーラはそうつぶやくと、エリアスの後に続いたのだった。 エリアスは、大慌てでブリーフィングが行われるテントへ滑り込んだ。そこにいる兵士全員の視線が彼に向けられる。「・・・今回は間に合ったな。エリアス・ヘンズリー少尉。」「は、はい・・・」 上官の言葉に、苦笑いで答えるエリアス。そして、エリアスは席に座った。すぐに、リーラもテントに入って、エリアスの隣の席に座った。「助かったよリーラ・・・」「いい加減、時間の約束守るようにしなさいよ、ほんとに・・・」「わかったよ・・・」 2人のそんなやり取りが終わった後、上官の説明が始まった。「さて、では始めよう。先日、新型ゾイドの開発のために古代遺跡から新素材を輸送していたグスタフ隊が、レッドラストにて連絡が途絶えた。軍は、これをかねてからレッドラストにて輸送ゾイドを襲撃しているエウロペ民族解放戦線の攻撃である可能性を・・・」 そんな説明を、エリアスは退屈そうに聞いていた。彼にとって、どんな任務もほとんど代わり映えがしないものだと思っていたからだ。そして、エリアスは首にかかった安物のペンダントを手に取って眺める。(フリーダ・・・君は今、どこにいるんだ・・・?) そんな事が、彼の頭の中を過った。「・・・聞いているかね、エリアス?」 そんな上官の問いかけで、エリアスは我に返った。「あ、いえ・・・ちゃんと聞いてましたよ。」 エリアスは慌てて席を立つ。「では、今まで私が説明した事を言ってみろ。」「う・・・」(やっぱり聞いてなかったみたい・・・) 上官の問いかけに戸惑うエリアスの姿を見て、リーラは呆れてそう思った。そこにいた兵士の一部が、クスクスと笑った。「・・・次からは気をつけたまえ。」「はい・・・」 エリアスはそう答えて、席に座った。「そんなにその安物のペンダント気に入ってるの?」 リーラは、話を聞いていなかった理由が、エリアスが持つペンダントであると既に気付いていた。「いや・・・昔、初恋の女の子がくれた大切なものなんだよ・・・」「へぇ、それが・・・」 2人がそんなやり取りを小声でした後、上官の説明の続きが始まった。「という訳で、エリアスの小隊には、その地域への強行偵察に向かってもらいたい。レッドラストには、エウロペ民族解放戦線の多くの戦力が配備されている可能性が高い。心してかかってくれ。」「ええ!? あのレッドラストに行くのかよ!?」 話を聞いていなかったエリアスはこの時、初めて今回の任務の行き先を知ったのだった。 * * * ブリーフィング終了後、エリアスの小隊はすぐに出撃準備に入った。エリアスはケーニッヒウルフのコクピットに滑り込む。「レッドラストに行くんだ・・・万全の準備しなきゃな!」 エリアスはコクピットの各種装置を念入りにチェックする。生きて帰れないかもしれないレッドラストへ行くのだから、普段より念入りに行うのは当然の事と言える。「よし、完璧だ!」 点検が終わり、エリアスは通信を入れる。自分の小隊へだ。「これより、第17小隊、出撃するぞ!!」 エリアスはキャノピーを閉める。そして、機体は地上の誘導員の指示を受けながら立ち上がり、擬装用のネットを掃う。そして、ケーニッヒウルフは、天に向かって吠えた。 そのまま赤い砂漠へと出て行ったケーニッヒウルフに続き、2機のコマンドウルフと1機の量産型ブレードライガーが続く。量産型ブレードライガーに乗っているのはリーラだ。「エリアス、無理はしないでよ。」「わかってるさ。」 リーラの少しの不安を浮かべた一言に、エリアスは笑みを浮かべて答えた。TO BE CONTINUED・・・
まずご投降真にありがとうございます、それに新小説完成おめでとうございます。 さて、堅苦しい挨拶は置いておいて早速感想・批評に入りたいと思います。 まず設定ですが、ゾイドファンならば誰でも知っているようなものでしたが、非常にシンプルで解りやすかったです。エウロペ民族解放戦線と聞いて私はすぐピンときました。 次にキャラクターですが、私が特に気に入った……というか印象に残ったのはフリーダです。もちろんただ主人公というだけではなく、紹介にもあったようとても残忍というのがよく小説内でも表れていたからです。 ゾイドとの戦闘シーンでもよく見てとれましたが、それ以上に共和国軍兵士を銃でじわじわ痛めつけていくのに思わず声を漏らしました。ゾイド小説だとどうしてもゾイド同士の戦闘シーンが多いのですが、ここは戦場、となればもちろん人と人が対峙する場面もありますよね。そこに着目して描写したのは素直に凄いと思いました。フリーダの残忍さがより浮き立たされ、読者に強い印象を与えると思います。 