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改めて題詠マラソン2003・私的感想掲示板

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過去ログ36より。
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017:雲 椎木英輔 2003年08月06日 (水) 04時28分
寒冷前線が雲を風へとかへはじめ震へはじめる僕のほつぺた

見えない前線が上空を通過するときの感じがよく分かる。
初句が重いので、できれば同じ内容で語順を変えたいような気も。

038:明日 黒瀬珂瀾 2003年08月06日 (水) 16時07分
飛ぶ鳥の明日見えざれば読みし書の内海文三われより若し

導入の仕方が巧い。しかも結句まで遠く響いてるし。
「読みし書」でちょっと引っかかるような。
たとえば「読みさしの内海文三」でも意味は通じるのではないか。

097:支    佐藤理江 2003年08月06日 (水) 18時07分
けりをつけてやる
おまえなどに支配されつつ一年を過ごしたくない題外へ出ろ

あはははは!だから佐藤さんは好きだ。(^^)
題詠の窮屈さ。表に出ろ!と言いたくなりますね。

064:ドーナツ 近藤かすみ 2003年08月09日 (土) 00時34分
ペコちゃんのドーナツ売りし店閉ぢて赤き廂に霧雨の降る

真っ直ぐで素直な歌を作られる近藤さん。
この歌ではその素直な目の良さが活きていると思います。
下の句がちょっと出来過ぎ(定番)にも見えるけど。たぶん実景かな。

068:似る ぶらねこ落合 2003年08月09日 (土) 01時53分
吾に似たむすこと食すひるめしの女をうばい合うような箸

この語順だと「ひるめしの女」と読めてしまうんですが、
それも計算のうちかしら。
「女をうばい合うような箸」という言い方が新鮮でした。
父と息子ってそうなのか。そうかもな。

023:詩 山本双葉 2003年08月09日 (土) 15時27分
無造作に束ねる髪の逆らいに16の子の朝の詩はあり

これは母親の視点なのかなあ。
「髪の逆らい」「朝の詩はあり」の繊細さがいいと思いました。
「16」は「十六(歳)」の方がこの歌には似合っているかも。

064:ドーナツ 高澤志帆 2003年08月09日 (土) 18時16分
颱風のドーナツの輪のなかの夜しづかにひらく秋の歳時記

当たり前のことかも知れませんが、
高澤さんの歌はいつも高澤さんの色をしている。
下の句が完成しているので、どんな上の句でも持って来られそう。
この上の句は少しうるさいかも。お題のせいかな。

032:星 塩谷風月 2003年08月09日 (土) 20時43分
燃えさかる火の星である華奢な君のそこだけがいま宇宙の真中(まなか)

性愛の歌と読みました。
「華奢」は要らないんじゃないかなあ。過剰になるような気がする。

005:音 ていだきねこ 2003年08月11日 (月) 10時34分
ゆっくりとからだをほどき小指のみからめればふるふるぎんの音

きねこさーん、お元気ですかー?
これも性愛の歌でしょう。とても綺麗。
初句二句がちょっと説明っぽいかなあ。
No.43 2004年04月01日 (木) 19時57分

 

過去ログ35より。
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某ゲームのサントラCD到着。
血湧き肉躍っております。こんな主婦でええんか。(爆)

060:奪う 新田瑛 2003年07月28日 (月) 20時45分
失った未来全部の代償で五年半しか奪えないとは

具体的な状況は明示されていませんが、
それだけに「五年半」が妙にリアルな歌。
略奪結婚→離婚、みたいな図式かしらん。

083:予言   佐藤理江 2003年07月29日 (火) 00時45分
おおげさに予言外れて手元には軽々しくも未来のみあり

たぶんノストラダムスの大予言。
来ないはずの21世紀が来てからもうだいぶ経ちます。
終末の予言を乗り越えてそれでも私たちは生きていかねばならない。
手元には不確かな未来だけ。それを「軽々しくも」と作者は捉えています。

