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タイトル:レジェンドシーΩ<オーガ> ファンタジー

P34に起こったホウエン地方での組織との戦いを描いたもの。
主人公は、UDで名前の出てこなかった“あの男”。
他、テールデュ1&3期で出てきた大きくなったカズミやハレやキトキも出てきます。


イメージソング:closed POKER(UVERworld)

HIRO´´ 2011年06月07日 (火) 07時23分(13)
 
題名:前編


 ※このお話は、かつてあった“レジェンドシーΩ<オーガ>”の総集編です。

  …………。

  と言うのは嘘で、ネタはあるけど各話の内容を書くのがめんどくさいので、部分部分で書いています。

  という訳で、適当にお読みください(笑)










 ☆孤高の賭け師


 カラカラカラと球の加速する音やがやがやと人の話声の聞こえるこの場所はキンセツシティのカジノです。

 昔はゲームコーナーと呼ばれていましたが、ルーレットやブラックジャックなどの要素が入り、多くの人々が出入りするようになってカジノという呼び名に変わりました。

 ここに来るお客は、お金持ちだけでなく、所得の中間層の人たちも入れるくらいのなじみのカジノでした。

“お前ら手を挙げろ!”

 しかし突如、覆面を被った数人の怪しい男達が入ってきました。

 男達はポケモンを繰り出して、お客だけでなく警備員も次々と制圧していきました。

“よし、ズラかるぞ!”

 男達は外へと飛び出していきました。

「おい、お前ら」

 そんな男達の前に現れたのは、クシャッとした束感のある灰色の髪。

 茶色のジャケットに水色のストライプのワイシャツを裾から出している灰色のスラックスの少年でした。

 年齢は17歳くらいでした。

「せっかく、珍しくストレートフラッシュが出てぼろ儲けをしたと思ったら、トイレにいっている間にすべてのお金を奪うなんて、ふざけろよ?」

 彼の名前はエバンスといい、とてもポーカーの大好きな少年でした。

“邪魔をするな!”

 そして、襲い掛かる男達を一匹のポケモン、ラグラージでなぎ倒しました。

「お前らのお金は没収だ」

 そういって、強盗からすべてのお金をエバンスは取り上げたのでした。

“き、貴様……横取りする気……か……!”

 その後、強盗たちは警察に捕まったのでした。










 ☆正義の少年


 エバンスという少年は自己中心的な人間でした。

「あんたはエバンスと言ったな!みんなのお金を返してやれよ!」

 そのエバンスと強盗との戦いを茶色のラフな短パン、赤くかっこいいプリントシャツの格好をした少年が見ていました。

 彼の名前はケビン。

 ポケモンレンジャーに憧れるポケモントレーナーでした。

 強盗から奪ったお金だから、自分が使ってもいいだろうという勝手な言い分に、正義感を持っていたケビンは許せなかったのです。

 当然、ケビンは必死になって説得しましたが、エバンスは動じませんでした。

 ポケモンバトルになり、2人は戦いました。

 結果はエバンスがラグラージとポリゴンZの2匹で勝利しました。

「そんなに言うなら、返すよ。でも、二度と僕の前には現れないでよ」

「くっ……!」

 スタスタと去るエバンスの後姿を見て、ケビンはもっと強くなることをこのとき誓いました。

 これが、エバンスのライバル、ケビンとの始めての出会いでした。










 ☆カナズミシティにて


 エバンスの目指すはホウエンリーグへの挑戦でした。

 そのために、バッジを8つ集めなくてはなりませんでした。

 すでにトクサネ、ルネ、ムロ、およびキンセツのジムを制して、彼が訪れたのはカナズミシティでした。

「ん?せっかくジム戦をやろうとしたのに、誰か戦っているな」

 黒い髪の自分より幼い少年がフシギソウとエルレイドを駆使しつつ、キリッとした凛とした先生のようなジムリーダーとバトルしていました。

「『花びらの舞』」

 バトルは序盤挑戦者が苦しんでいましたが、最終的には逆転してしまいました。

 しっかりと少年はバッジをゲットしていきました。

「君もツツジとバトルするのかい?」

 エバンスの存在に気付いた少年は気安く話しかけてきました。

「そうだけど、何?」

「俺の名前はオト。もし君がよかったら、参考までにバトルを見て行っていいかな?」

「…………。(鬱陶しそうなヤツ……)」

 最初は断りましたが、オトがどうしてもと言うので、結局了承してしまいました。

 エバンスはツツジの得意とする岩ポケモンの『岩石封じ』殺法をラグラージのパワーで粉砕し、見事に勝利しました。

「エバンスは強いんだね」

 オトのペースに乗せられたまま、喫茶店に入り、そのまま時間を潰しました。

 オトはエバンスに矢次に質問しましたが、彼は適当に答えました。

「じゃ、今度会ったらバトルしよう」

「(終始偉そうなヤツだったな)」

 若干、不快に思いながら北へと向かおうとしたエバンスの前に、黄色い髪のロングヘアでレンジ色のリボンをした水色と白のエプロンドレスを着た少女が現れました。

 彼女の名前はミホシといいました。

「さっきからコソコソ俺をつけて何をしているんだ?」

「……違う。君じゃない」

 ボソッとした話方のミホシに眉間にしわを寄せました。

「……私はオトを追ってるの。そんな彼が君に興味を示した。私は君を試す」

 エレキブルとユンゲラーを繰り出しつつ、ミホシは襲ってきました。

「なんだってんだよ!」

 ポリゴンZとスリーパーで相手の攻撃を防いで、エバンスはミホシのトリッキーな攻撃をかわして行きました。

「『水牢』」

 ミホシが新たに出したシャワーズは、エバンスたちを水の中に閉じ込めようとしました。

「ちっ『破壊光線』!!」

 地面に向かって放った光線は、水牢をぶち破りました。

 そして、砂煙で見えなくなったところでエバンスは逃げ出しました。

「……なるほど。オトが興味を示すのも判った気がする」

 ミホシは納得して、もうエバンスを追おうとは思いませんでした。










 ☆謎の組織と美少女たち


 エバンスが行き着いたのは、流星の滝でした。

「なっ!?」

「きゃあっ!!」

 エバンスはスレンダーでモデルのような女の子にぶつかりました。

 赤のセミロングより少し長めのサイドテールで赤いミニスカートの舌にスパッツ、緑色のぴっちりした服に青いストールの格好をしていました。

「イタタタ……」

 少女はお尻を抑えつつ立ち上がりました。

「……!」

 そして、なにやらエバンスをややじっと見てから、言いました。

「あ……ええと……あのっ!一緒にいた女の子……マキナって言うんだけど、探すの手伝ってくれないっ!?あ、あたしアスカって言うんだけどっ!」

 元気そうだが、心なしか緊張したようにアスカはエバンスに頼みました。

「イヤだ」

 即座に拒否しました。

「なっ、なんで!?」

 理由を言わずにエバンスは流星の滝を進んでいきました。

 アスカはエバンスの後をついて行きました。

 そこで二人は偶然アスカの親友と言うマキナを見つけました。

 白のショートカットで赤のカチューシャ、ピッチリとした黒のワンピースの上に茶色のセーターのふんわりとしたイメージの女の子でした。

 しかし、マキナは数人の男達に絡まれていました。

“また、ガキがいるぞ!”

“見られたからにはたたじゃおかない!”

 その男達はエバンスたちにも気付いて、ぐるりと囲みました。

「めんどくさいな」

 男達は全員ぴっちりとした水色の服装をしていました。

「一体、あんた達は何なのよ!」

 アスカは先ほどエバンスと喋っていたときとは違い、マキナを庇うように立ってハキハキと相手に向かって睨みつけました。

“何といわれて、教えるわけが無いだろ。始末するぞ”

 男達はマキナとアスカに襲い掛かりました。

“こっちの女の子はポッチャリとして好みだな”

“俺はラインがはっきりとしてイイ!”

“要するに、どっちも将来が楽しみだな!”

 と、男達はバトルに集中しておらず、複数人でありながらも、マキナとアスナと互角でした。

“てか、灰色の男はどうした?”

 エバンスはとっとと先に北へと行こうとしていました。

“逃げるな!”