ただちょっと残念だったのが、もう一人の主人公というエリアス君ですかね〜。まあ最初だからしょうがないかもしれませんが、もうちょっとキャラとして突飛してもいいと思いますよ。例えば、フリーダのことが好きなようですから、出撃前にペンダントにお祈りみたいなことをするとか彼にしか出来ないような何かをしたほうがより印象に残ります。フリーダの残忍さがより強調されているせいか、その差がちょっと目立ちました。 さて三つ目に戦闘シーンなどの描写ですが、これは特に問題ないと思いますよ。ありありと描かれて戦場の様子がよく解りました。ただ「・・・」ではなく「……」と三点リーダを使いましょう。こちらのほうが見栄えがいいです。 え〜と大体こんなところですかね。なんか意外と長くなってしまいましたがまあそれはスタンダードさんの向上のためですので……お役に立てると嬉しいです。 それではこれからも小説の執筆の方がんばってください。どうもヒカルでした〜
レッドラスト内にある、とあるオアシス都市。 レッドラストにはほとんど人が近づかないと言われてはいるが、全く人が住んでいないという訳ではなく、いくつかのオアシス都市が存在し、5年前の戦争では、戦闘や遺跡調査の補給地点として重要な場所であった。 そんな場所に、エウロペ民族解放戦線の拠点があった。民間の施設を多く流用しているが、立派な拠点である。駐機しているゾイドには擬装用のネットがかぶせられている。 その近くの人気がない水辺に、動く影があった。フリーダだ。どうやら水浴をしているようである。水から上がったフリーダは、近くの木にかかっている服を取った時、自らの胸の上部にある、あるものに目を留めた。そこには、明らかに自然のものとは思えない大きな銀色の球が埋め込まれていた。フリーダはそれをしばらく見つめると、何か嫌な事を思ったのか、右手を力強く握った。そして、すぐに服を身に付け、その場を後にしたのだった。SECTION02 運命の再会 灼熱のレッドラストを進むエリアス率いる第17小隊。エリアスは、機体を操縦している最中、胸元からあの安物のペンダントを取り出した。そしてそれを眺める。(フリーダ・・・ここで■んだら、君との約束が果たせなくなるんだ。絶対に生きて帰らなきゃな。) エリアスはペンダントをゆっくりと握ってそう誓い、機体を進めたのだった。 * * * オアシス都市のエウロペ民族解放戦線拠点。 そこの建物の中では、クヌードが他の兵士と何やらやり取りをしていた。そのテーブルには、以前フリーダが見つけた大理石のような石が並べてある。「これが、例のヘリック共和国が開発してるって噂の新型ゾイドの素材か?」 クヌードが兵士に問う。「はい、調べてみた結果、間違いなく『古代チタニウム合金』です。古代文明によって作られた金属でして、装甲材質としてはとても軽くて頑丈な素材です。」「装甲材質にはうってつけ、という訳か・・・」「これを使ったゾイドが完成すれば、我々の苦戦は確実なものになるでしょうね。」「いや、それ以外にもある。」 クヌードと兵士の話に、誰かが割って入って来た。フリーダだ。「フリーダか。それは一体何だというんだ?」「奴らはそのゾイドを、中央大陸での起■回生の切り札にするつもりなんだよ。この古代チタニウム合金は、ネオゼネバスが使った、ゾイドの機能を奪うジャミングウェーブを遮断する効果があるらしい。もしこれが本当なら、奴らは再び中央大陸で力を取り戻す!」「何だって!?」 クヌードの隣にいる兵士は驚く。「だが、ヘリック共和国軍は2年前に壊滅したはずだ。それがどうやって力を取り戻すと言うんだ? 西方大陸軍には中央大陸に送るだけの戦力はないはずだ。」「わからないのか? 奴らは完全に殲滅された訳じゃない。中央大陸には、まだ残存勢力がネオゼネバスに抵抗してるんだよ。そいつらが、西方大陸軍にこいつを使った新型ゾイドの開発を依頼したらしいんだ。」 フリーダは古代チタニウム合金の塊を手に持って言う。「ふむ、確かにここならネオゼネバスの手が及ばないからな。だが、そんな情報どこから入手した?」「・・・実際に調べたのさ。非番の間に潜入してな。」「な、何と・・・」 驚くクヌード。まさかフリーダが非番の間にもそこまで行っていたとは誰も思わないだろう。「もしそいつがヘリックで量産されれば、お前達にとっても不都合だろう? ならば、早急に対策を打つ必要が・・・」 そう言いかけた時、突如基地にサイレンが響き渡った。周りが慌ただしくなる。「敵襲だー!!」 誰かの叫び声が響く。「何だ!?」「行くぞ!!」 フリーダとクヌードは、すぐさま自らの機体に向かって走って行った。 フリーダは機体のエンジンに火を入れる。