008:足りる 椎木英輔(しいきえいすけ) 2003年07月29日 (火) 04時23分
高校のクラス会へ買ひし大福病欠ゐてやつと足りたり

破調が作者の心の焦りや乱れを表しているような。
意外にも人数が集まったのでしょうか。遙かに遠い高校時代。
病欠の人も他界した人もだんだん増えて来る。甘くて苦い大福の歌。

075:痒い 萩原留衣 2003年07月29日 (火) 08時59分
夏を待つ夜が痒がってるのだろう雷乱舞激しさを増す

雷は夜の痒みを掻く手なんですね。
初句の「夏を待つ」に一瞬違和感あり。ここで切れて読めるからかな。

021窓 うちだゆみ 2003年07月29日 (火) 14時39分
校庭にせんだん揺れて合宿のユーホニウムの響く窓辺よ

ユーホニウムはアルトホルンよりちょっと大きい金管楽器。
夏合宿でしょうか。気持ちの良い、懐かしい、切ない風景。

055:置く 芦田美香 2003年07月29日 (火) 18時00分
読みさしの手紙を膝にそっと置くいつも正しい言葉は重い

正論は重くて冷たい。でも逆らえない。
「いつも」は「正しい」に掛かると読みました。
いつも正しい手紙。さぞかし重いことでしょう。

098:傷 五十嵐きよみ 2003年07月29日 (火) 23時25分
傷口があまき香りを放ちいる隠喩としての白桃ひとつ

きよみママのラストスパートからこの歌を。
上の句の描写をそのまま使うのではなく、
「隠喩としての」としてそのまま終わらせてしまった歌。
何の比喩なのかは全く言わない。でも見えて来るものがあるという技。

056:野 かいり 2003年07月31日 (木) 16時23分
耳の奥でなくした景色さがすように傾いていく真夏の野原

かんりさんの歌を読むとき戸惑うのは、
これは作者の実感覚なのか、
それとも作歌的操作なのかということだったりします。
どちらにしてもあたしには太刀打ちできないのは確か。

041:場 岩崎一恵 2003年08月01日 (金) 14時37分
月光をふくませられて呼吸する浄水場のまっくろな水

夜の浄水場。
そこに降り注ぐ月光。波打つ真っ黒な水。
それを「ふくませられて呼吸する」と捉えたところが作者の目。

061:祈る 高澤志帆 2003年08月02日 (土) 18時31分
たくさんの祈る手をもて踊る輪はうちへ緑夜のうちへせばまる

盆踊り、でしょうね。
この輪には死者が交じっていそうです。
私には「緑夜」がちょっと分からなかった。

093:恋  遠山那由 2003年08月03日 (日) 12時34分
結婚しても治らぬ恋愛依存症 夫にだけは恋ができない

ストレートな語り口の遠山さん。
恋をしなくても済むから夫なのでしょうけれど。

032:星 佐藤新樹 2003年08月04日 (月) 22時25分
打ち水のそこだけ浅く沈みつつ過ぎれば町家ののれんに星たち

この上の句はすごくいいなあ。
下の句で支え切れなかったか。過ぎればの主語はわれ?

016:紅 よしだかよ 2003年08月05日 (火) 06時05分
後朝の朝定食は火の色す君の紅じゃけわれも紅じゃけ

…笑いました。(^o^)
元歌はもちろん、
「ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も雛罌粟われも雛罌粟 与謝野晶子」
No.41 2004年03月31日 (水) 15時25分

 

過去ログ34より。
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とうちゃんといちゃつきました。
たまにはいいな。(笑)