「うるさいな。僕はこんなことに関わりたくないんだよ」

 かなり不機嫌のエバンスは、ラグラージを投入して、男達を蹴散らしました。

 マキナとアスナもそれなりに実力が高く、エバンスの参戦で、一気に蹴りは着きました。

“くっ……灰色の男に……将来有望な2人組の女……覚えてろ……”

 そういって、一人の男はヨロヨロと逃げ出しました。

「ねぇ!どこに行くの?」

 アスカはエバンスを捕まえて、問いただしました。

 連れのマキナはアスカの後ろに隠れています。

「……? ハジツゲタウンを経由してフエンタウンに行くんだ。ジム戦の為にな。お前に関係ないだろ」

 その話を聞いて、ぱぁっとアスカは明るい顔をしました。

「あ、あたしも一緒に行っていいでしょ!?」

「……なんで?」

 怪訝そうな表情でエバンスはアスカを見ました。

「なんでって……たまたまあたしもフエンタウンに用があるから……さっ!」

 しどろもどろながらも、アスカは必死にエバンスを説得しました。

「…………。イヤだ。じゃあな」

 そうして、エバンスは二人を残して流星の洞窟を去っていきました。





「……アスカ……エバンスのことが好きなのね」

「は、はいぃぃ〜!?」

 ずっとエバンスから隠れるようにアスカの後ろにいたマキナは、アスカにズバリと図星をつきました。

 頓狂な声をあげて、アスカは驚いた表情を見せました。

「べ、別にエバンスの事なんか……」

「バレバレよー」

 マキナが笑顔で言うと、アスカは口をむっと紡いで俯きました。

「とりあえず、行こう」

「え?」

「アスカらしく、強引に行けばいいじゃないの」

「あ、え、でも……」

「(へぇ……こういうときのアスカは、押しが弱くなるのね)」

 マキナはクスクスと笑いつつ、アスカの手を引いてエバンスを追いかけていったのでした。










 ☆格上の者たち


 ハジツゲタウンは流星の滝の北にあり、フエンタウンに行くには経由しなければならない町でした。

「…………。アスカと言うヤツ……僕のことに気があるみたいだったな」

 エバンスは何故アスカが緊張していたかとか、何故一緒に行こうと思っていたかを理解していたようでした。

「正直、鬱陶しい。人を好きになるとか、人を愛するとか、煩わしいだけだ」

 ある出来事を思い出しながら、独り言でぶつぶつ呟いていて、町を通り過ぎようとしていました。

「あ〜!!あんた、待ちなさいっ!!」

 一人の甲高いソプラノ系の声にエバンスは引き止められました。

 黒のマイクロミニにへそだしの白のノースリーブシャツに赤いジーンズタイプのジャケットを着用した魅力的な女性でした。

 10人の男がいれば、2人くらいは彼女の脚を見て踏まれたいと思うほどの美脚を持っていました。

 怪訝な顔をしたのち、エバンスは無視して立ち去ろうとしました。

「バクフーン!!」

「!!」

 猛々しい炎がエバンスに襲い掛かりました。

 ラグラージで防御に出ますが、あまりの威力にエバンスも吹っ飛ばされました。

「ゴウカザル!」

「っ!スリーパー!」

 闘気を纏ったゴウカザルのパンチをスリーパーは受け止めます。

 バクフーンとラグラージ、ゴウカザルとスリーパーが互角の戦いを繰り広げました。

「(……!僕が押されているだと!?)」

 エバンスの方が相性は良かったのだが、それでも相手の実力の方が上回っていったのです。

「カズミ姉さん……ま、待ってよ〜!!その人じゃないよっ!!」

 成熟した女性との戦いの中で、短めの茶髪の黒いアンダーシャツに白い半袖のシャツ、青いジーンズの男の子が現れました。

「え?」

「だって、その人、僕が持っていた“アレ”を持っていないでしょ」

「…………」

 カズミという女性は、ジロジロとエバンスを見て、頷きました。

「ゴメンなさい!人違いでした!」

 バクフーンとゴウカザルを戻して、潔く謝った。

「…………」

「もー、キトキったら……。それならそうと、早く言ってよね!」

「そんなこと言ったって……」

「……なんだったんだ?」

 カズミという女性との実力差に多少の悔しさを感じつつ、エバンスは先に進もうとしました。

「エバンスー!!」

「(げ)」

 こちらへ向かってきたのは、流星の滝でであったマキナとアスカでした。

 ところが、アスカはエバンスの前に立つとオドオドとし始めます。

「……何?」

「ええと……」

「ん……?その男が2人の彼氏!?」

 知的そうなメガネをかけた銀色の髪の悪趣味な髑髏のシャツを着た男が次いで向かってきました。

「そ、そうなんです」

 アスカの後ろに隠れつつ、マキナがゆったりとした声で言いました。

「二人ってことは無いんじゃない?そうじゃなきゃ、そこの男は二股をかけていることになるよ?」

「そ、そうなんです!」

 マキナが狼狽しながらも言うと、メガネの男はエバンスに向かってモンスターボールを掲げました。

「二股なんてこの俺……ハレが許さない!覚悟しろ!」

「(また変な奴が現れた……)」

 自分と同じ歳のハレを見て、ため息をつくエバンスでした。

「……っ!!」

 ところが、バトルはハレが優勢に進めていきました。

「僕のポリゴンZのトライアタックがいとも簡単に防がれた……!?」

「俺のルナトーンの防御能力なら、その程度ワケ無いぜ」

 最大級の攻撃が通用せず、エバンスはポリゴンZ、スリーパーと倒されて、ラグラージも劣勢状態に立たされました。

「(どうする……)」

 絶えずポーカーフェイスのエバンスの額には冷汗が流れていました。

「何やってんのよっ!!」

「ぐほっ!!」

 ところが、エバンスとハレのバトルは中断せざるを得ない状況になりました。

 カズミがキトキを連れて猛然と戻ってきて、ハレとルナトーンをバクフーンで打っ飛ばしたのです。

「こんなところで女の子をお茶に誘っている場合!?行方不明になった従兄弟を探しに来たんでしょ!?」

「ご、ごへんなはい……」

 目を回しているハレは、カズミに連れられて退場していきました。

 キトキはペコリとエバンスたちに頭を下げてカズミの後ろへとついて行きました。

「……なんだったって言うんだ……あいつら……」










 ☆フエン湯煙騒動


 何だかんだして、結局、エバンスはマキナとアスカと一緒にフエンタウンへと辿り着きました。

 2人と一緒に行動した理由は、練習相手がほしかったからと言うものでした。

 エバンスのその心理を知らず、アスカは喜んでついて行きました。

 一方のマキナは、少しずつながら、エバンスに話しかけて、軽くお話しをできる程度になりました。

 しかし、エバンスはどちらと話すのも少々めんどくさそうでした。

 とりあえず、ジム戦の前にマキナに連れられてフエン名物の温泉に行きました。

「効能は抜群なんですよ」

 と話すマキナは、実はこのフエンタウン出身で、温泉旅館の一人娘だったのです。

 一人になりたかったエバンスは、もちろん承諾して、さっさと入って行きました。

「(広くていい風呂だ。てか……男風呂と女風呂が仕切り一枚で仕切られている展開って言うのは……)」

 ベタだな……とエバンスは思いました。

 彼は何も考えず、ボーっとのんびりとしていました。

「プハッ!!」

 そこへ青い髪が飛び出してきました。

 キラキラと水滴を弾きながら、その髪は青く輝いていました。

「…………」

 エバンスはボーッとその姿を眺めていましたが、その正体を知ったとき、固まりました。

「……や、や、や……」

 相手の方も驚いて言葉が出ないようでした。

「やぁんっ!!」

 彼女の名前はユミといいました。

 どうやら、泳いでいるうちに潜って一枚の板をくぐってきてしまったようでした。

 ドッパーンとユミは水飛沫を起こして、13歳にしてEカップという胸を隠して去って行きました。

「…………」

 エバンスはそのまま思考停止のまま、風呂場に浸かったままのぼせました。

「……え、エバンスさん!?」

 そこでマキナは恥ずかしがりながらも、エバンスを助けたのでした。

「(エバンスさんのハダカ……ハァハァ……エバンスさんのハダカ……ハァハァ……)」

 その後、マキナはフエンジムに行くまで、エバンスを意識しっぱなしでした。

「(……なんだこいつ……)」

 エバンスはマキナを怪訝そうに見ていました。










 ☆フエンタウンのジムリーダー


 何はともあれ、フエンジムにたどり着き、フィールドに立ったエバンスでしたが、戦う相手を見て驚きました。

「エバンス、あたしがフエンジムのジムリーダーよ!」

 そこにいたのは、先日まで一緒に旅をしていたマキナの幼馴染のアスカの姿がありました。

「まさか、お前がここのジムリーダーだったとはな。正直、運がいい」

 エバンスはラグラージを繰り出して笑みを浮かべました。

「この勝負、貰った」

「それは、どうかなっ!?」

 エバンスとアスカの実力はほぼ互角です。

 フエンタウンに来る道中で何度も戦いましたが、マキナの目から見ても互角そのものでした。

「え……?」

「そんな……!?」

 だから、こんなに勝負が決まってしまうなんて、マキナもアスカも思っていませんでした。

「お前のクセは見切っている。森羅万象は僕の掌の中だ」

 バッジを手にして、エバンスはさっさと立ち去っていこうとしました。

「え、エバンス!」

「追いかけて来るなよ?」