擬装用のネットの下から真紅のライガーゼロが動き出す。クヌードのエレファンダーも含め、他の数機のゾイドも次々と発進していく。基地の外に出る。見渡す限り広がる砂の海。敵の姿はまだ肉眼では見えない。「ヘリックめ・・・またこりもせずに・・・!!」 フリーダは怒りの表情を浮かべる。「敵の位置は?」「偵察機の情報によれば、ここから南側です。」「わかった。」 クヌードは僚機と連絡を取った後、迎撃部隊は南へ進路を取った。** * 一方、エリアスら強行偵察部隊。「リーラ、目的地はまだなのか?」「まだだけど、もう敵の領域内に入っているはずよ。油断しないで。」「わかってる。」 エリアスとリーラはそんなやり取りをしていた。「!!」 すると、レーダーの画面に反応があった。「やばい、敵が来た!!」「応戦しなきゃ!!」 エリアス達は反応があった方向を見る。そこには、フリーダ達エウロペ民族解放戦線のゾイドが。「ああっ!! あれって『血染めの獣王』!?」 その中の赤いライガーゼロの姿を見たリーラは背筋に寒気が走った。「くそ・・・でもやるしかないんだ!! みんな、散開して応戦だ!!」 エリアスの指示で僚機のゾイドが散開する。そして、ついに両軍のゾイドが激突した。「行くぞ、ゼロ!!」 フリーダのライガーゼロが吠える。そして、1機のコマンドウルフに向かって機体を突撃させる。ゼロの爪が光り始める。「■ええええっ!!」 フリーダの叫びと共にゼロの爪がコマンドウルフのキャノピーを一撃で破った。コクピットからオイルが血のように吹き出し、ゼロに返り血のようにつく。「!!」 頭部をつぶされ、倒れる味方機を見て、エリアス達は■の恐怖が間近に迫っている事を感じ取った。「・・・こうなったら!!」 エリアスはある決意をした。すると、ケーニッヒウルフのヘッドギアが頭部に被さり、更に背部のデュアルスナイパーライフルが展開する。向けられている先は、フリーダのライガーゼロ。エリアスは照準機で狙いを定める。「そこだ!!」 エリアスはトリガーを引いた。デュアルスナイパーライフルが火を吹く。弾丸はゼロの足元に命中した。「!!」 ゼロはすぐにエリアスのケーニッヒウルフが攻撃した主である事に気付いた。「リーラ!! お前は行くんだ!! 俺が囮になって『血染めの獣王』を引き付ける!!」 エリアスは通信で叫ぶ。「!! 何言ってるのエリアス!! そんな事したら・・・」「でも、誰かがやらなきゃみんなやられちゃうだろ!!」 リーラが反論するが、エリアスの意志は固かった。「・・・・・・わかったよ。必ず、生きて帰ってきてね。」「もちろんさ!!」「こいつ!!」 エリアスがそう笑顔で答えた直後、ゼロが牙を剥いた。すぐに回避するケーニッヒウルフ。「ほらほら、こっちこっち!!」 エリアスは機体を味方機とは逆方向に走らせる。「逃がすか!!」 フリーダもブースターを使って機体を加速させる。2機は高速でそれぞれの味方機から離れていった。「エリアス・・・」 リーラは、そんなケーニッヒウルフの背をただ見つめるしかなかった。しかし、そこへ砲火が飛んで来る。すぐにEシールドで辛うじて防ぐリーラ。「ここは私が相手をしよう。」 そこにいたのは、クヌードが駆るエレファンダーだった。 何とかして引き付けるんだ、可能な限り遠くまで! エリアスは、それにか考えていなかった。「くそっ、どこまで逃げるつもりだ!!」 ゼロがショックキャノンを撃って来る。これに対抗して、エリアスもスモークディスチャージャーを使って牽制する。煙に包まれるゼロ。「くっ、いい加減に・・・!!」 その時、フリーダの様子が激変した。「うぐ・・・うあああああああっ!!」 フリーダは突然、狂ったように胸元を押さえてコクピットの中でもがき苦しみ始めた。その影響で、ゼロの動きが鈍る。「!?」 エリアスもすぐにこれに気付いた。「チャンス!!」 エリアスはすぐに機体を反転させ、クローで切り掛かった。もがき苦しんでいるフリーダに、かわす術はなかった。「ああああっ!!」 転倒するゼロ。「や・・・やったのか・・・?」 エリアスは、『血染めの獣王』はこんな簡単に倒せるのかと疑いながらも、にわかに勝利を確信した。「くっ・・・こんな時に『コア・ペイン』なんて・・・!」 フリーダはキャノピーを開け、機体から脱出を試みる。しかし、『コア・ペイン』と言っているその苦しみで、まともに立つ事もできない。「あ、逃げる!!」 エリアスもすぐに気付き、せっかくの手柄を取り逃がすまいとピストルの用意をして機体から素早く降りた。「待て!!」 エリアスはピストルを撃つ。フリーダの足元だ。「ちいっ!!」 フリーダも必■でピストルをエリアスに向けた。2人が顔を合わせる。