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[398] 空を繋ぐ者
憐月 - 2008年09月03日 (水) 21時04分

初めまして、憐月です。
英雄伝説オリジナル小説を書いてみました。
随時更新していく予定ですが、これから忙しくなる時期なので
更新が遅くなるかもしれませんが、よろしくお願いします。

†小説について†
空の軌跡the3rdのエンディングから数週間後の設定です。
オリジナル設定と混ぜてますのでやや混乱するかもしれません。
また、言語力が微妙なんで更に混乱するかもしれません。
どうか、末永くお付き合いお願いします

[400] 第1章:空へ繋がる歪み
憐月 - 2008年09月03日 (水) 21時43分

ファーレイド城・謁見の間


ルフェルツ「と、言うわけ」

これまでの経緯を女王陛下であるファリニスに話したルフェルツは、まるで女王と親友であるかのような口調をした。

ファリニス「そうね・・・その話を聞いて思い当たる事はあるわ」

しかし、ルフェルツの口調を当たり前のように、神妙な面持ちで顔をあげるファリニス。
クレシアは下唇を噛みながら顔を下げていた。

ファリニス「確か8年前、とある街が襲撃されたのよ」

クレシアは更に顔を下へ向ける。
ルフェルツはそれを横目に問う。

ルフェルツ「あぁ、あったねぇ。そんな事。確か・・・」

記憶を漁り、該当する部分を見つける。

ルフェルツ「・・・【ブルーズィードの惨劇】、か」

クレシアは耳を塞ぎたくなった。
しかし、ルフェルツはそれを許さなかった。

ルフェルツ「クレシア、逃げるな。いつまでも逃げても変わらない」

その言葉にハッとなる。

クレシア(そうだ・・・その通りだ)

【ブルーズィードの惨劇】。
かつて大繁栄した街、ブルーズィードという街があった。
優れた機械技術。
多大な商業。
このファーレイドすらも凌駕すると言われるほど美しく、素晴らしい街だった。
しかし、8年前。
テロリストの襲撃により、街は崩壊した。
街に居た者は残らず皆殺しにされた。
老若男女問わず・・・。
クレシアは、奇跡的に一人だけ生き残った。
そして、復讐を誓い軍に入った。
その過去を知っていたからこそ、ルフェルツは捕虜にしないと言ったのである。

ファリニス「そうね・・・なら」

クレシアを一瞥し、処罰を下す。

ファリニス「クレシア=バルバジール」

クレシアはファリニスを見上げ、処罰を待つ。

ファリニス「あなたを、本日付けで第7聖天使騎士団に配属させます。階級は少尉。良いですね?」
クレシア「!?」

信じられなかった。
何故捕虜であるはずの自分にそのような待遇が受けられるのか。

ルフェルツ「言ったじゃん。捕虜にはしないって」

その通りであった。
ルフェルツは有言実行、嘘はつかない性格である。
たとえ嘘を言ったとしても、すぐに嘘だとばらすのだ。

ルフェルツ「さてっと、処罰も決まったし。あとは・・・」

と、大広間の扉が開き、一人の天使兵が駆け寄ってくる。
人間とは思えない凄まじい速度で・・・。(実際人間ではないが・・・)

ミィリ「ルーフェ様ぁぁぁぁぁぁ!!」
ルフェルツ「グハっ・・・!」

振り向いた直後に飛びつかれたため、喉にクリーンヒットした。

ティア「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

渡すまいと反対側から、ミィリより強い力で抱くティアリーゼ。
更に抵抗するミィリ。
その勢いで揺さぶられるルフェルツ、心なしか顔が青ざめている。

側近1「ミィリ少尉!今は大事な謁見中で・・・」
ファリニス「いいわ、もう終わったもの」
側近2「で、ですが!」

あくまで忠実な側近にやわらかく断わるファリニス。
ルフェルツを見ると・・・。

ファリニス「・・・泡を吹き始めてる・・・気がしなくもないわね・・・?」

いい加減に止めなければ、死んでしまうのでは。
そう思い、ファリニスは止めようと席を立つ、が。

セレナ「こらぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

開け放たれた扉から一人の魔法少女、セレナディアが怒涛の勢いでルフェルツに飛びつく。
その勢いで地面に後頭部から叩きつけられる。

セレナ「兄様盗っちゃダメー!」

三つ巴。
あぁ、今度は魂が抜けてきてる気がしなくもない。
このままでは本当に死んでしまう。
と、そこに救いの女神が降臨する。

ソフィヤ「こらこら、3人とも。ルーフェが死ぬわよ?」
ルフェルツ「・・・ねえ・・・さ・・・ん。も・・・っと・・・早く来て・・・欲し・・・か・・・った・・・」

三途の川の濁流からクモの糸を掴み、舞い戻ってきたルフェルツは姉に感謝と不満を混ぜたセリフを吐く。
そのセリフに苦笑しながらソフィヤがミィリとセレナとティアの3人を手の形にした神力によってつまむ。
3人は暴れるも、抜け出す事が出来ない。
まるで母猫に見つかった子猫のような状態であった。
その様子を見て、相変わらず気のきく娘だ、と再び思ったファリニス。
その様子を見て、またか、と呆れる側近の2人。
その様子を見て・・・――

クレシア(ふふ、本当に不思議な子達だ・・・)