 追いかけてこようとするアスカをエバンスは静止させました。

「『あたしも一緒に旅に行かせて』なんて言うんだろ?最初に言っておくよ。鬱陶しいんだ。もう一度言う。追いかけて来るな」

 エバンスの強い拒絶はアスカをその場に縛り付けました。

 そのアスカをマキナはやさしく慰めたのでした。










 ☆水郡『司馬のタスク』


 誰よりも強くなりたいというエバンスの願いは、進む足を速くさせました。

 それだけではなく、道の端から端にいるトレーナーに勝負を挑み、勝利していきました。

「これではダメだ。あのカズミって女やハレって男には勝てない」

 ジムバッジを5つゲットしたエバンスは、ヒマワキタウンへと向かっていました。

 しかし、そのためにはキンセツシティを経由しなければいけませんでした。

 ゲームコーナーでポーカーもやりたいと考えていたエバンスは、なおさら、急いでいました。

「水郡に逆らおうとしているバカな青二才とはおのれでゲスな?」

 巻き髭を生やしたちょっとえらそうな男が現れました。

 彼の名前はタスクといいました。

 “水郡”と呼ばれる組織の幹部の男でした。

 通称『司馬のタスク』呼ばれる賞金首にもなっている男でした。

「話にならないでゲスな」

「……ぐっ……」

 ラグラージ、ポリゴンZと、タスクのフローゼルに封殺されて、エバンスは地面に這いつくばって、タスクに体を踏みにじられていました、

「僕が……こんなヤツに負けるワケが……」

「負け惜しみでゲスね」

 エバンスはそこで気を失いました。

 タスクがエバンスに止めを刺そうとした瞬間、猛烈な炎がフローゼルと押しのけました。

 体勢を崩したフローゼルは、仰向けに寝転がしました。

「誰でゲスか!?」

“タスク様!ショップ・GIAの『天照<てんしょう>のカズミ』です!”

「ついに会ったわね、『司馬のタスク』!」

 カズミは攻撃を放ったバグーダと共にタスクを睨んでいました。

“戦いますか?”

「邪魔者は排除したいところでゲスが、あの有名なショップ・GIAが相手ともなると話は別でゲス。一旦退くでゲス」

 さっさとタスクと下っ端たちは退いて行きました。

 追いかけようとするカズミでしたが、ボロボロのエバンスに気付きました。

「あれ、この子は前に会った……いけない!手当てをしないと!」

 カズミはキンセツシティへエバンスを運んでいきました。










 ☆最初の運命


「……ん。ここは……?」

 目を覚ましたエバンスは天井を見て、目をぱちくりさせました。

「大丈夫……ですか?」

 傍から聞こえてくるのは、柔らかい物腰の丁寧な声でした。

 両耳辺りからダークグリーンの三つ編みを前に垂らして三つ編みの根元には星型のピンをした女の子でした。

「……(っ……あのタスクってヤツの攻撃のせいか……)……」

 体の痛みはありましたが、それを目の前の女の子に見せようとしませんでした。

「だい……じょうぶ……です……か?」

 もう一度、少女はエバンスに優しく問いかけましたが、エバンスは無視してベッドから出ました。

「……あの……だい……」

「なぁ」

「……は……い……?」

「お前はなんと言う名前だ?」

「あ、はい。エナメルという名前……です」

 自信なさげな声でエナメルと言う少女は自分の名前を聞かれて答えました。

 エバンスはためらいもなく言いました。

「エナメル。鬱陶しい。今後、僕の目の前に姿を現すなよ」

「……へ?……あ、……え、……」

 顕著にイライラした表情で、エバンスは部屋を去っていきました。

 エナメルはエバンスの言葉にただ戸惑うばかりでした。

 しかし、この二人の出会いは、この先、エバンス自身を、エナメル自身を、そしてホウエン地方の運命を大きく変えていくことになるとは、知るよしもありませんでした。










 つづく

HIRO´´ 2011年06月07日 (火) 07時25分(14)
題名:中編

 ☆エバンスvsカズミ


「僕とバトルしろ」

「いやよ」

 エバンスのバトルを申し込まれたカズミは、そのバトルを断りました。

「理由は簡単。私、あんたに負ける気がしないもの」

「ふざけろよ?こっちは全力のパーティで行ってやるんだ」

 エバンスが出したポケモンを見て、ハレやキトキは目を丸くしました。

 でも、カズミはまったく動じませんでした。

「見たことのないポケモンね。でも、同じことよ」

「同じかどうか、やってみなよ!エンブオー!」

 エンブオーとは、イッシュ地方の初心者用のポケモンの中の一匹であるポカブの最終進化形態でした。

 エバンスは溢れんばかりのパワーを持つエンブオーを駆使して、カズミにバトルを仕掛けました。
 
 しかし、カズミのバクフーンの力の前になすすべがありませんでした。

「そんなに私に勝ちたいの?それならいいこと教えてあげようか?」

 カズミは三つ編みに星のピンをつけた女の子を連れてきました。

 エバンスを介抱していたエナメルでした。

「この子とホウエン地方を周れば、強くなるかもね!」

「……こいつと?」

 エバンスにじっと値踏みされたかのように見られたエナメルは、おずおずとしていました。

「いいだろう。でも、足手まといになるようなら、置いて行くからな」

 そういって、エバンスは渋々了承して、エナメルと共にキンセツシティからヒマワキタウンに向けて出発しました。










 ☆二重人格の兄と盗っ人妹


 エナメルはコミュニケーションを図ろうと、エバンスに積極的に話しかけていきました。

 積極的にとは言うものの、自信がなさそうにポツポツと心細い声でした。

 しかし、エバンスはそんなエナメルの問いに一言二言で答えて会話を終わらせようとしました。

「ボク……この世界の人じゃないんです」

 エナメルが今の自分の境遇を話したときも同じでした。

 霧のようなものに覆われ、何かに殴られて気絶させられたときには、カラクリ屋敷でキトキに助けられたそうでした。

「あっそ」

 関心がなく、進んでいきました。

 数時間後、前方から砂煙が巻き起こりました。

「な……なんですか?」

 エナメルは前方をじっくりと見ました。
 
 すると、赤い短めの髪のエバンスと同じくらいの歳の男とピンク色のショートカットの女の子が走ってきました。

 銀色の翼を持った鳥ポケモンの大群に追い回されているようでした。

「え、エアームドがあんなに!?エバンスさん、に……逃げましょう?」

 エバンスはエナメルの言葉を鼻で笑い飛ばしました。

「あの程度のポケモンくらいなら、退けられるだろ。行くぞ、エンブオー」

 腰からモンスターボールを取り、エンブオーが入ったボールを投げました。

 いいえ、投げたはずでした。

「……あれ?」

 確かに投げたと思っていたモンスターボールは、どこかに消えてしまっていました。

「エンブオー……?珍しいポケモンですぅ」

「何!?」

 モンスターボールを投げようとした時、ちょうど追い回されていた二人組みが通ったのでした。

 そのときに、ピンクの髪の女の子がエバンスのボールを盗ったのでした。

「なっ!?ふざけろ!返せ!」

 その女の子の名前は、チェリーと言いました。

 チェリーはエバンスの手をするりとかわし、エアームドの大群に突っ込んで、消えて行きました。

「な、オイ、待て、チェリー!また人の物を盗むなよ!」

 そのチェリーの連れは、チェリーの兄でクレナイと言いました。

「ちっ!ラグラージ!」

 水系の攻撃でエアームドを押しのけて、エバンスはチェリーを追いかけました。

「あっ、エバンスさん!?」

「あ、オイ!危ないぞ!」

 エナメルとクレナイはエアームドの大群に囲まれて襲われてしまったのでした。





「エンブオー」

 エバンスはチェリーにようやく追いつきました。

 しかし、そこで立ちはだかったのは、自分のポケモンでした。

「襲われるわ、盗まれるわ……正直今日は運がないな。だが……」

 エバンスが取り出したのは、ラグラージとは違うもう一匹の水ポケモンでした。

「お前が僕のポケモンを使うのは、運がいい。ダイケンキ」

 炎の格闘技の合わせ技を繰り出すエンブオーに対して、ダイケンキは竜巻のような渦潮を打ち出して、エンブオーを一撃で倒しました。

「返してもらう」

 相手のポケモンをも操ってしまうチェリーからモンスターボールを取り返して、エバンスはとっとと先へ行ってしまいました。

 その後姿をじっと見ながら、チェリーはエバンスを尾行していったのでした。

 その尾行は小さな村に辿り着いてからも続きました。

「(何がしたいんだ)」

 とっくにその様子にエバンスは気付いていました。

 あえて、放って置いたのでした。

「お前」

 ゆっくりと休んでいるエバンスの前に現れたのは、チェリーの兄であるクレナイでした。

「どうして、仲間のこの子を置いていったんだ?」

 クレナイは優しくエバンスに問いかけました。

 しかし、その表情は少し険しいものでした。

 何故なら、エナメルは傷を負って、クレナイに背負われていたのでした。

「知ったことじゃない。僕はついて来れなければ置いていくって忠告もしたしね」

「ははは……まさか、それ本気で言っている訳じゃないんだろう?」

「僕は冗談が嫌いだよ。エナメル<そいつ>はただオドオドするだけの鬱陶しいヤツ。非常にめんどくさいよ。カズミ<ムカつく女>がそいつといれば強くなるって言ったから渋々同行しているだけだ」