「!?」 互いの顔を見た2人は、突然凍りついたように一瞬沈黙してしまった。2人は、互いの顔に見覚えがあったのだ。「・・・う、嘘だろ・・・」「だ・・・誰だ? あの顔、どこかで・・・」 2人はそんな言葉をつぶやく。「君は・・・フリーダ・ブルマイスターなのか!?」 エリアスが叫ぶ。「お前は・・・エリアス・ヘンズリーか!?」 フリーダも叫ぶ。2人は自らの予想が的中していた事に驚きを隠せない。「うぐっ!!」 フリーダの体を再び発作が襲い、胸元を押さえて倒れ込む。「あっ、フリーダ!!」 それを見たエリアスは先程の戦闘でフリーダが負傷でもしたのかと思い、すぐにフリーダの許に駆け寄ろうとする。「く・・・来るな!!」 しかしフリーダは、苦痛に苦しみながらも銃を構え、発砲した。弾がエリアスの足元をかすめ、思わず足を止める。「わっ!! 何するんだフリーダ!! 俺は君に攻撃なんてする訳・・・」 突然のフリーダの行動に説得しようとするエリアスだが、フリーダはそのまま、先程の苦痛のせいか、気を失って倒れてしまった。「フリーダ!?」 慌ててフリーダの許に駆け寄るエリアス。エリアスは、うつ伏せに倒れているフリーダの体を仰向けにした。そしてフリーダの顔を見つめる。「そんな・・・君が『血染めの獣王』だったなんて・・・」 そんな言葉をつぶやく。彼の知っているフリーダは、敵を容赦なく殺すような人ではなかった。ましてや、兵士になる事自体、彼には信じられない事だった。自分の中のフリーダの記憶は、長い間に美化してしまったのかと一瞬疑ってしまうほどだった。 ふと、彼はフリーダの体を起こそうと、フリーダの襟元を抑えた時、何か違和感を覚えた。何か硬い物を彼の手で感じ取ったのだ。気になって襟を少しだけ開けてみると、そこには明らかに自然のものとは思えない銀色の球体があった。しかも、体に埋め込まれている。「な、何だこりゃ?」 しかし、長く襟を開けているのは恥ずかしい行為なので、エリアスはすぐに襟を閉めたのだった。 * * * 暖かい日差しが差し込むどこかの場所。 その片隅で、1人の幼い少女が人知れず体をうずめて泣いている。フリーダだ。顔立ちも幼く、そしてかわいらしく、とても後に現在のようになるとは思えない。「どうしたのさ、フリーダ。」 そこで、誰かの声がした。振り向くと、そこには1人の幼い少年がいた。「エ・・・エリアスゥ!!」 すると幼いフリーダはすぐに彼の許に駆け寄り、抱き付いてきた。彼はどうやらエリアスのようだ。「みんなにまたいじめられたの・・・」 幼いフリーダは泣きながら幼いエリアスに訴える。「そうか・・・でもなかないでフリーダ。だいじょうぶだよ。そんなわるいやつなんか、おれがやっつけてやるから。だって、おれはフリーダのみかただからね。フリーダをいじめるやつなんか、ゆるせないよ。」 幼いエリアスは幼いフリーダの頭を優しくなで、笑顔で優しくなぐさめる。「う・・・うん・・・」 幼いフリーダは涙を拭き、笑顔を見せる。「そうだよ、わらってるほうが、フリーダはかわいいよ。」「ありがとう・・・あたしエリアスだいすき・・・」 すると幼いフリーダは、エリアスの頬にそっと口付けしたのだった・・・ * * * フリーダは、ゆっくりとまぶたを開けた。外は暗くなろうとしている。痛みはもうない。「夢か・・・」体を起こすとすぐに、自分の体に毛布がかけられている事に気付いた。「あっ、気がついた?」 すると、横から声がする。見るとそこには、エリアスの姿があった。フリーダはすぐに銃を構えようとする。しかし、あるはずの場所にない。見ると、自分の持つピストルはエリアスの手元にある。「なぜ私を助けた? お前にとって、私は敵じゃないのか?」 フリーダは尋ねる。「え? た、確かにそうだけど、だからって俺はフリーダを殺す事なんてできないよ。だって、昔からの仲じゃないか。」「・・・・・・」 フリーダは、その言葉に口答えはしなかった。先程夢で見た、かつてのエリアスの優しさを思い出したからだろうか。「ほら、食事だよ。」 エリアスはフリーダの許に寄り、非常食の缶詰を差し出した。「・・・・・・」 フリーダは無言で缶詰を受け取った。そして缶詰を開けた時、横からエリアスの視線を感じた。「何だよ?」「・・・顔をよく見せて。」 するとエリアスは、フリーダの両頬に両手を伸ばし、顔を自らの方へ向けさせた。「!! な、何の真似だ!?」 突然の行動にフリーダは顔を赤らめて手が出せず、体が凍りついたように動かせなくなってしまった。「やっぱり・・・あの頃のままだ・・・でも、やっぱり大人っぽくなってる・・・」 エリアスは穏やかな顔で言う。「な、何のつもりだ!? 