――思わず笑いが漏れてしまうクレシアがいた。


ファーレイド城・第7聖天使騎士団団長室


ルフェルツ「ま、そういうこと。あんだーすたん?」

団長室にクレシアと2人で訪れたルフェルツは、椅子に座っていた団長に経緯を説明していた。
クレシアは少し呆れ顔をしていた。

???「・・・隊長」

やや幼い顔をしているが、修羅場を潜り抜けた雰囲気をしている少女。
しかし、事実この少女が団長なのである。
その団長に隊長と呼ばれたルフェルツは、待ってましたとばかりにとびっきりの笑みを浮かべて聞く。

ルフェルツ「もう隊長じゃないんだけど・・・何?」

と、ルフェルツは床に伏していた。
何があったのだろう。
疑問に思い、クレシアは聞いた。

クレシア「今、何があったんだい?」
???「いえ、お気になさらず・・・!」
ルフェルツ「グフッ・・・腕を上げたな・・・」

起き上がったルフェルツの顔面にはグーで殴られた跡があった。
心なしか涙が滲んでいるような・・・。

ルフェルツ「まぁ、光の速さで殴られたんだよ。グーで」
クレシア「い、痛そうだね・・・?」
ルフェルツ「ふ、慣れたさ」

クレシアは何も言えなかった。
言葉が見つからないのだから・・・。
そう、あれだけ痕が残っているのに、鼻血が出ていないのだ。
その疑問を無視するかのように話を進める。

ルフェルツ「で、さ。そういうことだから暫くクレシアの事、お願いできない?クリス」

クリスと呼ばれ、全力で怒りを露にし、訂正する。

???「クレアですっ!クレア=センプティール!!」
ルフェルツ「わかってるよ、わざとだってば」

何故いつもこうなのだろうか。
クレアは不思議でしょうがない。

クレア「で、隊長はどうするつもりで?」

未だに怒りながらルフェルツに問う。
さも当然のように、(ダメ)元隊長は答えた。

ルフェルツ「魔獣の行き先。どっから出てきたか調べて、根源から断たないとね」

真面目な表情をして答えるものだから、クレアは一瞬ドキッとしてしまった。

クレア(クッ。隊長のこの表情には何故かときめいてしまう・・・)

己の不甲斐なさ――意地――を認めつつも、しかしどうしても強がってしまう。
そんな自分が、クレアはイヤだった。

クレア(どうして素直になれないのだろう・・・。)

クレアはひたすらに悩む。

ルフェルツ「クレア?」
クレア「!!??」

深い思考に入っていたため、ルフェルツが自分を呼んでいる事に気がついていなかった。
クレアは過剰なほどに驚き、思わず立ち上がってしまい、更につまづき後ろに倒れる。

ルフェルツ「バカッ!」

人間離れした反応力でクレアの横に追いつき、背中を支える。

クレア(あ・・・)
ルフェルツ「いつも落ち着けって言ってるだろ・・・」

思わず顔を紅潮させてしまったクレア。
普段より顔が近いということもあるが、普段より凛々しく見える、ということもあった。

ルフェルツ「・・・クレア」
クレア「あ、はい!?」

急に呼ばれ、思わず叫んでしまう。

ルフェルツ「お前も来いよ。さすがにクレアだけに任せるのは心配だ」
クレア「え、しかし、クレシアさんのことは・・・」
ルフェルツ「俺も一緒に見る。それなら問題ないだろ?」

ふざけた表情をしているが、その口ぶりは完全に真面目モードである。

ルフェルツ「んじゃ、おやすみ。俺は母さんのところに行ってくるよ。明日のこともあるし」

静かにドアを閉め、あとにはクレアとクレシアが残された。


ファーレイド城・女王陛下の部屋


静かに読書に耽るファリニス。
幾分か読み進めたあたりで、カップに入れてあった冷めた紅茶に口をつける。
一口飲み、カップを置く。
そして本を閉じる。

ファリニス「入りなさい?」

ドアが開き、全身黒装束の青年が入ってくる。

ルフェルツ「さすが母さん。誰かわかってる」
ファリニス「どうしたの?こんな時間に」

ドアを閉め、ファリニスのそばへ寄る。
と、紅茶が冷めている事に気づき、ティーポットを掴む。

ルフェルツ「明日・・・もう、今日かな?歪みの先に行ってみようと思うんだけど」

ティーポットを温めつつ、新たな紅茶を作り始める。
ルフェルツは自分のコップに牛乳を注ぐ。

ファリニス「・・・別に構わないけれど・・・誰を連れて行くの?」

ルフェルツは一気に飲み干し、口を拭う。
ティーポットに茶葉を入れる。

ルフェルツ「うーん、お見通しか。そうだね、とりあえずは・・・」

思い当たるメンバーを一通り明かしていく。
その過程で、ファリニスにすら予想ができなかった名前が3つ上がった

ファリニス「本当に連れて行く気なの!?」
ルフェルツ「うん」

先ほど上げたメンバーは、ティアとセレナ、ここまではファリニスにも予想ができていた。
が、ミィリ、クレア、クレシアの3人まで連れて行くとなると、さすがに理由がわからなかった。
ティアとセレナは普段からルフェルツと共に任務に行くことが多い。
だからこそ連れて行くことはわかっていた。
なら、何故他の3人が出てくるのか?