「…………」

 エバンスはCギアからタウンマップを選び出して、目的地を探しました。

「さて、ヒマワキシティへ行くか」

 そのとき、エバンスは頬の骨がきしむのを感じました。

 そして、地面にたたきつけられました。

「ふざけるな」

 クレナイは優しい顔をしていましたが、拳を強く握り締めていました。

「ナイ様!?」

 エバンスに近寄っていくクレナイを止めたのは、尾行していたチェリーでした。

「ナイ様!落ち着いてくださぃ!」

「放せ、チェリー。このゴミクズを踏み潰してやる」

 優しい顔で怖いことを言うクレナイは、誰もが恐怖に感じるはずでした。

 妹のチェリーでさえ、一度キレた兄と話すのに恐怖をしていました。

「いつもの優しいナイ様に戻ってくださいよぉ!」

 羽交い絞めにしようとするチェリーだが、体格差がありすぎました。

 チェリーはあっても140センチで、クレナイは余裕で180センチを越していました。

 つまり、止めようとしているよりも、チェリーがクレナイの背中に乗っかっているようにしか見えませんでした。

「エナメルは、おれの代わりにケガをしたんだ。それどころか、あのエアームドの大群を一人でほとんど倒してしまった」

「(こいつが?)」

 エバンスは殴られる寸前に地面に寝かされたエナメルをじっと見ました。

「お前が強くなれるはずなんてない。強くなるという意味を本当に知らないヤツにはな」

「うるさい」

 エバンスは逆に睨み返しました。

「お前はアレか?一人よりも二人……守るべき者がいるから強くなるとか言っちゃう非科学的論者か?」

 そして、クレナイを逆に見下し返した。

「そんなもの、鬱陶しい。虫唾が走る」

 立ち上がって、タウンマップの通り、先へと進もうとしていきました。

「エバンス……さん……ボクも……ついて行きます」

 ヨロヨロと立ち上がってエナメルは、エバンスの後を追っていこうとしました。

「エナメル!?」

「クレナイさん……いいんです……ボクは……彼を放って置くことはできませんから」

「…………」

 エナメルは少し遅れながら、エバンスの後ろを着いて行ったのでした。

 その様子をクレナイとチェリー兄妹は不安そうに見ていました。










 ☆エナメルと言う女の子


 ホウエン地方は自然に溢れた地方でした。

 エバンスはその自然の力を決して侮っていたわけではありません。

 しかし、それよりもエナメルが付いてくるということが鬱陶しかったのでした。

「ぐっ……しまっ……」

「エバンスさん!?」

 ヒマワキシティへ向かう道で、集中豪雨が起こり、とんでもない土石流が発生しました。

 それでも、エバンスは先に進もうとエナメルの制止を振り切って意地になっていました。

 その結果が、土石流に巻き込まれると言う結果を生み出してしまったのでした。

「(僕の運も……ここまでだと言うのか……)」

 しかし、次にエバンスが目覚めたのは、木で出来た家の中でした。

「気が……付きましたか……?」

「…………」

 目の前にある顔に、無愛想な表情でエバンスは見ました。

 起き上がろうとすることで、あちらこちらに傷の手当を施されているのを知りました。

「どうして助けたんだ?」

 エバンスの問いにエナメルは首を傾げて答えました。

「助け合うのは……当たり前……じゃないですか……?」

「ふん……」

 礼さえも言わずに起き上がるエバンスをエナメルは止めました。

「だが、僕はジム戦に行く。付いてくるんなら勝手について来い。そしてな……」

 エバンスはエナメルの眉間に人差し指をつけて言いました。

「喋るならもっとハッキリと自信を持って喋れ。オドオドされると不愉快だ」

「あ……ええと……」

「返事はハイだ」

「ハイ!」

 ヒマワキシティのジムリーダーはナギという女性で鳥ポケモン使いでした。

 ホウエン地方のジムリーダーを次々一蹴しているエバンスは今回も楽勝だと思われましたが、意外に苦戦していました。

「……運が悪い……」

 ラグラージやポリゴンZの攻撃が当たらず、素早いオオスバメや耐久力のあるチルタリスに翻弄されました。

 最終的にエナメルの助言とダイケンキの力押しでジム戦に勝利することができました。

「エバンスさん、おめでとうございます!」

「ああ。……ああ、それとな、“さん”付けは辞めろ。聞いていると煩わしい」

「ん。そうですか?わかりました、エバンス」

 少しずつ、エバンスはエナメルという存在を認めていったのです。










 ☆エバンスの過去


「後はトウカシティのジムだけだ」

 意気揚々とジムから出た二人の前にエバンスが敵視する女性が現れました。

「カズミさん?どうしたんですか?」

「キトキが水郡に攫われたの!」

 カズミの話によると、キトキと二人で水郡の情報を探って、水郡の隠れアジトを探っていた時に、キトキは捕まってしまったというのでした。

 キトキは連れ去られて、カズミは水郡のメンバーに一人でミナモシティまでくるように言われたのでした。

「それなら、ボクたちも手伝いますよ?」

 と、エナメルは言いました。

「悪いが、お前一人で行けよ?」

 しかし、エバンスはエナメルの言葉を聞いてすぐに西へ向かって歩き出していました。

「どうしてですか……?」

「僕には関係ないことだ」

「あんた……」

 カズミが無関心のエバンスに詰め寄ろうとしましたが、一度深いため息をついてやめました。

「わかったわ。あんたなんかに頼ろうとした私がバカだったわ。キトキは私一人で助ける」





 エバンスには、親が居ながら、一人で生きてきたという過去がありました。

 それはすなわち、親になんとも思われていなかったということでした。

 自分のことは自分でやれと言われ、彼の両親は彼の面倒を見ることを完全に放棄していました。

 そして、彼はこの世界を生きるには自分の力があればよい、自分さえよければいいと思うようになったのでした。





「言いたいことがあるなら言えよ」

 エナメルは引き止めるために腕を掴んだ時、そんな彼の過去を垣間見たのでした。

「本当に助けに行かないのですか?」

「当たり前だ。関係ない。大体、他人を助けて何になる?」

「なんで関係ないと言い切れるんですか?自分さえよければいいんですか?」

「常識だろ」

 エナメルとエバンスの価値観が激突しました。

 二人は自分の意見を出し、激突し、最終的にポケモンバトルまで発展してしまいました。

「エバンス……もっと他の人にも目を向けてくださいよ。そうすれば、もっと別のモノが見えてくるはずですよ」

「…………」

「それが無理なら……ボクに目を向けたっていいんですよ?」

 その言葉を聞いて、ふんっとエバンスは鼻で笑いました。

「何を言ってんだか。まぁいい、お前の強さを見たくなったからな」










 ☆リベンジマッチ


 ミナモシティは大きな町でポケモンコンテストの発祥の街と言われている場所でした。

 その外れの洞窟にカズミは一人潜入していました。

 しかし水郡の包囲網にかかり、カズミは追い込まれてしまいます。

「弾け跳べ」

 カズミがピンチのところで現れたのは、エバンスとエンブオーでした。

 『ヒートスタンプ』で地面を攻撃し、地震と岩雪崩を巻き起こしたのでした。

 カズミはエバンスが助けに来たことに驚きましたが、すぐに順応して下っ端たちを倒していきました。

「よくもやってくれたでゲスね!」

「ひぃぃぃ!」

 カズミとエバンスはキトキが捕まっている幹部タスクの部屋に辿り着きました。

「こいつの命が惜しければ、大人しくするでゲス!」

「くっ……」

「ふん。誰が大人しくするかよ」

 そういって、エバンスは徐々にタスクに近づいていきました。

「来るなでゲス!」

 ちょうどそのとき、タスクの後ろから一匹のカブトプスが急襲して、キトキを助けました。

「なっ!?でゲス」

「さすがエナメル!」

「はぁはぁ……どうなるかと思った……」

 涙目のキトキをカズミが慰めている間に、エバンスとタスクとのバトルが始まりました。

「またやられに来たでゲスね!?」