021:窓 伴風花 2003年07月15日 (火) 23時08分
つぎつぎと灯りが消えてゆく窓をみあげあなたの嘘を数えた

気になる歌。
下手に解釈しちゃうと魅力が減ってしまいそう。
たとえば家庭持ちの相手との恋愛とか。

093:恋 五十嵐きよみ 2003年07月15日 (火) 23時41分
シャンプーの泡にまみれた恋人の頭のような花束を抱く

ほんのりと色っぽくて怖い歌。
健康的なサロメみたいな。

054:麦茶 新田瑛 2003年07月17日 (木) 23時27分
渓流の端に麦茶を待たせつつ飲みごろになるまでのシエスタ

麦茶が冷えるのを待っているのではなくて、
麦茶を冷やしながら待たせているというのが面白い。
「シエスタ」はどうかな。表記的にはここだけ浮いているかも。

047:沿う 久哲 2003年07月19日 (土) 14時46分
美しき川の流れに沿うことで風景となる廃車の列は

久ちゃんにしては堅実に詩的な歌。(笑)
初句の「美しき」はどうかな。まだ動きそう。

018:泣く ゆらゆら 2003年07月20日 (日) 00時31分
期待されるままに泣きつつ延々と謝罪聞きたりイジメの後の

この辺でわが妻の歌を。
こういうところが怖い人です。(笑)
「延々と」が少し緩いかな。「イジメ」の片仮名表記はどうだろう。

097:支 啓小出学 2003年07月20日 (日) 09時27分
信念をボクが支えてあげるから白い線までお上がり下さい

自殺幇助、でしょうかね。
死に水は取ってやる、みたいな感じ。

072:席    佐藤理江 2003年07月21日 (月) 05時58分
席を去る人の多くは配られしペットボトルを上からつかむ

何の席かは全く語られていないんですが、
多分あまり面白い会ではないんだろうなあという気がします。
横からではなくて上からつかまれるペットボトル。
ああ忘れてたわ、みたいな感じですね。わしづかみ。観察の歌。

047:沿う 兵庫ユカ 2003年07月24日 (木) 22時16分
骨に沿うような囁きしたいときどうするのってきくのはずるい

ずるいです。(笑)
ずるい男はいいですね。手間がかからなくて。
No.40 2004年03月28日 (日) 23時36分

 

過去ログ33より。
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眠いんですけど、もう少し頑張って。(^_^;)

065:光 荒川美代子 2003年07月01日 (火) 01時32分
光射すひとにあまたのどうぶつにしんしゅのこけにきょうどうぼちに

今年もやっぱりこの歌を。
光の下に選ばれた四種類の並列の見事さと平仮名遣いに。
平仮名書きは下手をするとわざとらしくなったり甘くなったりしますが、
荒川さんの歌は不思議とそのどちらにもならない。なぜなんだろうなあ。

088:象 啓小出学 2003年07月01日 (火) 02時23分
印象は養殖された車海老 油断もすきも見せない線の

そういえばそうかも知れない。<養殖車海老の線
誰(何)に対する印象なのか。こういう印象はあまり持たれたくない。

029:森 ひぐらしひなつ 2003年07月01日 (火) 08時08分
たてがみにさすあかるさに泣きやめば水面はゆるく森をうつして

ああ、ひなつさんの歌だなあと。
無言の金のライオンに慰められた健気で聡い女の子、
みたいなイメージが浮かびました。

029:森 星川郁乃 2003年07月02日 (水) 00時45分
好きだった歌をおたがい遡り森田童子で途切れた会話

これも去年選んだような気がするなあ。(笑)
少しずつ増して来た親近感がブツッと途切れた時の気まずい感じ。

039:贅肉 兵庫ユカ 2003年07月02日 (水) 22時25分
ねてばかりいるようなのに贅肉のないからだ猫を弟が焼く

「〜からだ」=猫に一瞬思えるんですが、
実は弟のことなんですね。同じような身体付きなのかも知れない。
とすれば、これが身代わり自殺の歌でしょう。猫が弟を焼いてもいい。