ルフェルツ「ミィリは元々俺の専属メイドだし、クレアは団長。実力は俺が良く知ってる」

少し納得がいかない理由だが、ならば何故クレシアが?
ファリニスは少し考えるが、やはり理由が見当たらない。

ルフェルツ「クレシアの強さは、戦った俺が一番良く知ってる。彼女、本当に強いよ」
ファリニス「そんな理由で・・・?」

なるほど、そういうことか。
つまりは義母である自分にあの3人の同行の許可をもらいたくてここまで来たのか。
我が義子でありながら、なかなかどうして。
ちゃっかりしている。

ファリニス「そういうことなら、許可は出すわ。ただし・・・」
ルフェルツ「わかってる。ティアとセレナ、それからミィリの責任は俺が持つよ」
ファリニス「・・・クレシアは?」

ティーポットを掴みながら、待ってました、といわんばかりに笑みを浮かべるルフェルツ。
こういう表情をするときは、特大の屁理屈を述べるに違いない。
長年の義母としての勘が、そう告げていた。

ルフェルツ「クレアに預けたから、クレアが責任持つよ」

・・・なるほど、そういう屁理屈で来たか。
ファリニスは呆れながら、ルフェルツの注ぐ紅茶を見ていた。
こうされたら、もう適わない。
ああ言えば、こう屁理屈が返ってくる。
それが永久ループされると確信したファリニスは、横にある引き出しから書類とペンを取り出す。
必要事項を書き、それを鳩の足に付けさせ、外に飛ばす。

ルフェルツ「優秀な伝書鳩ですことで・・・」
ファリニス「そうねぇ、携帯端末があるこのご時世で、伝書鳩は珍しいわね」

こうすれば明日の朝には許可証、正確には任務書が発行される。
任務書とは、その名のとおり任務を行う際に必要な書類なのだが、それだけではない。
任務を遂行中に生じたトラブルを、全て片付けることのできるパスなのだ。
具体的には、警衛隊――我々の世界での警察――と同等、あるいはそれ以上の権限を持つ事が出来る。
言うなれば、絶対的権力券と言ったところか。
必ずしも発行されなければ任務が行えないわけではないが、あればあったで便利である。

ルフェルツ「はい、紅茶。エルディーので良かった?」

エルディーの紅茶は、この地方でのみ取れる独特の紅茶である。
精神を落ち着かせ、眠気を誘う効果があるので、不眠症の人が良く飲む事で重宝される。
当然ながら、悪用する人物は大量にいるので、それはそれで警衛隊の人達も大変だ。

ファリニス「淹れる前に聞きなさい・・・」
ルフェルツ「ごめんごめん。最近寝てないと思ったんだけど・・・」

どうやら多忙が続いて、眠れない日々が続いてる。
そう読んだルフェルツは、その実読んだどころではなく、見抜いたのだ。
だからこそエルディーを選んだのである。
そのあたりは、ファリニスも認める洞察力である。

ファリニス「そうね。助かるわ。ありがとう」
ルフェルツ「ふふ、どういたしまして」

一般人にはおろか、城にいる側近の者ですら見ることが困難な微笑をする。
その微笑を見れば、その日は一日中幸福が訪れると言われるほどに、ファリニスは美しいのだ。
一方、ルフェルツは普段から笑っているため国民にとってさほど良いウワサがあるわけではない。
かといって悪いウワサがあるわけでもないのだが・・・。
その代わり、城の女性陣には凄まじい人気を誇る。
顔が良いことも確かにあるのだが、人当たりが良いということもある。
更に、そこに絶大な微笑が混じれば・・・。
あとはご察しのとおりかと。
2人でしばし世間話をしたところで、ルフェルツが話を切り上げる。

ルフェルツ「んじゃー、もう寝るわ。お休み」
ファリニス「えぇ、お休み」

静かにドアを開け、閉める。
と、閉める直前に――

ルフェルツ「あ、そうそう。もしかすると、次の行き先さ」

――珍しく発言を躊躇っている。
普段から、さも当然のように言うはずなのだが。

ファリニス「遠いの?」

何気なく聞いてみる。
が、ルフェルツの反応はイマイチである。
何があるのだろう。
珍しく、ファリニスは不安に駆られた。

ルフェルツ「うん・・・。次の行き先・・・」

息を吸い、そして吐く。

ルフェルツ「リベールってとこかも」

ファリニスは驚愕に満ちた。



†登場人物†

名前「ルフェルツ=レンシティブ」(愛称ルーフェ)
性別「男」
年齢「19」(外見年齢)
武器「刀・小刀(二刀流)」(補足すると、武器系全て扱える
キャラ設定「お人好しで温厚な性格。身体が細身なので女性と間違われやすい。全体的に黒を基調とした服装で、外套も黒。髪と瞳も黒」
CV.緑川光(の予定。でも空の軌跡で出てるのでこの小説では岸尾だいすけ)

名前「ティアリーゼ=レンシティブ」(愛称ティア)
性別「女」
年齢「16」(外見年齢)
武器「細剣」
キャラ設定「非常に優しい性格だが、兄にベッタリ。要はブラコン。髪と瞳が空に近い蒼色をしている。服装が常にスカート」
CV.野川さくら(どう説明しよう。マシュマロ通信の主人公)