「二度も同じ相手にはやられないし」

 フローゼルのジェットスピードに対抗するためにエバンスが繰り出したのは、蛇のような草ポケモンでした。

「ジャローダ、『グラスミキサー』!!」

「そ、そのポケモンはなんでゲスか!?」

 知らないポケモンを出されたことによる動揺と改めてエバンスの実力が上がっていたことにより、タスクを撃退することができました。

 その後、カズミとキトキはミナモシティの水郡のアジトを調べるために残り、エバンスとエナメルはトウカシティへと向かって歩き出したのでした。












 ☆サファリゾーン〜おくりび山〜ラーメン屋台大食いフェスティバル〜キンセツシティカジノ


 ミナモシティからトウカシティへ行く途中にもいろいろなことがありました。

 サファリゾーンでは、ハレが女の子を口説いて、デートをしていました。

 数人の女の子達は、ハレの捕獲の腕をみてキャーキャーと黄色い声をあげていました。

 そんなハレは、エナメルにも目をつけて、口説きました。

「えー……どうしようしましょうか、ついて行きましょうか(小声)」

「好きにしろ」

 エバンスの反応を見たエナメルは、少し不機嫌な顔になって、エバンスの背中を突き飛ばしました。

「このエバンスに勝ったら付き合ってあげます」

 もちろんエバンスは、異論を唱えましたが、ハレが容認した上にエバンスは挑発を受けてしまい、結局、捕獲勝負になりました。

 意外にもエバンスは真剣に勝負に取り組みました。

 途中でポケモン泥棒の邪魔が入って混乱しましたが、最終的にはハレが勝利しました。

「エナメルちゃん、行こうか」

「ううん。やっぱり、やめときます」

 しかし、結局、エナメルはハレの誘いを断りました。

 エナメルはエバンスの真剣な姿を見て、自分を取られたくないんだなと思ったのでした。

「あいつには負けたくなかった、それだけだ」

 ところが、サファリゾーンを出た数日後にそんな話を聞いて、エナメルは不機嫌な顔をしたのでした。





 他にもおくりび山でユミが穴を掘って下から現れて、エバンスの急所を攻撃したり、

 エナメルがサユキという女の子と大食い対決をして負けたりしました。





 そして、再び訪れたキンセツシティでエバンスがポーカーで荒稼ぎしているところに驚愕の敵が現れました。

「私とポーカーで張り合うつもりですKA?」

 ドレットヘアの40代半ばの謎の男がエバンスと互角の心理戦を繰り広げました。

「FUFUFU……まぁ、今日のところはこの辺にしておいてあげましょうKA」

 エバンスのカードは7が3枚、4が2枚のフルハウスでした。

 しかし、ドレット男が捨てたカードはキングが4枚のフォーカードでした。

「っ!! あいつ……勝てるとわかっていて、降りたのか?……何者なんだ、あいつ……」

 いずれ、エバンスはこの男と戦うことになると予感していました。










 ☆トウカシティのジムリーダー


「エバンスとエナメルじゃないか」

「また会ったねぇ」

 トウカシティに付いたところで2人が再会したのは、クレナイとチェリー兄妹でした。

「ここのジムリーダーは強いよ。覚悟しておいた方がいいよ」

 エバンスとエナメルが入ると、現れたのはクレーン頭の巨乳の女性でした。

「ようこそ!私、ハルカ!トウカシティのジムリーダーかも!」

「(かもって、どっちだよ)」

 トウカシティのジムリーダーのハルカは、昔はトップコーディネーターを目指していました。

 しかし、ある程度の技量まで達した時、彼女はバトルの腕の方がセンスがあるといわれるようになりました。

 そこで彼女は、今は一線を退いた父のセンリに特訓を受けて、ジムリーダーになったのでした。

 ちなみに、彼女の旦那は、ホウエン地方のトップコーディネーターでした。

「エンブオー、『ヒートスタンプ』」

 実力は互角でした。

「バシャーモ!『スカイアッパー』!」

 フルバトルの末に、ラストの一体は共に最初のパートナー同士のポケモンでした。

 ハイパワーで仕掛けるエンブオーとテクニックで仕掛けるバシャーモの戦いは白熱しました。





「エバンス、おめでとうございます」

 結局、エバンスがハルカの最後のバシャーモを撃破してバッジをゲットしました。

「いずれ、弟と戦うときが来るかもね」

「確か、ホウエン四天王の一人ですよねぇ」

 そのハルカの言葉を聞いて、チェリーが呟きました。

「ホウエン四天王……ホウエン地方にいる最強の4人ですね」

「でも、あなたならうちの生意気の弟を倒してくれるって信じているわ!」

 そのハルカの言葉を聞いて、エバンスとエナメルは船に乗るためにカイナシティへ、異色兄妹はクレナイが最後のバッジをゲットするためにカナズミシティへ向かいました。










 ☆カイナシティの海水浴その1


 サイユウシティ行きの船に乗るために、エバンスとエナメルはカイナシティに辿り着きました。

「せっかく海に来たのですから、泳ぎたいです」

「好きにすれば?」

 気が進まないようにエバンスは言い放ちました。

「(水着ねぇ)」

 ポーカーフェイスで冷静を振舞っているようですが、内心は少しドキドキしていたようでした。

 とりあえず、エバンスは一人でカイナシティの砂浜にやってきました。

 エナメルは着替えているので、エバンスは一人青いトランクスの海パンを穿いて、歩いていました。

 季節は夏が過ぎて涼しくなりかけた頃だったので、海水浴のピークは過ぎて、人はまばらでした。

「うん?」

 時に、エバンスは日が遮られたのに気付いて、上を見上げました。

 そこには一匹のポケモンが傷をついて落ちてきました。

「やんっ!」

「ぶっ!?」

 落ちてきたのは、一匹のリザードンと赤いビキニでその豊満な胸をエバンスの顔に押し付ける女の子でした。

「やぁん!?また君やん!?」

「……それはこっちのセリフだ……」

 平静を装いながらも、顔が若干赤いエバンスは、ユミと傷ついたリザードンを見て冷静に言葉を発しました。

「ユミ!待てよ!」

「追いかけてこないでやん!」

 続いて現れたのは、エバンスが女垂らしと認識しているハレとそのパートナーであるソルロックでした。

 ため息をついて、またお前かとハレもエバンスも互いに呆れ顔をしていました。

「エバンス!その子をこっちに渡せ!」

「……勝手にすれば?」

 エバンスは腕に掴まれていた手を振りほどこうとしますが、ユミが放しませんでした。

「ウチ、ハレさんと一緒に行くわけには行かないやん!」

 ユミは初心者トレーナーの頃、オーレ地方をハレの付き添いで冒険しました。

 しかし、今冒険しているこのホウエン地方は一人で冒険したいと言いました。

 それにハレは反対しました。

 ユミは黙ってオーレ地方を旅立ち、一人でホウエン地方を周りました。

「要するに、ハレがユミ<従兄弟>が行方不明だと言ったのは、お前の都合ってわけか」

 片手で頭を掻きながら、ため息混じりにエバンスは言ったのでした。

「あっ!」

 新たにその場所に現れたのは、白いビキニにポッチャリとした身体とFカップの胸を持った白髪の女の子……マキナでした。

「(またややこしいヤツが!?)」

「エバンスさん……アスカのことを鬱陶しいなんて言ったのに、他の女の子と寄り添うなんて……」

 今のエバンスの状態はユミがピッタリとくっ付いている状態でした。

 眉間にしわを寄せて、ユミを引き剥がそうとしましたが、願いは叶いませんでした。

「でも、でも……そんなエバンスさんの焦らしプレイは……ゴクリ……それにしても……ハァハァ……逞しいカラダ……ハァハァ……」

「(こいつ……変態か?)」

 惚けているマキナを見て、エバンスは近寄りたくありませんでした。

「あ、ハレ、ユミ、久しぶりだね!それに、マキナとエバンスもいるね」

 更衣室の方から歩いてきた男の子を見て、4人とも“オト”と彼の名前を呼びました。

 オトが現れてからは話がトントン拍子に進みました。

 結果は、ハレがユミを容認して、一人旅を許すことになりました。

「ところで、ハレはユミが好きなのかい?」

「違うしー!」