私を口説くつもりか!?」 フリーダは動揺しながら言う。「だって・・・こんなにきれいになった君が、どうして残虐な事するのかと思って・・・俺の知ってるフリーダは、そんな事するような人じゃないのに・・・」「!」 エリアスの表情が変わる。フリーダはエリアスの自分に対する想いがまだ残っている事に気付いた。エリアスは両手を下ろす。「どうして・・・どうしてあんな事をするようになったんだ!? 教えてくれ!! 俺は何でも聞いてやるから!!」 エリアスはやや悲しみを浮かべたような表情でフリーダに訴える。「・・・・・・断る。」 フリーダは顔をうつむけ、エリアスから背けた。何か思い出したくない事でもあるのだろうか。「やっぱり、突然俺の前からいなくなった事と関係があるの?」「・・・・・・」 フリーダは黙り続ける。「それとか・・・その・・・胸の変な銀の玉とか?」 相手が女性なだけに、エリアスは抵抗を感じながらも言った。「!」 それを聞いたフリーダの表情が変わった。「・・・・・・わかった。話してやろう。」TO BE CONTINUED・・・
どうもお返事遅くなりました、ヒカルです。小説のほうですが早速感想&批評へと参りたいと思います。 まず二人の関係が妙実によく描かれていたのは良かったと思います。思わず顔を赤らめるフリーダなど思わず笑みを浮かべてしまいました。ただ少し違和感に思ったのがその前の出来事です。 つまり戦闘についてですが、血染めの獣王が登場した瞬間エリアスは自ら囮になると出ましたよね。私にはこれがどうも引っ掛かってなりません。なぜならとても戦場に身を置く軍人がやることと思えないからです。実際の過酷な戦場はまさしく命と命の取り合いです。卑怯だろうがなんだろうが相手を葬り勝たねば話になりません。そんな危険な状況下で、たった一人で前に出るのは勇気でもなんでもなく無謀なだけです。まして仲間がいるというのに指示すら出さないのはちょっとばかりリアリティに欠けていると思います。つまりもうちょっと戦場という空気を漂わせたほうがいいとうのが私のアドバイスです。 その他は違和感なく頭に入り、エリアスとフリーダの会話のときなどは、二人の過去と今のズレがよく描かれていたと思います。 それではこれからも執筆のほうがんばってください。どうもヒカルでした〜
私は、どこの生まれなのかはわからない。ただわかるのは、中央大陸出身であるという事だけ。 赤ん坊の時に孤児になって、孤児院に引き取られて育った。 そこは、ヘリックの領土内。私以外は皆、私と同じ地底族を敵対視する風族ばかり。 私は、そんな奴らに小さい頃からいつもいじめを受けていた。『地底族である』という理由で。 だけど、そんな奴らの中に、1人だけ例外がいた・・・・・・SECTION03 フリーダの悲劇「うっ・・・・・・うっ・・・・・・」 私は、今日も孤児院の庭に目立つ大きな木の下で泣いていた。いつもいじめられていた私にとっては、1人の時はただそこで泣いているしかなかった。「おい、まだいたのかよ!」 すると、私の背後から声がした。私の背筋に、寒気が走る。恐る恐る振り向くと、そこには私をいつもいじめる『奴ら』の姿が。「そこどけてくれるか? じゃまなんだけど。」 その内の1人が、明らかに嫌味な顔で私に言う。私はすぐにその場を去ろう涙を拭いて立ち、指示通りその場を動こうとする。でも、そうすると別の『奴』がまた目の前に立ちはだかる。「おい、じゃまだっていってるだろ!」 何度よけようとしても『奴ら』はわざと私の前に立ちはだかって邪魔をしてくる。完全な嫌がらせだ。「ほら、どけろよ!!」「どけてって・・・そっちがじゃましてるんじゃないの・・・?」 私は弱気な声で反論する。それでも勝てるなんて思っていない。「なに!?」 すると、『奴』は怒って私を思いきり突き飛ばした。「あっ!!」 その場に何の抵抗もなく倒れる私。「なまいきなやつだな、このおんな。」「どうする? みんなでリンチにしてやろうか?」 『奴ら』は何やら相談を始めた。でも、私に止める術はない。私はもう泣きそうになって、誰かに助けを求めようとした。そんな時。「こらーっ!! おまえらまたフリーダをいじめてるのか!!」 その時、遠くから別の声がした。皆が後ろを振り向く。そこには、1人の男の子がいた。「あ、おまえ!! またこいつをかばいにきたのか?」「だまれ!! フリーダをいじめるなら、おれがあいてになってやるぞ!!」 その男の子は、強きで『奴ら』にそう叫ぶ。「やってやろうじゃないの!! おい!!」 すると、『奴ら』は一斉にその男の子に向かっていった。その男の子も、逃げるというより『奴ら』を引きつけるようにその場を走り去っていった。