052:冷蔵庫 近藤かすみ 2003年07月04日 (金) 10時17分
冷蔵庫の仄かなひかり一匹の鮎を隈なく照らしてゆけり

結句が「ゆけり」なので、
冷蔵庫を開けている途中だと思いました。
少しずつ開く冷蔵庫。その光が鮎の鈍色の身を照らしてゆく。

015:葉 江村彩 2003年07月04日 (金) 20時54分
地下鉄の車内に黙し立ちおれば人らおのおの針葉樹めく

不思議な感覚。でも説得されます。
「黙し立ちおれば」「人らおのおの」の辺りがやや説明的か。

049:嫌い かいり 2003年07月06日 (日) 13時51分
なにもかもを茜にそめて太陽は嫌いなものから先に食べるの

これは夕日なんでしょうね。
結句は質問のようでもあり、つぶやきのようでもあり。
こういう太陽には逆らえないなと思いました。

035:駅 久哲 2003年07月07日 (月) 22時19分
くだらないことをもっとも真剣にするためにある駅のたんつぼ

だよねえ、みたいな。(笑)
かんたん短歌、なのかな。かなり毒が強いですけど。

089:開く 五十嵐きよみ 2003年07月08日 (火) 20時31分
なつかしいノート開けばいちめんに野に咲く花のようなひらがな

五十嵐さんの歌はどの歌もとても平易で、
かつ非常に丁寧に作られていて読みやすい。
そして温度差が少ないと最近思うようになりました。
だから安心して読めるんだろうな。多少物足りなさはあっても。

017:雲 氏橋奈津子 2003年07月09日 (水) 02時23分
出会いそこねた誰かのように午前四時わたしの屋根を過ぎてゆく雲

たぶん作者はその雲を見ていないんですね。
でも屋根の下で雲が通り過ぎるのを確かに感じている。
象徴的な歌。具体的に解釈したらつまらなくなってしまいそう。

026:妻 氏橋奈津子 2003年07月12日 (土) 01時16分
くちびるにパインの飴を押し込まれ老妻にならなってもいいな

なとさん、もう一首。
昨日ちょうどパイン飴の話をしたんですよ。(笑)
ドロップスの缶に一番多く入ってるのはパイン飴だって娘が言うんです。
自分が好きなのはハッカとオレンジなのにいつもパインばっかりだって。
だからパインの飴と老妻がすごく良く響いているなと思いました。

044:殺す 兵庫ユカ 2003年07月14日 (月) 22時58分
あなただれを殺してきたのひまわりの花粉まみれの青いジーンズ

ユカさんももう一首。
これはすごい歌ですね。一度読んだら忘れられない。
色彩が鮮やかなんですけど印象はモノクロ。
モノクロの写真に後から彩色した写真かな。黄色と青だけ。
No.39 2004年03月28日 (日) 04時05分

 

過去ログ32より。
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047:沿う 高澤志帆 2003年06月19日 (木) 00時11分
耳よせる竹筒に沿ひ聴こえくる水琴窟は前世のおと