 オトの質問をハレは笑いながら答えました。

 しかし、すぐにその笑顔は翳りました。

「好きだと言い続けても、叶わないこともあるんだよな」

「ふうん」

「ハァハァ……オトさんも……心の奥底に……危険な味を持って……いそう……ハァハァ……」

「(こいつ……オトも平気なのか?)」

 マキナの行動を見て、ふとエバンスはそう思ったのでした。





「エバンスー」

 一人になったエバンスの元に、身体の線が綺麗なワンピースを着用した女の子が三つ編みを揺らし、星型のピンを光らせて近寄ってきました。

「……エナメル……か」

 一目見ただけで、プイッとエバンスは海を見ました。

「どうしました?もしかして…………」

「もしかして……なんだ?」

「えーと……」

「言えよ」

「じゃあ。……ボクの水着姿を見て、ドキッとしていましたか?」

「してない!」

「…………。即答しなくてもいいじゃないですか」

 エナメルは不服そうに唸っていました。

 さらにエバンスとエナメルの元へ一人の女の子が現れました。

「エバンス……その女の子は何?」

「(マキナがいたということは、やっぱり、こいつもいたか)」

 エバンスに好意を寄せているアスカでした。

 ワンピースでスレンダーな身体の脚線美を見せ付けるようでした。

「誰でもいいだろ、鬱陶しい」

「良くない!そこのあんた、あたしと勝負しなさい!」

「えっ?ボクと!?」

「エナメル、構うな」

「逃がさない!」

 こうして、アスカとエナメルは激突しました。

「ウソ……でしょ……?」

 圧倒的な力で、エナメルがアスカを打ち倒したのでした。

 その強さを目の当たりにしたのは、アスカだけではありませんでした。

「(こいつ……こんなに強かったのか?……今の俺と比べても……明らかに……)」

 エバンスもエナメルの真の強さをこのとき初めて知ったのでした。

 そして、この後、エバンスを更なる焦燥感が襲い掛かることになるのでした。










 つづく

HIRO´´ 2011年06月07日 (火) 07時27分(15)
題名:後編


 ☆カイナシティの海水浴その2


 エバンスとエナメルは2人でのんびりと砂浜で過ごしていました。

 その間、エバンスの頭には『どうやったら、エナメルの強さに近付けるのか』と言う考えしかありませんでした。





「ミホシ、またあんたなのね!?」

「……カズミ。……何故邪魔するの?」

 エバンスとエナメルが宿舎へ戻ろうと歩いていると、4つの人影がありました。

 1つは短パンでムチムチな服装のカズミでした。

 1つはエプロンドレスといった特徴的な服装をしたミホシでした。

「どうかしたのですか?」

 エナメルが震えているキトキとこの状況を冷静に傍観しているオトに問いかけました。

「ケンカだよ。ところで、君は誰だい?」

「エナメルだよ。カズミ姉さんが言っていた、例の別世界から飛ばされてきた……」

 キトキの説明に納得して、オトはエナメルと握手をしました。

「(友好的な人ですね)」

 少なからずともエナメルは、オトに親近感を覚えていました。

「何が原因のケンカですか?」

「何が原因かって……」

 キトキはオトを見ました。

 それを見て、オトは首を傾げました。

「いい加減、オトに付きまとうのはやめなさい!」

「……何故?……あなたの知ったことじゃない」

「知ったことよ!私はオトの姉代わりよ!」

「……そんなの必要ない」

「口で言ってもわからないなら、ちからづくよ!」

「……望むところ」

 カズミのゴウカザルとミホシのエレキブルが大激突しました。

 キトキは慌てふためいていますが、オトはまったく動揺していませんでした。

「くだらね。僕は先に帰ってる」

「あ、エバンス!?」

 エナメルは慌てて二人の間に入って、争いを止めたのでした。

 しかし、カイナシティでの一件だけでなく今後もこの二人の争いは続くことになるのでした。










 ☆因縁のライバル


 エバンスとエナメルはカイナシティの港からサイユウシティ行きの船に乗りました。

 その船の上で出会ったのは、キンセツシティの強盗事件でエバンスにバトルを仕掛けてきたレンジャー志望のケビンでした。

「もうあんたには負けない!!」

「二度と僕の前に現れるなといったはずだ。今度こそ、叩きのめしてやる」

 船の上でバトルが始まり、その戦いは白熱しました。

 しかし、白熱すると共に、海と空の様子が怪しくなっていきました。

「……ぐっ!!」

 追い詰められて最後のポケモンを出したのは、エバンスでした。

 ケビンの4匹目のポケモンであるヨノワールに対して、エンブオーをぶつけますが、力が空回りし、当たりませんでした。

 そして、船に向かって『ヒートスタンプ』をした衝撃と津波による衝撃で、船は転覆してしまいました。

 レンジャーに憧れる青年ケビンは、この状況を難なくと乗り越えた上に乗客を助け出しました。

 しかし、その中にエバンスとエナメルの姿はありませんでした。










 ☆繋がる二人


 二人はマボロシ島に打ち上げられました。

「何か言いたそうだな。言いたいことがあるならはっきり言えよ!」

「エバンスは他人に対する心遣いが足りないんですよ。だから、ケビンさんにもハレさんにも勝てないんです」

「心遣いが人を強くするものか」

「…………」

 黙ったエナメルを見て、エバンスは根負けしたようにため息をついた。

「何だかんだでお前は僕の世話を焼いてくれるんだな」

「……うん。だって、ボク……」

 その先の言葉はもごもごとしてエバンスは聞き取れませんでした。

「はっきり言え!」

「……ええと……」

「ったく。もっと素直になれ。そんな素直さがあれば、僕はお前が好きだ」

「ほんとに?」

「二度も言わない」

 エバンスはプイッとそっぽを向きました。

 それにバシッとエナメルは飛びついて押し倒しました。

「ボクもエバンスさんが好きです」

 エナメルは若干顔を赤くして、大きな声で言いました。

 そして、二人はマボロシ島の中でゆっくりとした時を過ごしました。





 マボロシ島を出た二人はキナギタウンに避難しました。

 そこでトクサネシティが何者かによって占拠されたという噂を聞きました。

 エナメルはほっとけないと思い、納得したエバンスと共にトクサネシティへと向かいました。










 ☆腐れ縁のホウエン四天王の2人


 2人がトクサネシティに向かっている頃、トクサネシティではカズミとキトキがすでにこの場所にいました。

 しかし、騒動は何も起きていなく、人々は平穏に生活していました。

「…………。ありえないわ」

 カズミとキトキは、ショップ・GIAのリーダーのユウナの言葉を頼りにここまで来ました。

 その情報が間違っているとはカズミは思いませんでした。

「ユウナさんの情報が間違っているってことはないの?」

 当然キトキはそう思いました。

「トクサネの宇宙センターにリクさんがいなかったのよ」

「……それなら、職員の言うとおり、私用でシンオウ地方に行っているだけじゃないの?」

「それはないわ。定期的にユウナさんに送られてきているメールがちょうど今日、途絶えたと言うの。間違いない!」

「それだけじゃ、根拠にならないと思うんだけど」

 二人が喋っているそのとき、突然、謎の男女3人が襲い掛かってきました。

 突然の奇襲に、キトキを狙い撃ちされたカズミは、キトキを守りながら戦い、ダメージを負いました。

「きゅ、キュウコン!!」

 何とか体勢を立て直したキトキが、炎上網を張り巡らして、カズミを連れて離脱しました。

「はぁはぁ……一体、水郡の奴ら……何が目的でここに……?」

 意識を取り戻したカズミは、キトキに連れられて町外れにある岩場の洞窟に隠れました。

 二人は少しの間様子を見ることにしたのでした。





 その二日後、エナメルとエバンスは到着しました。

 しかし、トクサネシティはあらゆる建物が破壊されていました。

「…………」

「一体、誰がこんなことをしたのでしょう?」

“助けてー!化け物っ!!”