私は、そんな様子を見ているしかなかった。 しばらくすると、男の子が傷だらけになって私の許に戻って来た。「もうだいじょうぶだよ、フリーダ。あのいじめっこは、おれがやっつけてやったから!」 見た目の傷からは見せられるとは思えないほどの笑顔で、男の子は言った。「またあいつらがきたら、つぎもおれがやっつけてやるよ! だから、もうなかないで!」 その男の子は、力強く私を励ました。その声で、私も何だか嬉しくなった。「・・うん! ありがとう、エリアス!」 私は、笑顔でそう答えた。* * * そう、彼はエリアス。 孤児院にいた風族の子供の中で、ただ1人私に味方してくれた人。 どうして私に味方するようになったのかはよくわからないけど、どうやら私に一目ぼれしたかららしい。 彼は、私がいじめられていると、必ず私の許に飛んで来て、いじめる奴らを追い払ってくれた。 そして、私のただ1人の遊び相手になった。 私は、そんなエリアスに、次第に惹かれていった・・・ * * * ある日の夕方。 私とエリアスは、広場にいた。そこのベンチで、私はエリアスと手を繋いで、寄り添っていた。今思えば、大人顔負けのラブラブぶりだったかもしれない。「・・・ねえ、フリーダ・・・」 エリアスは、何やら顔を赤らめて私に言う。「なに?」「おとなになったらさ・・・おれたち・・・・・・けっこんしない?」「え!?」 エリアスの唐突な発言に驚く私。「もう、きみがほかのひとにいじめられてくるしむのをみたくないんだ。ぼくはフリーダをひとりぼっちにしたくないんだ・・・だから・・・」「・・・いいよ。」 私は赤らめた顔で必死に説明するエリアスに、笑顔でそう答えた。自然と顔も赤らめていた。「エリアスなら、いっしょういっしょにいてもいい。だって、エリアスはいいひとだもん。」「あ・・・ありがとう、フリーダ・・・おれ・・・うれしいよ・・・」 エリアスは照れて顔をさらに赤くした。「わたしも・・・すきだよ、エリアス・・・」 私はそう言ってエリアスの唇にそっと口付けをした。 * * * もし、私がこのまま平凡に生きていれば、今頃私は確実にエリアスと結ばれて幸せに暮らしていたかもしれない。でも、それを阻む運命が待ち受けていようとは、この時は思ってもいなかった・・・ * * * 私の運命を狂わせたのは、その次の日の事。 広場の木の下でエリアスを待っていた時、何人かの見慣れない大人達が私の前に現れた。「君がフリーダ・ブルマイスターだね?」 その中の1人が私に聞いた。「そうですけど・・・」 私がそう答えた直後、私はその大人達に突然押さえ込まれて、口にハンカチのような物で塞がれた。すると、私を深い眠気が襲い、私はその場に倒れてしまった。 この時、私はいじめっ子に見つからないように人気がない所にいたから、この事を目撃した人は、多分いないと思う。 気が付くと、私は見知らぬ部屋の中で、ベッドのようなものに横になった状態でくくり付けられていた。そしてその視線に映ったのは、やはり見知らぬ大人達。全員が病院の医者のような姿をしていた。「!? こ、ここどこ!?」「お嬢ちゃん、教えてやるよ。君には我々の実験台になってもらうよ。」「じっけんだい!?」 1人の大人が言った言葉を聞いて、私は驚いた。今までにない恐怖に、私の背筋が、いや、全身が凍りつくような感触に襲われた。「お嬢ちゃんみたいな地底族の孤児は、こういう事をするのにはもってこいだからね。」 その大人は冷酷な言葉使いで言う。「『コアノイド』の実験台になる事を幸運に思えよ、地底族!」 そういった直後、私の口に別の人がマスクをかぶせた。「いや!! やめて!! たすけて!!」恐怖のあまり悲鳴を上げる私。「どんなに叫んだって、誰も助けには来ないよ。全身麻酔をかけろ!」 その直後、私の意識がゆっくりと遠のいていくのがわかった。「たすけて・・・エリアス・・・・たす・・・け・・・て・・・・・・」 私の必死のあがきも空しく、私はついに深い眠りへと陥ってしまった・・・・・・ * * *――コアノイド―― それは、ゾイドコアを埋め込まれた人間の事だ。ゾイドとの適応力が高く、ゾイドの性能を最大限にまで引き出す事ができる。 後で調べてわかった事だが、本来は瀕死状態に陥った人を救うためにゾイドコアが埋め込んだそうだが、次第にその兵器的な能力が軍に評価され、軍の強化のために罪人や私のような地底族を強制連行し、コアノイドに改造するようになったそうだ。 悲しい事に、私もその被害者の1人となってしまった。民族差別とは、これほどまでにひどいものだと今でも思う。 私は、そのままコアノイドとして厳しい試練を潜り抜けなければならなかった。