黄泉の音、とでも言うんでしょうか。
籠もった、でも澄んだ音が遠い記憶を呼び起こす感じ。

069:コイン  佐藤理江 2003年06月19日 (木) 03時39分
どう見ても大人狙いのガチャポンにぬるき百円コインがたまる

「ぬるき」がポイントでしょうか。
子どもの掌だったら冷たいか熱いかどっちかのような気がする。

049:嫌い 大石俊弘 2003年06月23日 (月) 05時28分
すぐに言ふ「好き」とか「嫌い」は信用せず耐へて耐へてから言ひなさい

下の句「耐へて耐へてから言ひなさい」に一票。
大石さんのような実直な方に言われると効くなあ。

080:織る 啓小出学 2003年06月24日 (火) 11時50分
妹の伝えたいこと織り込んでタペストリーはささやかにあり

上の句がちょっとたどたどしいですが。
作品はたぶん全て作者からのメッセージ。タペストリーも、そして短歌も。

026:妻 村上きわみ 2003年06月25日 (水) 01時30分
ふくらはぎひからせたまま待っている木綿豆腐のような妻たち

今回はこれを。
生足にサンダル履き、かな?
おそらくまだ妊娠可能、でもそれほど若くはない妻たち。

027:忘れる 久哲 2003年06月26日 (木) 21時50分
黙らない全部わたしは取り戻すビニール傘を忘れることで

久哲さんは言葉に言葉をぶつけて何かを表そうとしているんだと思う。
この歌はかなり成功してるんじゃないかな。ビニール傘が妙に好きだ。

047:沿う かいり 2003年06月28日 (土) 22時26分
ふくらはぎに指を沿わせてわたしたちいつから空を見てないんだろう

かいりさんの歌は解釈しようとしたら既に負けだ、みたいな気がします。
負けを承知で書くと、二人して窓のない部屋に引きこもった感じかなあ。

036:遺伝 兵庫ユカ 2003年06月30日 (月) 22時27分
遺伝とはべつのちからがはたらいて母と伯母とは同じ筆跡

たぶんお母さんはお嫁さんなんでしょうね。
だから血の繋がりはない。でも筆跡は同じ。
「べつのちから」の重さを感じている作者。その目線の冷たさ。かなしさ。

061:祈る 荒川美代子 2003年06月30日 (月) 23時58分
おがくずにうもれてなにを祈ったのせぼねのすこしまがったひよこ

夜店のひよこ、なんだろうなあ。
長く生きられないのは分かってる。それでも生まれて来たんだよね。
No.38 2004年03月25日 (木) 20時47分

 

過去ログ31より。
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みゅみゅみゅ〜

035:駅 村本希理子 2003年06月01日 (日) 23時13分
駅ビルのドラッグストアの奥の棚十年前の空気がのこる

さほど繁盛してないお店かなあと。
昔はこういうお店いっぱいあったと思うんですけど、
今はあっという間に閉店しちゃいますね。社会に余力がないから。

038:明日 かいり 2003年06月03日 (火) 16時05分
それはたぶん泉の底に翻るつめたい影のような明日だ

かいりさんの歌を読むといつも目が覚めたような気持ちになるんですが、
覚めたからって分かるってわけじゃないんだよね。
できれば分かりたいけど、あたしには無理なのかも知れない。

031:猫 黒瀬珂瀾 2003年06月05日 (木) 08時59分
前輪があやふくさけし猫の屍よ 戦(いくさ)あれども外(と)つ国のこと

いま読み直すと上の句と下の句が近いかな?とも思いますが、
ここまで堂々と無関心さを言い放つ下の句がやはり好きです。

093:恋 こはく 2003年06月07日 (土) 00時29分
あいづちの代わりに氷を鳴らしてる終わった恋だと言えないでいる

ありがちな場面かも知れませんが、それだけに分かりやすい。
「終わった恋だと言えないでいる」っていいな。使ってみたいフレーズ。

024:きらきら なかはられいこ 2003年06月10日 (火) 00時40分
逃げ水のあんなきらきらどこまでも真昼のままで映画は終わる

映画っていうのは、
神話の時代から現代までを描くこともできるし、
ほんの一瞬の出来事だけを描くこともできる。短歌もそうかな。
この映画は最後まで夏の白い真昼だけ。
逃げ水はきらきらとハレーションを起こして。かなしいものはまぶしい。

026:妻 コメット 2003年06月11日 (水) 19時01分
妻もまた我より偉く見える日よ肉を買い来て犬と親しむ

もちろん啄木のパロディ。
男って、夫って、誇り高く可愛い哀しい生き物だなあと。

018:泣く AQ 2003年06月14日 (土) 01時59分
純粋に物理学的問題で愛は関係ないから泣くな

「あたしのこと愛してないのね」とか言われてるんでしょうね。
こういう言い訳の仕方は好きだ。相手に通じるかどうかはともかく。
No.37 2004年03月23日 (火) 21時19分

 