 複数人の人々が逃げ回っていました。

 助けを求めた人々は、業火に飲み込まれていきました。

「……酷い……」

「ダイケンキ!」

 巨大な角で火炎攻撃の主を突き刺そうとしましたが、角を受け止めました。

 鋭い牙を持ったギャラドスが噛み付いて止めたのでした。

「OYAOYA……ポーカー少年、また会いましたNE」

「お前は……!」

 ドレットヘアにラフな服装の男は、ギャラドスとカイリューでエバンスを圧倒していきました。

「ぐっ……何者なんだ……こいつ……」

 ジャローダ、ラグラージ、ズキルキン……次々と倒されていきました。

 残るポケモンはポリゴンZとエンブオーだけになってしまいました。

「崩壊するんDA!『ドラゴンアクセル』!!」

「エアームド、カブトプス、『鉄壁』!」

 強大なドラゴンソウルを纏ったギャラドスに対して、エナメルがエバンスの前に立って防御に出ました。

 しかし、その防御さえも跳ね飛ばされてしまいました。

「エナメル!?」

 ポリゴンZとエンブオーも吹っ飛ばされ、エバンスにぶつかっていきました。

 ところが、エバンスの前に立っていたのは、一匹のエアームドでした。

「エナメルのエアームドじゃない……?」

「『スチールカーテン』。危なかったわね」

 エアームドの隣にいるトレーナーは、いい感じにどこにでもいるような普通の女性でした。

「OIOI……ナルミ、なんで止めるんDA?」

「ザンクス……あんたはやりすぎなのよ……」

 ナルミはため息をつきながらザンクスを宥めたのでした。





 『殲滅のザンクス』と『煌鋼<こうこう>のナルミ』はホウエン地方の四天王でした。

 トクサネシティの噂を耳に入れたナルミは、夫であるリクの様子を見るためにこの地へ赴いたのでした。

 ちなみに、ザンクスはナルミに内緒でこっそり付いて来たのでした。

 それで、水郡をいびり出そうとザンクスは町を壊して、水郡を片っ端から撃破して行ったのでした。

 こんなことをするのは、ザンクスしかいないとナルミは思って、探したこのときが、エバンスとの出会いでした。

「ナルミさん、ボクたちに稽古をつけてください」

 エナメルが頼み込んで、ナルミに特訓してもらうことになりました。

 その間、カズミとキトキが合流し、水郡の幹部の一人から情報を聞きだしました。

「ルネシティの近くね……行ってみる価値はあるわ」

 特訓を終えたエバンスとエナメルは、ナルミにお礼を言いましたが、リクと付き合いたての恋人のような初々しい会話をしており、聞いてはいませんでした。

 ザンクスはカイリューに乗ってキンセツシティに遊びに行ってしまったのでした。










 ☆vs水郡


 ルネシティにはオトとユミの姿がありました。

 それを見て、キトキは不機嫌そうに二人の間に割り込みました。

 割られた二人に、突如現れたハレがユミを、ミホシがオトをそれぞれ掴んでどこかに引っ張っていこうとしていました。

 慌てたカズミがそれをゴウカザルのフレアドライブで一掃して、状況を集束させました。





 ルネジムでアダンによる伝説の話を聞いた一行は、水郡の狙いがカイオーガであることを確認しました。

 そのカイオーガは、何十年か前にマスターボールで捕獲され、海の底へと沈められたと言います。

 カズミ、オト、ミホシ、エナメル、そしてエバンスの5人は、ルネシティに到着するまでに乗ってきた潜水艇(リクが作った)で深海へと潜っていきました。

「…………!」

 そこで立ちふさがったのは、水郡の下っ端と幹部達でした。

 5人は並み居る下っ端を退けて、先へと進んでいきました。

「ここまで来るとは、どうやら俺がここにいたのは無意味ではなかったようだな」

「そうですね、シード先生!」

 ところが老けたカッコイイおじさんと20代半ばのサングラスをかけた真面目だけどふしだらな格好をした女性が立ちふさがりました。

 二人の名前はシードとマロンと言いました。

「邪魔するな!」

「突破する」

 エバンスのエンブオーの『ヒートスタンプ』とオトのライボルトの『10万ボルト』が2人を捉えました。

 しかし、攻撃はまったく効いていなかった上に、反撃を受けて二人は吹っ飛ばされました。

 パルシェンとハピナスでした。

「あの二人のポケモン、相当の防御能力があります」

「それなら、ここは私に任せなさい!」

 そういって、カズミがこの場を引き受けました。

「ただし、あんたは私と一緒に戦う!」

「……何故」

 カズミはミホシを引き止めて、シードとマロンに挑みました。

「足止めとは無意味だな。結局のところ、この先に選りすぐりの幹部とボスがいるんだからな」

「先生と私があんた達を倒して、残りのメンバーも倒すんですからね」





 カズミとミホシのコンビネーションは最悪でした。

 お互いを引っ張り合い、自滅し、結局のところ、一人も倒せずに、ミホシは全滅してしまいました。

「くっ……」

「……カズミのせい」

 壁際に追い詰められた2人にシードのカブトプスが迫りました。

「くたばりな。『鎌風』!」

 見えない風の刃が2人を襲いました。

「『裂水』!!」

 ところがそれ以上の風の斬撃がカブトプスの技を飲み込んで、カブトプスをぶっ飛ばしました。

 カズミとミホシのピンチに現れたのは……

「シードのオッサン、久しぶりだな!ロケット団以来か?」

「……お前は……ラグナ!?」

「ダーリン!」

 ミホシに代わって、ラグナがカズミのパートナーになり、猛攻撃を仕掛けました。

 その結果、何とか勝利したのでした。

「ラグナ……1つだけ言わせろ」

「何だ?」

「その女とはどんな関係だ?もし、嫁だというのなら……年の差がありすぎじゃないか……?」

 そうして、ラグナはシードに言いました。

「てめぇに答える義理はねぇ。それに年の差なんてカンケーねぇだろうが。大事なのは……」

 ドンッとラグナは胸を叩きました。

「ココだろうが!」

「そうか。無意味な質問だったな……胸の大きさ……お前らしい答えだ……」

「……ダーリン……」

「ち、ちげぇ!!」

 顔が赤くなっているカズミに対して、ラグナは激しく狼狽したのでした。





「ここは通さんでゲス!」

「ここは俺がやるから2人は先に行ってくれ」

 幹部のタスクと戦うことにしたのは、オトでした。

 エバンスとエナメルは、急いで奥へと進んで行きました。

 最深部と思われる場所にいたのは、40代の威厳のある男と、まだ5歳くらいの円らな瞳の可愛いポニーテールの幼女でした。

「ショップ・GIAが来たか。しかしもう遅い!古代のアイテム『オーガの奇跡』。これを使えば、カイオーガは誰にも止められない。そして、ホウエン地方は、いや、世界中が海に沈み行く!」

「なんでそんなことをするんだ?」

「決まっている。私は山よりも海のほうが好きだからだ!」

 水郡のボスのレグレインは、キッパリと言いました。

「夏休みに山に行くと言った奴がいる。しかし、夏と言ったら海だろ。他に選択肢はない。だから、私のように海に行きたいのに山に行くと言ってハブられる様な思いをするヤツを作らないためにも、世界中を海で埋め尽くす!」

 カイオーガが出現しました。

 そして、カイオーガは深海から、水上へと向かっていきました。

「止める!」

「させません」

 エバンスが動いた時、吹っ飛ばされました。

 5歳の幼女がエバンスに超能力で攻撃を仕掛けてきたのでした。

「シロヒメ……この場は任せた」

 コクンと頷くシロヒメを置いて、レグレインは隠し階段へと消えて行きました。

「エバンス、ここはボクに任せて、レグレインを追ってください!」

「……エナメル……」

 頷いてエバンスは、レグレインを追いました。










 ☆カイオーガレベルΩ<オーガ>の真価


 古代アイテム『オーガの奇跡』を使用したカイオーガは恐るべき化け物でした。

「攻撃が利いて無いやんっ!?」

「……うわあぁぁぁぁっ!!」

「っ!!なんだよ、このカイオーガ……有り得ないだろっ!?」

 海上の町のルネシティで待機していたユミ、キトキ、ハレがレグレインの復活させたカイオーガレベルΩに立ち向かいましたが、足止めにもなりませんでした。

 カイオーガの圧倒的な水流に巻き込まれて、ルネシティは水没してしまいました。

 そこから、カイオーガは進路を西へと向けて、ミナモシティへと動き出しました。

「攻撃を意に介していない……。カイオーガ<あいつ>は、俺たちの攻撃を雨粒のようにしか思っていないないのか……?」

 何とか沈まずに岸に打ち上げられたハレは、周りにいるキトキとユミと一緒にそのまま気絶してしまいました。










 ☆vs水帝レグレイン


 そのころ、カズミとラグナは、潜水技のダイビングで地上へと脱出を図り、カイオーガの様子をうかがっていました。

 オトは死に物狂いの幹部タスクをギリギリで撃破して、エナメルの元に辿りつきました。

 エナメルの相手であるシロヒメは、姿は5歳でしたが、知識といいバトルスタイルといい、とても5歳とは思えない力を持っていました。

 しかし、彼女の本来の実力に四天王ナルミの享受を得た力に加え、彼女の特有の力『トキワの力』、さらにオリジナルの力『アビリティーホールド』でシロヒメの特殊能力『エンゼルハート』をも打ち消して、戦いを優位に進めました。