辛い訓練、そして、一生付きまとう発作『コア・ペイン』・・・いつしか私は、自分をいじめた、そして自分をコアノイドに改造した風族に強い憎しみを抱くようになっていった。私の人生全ての不幸は風族のせいだ。私はそんな風族が許せない。そんな思いが、私を次第に変えていった・・・ * * *「そして私は、中央大陸を抜け出して、暗黒大陸へ逃れたんだ。そこであのライガーゼロを手に入れ、傭兵になった・・・こんなものだよ。」 フリーダはそう説明した。「そうだったのか・・・」 エリアスは、フリーダの隠された過去が信じられず、それしか言葉が出なかった。ましてや、自分の所属する共和国軍がこんな非道な行為をしていたという事実には、驚きを隠せなかった事は言うまでもない。「それなら・・・フリーダがあんな残酷な戦いができるのもわかる気がするよ・・・・・・でも・・・・・・」 エリアスが再び口を開く。「だからって、あんな事をしても何も戻って来ないじゃないか!」「!?」 エリアスの言葉に驚くフリーダ。その言葉で、一瞬だがフリーダの心が揺れ動いた。「・・・俺、上官から教わったんだ。『憎しみを戦場に持ち込んではいけない。より多くの尊い命が失われるだけだ。そしてそれは、いつしか自分に跳ね返ってくる』って。今のフリーダのやり方は・・・」「だ、黙れ! 私があいつらにどれほど苦しめられたか・・・お前はわかっているのか! そもそもあいつらが、風族が地底族を差別するからこの戦いが始まったんだ! そんな風族を、私は・・・」 エリアスの言葉に強く反論するフリーダ。それを聞いたエリアスは、目の前のフリーダが、自分の知っているフリーダとは全く違う人物のように思えた。子供の頃には感じなかった、10数年という空白の時間の間に作られた大きな『壁』が2人の間に立ちはだかっている事を、エリアスは改めて思い知らされた。「フリーダ・・・・・・どうしちゃったんだよ・・・・・・俺の知ってるフリーダは、そんな事言う人じゃないよ・・・・・・」 エリアスのその声には、失望感があふれていた。フリーダは黙り続けていたが、かつての想い人である事もあり、その言葉に秘められた思いは感じ取っていた。 ふと、地平線の向こうから、ズシンズシンと大きな足音が聞こえて来た。2人がその方向を見ると、共和国軍のゾイドがこちらに接近しているのが見えた。「救援部隊だ! 来てくれてたのか!」 エリアスは思わず前に出てその方向へ両手を振った。しかしフリーダはそれを見ると、すぐさまライガーゼロの許に向かった。「あ、フリーダ!」 それに気付いたエリアスが呼び止める。足を止めるフリーダ。「・・・お別れだ、エリアス。次会う時は、敵をしてお前を撃つからな。」 フリーダはエリアスの方に顔を向け、そう言った。「フリーダ・・・・・・どうしてそんな事言うんだよ? そんな事、できるもんか! 俺だって、君と戦いたくない。フリーダだって、俺を殺せる訳がないよ。」 エリアスはフリーダに少しずつ近づきながら言う。「何だと!? ここは戦場だぞ。相手を殺さなければ、お前が死ぬだけだ。」 以前の面影をほとんど残さない冷酷な言葉で言うフリーダ。「でも・・・俺は・・・・・・!!」 エリアスはついに我慢ができず、フリーダの許へ駆け出した。「!!」 気が付くと、フリーダはエリアスの腕の中に、しっかりと抱きしめられていた。突然のエリアスの行動に、フリーダは動揺し、顔を赤らめてしまった。「は・・・離せ!! お、お前は、自分の立場をわかっているのか!?」 何とか離れようとするが、体が思うように動かない。エリアスの体から感じる、懐かしい暖かさのせいだろうか。「言ったじゃないか、昔。『大人になったら結婚しよう』って。そんな事言われた相手を、敵だとしても平気で殺せる訳ないじゃないか。」 エリアスは優しい言葉をかける。それは、あの時と同じ匂いを漂わせる。「悪い事は言わないよ。投降するんだ。そうすれば、きっと君の体も治せるかもしれないじゃないか。」 その言葉に、フリーダは惑わされそうになり、一瞬彼の言いなりになりそうになった。だが、投降するという事は、風族の許に再び戻る事であり、それ以前に捕虜として厳しい扱いを受ける事は確実だ。フリーダは自分にそう心の中で言い聞かせ、腰の拳銃に手を伸ばした。「・・・ふざけるな!! そうやって、口説いて私を騙すつもりだろう!! そんな誘惑に惑わされるものか!!」 フリーダは強く叫び、拳銃をエリアスの胸に突きつけた。「・・・本気なの? なら、撃ってみなよ。撃てる訳ないから。」 そんな状況であるのも関わらず、エリアスは笑顔でそう言った。 