名前「セレナディア=セリアージュ」(愛称セレナ)
性別「女」
年齢「16」(外見年齢)
武器「ワンド」
キャラ設定「どっからどう見ても魔法少女。姿とかが。ティアの双子の妹なんで髪と瞳が同じ」
CV.柚木さん で(TOD2のリアラ)

名前「ソフィヤ=セリアージュ」(愛称ソフィ)
性別「女」
年齢「22」(外見年齢)
武器「魔法剣」
キャラ設定「一応戦える。この小説ではほとんど戦いません。要望があれば戦うかも・・・」
CV.すいません、考えてないです

[413] 第2章:その出会い、運命か偶然か
憐月 - 2008年09月10日 (水) 20時04分

ファリニスは茶色の塗装が成された、木材の机に山積みにされた書類と格闘を繰り広げていた。
先ほどまで家族揃ってお茶会を開いていたが故に、仕事の時間が大きく遅れてしまったのだ。

ファリニス「・・・リベール、ね」

なんとはなしに呟き、椅子の背もたれに倒れながらため息を吐く。
何故ここまでリベールという言葉が引っかかるのか。
かつて、リベールとこの世界、アーレナルは時空の歪みによってルフェルツ達が飛ばされた事がある。
時空の歪みによって飛ばされた先へは、故意に行こうとしない限りまた飛ばされる事はほぼ皆無。
ならば何故。何故また飛ばされたのか?
リベールが彼らを必要としたのか。
それとも・・・。

ファリニス「・・・奴らが?」

ハッとした矢先、不意に不安に駆られる。
また、また何かが起きようとしているのか・・・。


リベール国・ロレント


晴れた日、燦々と太陽の光が輝く。
その太陽の下、ベンチに座り弁当を広げる二人の男女がいた。
亜麻色の髪をし、左右で二つに止めている少女。
その隣に黒髪で、琥珀色の瞳をした青年がいる。
どうやら仲良く食事をしているようだ。

????「ねー、ヨシュアー」

ヨシュアと呼ばれ、振り向き、答える。

ヨシュア「どうしたの?エステル」

エステルと呼ばれた少女はウキウキしながらヨシュアに問う。

エステル「ご飯食べたらどの仕事請けるの?」
ヨシュア「あ、そうか・・・」

2人は遊撃士である。
遊撃士とは、各地の支部に立ち寄り、依頼を受けて解決するという、いわば何でも屋に近い存在だ。
様々な国に設置されており、各地の人々が日々依頼を出しているという。
依頼の内容は様々で、魔獣退治、物探しや人探しなどがある。

ヨシュア「そうだね・・・魔獣退治でもやってみる?」
エステル「うんうん!やるやるー」

丁度弁当を食べ終えたところらしく、二人は片づけをし、支部へ向かう。


遊撃士協会・ロレント支部


エステル「やっほー、アイナさんいる!?」
ヨシュア「エステル、少し落ち着いて・・・」
??????「もう、騒がしいわね・・・」

銀髪の女性がいた。
相当頭が痛いらしく、抑えている。

エステル「あれ、シェラ姉。いたんだ」

シェラ、本名シェラザード=ハーヴェイ。
凄腕の遊撃士で、銀閃の異名を持つほどの強さを誇る。
そんな彼女は酒癖が悪く、良く絡む。
とにかく絡む。

ヨシュア「シェラさん、また飲みすぎたんじゃ・・・?」
シェラザード「うっさいわねぇ。頭痛いんだからグチグチ言わないでよ・・・」

やはり飲みすぎたようだ。
そこまで上戸だったか。
ふと、2人は思い当たる。

エステル「もしかして・・・」
ヨシュア「シェラさん。アイナさんと飲みました?」
シェラザード「そうよ。ったく・・・あんのアマノジャクめ・・・」

どうやら、エステルとヨシュアが探していたアイナは先日シェラザードと共に酒を飲んでいたらしい。
となると、彼女もまた、二日酔いで家で休んでいるのだろうか?
と、協会の奥から扉を開く音がした。

???「あら、2人とも来てたの?」
エステル「あ、アイナさん」
ヨシュア「二日酔いは・・・?」

奥から出てきたのは金髪の女性。
どうやらこの人がアイナらしい。
パッと見、二日酔いの素振りはないが・・・。

アイナ「あら、あんな程度で酔わないわよ」
シェラザード「くっ・・・」
エステル「・・・・・・・・・」
ヨシュア「・・・・・・・・・」

要するに、また酒の飲みあいをしていたのだ。
シェラザードが二日酔いになることも、なるほど納得がいくということだ。

アイナ「それで、2人とも。何か仕事でも請けに来たの?」
エステル「あ、そうだった!」

アイナに言われ、エステルは思い出した。
そう、そもそも2人とも仕事を請けに来たのだ。
それがすっかりと世間話になってしまった。

ヨシュア「アイナさん、何か仕事出てますか?」
アイナ「ちょっと待ってね・・・」

普通なら、掲示板を見ればある程度の依頼は載っている。
が、たまに掲示板には載らない依頼も存在する。
エステル達など、正遊撃士は、それを受ける事が出来る。

アイナ「あったわ。街道の方で、極たまに強力な魔獣が出るらしいわ」
ヨシュア「主な目撃情報は・・・?」

資料に目を通しつつ、アイナに問う。

アイナ「何度か、住人が見たらしいわ。ただ・・・」
エステル「ただ?」

アイナは少し戸惑ったが、しかしエステル達には話した。

アイナ「見つかったのは、真っ二つにされた魔獣だったの」
エステル「え!?」
ヨシュア「・・・・・・・・・」

2人は驚きを隠せなかった。
それもそのはず。
依頼に出る魔獣とは、全て強力な能力を持つ普通の魔獣とは違い、手配魔獣と呼ばれる。
その手配魔獣を真っ二つにして倒したとなると、いくらエステルとヨシュアといえど、信じられるものではない。

