以前の読売俳壇の選者だが、彼の評には、その句に詠み込まれた場所の説明が記されていた。
川柳で地名を詠み込む場合、有名な場所はよいが、有名ではない場所は詠み込むべきではないという不文律がある。しかし、詠み手にとって、その場所が有名か否かは問題ないはずだ。その地名に対して詠み手が持つ気持ちが優先されるべきだ。
そこで、森澄雄選の評になるのだが、有名でない場所ならば、選者が評で紹介すれば済む話で、有名でない場所だから没にすることは、単なる選者が楽をするためと思えるようになってきた。俳句の世界でやられていることならば、川柳の世界に応用してもよいはずだ。俳句がやっているから川柳ではやらないという了見の狭いことを言っていては、川柳を見放す人が増えるだけだ。