挑発にも聞こえたその言葉に、フリーダは怒って引き金を引こうとした。しかし、引けない。引こうとすると、かつての優しいエリアスの姿が、脳裏にフラッシュバックしてくるのだ。拳銃を持つ自分の手が震えているのがわかった。「ほら、引けないじゃないか。わかったでしょ、俺達が戦う事なんてできないんだよ・・・」 エリアスは優しい言葉でそう言うと、右手でフリーダの顔を自分の顔に引き寄せる。2人の顔がまさに触れようとするほどまでに近づく。「・・・!!」 危機感を感じたフリーダは、力を振り絞ってエリアスを思い切り突き飛ばした。「うわっ!!」 跳ね飛ばされるエリアス。その隙に、フリーダはライガーゼロの許へ走り、操縦席に飛び乗った。「ま、待つんだフリーダ!!」「・・・・・・」 フリーダは複雑な思いの中、無言でキャノピーを閉めた。ライガーゼロが立ち上がる。巻き上がった砂煙に、思わず目をつぐむエリアス。そして、ライガーゼロは素早くその場を走り去っていった。「フリーダ・・・」 その後ろ姿を、エリアスはただ見送るしかなかった。彼の心中もまた、複雑な思いで満ちていた。まさか自分の想い人と、こんな形で再開してしまうとは・・・運命とは皮肉なものだ。 そんな時、地面が大きく揺れた。思わず体勢を崩すエリアス。見ると、そこには見慣れたブレードライガーが。その背後には「エリアス!!」 降りてきたのは、リーラだった。「リーラ!? 君も救助に来てくれてたのか!?」「当たり前でしょ!! 心配したんだからね!!」 リーラの顔はいつもと違ってややご機嫌斜めだ。エリアスはその事が少し気になった。「隊長も言ってたよ、『血染めの獣王相手に囮になるなんて命をかけて戦う兵士がやる事じゃない』って!! さ、早く帰るよ!!」「あ、ああ。」 エリアスは怒り気味のリーラに気迫で押されつつも、ブレードライガーの操縦席に入った。 * * *「ねえ、エリアスは血染めの獣王と関係があったの?」 帰路の途中、リーラは怒り気味な声でエリアスに聞いた。「へ!?」 エリアスは一瞬、リーラが何を言ってるのか理解できなかった。「あたしはちゃ〜んと見たんだからね、血染めの獣王のパイロットと抱き合ってる所。」「え!? い、いや、あれは・・・」 エリアスは動揺して放つ言葉に迷う。実はエリアスがフリーダを抱擁していた時、救助に向かう途中だったリーラは拡大画像でそれをしっかりと見ていたのだ。「恋人だったの、あいつと。」「え・・・ああ、そうだったんだよ。子供の時にね。」 エリアスはもう嘘はつけられないと思い、開き直って正直に答えた。「・・・まさか、前に言ってた幼なじみって、あいつの事だったの?」 リーラは直感でそう尋ねた。再び動揺するエリアス。「ま・・・まあね・・・」 エリアスはそう答えるしかなかった。「そう・・・」 リーラはそう言って言葉を止めた。エリアスはようやく質問が終わり、ほっとした。 だが、彼は知らなかった。彼女の心に、フリーダに対する嫉妬と逆恨みによる怒りの炎が静かに燃え上がっていようとは・・・TO BE CONTINUED・・・
どうもスタンダードさん、早速小説の方読ませてもらいましたよ〜。今回はフリーダの過去とのことですが、自由を奪われ痛めつけられてきたことを思えば、あれほどの憎悪の感情も頷けますね〜。 特に民族問題は複雑ですから、確かに人体実験などやっていてもおかしくはないかもしれませんね。(過去の中央大陸での大戦も元は民族問題ですから)しかし、そんな暗く、冷たくなってフリーダが、唯一エリアスにだけは銃を撃てなかったということはまだ完全に人の心を失っていない証拠でしょうか? そのへんはこれからに期待したいと思います。 またエリアスとフリーダとのやり取りには巧みな描写があり、ひしひしと伝わってきました。ただ、途中途中のエリアスの言葉が、どこか妙に引っ掛かりました。私の主観も入っているかもしれませんが、例を上げると「・・・本気なの? なら、撃ってみなよ。撃てる訳ないから。」の部分で、いいキメ台詞のようなものなのに、最後の「撃てる訳ないから」というの正直いらないと思います。なんかあたかも先読みしているようでキザったらしくて……この一言がすべてをぶち壊しているようでもったいないです。やるなら「撃ってみなよ」と、相手に問いかけるところで止めておいたほうが良いと思います。そうすることで、フリーダが考え込み葛藤する場面がより鮮明に映ると思いますよ。 ……さて、フリーダとエリアスがメインの今回でしたが、ラストにリーダが嫉妬の炎を滾らせていましたね。一体これからどのように物語が展開していくのか楽しみでなりません。では、どうぞご執筆のほうがんばってください。ヒカルでした〜