シェラザード「アイナ、詳しくお願い」

いつの間にか立ち直ったのか、シェラザードが詳細を聞く。

アイナ「シェラ、あなたも行くの?」
シェラザード「酔いを醒ますついでにね」

まだ少し頭を抑えながらも、アイナに話を促す。

アイナ「数日前、突然大きな音がして、住民が見に行ったら・・・」
シェラ「いたの?」
アイナ「ええ、真っ二つでね」
エステル「真っ二つ・・・」
ヨシュア「アイナさん、魔獣はどんな外見なんですか?」

ヨシュアがもっとも重要なことを聞く。
魔獣は、様々な外見がある。(当然といえば当然だが)
外見により、有効打や弱点が違う。
つまり、相手を知る事で自分が有利になるように運ぶのだ。
敵を知り、己を知れば百戦危うからず、である。

アイナ「背中が硬い殻に覆われてて、腹部が非常に柔らかいの。それから、火炎袋があったから、火を吐くみたい」
ヨシュア「硬い殻・・・?」

ヨシュアが疑問の声をあげる。
遅れてエステルが気づく。

エステル「・・・硬い殻ってことは、お腹から斬ったの?」
アイナ「いいえ・・・」

アイナが常識を覆す言葉を言う。

アイナ「背中からよ」
エステル「え!?」
ヨシュア「背中から・・・」
シェラザード「どういうことかしら・・・?」

当然ながら、誰もが信じがたい。
恐らく子供が言えば、イタズラの嘘だと思われるだろう。

エステル「言ってみようよ!ここで待ってても何もわからないんだから」
ヨシュア「そうだね、実際に行ってみた方が良いと思う。アイナさん、まだ魔獣は残ってますか?」

論より証拠。
なるほど、確かに実際に見れば信じれる。
が、その魔獣がまだ残されているかが問題である。
もし残っていなければ、真相は闇の中である。

アイナ「まだ残ってるわ。あんな大きな魔獣、そう簡単に処理できないわ・・・」
シェラザード「そんなに大きいの?」
アイナ「そうね、入った情報によると・・・5mは超えてるわ」
エステル「ええ!?」
ヨシュア「そんなに・・・」

確かに、巨大すぎる。
そんなものが街道に放置されていたのでは、旅行者が迷惑だ。
3人はすぐに魔獣の元へ向かった。


エリーズ街道


すぐさまエリーズ街道へ着いた3人は、辺りを警戒しながら先へ進む。
このエリーズ街道は、ミストヴァルトという森とクリューネ門という関所へ繋がる街道。
当然ながら、王都であるグランセルへ繋がるためロレントからの旅行者は多い。
定期便が出ているので、そこから行く人も多いが、歩いて行く方が旅行だ。
と力説する人もいる。
そのクリューネ門へ向かう途中に、その魔獣の亡骸はあった。

エステル「ふわ〜〜・・・ホントに大きい」
シェラザード「確かに、これは5mは超えてるわね」

2人が素直な感想を漏らしている間に、ヨシュアはいつの間にか魔獣を調べていた。
外見だけでなく、構造――真っ二つなため、中の構造は簡単に調べられる――を調べる。
丹念に、見落としの無いように。

ヨシュア「・・・うん。確かに背中は殻で覆われてる・・・というより、背中自体が殻で出来てる」

この魔獣はパッと見、背中に殻を背負ってるが、実は背中全体が殻そのもので出来ていた。
となると、当然ながら背中への有効打はほぼ皆無である。
それが真っ二つになっているのだ。

エステル「こんなに凄い殻で出来てるのに真っ二つなんて・・・」
シェラザード「相当の腕が無いと無理ね」
ヨシュア「・・・・・・・・・うん」

ヨシュアは僅かに思い浮かべる。
かつて敵として行く手を遮った、幼馴染の青年を・・・。

エステル「ヨシュア・・・」
ヨシュア「大丈夫。いつまでも気に病んでもしょうがないからね」

その琥珀の瞳に笑みを浮かべ、エステルを安心させる。
シェラザードが断たれた断面を調べていく。
と、ある事に気がついた。

シェラザード「2人とも、これを見て」

呼ばれ、すぐさまシェラザードの元へ駆け寄る。
揃って挿されたところを覗き込む。

ヨシュア「これは・・・!」
エステル「焦げてる!?」

断面には、確かに黒く焦げた形跡がある。
ヨシュアが更に詳しく調べていく。

ヨシュア「・・・殻にも耐熱性がある」

となると、火による攻撃では到底焦げる事はあり得ない。
ならば何故、ここまで焦げているのか。
3人とも考えていると、傍に茂っていた木々の間から音がした。

ヨシュア「!」
エステル「な、何!?」
シェラザード「2人とも構えなさい!!」

注意深く探る。
やがて音は近づいてきて・・・。
そこには――

シェラザード「!?」
ヨシュア「なっ!」
エステル「嘘!?」

――そこに倒れている魔獣がいた。
大きさは到底足りないが、確かに同じ魔獣だった。
口元から炎がこぼれる。

ヨシュア「2人とも、避けて!」

すぐさま3人がその場から飛び退く。
直後、炎が先ほど3人のいたところに直撃し、爆ぜる。
やや散開して魔獣を取り囲む。
魔獣はゆっくりと見回し、そしてターゲットをその赤黒い瞳に捕らえる。