過去ログ30より。
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千葉は寒いです。

017:雲 久哲 2003年05月23日 (金) 22時25分
涙もろい人はことさら上を向くこれ見よがしな鰯雲だな

「これ見よがし」に一票。
泣けとばかりに、みたいな感じかな。

038:明日 高澤志帆 2003年05月24日 (土) 22時20分
明日、と言ひさす君へ警報の音ながれ横須賀線の踏み切りのまへ

上の句、かなり破調のようですがリズムがある。
ぼんやりと不吉な感じがいいなあと。

031:猫 佐藤弓生 2003年05月27日 (火) 05時10分
ねえ髭のかみさまがきた さみだれのさなかしずかに湿る猫たち

弓生さん(と馴れ馴れしく呼んでしまいますが)の作品は、
どれも完成されてるなと読むたびに思います。
あとは読み手が入れるか入れないかだけ、みたいな感じ。
この猫の歌は、私には少しだけ入りやすかった。
他の歌よりドアが少しだけ広めに開いてたから。

030:表 五十嵐仁美 2003年05月29日 (木) 13時59分
道端に枝を広げる白樺が表札がわりというのが理想

素直でいい人だなあと思う五十嵐さんの歌。
この表札は理想だと思う。たとえ平凡でも。

030:表 荒川美代子 2003年05月30日 (金) 03時15分
表からだれかのこえがするたびにつかのま海になりすますくせ

くー、やっぱりこの歌好きだ。
こんな風に海になれたらいいけど。

024:きらきら 塩谷風月 2003年05月31日 (土) 16時48分
きらきらと水満たされて水田は生まれた、と、れんげ草が見る夢

風月さんの歌は優しいよね。
このれんげ草は畦に咲いているのかしら。

092:人形 和良珠子 2003年05月31日 (土) 22時24分
踊ってるようにも見える飛び降りの現場に残る白い人形(ひとがた)

今年も取りました。
確かに踊ってるようにも見える。
怖いんだろうなあ、飛び降りるのは。
No.36 2004年03月22日 (月) 18時44分

 

過去ログ28より。
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うー、今日はもう少しがんばろう。

031:猫 岩崎一恵 2003年04月27日 (日) 09時58分
猫よけのペットボトルの輪郭でたたずむ水に映るいちにち

葛原妙子の、
「晩夏光おとろへし夕 酢は立てり一本の壜の中にて」を思い出した歌。
でも岩崎さんの歌の方がずっと優しい。季節が春だからか。

021:窓 佐藤弓生 2003年04月29日 (火) 09時03分
マンションの窓にまた灯がはいったよみんなひとりで死んでゆくから

「生きてゆくから」ではなくて「死んでゆくから」。
同じことかも知れないけれど。

063:海女   佐藤理江 2003年04月29日 (火) 17時59分
桶の縁に海女の指先かかりたりその銀色の中指の爪

カメラの焦点がグーッと絞られていく歌。
中指の爪の銀色が海の生き物の名残のようにも見えて。

021:窓 塩谷風月 2003年05月01日 (木) 10時55分
君の背中を窓に押し付け無理矢理に奪った光は五月であった

風月さんらしい一首。
唇ではなくて光。それも五月の。

013:愛 長瀬大 2003年05月01日 (木) 12時39分
音楽の歌詞も映画の人物も、愛・愛・愛・愛、おさるさんかよ

結句の「かよ」に一票。(笑)
愛こそ全て、なんでしょうかねえ。

030:表 村本希理子 2003年05月03日 (土) 08時53分
中年の表情筋を鍛へあげ頬から風をこじあけ歩かう

うーん、開き直り方が凛々しい。(^^)
お題が「表」じゃなかったら上の句は変わるかな。

025:匿う 黒瀬珂瀾 2003年05月04日 (日) 01時29分
<ニュークリアス>と名乗る少女が匿ふと言ふので好きにさせてる日々だ

うわー、かっこいいー。(ほれぼれ)
ニュークリアスはOSの核となるソフトウェア群。
どこに匿われているの?