 戦いには勝ちましたが、地下への階段を防がれてしまい、エバンスの助っ人をすることはできなくなってしまいました。





「水帝レグレイン……お前の野望もここで終わりだ!!ここまで僕を導いてくれた友達のため、お前を倒すッ!!」

 エバンスは変わりました。

 自分の為にしか動かなかった彼が、ここまで変わったのは、エナメルの存在の他ありませんでした。

「この都市は、隠れた遺跡。私もこの目で見たのは初めてだ。さて、お前はここで眠っとけ」

 レグレインは水ポケモンの使い手の上に、水を操る超能力者でもありました。

 ゆえに、水ポケモンの力を強化し、エバンスを追い詰めていきます。

 エンブオー、ポリゴンZ……次々とエバンスのポケモンたちは倒れていきました。

 一度、致命傷になるような攻撃をエバンスは受けました。

 しかし、エナメルがくれたお守りがエバンスを助けてくれました。

 その一瞬の隙を狙ったエバンスは、ジャローダで連続攻撃を畳み掛けて、勝利を手繰り寄せようとしました。

「ニョロトノ」

 最後にレグレインが繰り出したのは、自身の最強のポケモンであるニョロトノでした。

「『滅びの言葉』」

 水で文字を描き、投げつけ、それに当たったジャローダは、それだけで力を失って倒れてしまいました。

「くっ、ラグラージ!」

「無駄だ。『滅びの言葉』の前では、すべてのポケモンが無力!!」

「その技をやぶれるのは、お前だけだ」

 水を纏った言葉はラグラージの前で、止まりました。

 そして、そのまま弾き返してニョロトノに命中しました。

「バカな!?『ミラーコート』ごときで弾き返せるわけが…………ぐおっ…………」

 レグレインも『滅びの言葉』の影響を受けて気絶しました。

「こいつの手から『オーガの奇跡』を放せば、カイオーガの暴走は止まるはずだ」










 ☆古の力


 しかし、カイオーガの暴走は止まりませんでした。

 それどころか、ホウエン地方を次々と海で侵食して行きました。

 ミナモシティに始まり、カイナシティ、ヒマワキタウン、キンセツシティと次々と水没していきました。

 水の勢いはとどまることを知らず、町を次々と破壊し、海の底へと沈めんとする勢いでした。

「ダメ……攻撃が通用しない……」

「このままじゃ、僕の生まれたトウカシティまで……」

「絶対的な能力上昇…………こんなもの、私の力でもどうにもなりませんYO」

「ホウエン地方を救う手立てはもうないのか……!?」

 ホウエン地方の4人の四天王もすでにカイオーガレベルΩに立ち向かいましたが、なにもできませんでした。

 ただ、ホウエン地方を侵略するカイオーガを指を咥えて見ていることしかできませんでした。

 そのことを、エバンスはカズミの連絡で知りました。

「グラードン、レックウザを呼び寄せたころで、意味がない。四天王たちと同じく倒されるのは目に見えているし……」

「古の力……『オーガの奇跡』。これが、力の根源だろ?それなら、この力を使って、僕はあいつを止める」

「まさか、レベルオーガ化して、止めるって言うの!?バカなことは……」

 Cギアの通話を切って、エバンスはオーガの奇跡に触れました。

「(ユウナさんが言っていた。『オーガの奇跡』は能力を強制的に最大限にまで引き出すアイテムだって。でも、それには凄まじい副作用が……)」

 カズミの言葉はエバンスに届きませんでした。

「エナメルと同じように、ポケモンに触れて力を与えるようにすれば、できるはず。……いや、“はず”じゃだめだ。やるってことだ!」

 力を受けたラグラージは、エバンスを乗せて、一気に地上へと飛び出しました。

 凄まじい波乗りで、一気にカイオーガの元へと向かいました。





 フエンタウンの会った場所で、カイオーガとエバンスは激突しました。

 最後のポケモンであるダイケンキとカイオーガはどちらもオーガの奇跡を受けて能力がインフレーションしている状態でした。

 ゆえに二匹の力は互角でした。

 しかし、状況が有利に働いていたのは、エバンスがダイケンキに乗って力を制御していたことにありました。

 その状況を良いと思わなかったのはカズミでした。

「ユウナさんから『オーガの奇跡』のような技を使える人の副作用を聞いたことがある。生命力と精神力を削っていくって……。エバンス、ダメよ……これ以上その力は……」

 ルネシティにいるカズミの警告は、届くはずもありませんでした。

「こいつを倒す……例え……僕がどうなっても……絶対に……守ってやるっ!!」

 エバンスの脳裏に浮かんだのは、緑髪の三つ編みの女の子でした。

 その女の子は、自分にはにかんで視線を向けてくれていました。

「……エナメル……」

 そして、ダイケンキの一撃は、カイオーガを貫いたのでした。










 ☆エピローグ

 1日後のことでした。

「ったく、無茶しやがって」

「……ダーリン……」

 水没を免れたカナズミシティの外れで、ラグナはカズミを背負っていました。

「無茶して欲しくなかったら、ずっと私を見ていてよ!傍にいてよ……」

「…………」

「結婚……して……」

「てめぇの言葉は却下だ」

「…………」

「俺の嫁になれ、カズミ」

 一方的に、ラグナはカズミにそう告げたのでした。

 その言葉を聞いて、カズミはぎゅっと腕の力を強めたのでした。

「く、苦しいって!!」

 ラグナはあえなく窒息死するところだったのでした。










「まさか、ホウエン地方がこんなことになるなんて……」

 ケビンはサイユウシティでホウエン地方の沈没のニュースを眺めていました。

「ポケモンリーグに出ている場合なのか……!?いや、違う。災害に苛まれている人を助けに行かなくては!!」

 ポケモンレンジャーを目指すケビンは、ポケモンリーグを辞退して、オオスバメに乗って飛んで行ったのでした。










「……ホウエン地方が沈んだ。これが今後世界にどのような影響を与えていくのか……見届けなくては」

 水上にポツンと立っていたのは、水郡の幹部の一人のシロヒメでした。

 その子は、力を抜くと、水の中に沈んでいったのでした。










 1週間後のホウエンリーグでは、オトとユミが出場しました。

 その大会で、優勝したのはクレナイでした。

 その場にエバンスの姿はありませんでした。










「……エバンス……」

 部屋の一室で三つ編みの女の子が首を垂らしていました。

 そこにいたのは、彼女が口にした名前の少年でした。

 彼は水郡の戦いの果てに全ての力を使い果たして、死んだように眠ってしまったのでした。

 そして、水郡との戦いから1ヶ月しても、ずっと目を覚ましませんでした。

 そんなエバンスをエナメルは、看病し続けました。

 健気に看病し続ける彼女でしたが、日に日にやつれていきました。

「……エナ…メル……」

「え、エバンス!?」

 ある時、エバンスは目を覚ましました。

 しかし、それはほんの一握りの奇跡でした。

「僕はもうダメだ。もう、お前を抱きしめてあげることができない」

「そんな……そんなことはありません」

「先の無い僕よりももっと頼りになる人を探せ。お前はまだ先があるんだから」

「…………」

「僕は……危険なカードを取ってしまったみたいだ。自分が壊れるほどの愛……でも、なんでか、後悔はしていない……お前も、後悔しないためにも……前を……見ろ…………」

 その言葉を残して、再びエバンスは眠りについてしまいました。

 エバンスの表情を見て、エナメルは強く生きていくことを誓ったのでした。










 ホウエン地方は水没して、壊滅しました。

 そして、一人の少年が崩壊を止めようとして、犠牲になりました。

 それが今後どのようになっていくのでしょうか。

 物語は紡がれていくのです。










 To be continued "UNKOWN DUO".


HIRO´´ 2011年06月07日 (火) 07時27分(16)
題名:アトガキ

アトガキ


 はい、アトガキ。
 この物語は、子世代の最初のシリーズとして、展開される話です。
 P20すなわち、テールデュから15年後のP35の話であります。
 本来なら、主人公の子供であるオトが主人公になるところでしたが、主観を変えて、まったく新しいキャラのエバンスを起用しました。


 自己中心型という主人公としては珍しい型ですかね?
 まぁ、探せばあるのでしょうけど、自分が書く中としては初めてでした。
 最終的には、誰かの為に戦えるようになっていましたけどね。


 そのヒロインとして選ばれたのは、UDでもぼちぼち登場していたエナメル。
 最初は、おどおどとしたはっきりしない性格でした。
 けど、エバンスを好きになって、性格がとっても素直な女の子になりました。
 なんていうか、エバンスによって、(性格を)調教された感じ?(ェ)


 とりあえず、主人公とヒロイン共に性格が影響して変わって行ったのです。
 これが1つのポイントですね。


 見所としては、やはり、UDにも登場した、ユミ、キトキ、オトなどのキャラでしょうね。
 その中でオメガで初登場のキャラを紹介します。


 まずはマキナ&アスカ。
 美少女2人組みは多いかなぁと思ったけど、オトハ&コトハ、アメ&ラナ……って意外と少なかったりします。(覚えてないだけ?)
 性格はマキナのほうが曲者かなぁ。
 アスカは若干ツンデレ色っぽい。


 次にクレナイ&チェリー。
 実は2人は兄妹なのですが、実質、4人兄弟なんです。
 一番下の弟はまだ登場していませんが、クレナイとチェリーの間の女の子は出ています。
 クレナイが二重人格者で、チェリーが手癖の悪い盗人。
 そして、チェリーの姉というのが、底なしの大食い娘。
 ハイ、誰だかわかりましたね?(ェ)


 あとのキャラは、まぁ、もろもろ以下略で(オイ)
 そんなわけで、オメガの話は適当で終わりです。
 UDを読む前にこれを読んでいただけたら、より一掃、UDが面白くなると…………いいな(願望?)


 最も、UDはR18であるし、ここに載せる許可も出ないんですが(


 それでは、次の機会があれば。

HIRO´´ 2011年06月07日 (火) 07時30分(17)


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