エステル「来なさい!返り討ちにしてあげるわ!!」

魔獣が一瞬身を低くした次の瞬間。
地面を蹴り、一気に突進を繰り出した。
すぐに、注意の声が飛ぶ。

ヨシュア「エステル、左に避けて!」
エステル「オッケー!」

指示通り左へ避ける。
と、魔獣は突進を止めた。
否。
止まらざるをえなかった。
エステルが避けると同時に、シェラザードの鞭が魔獣の顔に直撃したのだ。

シェラザード「今よ、2人とも!」
エステル「いっくわよー!」
ヨシュア「いくよっ!」

掛け声と共に、2人は必殺技を繰り出す。
エステルから繰り出されるのは、棒による無数の突きから全力での叩きつけへ派生する。

エステル「烈波無双撃!!」

魔獣が怯み、体制を崩したところをヨシュアが腹部へ入り込む。
手に持つ双剣によって生まれる幻想的な斬りを繰り出し、魔獣を斬りつける。

ヨシュア「断骨剣!!」

魔獣が大地にひれ伏す。
が、往生際が悪く、立ち上がろうとする。
そこへシェラザードが自慢の鞭を振りぬく。
無数に叩きつける鞭の嵐が魔獣を更に手負いにしていく。

シェラザード「おしおきが必要みたいね・・・クイーンビュート!!」

最後の鞭の一振りに全力を込め、今度こそ魔獣は大地とキスをする。
大きな音をたて、動きが止まる。

エステル「ふぅぅぅ〜・・・」

緊張が解け、思わずその場に座りこんでしまう。

シェラザード「ほら、しゃきっとしなさいよ」
ヨシュア「そうですね、もしかしたら他にもいるかもしれませんし」
エステル「ちょ、ちょっとヨシュア。脅かさないでよ!?」

二つに結わえた髪を振り乱し、首ごと右に左にと横に振る。
確かに他にもいるかもしれない。
それはエステルにもわかっていた。
ヨシュアの手を借り、立ち上がる。
と、背後で音がした。

シェラザード「2人ともその場から離れて!」
ヨシュア「しまった!?」
エステル「きゃっ!」

魔獣が最後の悪あがきに2人に襲い掛かる。
シェラザードの距離では間に合わない。
しかし、エステルとヨシュアは当然不意打ちを受けたため、迎撃体制が整っていない。
絶体絶命。
そう思った3人の前に、意外な人物が現れた。

???「スティンガー・ツヴァイ!」

突然3人の前方、つまり魔獣の背後から声がしたかと思うと魔獣は悲鳴をあげ、今度こそ絶命した。
土煙が巻き起こり、声の主を覆い隠す。
3人は警戒しながら距離を取り、声の主がいた場所を見つめる。

???「ゲホ、ゲホ!うっ、やりすぎた・・・」

声の主は咳き込んでいた。
声の高さからして、女性であろうと予測できる。
3人は、敵意のない口調に若干警戒を解く。
が、それでも武器の構えは解かない。
女性の服装が騎士そのものだからだ。

ヨシュア「何者ですか?まずはそれをお聞かせ願います」

女性に問う。
今更気づいた、と言った口調をした女性は自分の名を口にする。

???「あ。す、すまない。私はクレア。クレア=センプティール」

3人は顔を見合わせ、そしてクレアと名乗った女性に視線を戻す。


魔界領域・ガルフィ城


どこか邪悪な雰囲気。
広い間の中央にある椅子に何者かが座っている。
どこからどう見ても悪の親玉、と言わんばかりの風貌をした男。
全体を黒とし、派手な装飾をつけた服装に、黒い外套。
まるでルフェルツの服装に王としての風貌をつけた感じであった。
と、そこに一人の兵士が転がり込んでくる。
兵士と呼ぶにはあまりにも歪であり、悪魔と呼んだ方が正しいかもしれない。
その悪魔が息をせき切って報告を口にす。

悪魔兵A「グランツ王、大変でございます!」

グランツ王と呼ばれ、僅かに眉を上げて目をゆっくりと細く開き、その先を促す。

悪魔兵A「ルフェルツ様がリベールへと向かわれました!」
グランツ「何!?」

報告を聞いた途端、僅かに開いていた目を大きく見開き、驚愕を露にした。
グランツにとって信じがたいものであった。
それもそのはず、グランツとルフェルツは非常に近い関係にあったからだ。

グランツ「急ぎ、連絡を取れ!無理矢理回線に割り込んででもだ!」
悪魔兵A「はっ!」

まだ息が整わぬうちに、また走り去る。
やや落ち着きを取り戻し、更に王としての風貌も取り戻したグランツは、椅子にもたれて一息つく。

グランツ「・・・全く、バカ息子めが。何故私に相談をしない」

そう、ルフェルツの父親は、この魔界領域の首都・ガルフィの長――つまり、魔王――である、グランツなのだ。
何故息子が連絡をせずに時空移動を行ったのか。
ありとあらゆる原因が瞬時に頭を埋め尽くしていく。