031:猫 かいり 2003年05月09日 (金) 16時21分
爪のない猫みたいだなはりつめるだけはりつめて落ちてくる雨

どういう喩えだ?と思うと同時に、
こういう喩えかーと納得してしまった歌。
つるつるしていて丸っこくて、でもどっかとんがってる。
No.34 2004年03月19日 (金) 23時53分

 

過去ログ27より。
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エネルギーチャージ80%。ぼちぼちいきます。

086:とらんぽりん むつき 2003年04月13日 (日) 15時49分
とらんぽりんのうへにいつしか座りゐてそろそろ結婚しやうかと思ふ

上の句は心情的な喩えでしょうが、
そんなもんかもね、と思ったので。
外堀からだんだん埋められて来て、みたいな感じかなあ。

077:落書き 五十嵐きよみ 2003年04月13日 (日) 17時24分
図書館の本の落書きどこにでもさみしいひとはいるということ

図書館勤めの身としてはなかなか切実な歌。(笑)
さみしいひとと思えれば怒らずに済むかも。

060:奪う こはく 2003年04月13日 (日) 18時02分
頭蓋骨奪われ心もとなげな顔をしているへのへのもへじ

こはくさんの発見の歌。この人は目がいいなといつも思う。
欲を言えば、その発見からもう一歩突っ込んだ歌も見てみたい。

024:きらきら 岡村知昭 2003年04月13日 (日) 20時31分
すずらんはもう咲きません影のない兵士はとてもきらきらとして

岡村さんは俳句の呼吸で短歌も作っていると思う。
いわゆる二物衝撃。離れすぎず付きすぎず。
この歌はかなり離れていますけれど、でもやっぱりどこか繋がっている。
解釈は難しいですが。

025:匿う 高澤志帆 2003年04月14日 (月) 00時57分
匿ひしものの正体知らぬまま少女は小屋にりんごをはこぶ

高澤さんは「言わない人」なのかな。
おどろおどろしくなりそうな歌を少女とりんごが救っている。
いや、少女とりんごだから怖いのかも。無惨な結末が待っていそうで。

22:素 黒瀬珂瀾 2003年04月14日 (月) 03時08分
二百万画素もて君を花腐し雨の神戸とともに包みぬ

「写真を撮った」と書けば六文字で済んでしまいますが。
「花腐し」は卯の花が腐るほどの長雨のこと。夏の季語。

014:段ボール 春村 蓬 2003年04月15日 (火) 21時12分
段ボールと同じ色でやつて来た仔犬も老いてしづかなさくら

多分いまは白っぽい毛並みなのかも知れません。
結句「しづかなさくら」がはまりすぎのような。巧いですけど。

016:紅 羽田野 令 2003年04月16日 (水) 03時14分
落椿紅(くれなゐ)ぬれて木のもとに寄りたる道は花踏まずゆく

うー、かっこいい…。
「紅」はお題でなければ要らないか。やっぱり要るかな?

025:匿う ひぐらしひなつ 2003年04月17日 (木) 08時52分
コバルトの蝶を匿う放課後の廊下でひらく五線譜の中

二句切れなんですけれども、
そのまま「放課後」にも掛けて読みたい歌。
だから空白がないんでしょうね。結句の「中」でちょっと混乱しましたが。

035:駅 兵庫ユカ 2003年04月19日 (土) 23時32分
婆がまだ駅と呼ぶバス停留所待合い室に春はとどまる

ユカさんの「婆」の歌。
婆が居てくれるうちはずっと春なのかも。

010:浮く 伴風花 2003年04月20日 (日) 00時32分
目のまえに浮くカナブンが虹をだし動かなくなるまでをみていた

虹=命と読んでしまうとつまらないかも知れませんが。
何となく殺虫剤をかけた後じっと見ていたような気もして。(違うか)

021:窓 村本希理子 2003年04月20日 (日) 19時07分
少し開けた窓の隙より入り来る子の泣く声は蛇口に絡まる

「泣き声」ではなくて「泣く声」。
希理子ねえさんは二の線でもいける。照れずに真面目に作れば。(笑)