グランツ「・・・・・・・・・。いや、まさかな」

ふと、あることに思い当たるが、しかしすぐにそれを振り払う。

グランツ「あやつに限ってそれはないだろうが・・・。さて、な」

目を閉じ、瞑想を始める。
謁見の間を包むのは、邪悪な雰囲気と、静寂。

猫「にゃ〜」

と、猫。

[416] 第3章:リベールと騎士と何でも屋
憐月 - 2008年09月12日 (金) 22時39分

クレアはロレント支部の遊撃士協会にいた。
何故いるのか。
あの後、事情聴取としてそのまま3人に同行したのだ。
いくつかの質問を受け、答えられる範囲で答えていく。
そして質問が終わり、束の間を楽しんでいた。

エステル「ねね。クレアさんって騎士なんでしょ?どんなことするの?」

・・・否。
エステルの個人的な質問は続いていた。

クレア「どんな、と言われてもな・・・。国の剣としてうんぬんかんぬん」
エステル「う、そういう難しいことはちょっと・・・」

専門知識やらなんやらを言われても当然わかるはずもなく、ヨシュアがフォローする。

ヨシュア「そうだね。ユリアさんみたいな感じだと思えば良いんじゃないかな」

丁度良いたとえがあったらしく、納得した様子であった。

クレア「その、ユリアさんとは?」

騎士としての感性か、それともタダの勘か。
何かを感じ取ったクレアはすかさずユリアについて問う。

エステル「えっとねー、ユリアさんはすっごい強い王国の騎士さんだよ」
ヨシュア「ユリア=シュバルツ大尉。今は、もう少佐だったかな。王都グランセルの騎士さんだよ」

そのヨシュアのフォローも混じった説明を聞き、目を輝かせるクレア。
2人は一瞬だけ、しまった、と思ったが後の祭り。
しばらくの間クレアの質問攻めを受けることとなった・・・。


グランセル城・謁見の間


一方、クレアがエステル達に質問攻めをしている同時刻。
グランセル城の謁見の間、アリシア女王陛下の下にルフェルツとティアリーゼがいた。
アリシアが度重なる謁見を終えた後、やや落ち着いた頃に、ルフェルツらが突然現れた事で城は一騒動があった。

アリシア「全く。さすがの私も驚いたわ」
ルフェルツ「いやぁ・・・ごめんごめん。まさかここに出るとは思ってなくて」
ティア「私も予想外だったかも・・・」

何があったかというと。
つまりは・・・。

††††††††††††††††††††††††††††

アリシア「では、あとはお願いしますね。ユリア少佐」

アリシアは自分の前にいる緑の髪に青を基調とした服の女性、ユリア=シュバルツ少佐に声をかける。
一通りの報告を終えたユリアは、暫しの休息を取るために、アリシアに許可をもらっていた。
それらが終わり、ユリアが退出しようとした矢先。
突然、謁見の間の天井付近に歪みが生じた。
全員が見上げ、一部の者は剣を抜き、構える。
それから僅かの間をおき、2人の人物が、文字通り落ちてくる。
ルフェルツとティアリーゼであった。

ルフェルツ「・・・・・・痛いっ」
ティア「いたた・・・」

いきなり人が出てきたこともあって、僅かに周囲に動揺が生まれる。
しかし、事態の収拾をしたのは、アリシアであった。

アリシア「あなた達は・・・ルフェルツ!?それに、ティアリーゼも!」
ルフェルツ「・・・・・・ごぶさたしてます・・・・・・重い・・・・・・!」
ティア「お久しぶりですー・・・」

アリシアの一声に、包囲を解く。

ユリア「陛下、お知り合いですか?」
アリシア「そうね。私の若い頃の知り合い、かしら」

若い、という言葉に若年者は顔を見合わせる。
目の前にいる2人は、どう若く見積もっても15か16歳。
アリシアは、若干(非常に)失礼だが、どう見ても60は超えている。
そのアリシアが若いということは、20〜30あたりか。
つまり、30〜40年前、ということである。
そう。
辻褄が合わないのだ。

ルフェルツ「っていい加減にどけぇぇぇい!!!」
ティア「きゃ!?」

ずっとティアリーゼにのしかかられていたルフェルツは限界を感じ、無理矢理どかす。
文字通り、後ろにひっくりかえったティアリーゼは文句をたれる。

ティア「い、いきなりどかさないでよ!」
ルフェルツ「悪かったって。ほら、手貸して。パンツ見えてる」

赤面しながら、手を借りて立ち上がる。
身だしなみを整え、アリシアに振り向く。

ティア「お久しぶりです、アリシア様」

何事も無かったかのように微笑みながら会釈をする。
兵士一同、唖然。
ティアリーゼの動作には庶民のそれが、微塵にも感じられないのだ。
それもそのはず、異世界の第2王女――王権は破棄したが――なのだから。
着ているものは戦いのときそのものだが、その優雅な動作、雰囲気は確かに王女のものであるとわからせる。