007:ふと 氏橋奈津子 2003年04月21日 (月) 01時36分
伸ばしかけてふと止めるゆび何百年ここにこうしてふたりでいたの

どれにしようかなあ、と迷ってこの歌を。
「何百年」が唐突に重い。悟るときって多分いつも唐突なんでしょう。

012:突破 荻原裕幸 2003年04月22日 (火) 04時39分
生きいそぐなら生きいそげこの街のしろきところを突破してゆけ

「しろいところ」ではなくて「しろきところ」。
おぎはらさんは冷たい。でも薄情じゃないと思う。何となく。

016:紅 伴風花 2003年04月25日 (金) 00時50分
くちびるにうつる口紅おやゆびで拭えばきみはまたくちづける

伴さん、もう一首。
もしかしたらベタかも知れませんけど美しいキスシーン。
ノーマルカプじゃないと駄目ですが。いや、そうでもないかな?(^_^;)
No.33 2004年03月19日 (金) 20時40分

 

過去ログ26より。
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まだボーッとしてますが、少しずつ。

010:浮く 岡村知昭 2003年03月31日 (月) 20時52分
銃口を向けられてなお風船は浮いてたいから浮くと答える

やわらかな時事詠。
風船自身が答えているとも取れるし、
風船をたとえにして自分を語っているとも取れる。
「ならば沈め」と撃たれてしまいそうな気もしますけど。

051:敵 和良珠子 2003年03月31日 (月) 23時29分
電柱の陰で天敵に会いました 小さな声で泣いていました

去年はこの天敵が誰か分からなかったんですけど、
もしかしたら子猫とか子犬なのかも知れませんね。
つい拾いたくなってしまう。だから天敵。それじゃ面白くないかな。

053:サナトリウム 和良珠子 2003年04月01日 (火) 00時09分
半年を経て戻る姉のうなじから海の匂いする サナトリウムは

和良さん、もう一首。
この「海の匂い」は塩素の匂いかな、と思いました。
あたし的にはどっちかというと海というよりプールですけど。

020:害 田外 茗子 2003年04月01日 (火) 21時18分
しめやかに黒文字使い羊羹を食みおり要害有りける女

「要害ありける」という使い方にやや抵抗があるものの、
うまい言葉を持って来たなと思った歌。
「要害」は(1)険しい地形で、敵の攻撃を防ぐのに便利なこと。また、その土地。 (2)城塞。城郭。とりで。(3)防御をかためること。用心すること。

014:段ボ−ル 塩谷風月 2003年04月03日 (木) 22時43分
君からの手紙咲き乱れたままでその段ボ−ルの中はいつも春

でも段ボールに仕舞ってあるんですね。
たとえば宝石箱に入れてあるわけじゃない。過去の春。

014:段ボール 瓜生ゆき 2003年04月05日 (土) 22時43分
カラフルな段ボールから溢れ出すポップコーンは砂漠の匂い

状況がよく分からないのですが、
下の句の「ポップコーンは砂漠の匂い」に惹かれて。
ひからびたキャラメル味かな。これも時事詠なのかしらん。

072:席 五十嵐きよみ 2003年04月07日 (月) 22時17分
窓ぎわの席から順に夕焼けにみな顔を向け会話がやみぬ

場面の切り取り方が巧いなあと思った歌。
「みな顔を向け」あたりがやや説明的か。

052:冷蔵庫   佐藤理江 2003年04月08日 (火) 23時31分
今朝もまたピタリ閉まらぬ冷蔵庫誰が悪いかまだ分からない

佐藤さんの歌は知的でシニカルなものが多いですけど、
その底にどうしようもなくユーモアがある。だから嫌みにならない。
この下の句などはまさにそのユーモアがはっきりとにじみ出た歌。

016:紅 谷川由里子 2003年04月09日 (水) 03時30分
《食紅の傾斜をはかりたいのです》 文房具屋のくちぶえ隊より

不思議な歌。
「食紅の傾斜」と「文房具屋のくちぶえ隊」という魅力的なフレーズが、
二つ重なることで魅力を相殺されてしまったような。

032:星 丸山 進 2003年04月11日 (金) 13時27分
星空は見てたと思う俺たちの埋もれたままのプロジェクトX

丸山さん、巧いよね。
本歌はもちろん中島みゆきの「地上の星」。
No.32 2004年03月18日 (木) 17時56分

 




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