ルフェルツ「久しぶり、アリシア」

一方、ルフェルツは、どう見てもアリシアの親友としか思えない口ぶり。
かつて、リベールに飛ばされたときに、若かりしアリシアの危機を救ったことがある。
そのときから、元の世界に戻るまで城に住んでいたことがあったのだ。
その際、ルフェルツとティアリーゼは、得意の料理を振る舞い、料理長を唸らせたこともある。
それ以来、ある程度のアリシアの世話を任されていた二人は、普通の人よりも親しい距離にある。
その上、ルフェルツはサバサバした性格なため、敬語はあまり使わない。(初対面には敬語だが)
他人が自分に話をするときも、敬語をほとんど使わせない。
彼曰く、敬語を使われるような柄じゃない、とのこと。

アリシア「久しぶりというか・・・あなたたち、どうしてここへ?」

もっともな疑問を聞く。
兵士達もその言葉に我に返り、抗議の声を荒げる。

兵士1「陛下!そのような得たいの知れない者を、我が城に上げても良いのですか!?」
兵士2「そうだ!陛下にもしものことがあれば・・・」
ユリア「静かにしろ!」

意外にも、静止させたのはユリア少佐だった。
兵士達の前に出、謝罪する。

ユリア「申し訳ありません、陛下」
アリシア「かまいませんよ、ユリアさん。皆さんの抗議も、もっともですからね」

別段構わない、と言った具合に声をかける。
それにユリアが感謝し、そして問う。

ユリア「ですが陛下、その者達は?」

兵士達が今にも襲い掛からんばかりに、身構える。
そんな緊迫した中、アリシアは場を和らげるように、落ち着いた声を出す。

アリシア「私が昔、魔獣に襲われそうになったとき、助けてもらったのよ」

この言葉に全員、耳を疑った。
ユリア少佐を除いて・・・。

††††††††††††††††††††††††††††

で、前へ戻るわけで。
アリシアに一通りの経緯を話した2人は、部屋へ案内される。
先導はユリア少佐だった。

ユリア「しかし、半信半疑だな・・・」

先ほどのアリシアとルフェルツ達の会話を聞いていたが、やはり信じきれるものではない。

ルフェルツ「まぁ、そりゃそうでしょ。信じきれる方が凄い」
ティア「だよねー。アリシアさんが話をした方が信じる人多かったと思う」
ユリア「はは・・・」

確かに、アリシアが話をした方が信じる者は多かったであろう。
だがしかし、ルフェルツ達が話しても信じる者はいた。
それがユリアである。

ティア「うふふふふぅ・・・♪」
ルフェルツ「・・・うぅ」
ユリア「その・・・なんというか・・・」

ティアがやたらと舞い上がってる。
事はこうだ。
先ほど部屋の割り振りについて、アリシアから話があったとき。
2人を別々の部屋にしようと言ったが、ティアが全身で拒否した。
言葉どおり全身。
ルフェルツに文字通りしがみつき、文字通り張り付く。
仕方なしに同じ部屋にしたのだ。
そうこうしているうちに、部屋に着いた。

ユリア「ここだな」
ルフェルツ「1人なのが救いか・・・」
ティア「もー。どうして地獄を見たような顔してるかなぁ?」

部屋に入り、ティアリーゼはおおまかに内部を見渡す。
ルフェルツは一つ頷き、ユリアに向き直る。

ティア「あ、昔とそんなに変わってない」
ルフェルツ「だね。ところでユリア少佐。あとで手合わせ願えないかな?」

久々に剣を振るいたくなったので、ユリアに仕合を申し込む。
ユリア自身、ルフェルツと手合わせをしたかったので、当然是非も無く了承する。

ユリア「あぁ、構わない。では、後で中庭へ行こう」
ルフェルツ「おっけー。あ、オーブメント有り?」

オーブメント。
このリベールで、すでに無くてはならない存在である機械仕掛け。
それは、街灯や家の電気。
様々なものに利用されている。
ルフェルツが言ったオーブメントは、ここでは『戦術オーブメント』を指す。
クォーツと呼ばれる七耀石(セプチウム)の欠片、『セピス』を加工することで作られる。
これらを組み合わせる事で、アーツと呼ばれる、いわば魔法が使える。

ユリア「私はどちらでもいいが・・・折角だ、有りでいこう」
ルフェルツ「そりゃぁ楽しみだ」

一言二言会話し、ユリアは部屋を後にした。
後にはルフェルツとティアリーゼが残された。

ティア「私こっちのベッドー」
ルフェルツ「どっちも変わらないだろ」

文字通りベッドに飛び込む。
ギシギシとバネの音がし、すぐにやわらかい布団に包まれる。
包まれるというか、巻き込むというか・・・。

ルフェルツ「・・・巻きつけるなよ」
ティア「楽しいわよ?お兄ちゃんもやってみなよー」

子供っぽいことはできない。
そう心でツッコんで、部屋をあとにする。

ルフェルツ「んーじゃ、ユリア少佐と仕合してくる。ティアは来る?」
ティア「行くわよー!後で!」

後で、ということにルフェルツは了承して、中庭へ向かう。

[916]
憐月 - 2009年08月02日 (日) 22時18分

非常にお久しぶりです。
現在この作品の話の元となる、オリキャラの小説を作成しています。
それとあわせて、この小説の修正を行っておりますので内容がそれなりに変わってしまいます。
題名は変わらないので、このまま残して、後で修正する。
といった形になります。
大変申し訳ありませんです。



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